婚約者 オリヴィエ百合夢
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「ホークアイに何と言われた?」
デスクに座る私の隣に立つオリヴィエ。
私の心と感情を揺さぶったリザの言葉を知りたいみたいで。
「…“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのでは”とか…」
“お互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっている”とか。
「一番心に刺さったのは、“弱点になるほど、弱くはない”って言葉ね…」
「なるほど」
オリヴィエはクツクツと笑って。
「私にも刺さるな、その言葉たちは」
私でも揺さぶられる、とそう言った。
「…本当、もう突き刺さりまくって動揺したわよ…」
「その動揺が収まる前に私と会ってしまったということか」
「…そ」
良いタイミングというか、最悪のタイミングというか。
中央司令部に戻って心を落ち着かせて感情を制御しようと思ったら居るんだもの…。
無理に決まってるじゃない…。
「だがまぁ、私たちにとって良いきっかけにはなったな」
「まぁ、ね」
オリヴィエはまたクツクツ笑う。
「あ、婚約者の件はいいの?」
「いいに決まっているだろう。顔も知らん馬の骨なぞどうでもいい」
「もう。オリヴィエはいいのかもしれないけど、無名の私が恋人として名乗るのは名家にとって痛手でしょ?」
オリヴィエは長女だし、フィリップさんにも期待されている存在。
それなのに。
「知らんな。父上がこの件に関してごちゃごちゃ抜かすなら、いっそのこと名など捨ててやる」
アームストロング家の誇りより、私を選んでくれた。
「バカねぇ、本当にもう」
クスクス笑えば、オリヴィエは横目で私を見て。
「というか、私はお前と恋人ごっこをするつもりはないぞ」
「え?」
軍服の上着、内ポケットを漁ったと思えば。
「ん」
「ん?」
私に差し出してきたのは婚姻届で。
「え、これ…」
しわくちゃになった婚姻届とオリヴィエを交互に見て。
「…持ち歩いてたの?」
「…いつ書かせようかタイミングをだな」
婚姻届を書かせるタイミングをいつも狙ってたみたいで。
「…退役後だとわかってはいたが…まぁ、私自身の感情もいつ溢れるかわからんかったからな」
いつ溢れてもいいように。
いつ告げてもいいように。
「…ああもう…っやめてよー…そういうのー…っ」
「喧しい。貴様だけが我慢していたと思うな」
御守りのように持ち歩いていた事実にまた泣ける…。
「…だが、それは皺だらけだから新しいのをもらってこよう」
オリヴィエが婚姻届を取ろうとする手を止めて。
「んーん、これがいい」
「…む」
私はオリヴィエに笑みを向けて。
「これには長年のオリヴィエの想いが染み込んでるから」
「…そうか」
すでに記載されたオリヴィエの名前を指でなぞって。
「こんなに薄くなって…いつから書いてあったのかしら」
もう何年も前から。
もしかしたら十年以上前かもしれない。
「…本当に私でいいのね?書いちゃうわよ?」
オリヴィエに最終確認をすると。
「お前“でいい”のではない。お前“がいい”んだ。お前以外の者になぞ興味はない」
当たり前だと言わんばかりに即答してくれた。
「ん」
私は小さく笑み、婚姻届に自分の名前を記載した。
「書類に自分の名前を書くのに、初めて緊張して手が震えたわ…」
オリヴィエも私の隣に立って。
「お前らしい綺麗な字だ」
婚姻届に書いた私の名前を見て笑った。
「………」
「今度はなんだ」
たまらず、また両手で顔を隠した私。
「……可愛すぎる…」
「かわ……私に最も似合わない言葉をほざくな」
もう抑えなくていい。
「よし。定時に上がって我が実家に行くぞ」
もう我慢しなくていい。
「え゙?もう報告するの?」
「当たり前だ。さっさと婚約者とやらに退場していただかねばな」
「婚約者さんのほうが優しくて綺麗で完璧かもしれないわよ?」
「優しさも見た目の良さも、阿呆なところも全て含めても私の好みはお前だ」
「……もうちょっと…オブラートに包んでくれないと恥ずかしさで死にそう…」
「これから隠さず全て伝えていくぞ。何回死ぬだろうな?」
「…っばか…っ!」
自分の気持ちを素直に伝えてもいいんだ。
もう戻れないわよ?オリヴィエ。
私はもう“友人”には戻れないから。
「あ、大総統には一応報告しておいたほうがいいかもしれないわね」
「退職届を出せ」
「何回出したと思ってるの」
結婚するけど、お互い使命があるから別居。
私は中央で、オリヴィエはブリッグズで。
一緒に居たい気持ちを抑えて、責任と使命は果たさなければならない。
「時間が出来たら会いに行くから」
「…わかった。私も時間が出来たら会いに行く」
小さく笑い合い、触れるだけのキスをした。
それから。
「え!?結婚!?君たちが!?いつ!?」
「ついさっきです」
「と言っても、まだ提出はしてませんが」
「そうなのか!おめでとう!」
大総統に報告をしたら驚かれて。
「いやー!実にめでたい!直ちに全司令部に通達せよ!」
「やめ「はっ!わかりました!」
「…嘘でしょ…」
なんて、余韻に浸る間もなく全ての司令部へと通達された。
で、だけどね。
大総統に報告後、定時で退勤して向かったのはアームストロング家で。
「む。オリヴィエとアイリ君か。おかえり」
「こん「父上、私はアイリと結婚しましたので婚約者の話は白紙にしていただきたい」
オリヴィエは挨拶もせずフィリップさんにそう告げた。
いきなりすぎる言葉に、私はドキドキしていたけれど…。
「婚約者の話は嘘じゃ」
と。
フィリップさんが言う。
「は?」
「え?嘘…?」
婚約者が居るというのはフィリップさんの嘘で。
「そう言えば、お前たちがくっ付くかなぁって思って」
HAHAHA、と笑うフィリップさんに。
「ッオリヴィエ!!待ちなさい!!」
斬りかかろうとオリヴィエを羽交締めで止めた。
「離せ!いくら父だとしても許せることと許せないことがあるだろう!!」
「だからって「構わんよ、アイリ君。離してあげなさい」……え?あ…はい…」
「………」
フィリップさんに言われた通り、オリヴィエを離すと。
「オリヴィエは、口ではああいうが実際には行動せん優しい我が子だ」
なんて言われれば。
「………くそ!確かに報告はしたからな!私たちはこれで失礼する!」
「し、失礼します。また改めてご挨拶に伺わせていただきますね…!」
「うむ、今度は夫婦で食事をしに帰ってきなさい」
オリヴィエは悪態を吐いて、私の手を引いて歩き出した。
「やっぱりお父さんよねー」
「腹が立つだけだ」
私の家に帰る道中、イライラしてるオリヴィエにクスクス笑って。
「パパって呼ぼうかな」
「アホぬかせ。喜ばせるだけだ」
「あは!喜んでくれるんだ?」
なんて、他愛のない会話で満たされる。
そして。
「ん」
「ん?」
「指輪だ」
「指輪ね」
「手を出せ」
「ん」
「よし」
「ぴったり」
「当然だ」
なんて、私たちらしい指輪の受け渡しにまた笑った。
“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのではないですか?”
“セイフォード少将もアームストロング少将もお互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっているということです”
“弱点になるほど弱くはないでしょうに”
リザのこの言葉は本当に衝撃的だった。
“弱点になる”という言い訳をして。
ダラダラと曖昧な関係を続けて。
関係が崩れてしまうことを恐れて。
先延ばしにしていた感情を、見事に引っ張り出されてしまった。
考えれば考えるほど抑えきれなくなって。
“好き”という感情が溢れ出してしまって。
止まらなくなった。
オリヴィエも私と同じ気持ちだと頭ではわかっていても、どこか“本当に?”という不安すらあって。
伝えれば“阿呆”って呆れられるだけかもしれないという恐怖もあった。
でもオリヴィエは、“愛してる”と言ってくれた。
もうその言葉が全てよね。
「…明日の定例会議に響かないようにしてね」
「無理だ。諦めろ」
「…もう」
帰宅後は、久しぶりの熱に溺れた。
いつも以上の愛しさの中。
何度も名前を呼んで、何度も愛を囁いた。
ああ。
幸せだなって、心から思った。
後日。
私たちの結婚を知ったたくさんの部下たちからに祝福された。
私の心を揺さぶった張本人は、直接会いにきてくれて。
「幸せになってください。おめでとうございます」
と、花束を渡された。
「本当にもう。きっかけをくれてありがとうリザ」
リザには感謝しかない。
「ホークアイが勘弁してくれと言ってくるまで送りつけろ」
「はーい」
だからオリヴィエと一緒に、リザへと感謝の印にプレゼントをたくさん送りつけてやったわ。
END
「ホークアイに何と言われた?」
デスクに座る私の隣に立つオリヴィエ。
私の心と感情を揺さぶったリザの言葉を知りたいみたいで。
「…“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのでは”とか…」
“お互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっている”とか。
「一番心に刺さったのは、“弱点になるほど、弱くはない”って言葉ね…」
「なるほど」
オリヴィエはクツクツと笑って。
「私にも刺さるな、その言葉たちは」
私でも揺さぶられる、とそう言った。
「…本当、もう突き刺さりまくって動揺したわよ…」
「その動揺が収まる前に私と会ってしまったということか」
「…そ」
良いタイミングというか、最悪のタイミングというか。
中央司令部に戻って心を落ち着かせて感情を制御しようと思ったら居るんだもの…。
無理に決まってるじゃない…。
「だがまぁ、私たちにとって良いきっかけにはなったな」
「まぁ、ね」
オリヴィエはまたクツクツ笑う。
「あ、婚約者の件はいいの?」
「いいに決まっているだろう。顔も知らん馬の骨なぞどうでもいい」
「もう。オリヴィエはいいのかもしれないけど、無名の私が恋人として名乗るのは名家にとって痛手でしょ?」
オリヴィエは長女だし、フィリップさんにも期待されている存在。
それなのに。
「知らんな。父上がこの件に関してごちゃごちゃ抜かすなら、いっそのこと名など捨ててやる」
アームストロング家の誇りより、私を選んでくれた。
「バカねぇ、本当にもう」
クスクス笑えば、オリヴィエは横目で私を見て。
「というか、私はお前と恋人ごっこをするつもりはないぞ」
「え?」
軍服の上着、内ポケットを漁ったと思えば。
「ん」
「ん?」
私に差し出してきたのは婚姻届で。
「え、これ…」
しわくちゃになった婚姻届とオリヴィエを交互に見て。
「…持ち歩いてたの?」
「…いつ書かせようかタイミングをだな」
婚姻届を書かせるタイミングをいつも狙ってたみたいで。
「…退役後だとわかってはいたが…まぁ、私自身の感情もいつ溢れるかわからんかったからな」
いつ溢れてもいいように。
いつ告げてもいいように。
「…ああもう…っやめてよー…そういうのー…っ」
「喧しい。貴様だけが我慢していたと思うな」
御守りのように持ち歩いていた事実にまた泣ける…。
「…だが、それは皺だらけだから新しいのをもらってこよう」
オリヴィエが婚姻届を取ろうとする手を止めて。
「んーん、これがいい」
「…む」
私はオリヴィエに笑みを向けて。
「これには長年のオリヴィエの想いが染み込んでるから」
「…そうか」
すでに記載されたオリヴィエの名前を指でなぞって。
「こんなに薄くなって…いつから書いてあったのかしら」
もう何年も前から。
もしかしたら十年以上前かもしれない。
「…本当に私でいいのね?書いちゃうわよ?」
オリヴィエに最終確認をすると。
「お前“でいい”のではない。お前“がいい”んだ。お前以外の者になぞ興味はない」
当たり前だと言わんばかりに即答してくれた。
「ん」
私は小さく笑み、婚姻届に自分の名前を記載した。
「書類に自分の名前を書くのに、初めて緊張して手が震えたわ…」
オリヴィエも私の隣に立って。
「お前らしい綺麗な字だ」
婚姻届に書いた私の名前を見て笑った。
「………」
「今度はなんだ」
たまらず、また両手で顔を隠した私。
「……可愛すぎる…」
「かわ……私に最も似合わない言葉をほざくな」
もう抑えなくていい。
「よし。定時に上がって我が実家に行くぞ」
もう我慢しなくていい。
「え゙?もう報告するの?」
「当たり前だ。さっさと婚約者とやらに退場していただかねばな」
「婚約者さんのほうが優しくて綺麗で完璧かもしれないわよ?」
「優しさも見た目の良さも、阿呆なところも全て含めても私の好みはお前だ」
「……もうちょっと…オブラートに包んでくれないと恥ずかしさで死にそう…」
「これから隠さず全て伝えていくぞ。何回死ぬだろうな?」
「…っばか…っ!」
自分の気持ちを素直に伝えてもいいんだ。
もう戻れないわよ?オリヴィエ。
私はもう“友人”には戻れないから。
「あ、大総統には一応報告しておいたほうがいいかもしれないわね」
「退職届を出せ」
「何回出したと思ってるの」
結婚するけど、お互い使命があるから別居。
私は中央で、オリヴィエはブリッグズで。
一緒に居たい気持ちを抑えて、責任と使命は果たさなければならない。
「時間が出来たら会いに行くから」
「…わかった。私も時間が出来たら会いに行く」
小さく笑い合い、触れるだけのキスをした。
それから。
「え!?結婚!?君たちが!?いつ!?」
「ついさっきです」
「と言っても、まだ提出はしてませんが」
「そうなのか!おめでとう!」
大総統に報告をしたら驚かれて。
「いやー!実にめでたい!直ちに全司令部に通達せよ!」
「やめ「はっ!わかりました!」
「…嘘でしょ…」
なんて、余韻に浸る間もなく全ての司令部へと通達された。
で、だけどね。
大総統に報告後、定時で退勤して向かったのはアームストロング家で。
「む。オリヴィエとアイリ君か。おかえり」
「こん「父上、私はアイリと結婚しましたので婚約者の話は白紙にしていただきたい」
オリヴィエは挨拶もせずフィリップさんにそう告げた。
いきなりすぎる言葉に、私はドキドキしていたけれど…。
「婚約者の話は嘘じゃ」
と。
フィリップさんが言う。
「は?」
「え?嘘…?」
婚約者が居るというのはフィリップさんの嘘で。
「そう言えば、お前たちがくっ付くかなぁって思って」
HAHAHA、と笑うフィリップさんに。
「ッオリヴィエ!!待ちなさい!!」
斬りかかろうとオリヴィエを羽交締めで止めた。
「離せ!いくら父だとしても許せることと許せないことがあるだろう!!」
「だからって「構わんよ、アイリ君。離してあげなさい」……え?あ…はい…」
「………」
フィリップさんに言われた通り、オリヴィエを離すと。
「オリヴィエは、口ではああいうが実際には行動せん優しい我が子だ」
なんて言われれば。
「………くそ!確かに報告はしたからな!私たちはこれで失礼する!」
「し、失礼します。また改めてご挨拶に伺わせていただきますね…!」
「うむ、今度は夫婦で食事をしに帰ってきなさい」
オリヴィエは悪態を吐いて、私の手を引いて歩き出した。
「やっぱりお父さんよねー」
「腹が立つだけだ」
私の家に帰る道中、イライラしてるオリヴィエにクスクス笑って。
「パパって呼ぼうかな」
「アホぬかせ。喜ばせるだけだ」
「あは!喜んでくれるんだ?」
なんて、他愛のない会話で満たされる。
そして。
「ん」
「ん?」
「指輪だ」
「指輪ね」
「手を出せ」
「ん」
「よし」
「ぴったり」
「当然だ」
なんて、私たちらしい指輪の受け渡しにまた笑った。
“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのではないですか?”
“セイフォード少将もアームストロング少将もお互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっているということです”
“弱点になるほど弱くはないでしょうに”
リザのこの言葉は本当に衝撃的だった。
“弱点になる”という言い訳をして。
ダラダラと曖昧な関係を続けて。
関係が崩れてしまうことを恐れて。
先延ばしにしていた感情を、見事に引っ張り出されてしまった。
考えれば考えるほど抑えきれなくなって。
“好き”という感情が溢れ出してしまって。
止まらなくなった。
オリヴィエも私と同じ気持ちだと頭ではわかっていても、どこか“本当に?”という不安すらあって。
伝えれば“阿呆”って呆れられるだけかもしれないという恐怖もあった。
でもオリヴィエは、“愛してる”と言ってくれた。
もうその言葉が全てよね。
「…明日の定例会議に響かないようにしてね」
「無理だ。諦めろ」
「…もう」
帰宅後は、久しぶりの熱に溺れた。
いつも以上の愛しさの中。
何度も名前を呼んで、何度も愛を囁いた。
ああ。
幸せだなって、心から思った。
後日。
私たちの結婚を知ったたくさんの部下たちからに祝福された。
私の心を揺さぶった張本人は、直接会いにきてくれて。
「幸せになってください。おめでとうございます」
と、花束を渡された。
「本当にもう。きっかけをくれてありがとうリザ」
リザには感謝しかない。
「ホークアイが勘弁してくれと言ってくるまで送りつけろ」
「はーい」
だからオリヴィエと一緒に、リザへと感謝の印にプレゼントをたくさん送りつけてやったわ。
END
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