婚約者 オリヴィエ百合夢
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「お疲れ様です、セイフォード少将」
「!ご苦労様、ロイ君、リザ」
数日後。
グラマン中将に呼ばれて東方司令部へと足を運んだ。
グラマン中将とのチェスという名の情報交換が終わって執務室を出れば、ロイ君とリザが立っていた。
「今日の勝敗はどうでしたか?」
「どうだと思う?」
「…少し手加減してあげてください」
「手加減されて勝ったって意味ないじゃなーい」
他愛のない会話をしながら、出口へ向かう。
「オフィスで少し休まれては?」
ロイ君にそう言われたけど。
「これから北に行くのよ。あんにゃろ、元気ないからちょっと励ましてやろうかなってね」
北へ行くことを伝える。
「アームストロング少将、何かあったんですか?」
リザの問いかけ。
「まぁ所謂名家ならではの悩みというか困りごとというか」
そこまで言えば、きっとこの二人なら。
「なるほど」
「結婚、ですか」
わかってくれるわよね。
「しかし、アームストロング少将でしたら軽く受け流せそうですが…」
リザが不思議そうに言う。
「今回は結婚じゃなくて、婚約者を紹介されたみたいでねー」
「あの方の婚約者として相応しいのは、極寒ブリッグズに生息する巨大熊くらいの人間では…?」
ロイ君が青褪めながら言う。
「あは!あなたたちからしたら、オリヴィエってそんな屈強なイメージなのね!」
東方司令部の入り口で止まって。
「まぁ紹介されたと言っても、会ったわけじゃないみたいよ」
いるよー、って言われただけみたい。
「そうなんですか」
リザは顎に手を添えて。
「セイフォード少将がアームストロング少将とお付き合いなされば、名家の縛りから解放されるのではないですか?」
そう問いかけてきた。
「…や、あのね?リザ、何回も言うけど私たちはただの同期であってそういう仲じゃないのよ」
私がオリヴィエを救うなんて無理よ。
付き合えば解放される?
そんな簡単な問題じゃない。
むしろ、無名の私なんてアームストロング家からしたら煙たい存在かもしれないし。
「ですが、肉た「いい?ロイ君、口に出して良い言葉と悪い言葉があるって覚えておいて?」
二人の考えてることなんて手に取るようにわかる。
確かにオリヴィエとは…その…肉体関係ではあるけども…。
嫌いではないし、むしろ………。
だけど。
「私たちはお互いの弱点にならないように、今の関係で納得しているの」
私は腰に手を当てて。
「こればかりは揺らぐことはない関係性だから何を言っても無駄ですよー」
クスクス笑った。
すると、リザが小さく笑って。
「ずっと疑問だったんですが」
「なぁに?」
「“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのではないですか?」
無理やり?
納得、させている?
「え?誰に?」
「ご自身にです」
私はきょとんとリザとロイ君を交互に見る。
「私たち自身に?」
「はい」
「中尉、何が言いたいんだい?君は」
ロイ君が私の心情を読み取ってか、私が思ったことを問いかけた。
「私が言いたいのは、セイフォード少将もアームストロング少将もお互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっているということです」
リザはクスリと笑って。
「弱点になるほど、弱くはないでしょうに」
そう言った。
「「………」」
私もロイ君も目を見開く。
「下位官が生意気を言ってすみませんでした」
リザが私に敬礼をする。
「……いえ」
やば。
え、やばい。
どうしよう。
私は二人に背中を向けて。
「じゃあ、もう行くわね」
「お気をつけて」
「お疲れ様でした」
歩き出した。
動揺を悟られないように。
いつも通り。
でも少しだけ足早に。
だから。
「…中尉、よくやった」
「幸せになってほしいです、あのお二人には」
なんて会話をしていたのは知らない。
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「お疲れ様です、セイフォード少将」
「!ご苦労様、ロイ君、リザ」
数日後。
グラマン中将に呼ばれて東方司令部へと足を運んだ。
グラマン中将とのチェスという名の情報交換が終わって執務室を出れば、ロイ君とリザが立っていた。
「今日の勝敗はどうでしたか?」
「どうだと思う?」
「…少し手加減してあげてください」
「手加減されて勝ったって意味ないじゃなーい」
他愛のない会話をしながら、出口へ向かう。
「オフィスで少し休まれては?」
ロイ君にそう言われたけど。
「これから北に行くのよ。あんにゃろ、元気ないからちょっと励ましてやろうかなってね」
北へ行くことを伝える。
「アームストロング少将、何かあったんですか?」
リザの問いかけ。
「まぁ所謂名家ならではの悩みというか困りごとというか」
そこまで言えば、きっとこの二人なら。
「なるほど」
「結婚、ですか」
わかってくれるわよね。
「しかし、アームストロング少将でしたら軽く受け流せそうですが…」
リザが不思議そうに言う。
「今回は結婚じゃなくて、婚約者を紹介されたみたいでねー」
「あの方の婚約者として相応しいのは、極寒ブリッグズに生息する巨大熊くらいの人間では…?」
ロイ君が青褪めながら言う。
「あは!あなたたちからしたら、オリヴィエってそんな屈強なイメージなのね!」
東方司令部の入り口で止まって。
「まぁ紹介されたと言っても、会ったわけじゃないみたいよ」
いるよー、って言われただけみたい。
「そうなんですか」
リザは顎に手を添えて。
「セイフォード少将がアームストロング少将とお付き合いなされば、名家の縛りから解放されるのではないですか?」
そう問いかけてきた。
「…や、あのね?リザ、何回も言うけど私たちはただの同期であってそういう仲じゃないのよ」
私がオリヴィエを救うなんて無理よ。
付き合えば解放される?
そんな簡単な問題じゃない。
むしろ、無名の私なんてアームストロング家からしたら煙たい存在かもしれないし。
「ですが、肉た「いい?ロイ君、口に出して良い言葉と悪い言葉があるって覚えておいて?」
二人の考えてることなんて手に取るようにわかる。
確かにオリヴィエとは…その…肉体関係ではあるけども…。
嫌いではないし、むしろ………。
だけど。
「私たちはお互いの弱点にならないように、今の関係で納得しているの」
私は腰に手を当てて。
「こればかりは揺らぐことはない関係性だから何を言っても無駄ですよー」
クスクス笑った。
すると、リザが小さく笑って。
「ずっと疑問だったんですが」
「なぁに?」
「“お互いの弱点になるから”という言葉で、無理やり納得させているのではないですか?」
無理やり?
納得、させている?
「え?誰に?」
「ご自身にです」
私はきょとんとリザとロイ君を交互に見る。
「私たち自身に?」
「はい」
「中尉、何が言いたいんだい?君は」
ロイ君が私の心情を読み取ってか、私が思ったことを問いかけた。
「私が言いたいのは、セイフォード少将もアームストロング少将もお互いの想いを“弱点になる”という言葉で蓋をしてしまっているということです」
リザはクスリと笑って。
「弱点になるほど、弱くはないでしょうに」
そう言った。
「「………」」
私もロイ君も目を見開く。
「下位官が生意気を言ってすみませんでした」
リザが私に敬礼をする。
「……いえ」
やば。
え、やばい。
どうしよう。
私は二人に背中を向けて。
「じゃあ、もう行くわね」
「お気をつけて」
「お疲れ様でした」
歩き出した。
動揺を悟られないように。
いつも通り。
でも少しだけ足早に。
だから。
「…中尉、よくやった」
「幸せになってほしいです、あのお二人には」
なんて会話をしていたのは知らない。
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