婚約者 オリヴィエ百合夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
'
「!アームストロング少将、お疲れ様です」
「む?ああ、ご苦労」
「今、セイフォード少将はいらっしゃいませんよ」
「なに?どこへ行った?」
「東方司令部のグラマン中将の下です」
「…そうか。わかった」
数日後。
再びアイリの下へとやってきた。
というより、明日の定例会議のために来た。
本来なら明日来ればいいんだが、まぁたまにはアイリの自宅に泊まろうと思ってな。
しかし、アイリの執務室前でアイリ不在だと聞かされる。
どうやら東のグラマンに呼ばれたらしい。
情報交換か。
グラマンからもらった情報は、私にも共有してくれる。
「中で待つとしよう」
アイリ不在だが直に戻ってくるだろう。
扉を開け、中に入る。
デスクには山になった書類の束。
「……戻った時にこの有様を見たら肩を落とすだろうな」
書類へ手を伸ばす。
アイリが戻るまで片付けておいてやるか。
と、椅子に座ったところに。
「ん?」
足音が聞こえてきた。
アイリの歩幅だ。
もう帰ってきたのか。
ガチャ、と。
扉が開いたから。
「戻ったか」
デスクに両肘を付いてそう言うと。
「ッッ!?!?!?」
「どうした?」
アイリはこれでもかというくらい目を見開いて。
「……ッッ」
「!おい、なんだ」
バタンと扉を閉めた。
私は眉間に皺を寄せて立ち上がり、扉まで行くと。
『待って待って待って!!ちょっと待って!』
何やら焦っている様子。
『なんでいるの!?』
「明日は定例会議だから早く来ただけだ」
扉を開けようにも、向こう側で押さえているようで開かない。
「開けろ。というか入って来い」
『わかった。わかったから、ちょっとわかってるから待って』
何故そんなに焦っている?
「アイリ、何かあったのか?」
『ないわ。何もない。でも本当ちょっと待って。ちょっと扉の前から離れてくれない?』
「何故だ」
開けようにも開かない。
こいつ、錬金術で固めているな。
『お願い、オリヴィエ。中に入るから。ちゃんと入るから一旦離れて…』
私はさらに眉間に皺を寄せながらも。
「……わかった」
扉から離れ、デスクの前にある回転椅子に座る。
『……離れた?』
「あぁ、離れた」
扉の前にいる時よりも声が遠くなったのを確認したのか、小さな錬成反応が起きて静かに扉が開いた。
「………」
「………」
おずおずと顔を出し、私の居場所を確認してから足早にソファーへと移動した。
「おい」
「…なに」
足を組み、その足に頬杖を付いて。
私のほうを見ようとしない。
「どうしたんだ」
「…どうもしないけど」
どうもしてないわけないだろうが。
「…いつ来たの?」
「ちょっと前だ」
「そう…」
短い会話。
いつものアイリではない様子に、僅かな不安と苛立ちがあった。
苛立ちは、どう見ても避けられているため。
「……」
チラッと私を見てきた。
理由を聞いても話さないだろうな。
「…っ!」
私が静かに立ち上がると、アイリはビクッと肩を震わせてさらに視線を逸らした。
「……なに…?」
で、アイリの前に立って。
「……ッッ」
黙って逸らしている方の隣に座る。
すると。
反対側を向いたと思えば。
「………」
「………」
見る見るうちに肌が赤く染まって。
「お前」
「……なーによ」
「耳まで真っ赤だぞ」
耳まで真っ赤にさせた。
「……ッはぁ?別に赤くないけど」
「ほう?」
そっと手を伸ばし、耳に触れる。
「……ッ!?」
バッと耳を隠して私へ振り返った。
「セクハラ!」
「耳に触れただけでか」
真っ赤な顔のままだ。
明らかに私を意識しているな。
何故意識するようになったんだ。
数日前までは普通だったのに。
「何を意識しているんだ、お前は」
お前らしくない。
そう言うと、アイリは両手で覆い隠した。
「……本当、待って…」
「あぁ、待つ」
「…ちょっと離れて…」
「何故だ?」
「…心臓が保たない…」
私はクスリと笑って。
「誰に揺さぶられたんだ?」
そう問うと。
両手で顔を隠したまま顔を上に向けて。
「………リザぁ……」
ホークアイの名を口にした。
「ホークアイか」
グラマンかと思ったが、その孫娘のホークアイだった。
アイリの様子から推測すると。
恐らく。
「何を言われた?」
もう無理だろう。
「………」
今までの、曖昧な関係でいるのは。
こうまで私に対して意識してしまって。
まともに顔を見ることすら出来ない。
「アイリ?」
「………」
アイリは顔を隠して上を向いたまま。
「………答えは“イエス”しか認めないけど…」
それでもいいの?
と、小さな声で言う。
「イエスしか認めないのか」
「…えぇ」
私は立ち上がり、ソファーの後ろ、アイリの背後に立って。
「わかった」
そう返事をした。
「………」
鼻を啜る音。
アイリは泣いているようだ。
アイリを挟むようにソファーの背に手を置いて。
「わかったよ、アイリ」
顔を隠すアイリの手に顔を近づけて。
「聞かせてくれ」
小さく呟くと。
アイリは。
本当に本当に小さな声で。
「…………好き………」
そう、口にした。
伝えるのは定年を迎え退役した後だと決めつけて。
“お互いの弱点にならないように”というそれらしい言い訳をして。
ずっと秘めてきたその言葉と想い。
ホークアイに何を言われたのかは知らんが、もう秘めておくことが出来ないくらいの言葉を言われたんだろうな。
「アイリ」
「……っイエスしか認めないって言った…!」
阿保な奴だな。
イエス以外の言葉なんぞないと言うのに。
「そうだったな」
顔を隠す手にキスをして。
「私もだ」
そう伝えた。
もういいと思った。
弱点になったって、別に構わない。
それよりも私は。
「……ぅ…ぅぅ…っ」
自分の感情を抑えきれずに泣くこいつが何よりも愛おしい。
「……っ」
アイリの手をゆっくりと退かして。
涙に濡れる顔を見つめて。
「好きだ、アイリ」
唇にキスを落とすと。
アイリはさらに涙を零して。
「わ…っわたしも…っもう…っおかしくなりそうなくらい…っあなたが好き…っ」
私の頭を抱き締め、キスをした。
–––– ああ
愛おしい ––––
秘めてきた想いを一度口に出してしまったら、もう止まらない。
愛しさが次から次へと溢れてきて。
「……抱きたい」
「…抱かれたいけどここでは駄目よ」
今すぐにでも抱きたいと告げれば、アイリも同じ気持ちで思わず二人で笑って。
「まだ仕事があるんだし、今はキスだけで我慢して?」
「…むぅ。仕方ないな」
触れるだけのキスをしてから。
「んぅ…っばか…っ」
「ん」
深く深く、口付けをした。
まだまだ足りないが、仕事中であるために深めの口付けで我慢するとしよう。
.
「!アームストロング少将、お疲れ様です」
「む?ああ、ご苦労」
「今、セイフォード少将はいらっしゃいませんよ」
「なに?どこへ行った?」
「東方司令部のグラマン中将の下です」
「…そうか。わかった」
数日後。
再びアイリの下へとやってきた。
というより、明日の定例会議のために来た。
本来なら明日来ればいいんだが、まぁたまにはアイリの自宅に泊まろうと思ってな。
しかし、アイリの執務室前でアイリ不在だと聞かされる。
どうやら東のグラマンに呼ばれたらしい。
情報交換か。
グラマンからもらった情報は、私にも共有してくれる。
「中で待つとしよう」
アイリ不在だが直に戻ってくるだろう。
扉を開け、中に入る。
デスクには山になった書類の束。
「……戻った時にこの有様を見たら肩を落とすだろうな」
書類へ手を伸ばす。
アイリが戻るまで片付けておいてやるか。
と、椅子に座ったところに。
「ん?」
足音が聞こえてきた。
アイリの歩幅だ。
もう帰ってきたのか。
ガチャ、と。
扉が開いたから。
「戻ったか」
デスクに両肘を付いてそう言うと。
「ッッ!?!?!?」
「どうした?」
アイリはこれでもかというくらい目を見開いて。
「……ッッ」
「!おい、なんだ」
バタンと扉を閉めた。
私は眉間に皺を寄せて立ち上がり、扉まで行くと。
『待って待って待って!!ちょっと待って!』
何やら焦っている様子。
『なんでいるの!?』
「明日は定例会議だから早く来ただけだ」
扉を開けようにも、向こう側で押さえているようで開かない。
「開けろ。というか入って来い」
『わかった。わかったから、ちょっとわかってるから待って』
何故そんなに焦っている?
「アイリ、何かあったのか?」
『ないわ。何もない。でも本当ちょっと待って。ちょっと扉の前から離れてくれない?』
「何故だ」
開けようにも開かない。
こいつ、錬金術で固めているな。
『お願い、オリヴィエ。中に入るから。ちゃんと入るから一旦離れて…』
私はさらに眉間に皺を寄せながらも。
「……わかった」
扉から離れ、デスクの前にある回転椅子に座る。
『……離れた?』
「あぁ、離れた」
扉の前にいる時よりも声が遠くなったのを確認したのか、小さな錬成反応が起きて静かに扉が開いた。
「………」
「………」
おずおずと顔を出し、私の居場所を確認してから足早にソファーへと移動した。
「おい」
「…なに」
足を組み、その足に頬杖を付いて。
私のほうを見ようとしない。
「どうしたんだ」
「…どうもしないけど」
どうもしてないわけないだろうが。
「…いつ来たの?」
「ちょっと前だ」
「そう…」
短い会話。
いつものアイリではない様子に、僅かな不安と苛立ちがあった。
苛立ちは、どう見ても避けられているため。
「……」
チラッと私を見てきた。
理由を聞いても話さないだろうな。
「…っ!」
私が静かに立ち上がると、アイリはビクッと肩を震わせてさらに視線を逸らした。
「……なに…?」
で、アイリの前に立って。
「……ッッ」
黙って逸らしている方の隣に座る。
すると。
反対側を向いたと思えば。
「………」
「………」
見る見るうちに肌が赤く染まって。
「お前」
「……なーによ」
「耳まで真っ赤だぞ」
耳まで真っ赤にさせた。
「……ッはぁ?別に赤くないけど」
「ほう?」
そっと手を伸ばし、耳に触れる。
「……ッ!?」
バッと耳を隠して私へ振り返った。
「セクハラ!」
「耳に触れただけでか」
真っ赤な顔のままだ。
明らかに私を意識しているな。
何故意識するようになったんだ。
数日前までは普通だったのに。
「何を意識しているんだ、お前は」
お前らしくない。
そう言うと、アイリは両手で覆い隠した。
「……本当、待って…」
「あぁ、待つ」
「…ちょっと離れて…」
「何故だ?」
「…心臓が保たない…」
私はクスリと笑って。
「誰に揺さぶられたんだ?」
そう問うと。
両手で顔を隠したまま顔を上に向けて。
「………リザぁ……」
ホークアイの名を口にした。
「ホークアイか」
グラマンかと思ったが、その孫娘のホークアイだった。
アイリの様子から推測すると。
恐らく。
「何を言われた?」
もう無理だろう。
「………」
今までの、曖昧な関係でいるのは。
こうまで私に対して意識してしまって。
まともに顔を見ることすら出来ない。
「アイリ?」
「………」
アイリは顔を隠して上を向いたまま。
「………答えは“イエス”しか認めないけど…」
それでもいいの?
と、小さな声で言う。
「イエスしか認めないのか」
「…えぇ」
私は立ち上がり、ソファーの後ろ、アイリの背後に立って。
「わかった」
そう返事をした。
「………」
鼻を啜る音。
アイリは泣いているようだ。
アイリを挟むようにソファーの背に手を置いて。
「わかったよ、アイリ」
顔を隠すアイリの手に顔を近づけて。
「聞かせてくれ」
小さく呟くと。
アイリは。
本当に本当に小さな声で。
「…………好き………」
そう、口にした。
伝えるのは定年を迎え退役した後だと決めつけて。
“お互いの弱点にならないように”というそれらしい言い訳をして。
ずっと秘めてきたその言葉と想い。
ホークアイに何を言われたのかは知らんが、もう秘めておくことが出来ないくらいの言葉を言われたんだろうな。
「アイリ」
「……っイエスしか認めないって言った…!」
阿保な奴だな。
イエス以外の言葉なんぞないと言うのに。
「そうだったな」
顔を隠す手にキスをして。
「私もだ」
そう伝えた。
もういいと思った。
弱点になったって、別に構わない。
それよりも私は。
「……ぅ…ぅぅ…っ」
自分の感情を抑えきれずに泣くこいつが何よりも愛おしい。
「……っ」
アイリの手をゆっくりと退かして。
涙に濡れる顔を見つめて。
「好きだ、アイリ」
唇にキスを落とすと。
アイリはさらに涙を零して。
「わ…っわたしも…っもう…っおかしくなりそうなくらい…っあなたが好き…っ」
私の頭を抱き締め、キスをした。
–––– ああ
愛おしい ––––
秘めてきた想いを一度口に出してしまったら、もう止まらない。
愛しさが次から次へと溢れてきて。
「……抱きたい」
「…抱かれたいけどここでは駄目よ」
今すぐにでも抱きたいと告げれば、アイリも同じ気持ちで思わず二人で笑って。
「まだ仕事があるんだし、今はキスだけで我慢して?」
「…むぅ。仕方ないな」
触れるだけのキスをしてから。
「んぅ…っばか…っ」
「ん」
深く深く、口付けをした。
まだまだ足りないが、仕事中であるために深めの口付けで我慢するとしよう。
.