軍人 時々 教師 オリヴィエ百合夢
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「ふー…」
「おかえり」
「!オリヴィエ、来てたのね。ただいまー」
帰宅したアイリを出迎えた。
軍服ではなく、スーツ姿に眼鏡。
普段は下ろしている髪も、一本に結っていて。
「……」
なかなか、良い、と思う。
アイリは鞄をテーブルに置き、上着をソファーに掛けて座った。
「ごめんね、オリヴィエ。ご飯はちょっと待って」
「ん?構わんが、何かあるのか?」
「小テストの採点だけしたいの」
「小テスト?」
小テストの採点。
「見てもいいか?」
「もちろん」
アイリの隣に座り、小テストとやらを眺める。
「いたいた」
アイリは数枚の小テストを後回しにし、ある小テストで手を止めた。
その小テストには、数式や数字ではなく。
「…Mg…マグネシウムにCs…セシウム…これは元素記号か」
元素記号が記載されていた。
なんだこれは。
なぜ元素記号が。
「…へぇ」
小さく呟くアイリの顔を横目で見る。
小テストを見て、笑みを浮かべている。
「このテストは科学のテストなのか?」
アイリは数学教師のはずなのに、なぜ科学の小テストなぞしてるんだ。
「凄いわね」
「なに?」
アイリと小テストを交互に見る。
「これ、ただ元素記号を書いているだけだと思うでしょ?」
「?うむ」
アイリはまた小さく笑みを浮かべて。
「これは元素記号を用いた暗号文よ」
そう言った。
「なんだと?」
再び小テストを見る。
元素記号が不規則に並べられてはいるが、よもやこれが…。
「あの子、あの短時間で正解を元素記号という暗号にして記載しているわ」
「……」
凄いとは思う。
確かにそいつは凄いのだろう。
だが。
「……お前、なぜこれが暗号だと瞬時にわかったんだ?」
そちらのほうが気になる。
しかも“正解を”とほざいた時点で、すでに解読しているということだ。
「ほら、今の私が暗号として使ってるのは数字でしょ?」
「あぁ」
「数字を使う前は、元素記号を使ってたのよ」
だからすぐわかった、と。
「まぁこの子はまだ覚えたてなのか、所々誤字があるから修正しちゃお」
赤い丸と、元素記号で誤字訂正文を記載して。
「にしても、凄いわよね」
元素記号での暗号文を褒めた。
「…あぁ、凄いな」
「あら素直。そんなことないって可愛くないこと言うかなって思ったけど」
私が凄いと思ったのは。
「そいつがその暗号文字を使用するということは、お前が以前まで使っていた暗号を読み解いたということだ」
つまり、アイリが今も元素記号を用いていたら“雷鳴”の構築式を解かれていたということ。
「そうね」
私は立ち上がり、アイリに背中を向けて。
「そいつは、この国で最も優れた錬金術師の足元に居る。それが如何に凄いことかを知らんのは、貴様だけだろうな」
そう言うと。
「…褒められてるのかわからないけど、褒められたって認識しとくわね」
またクスクス笑った。
「次はライラのやつ」
次の小テストは、消した跡がたくさんあるもので。
「不正解だな」
「んー。最初の数式は間違いではないんだけど」
途中でわからなくなって消して、また書いて消してを繰り返したが結局間違ったまま。
「あー、きっとここがわからないのね」
なるほどなるほど、とブツブツほざきながら採点をしている。
「前の奴のように、説明文を書いてやったほうがいいんじゃないのか?」
「勉強が苦手な子に文字で説明書いたって頭に入ってこないの。明日口で説明するわ」
「…口ででも、苦手な奴に説明は難しいのでは?」
「そこはほら、私頭良いから」
「ちっ」
本当にこいつ、万能だな…。
アイリは小さく笑い、他の生徒の採点も終わらせて。
「さて、と!何食べよっかー」
夕食の準備を始めた。
…元素記号の暗号、か。
アイリが凄いというのだから、間違いはない。
あれだったら引き抜きも視野に入れておこう。
「ハンバーグが食いたい」
「ハンバーグ?挽肉抜きでいいかしら」
「ハンバーグというものを知っているか?」
などと、冗談を言いながら。
「持ってってー」
「うむ」
美味い夕食を楽しんだ。
.
「ふー…」
「おかえり」
「!オリヴィエ、来てたのね。ただいまー」
帰宅したアイリを出迎えた。
軍服ではなく、スーツ姿に眼鏡。
普段は下ろしている髪も、一本に結っていて。
「……」
なかなか、良い、と思う。
アイリは鞄をテーブルに置き、上着をソファーに掛けて座った。
「ごめんね、オリヴィエ。ご飯はちょっと待って」
「ん?構わんが、何かあるのか?」
「小テストの採点だけしたいの」
「小テスト?」
小テストの採点。
「見てもいいか?」
「もちろん」
アイリの隣に座り、小テストとやらを眺める。
「いたいた」
アイリは数枚の小テストを後回しにし、ある小テストで手を止めた。
その小テストには、数式や数字ではなく。
「…Mg…マグネシウムにCs…セシウム…これは元素記号か」
元素記号が記載されていた。
なんだこれは。
なぜ元素記号が。
「…へぇ」
小さく呟くアイリの顔を横目で見る。
小テストを見て、笑みを浮かべている。
「このテストは科学のテストなのか?」
アイリは数学教師のはずなのに、なぜ科学の小テストなぞしてるんだ。
「凄いわね」
「なに?」
アイリと小テストを交互に見る。
「これ、ただ元素記号を書いているだけだと思うでしょ?」
「?うむ」
アイリはまた小さく笑みを浮かべて。
「これは元素記号を用いた暗号文よ」
そう言った。
「なんだと?」
再び小テストを見る。
元素記号が不規則に並べられてはいるが、よもやこれが…。
「あの子、あの短時間で正解を元素記号という暗号にして記載しているわ」
「……」
凄いとは思う。
確かにそいつは凄いのだろう。
だが。
「……お前、なぜこれが暗号だと瞬時にわかったんだ?」
そちらのほうが気になる。
しかも“正解を”とほざいた時点で、すでに解読しているということだ。
「ほら、今の私が暗号として使ってるのは数字でしょ?」
「あぁ」
「数字を使う前は、元素記号を使ってたのよ」
だからすぐわかった、と。
「まぁこの子はまだ覚えたてなのか、所々誤字があるから修正しちゃお」
赤い丸と、元素記号で誤字訂正文を記載して。
「にしても、凄いわよね」
元素記号での暗号文を褒めた。
「…あぁ、凄いな」
「あら素直。そんなことないって可愛くないこと言うかなって思ったけど」
私が凄いと思ったのは。
「そいつがその暗号文字を使用するということは、お前が以前まで使っていた暗号を読み解いたということだ」
つまり、アイリが今も元素記号を用いていたら“雷鳴”の構築式を解かれていたということ。
「そうね」
私は立ち上がり、アイリに背中を向けて。
「そいつは、この国で最も優れた錬金術師の足元に居る。それが如何に凄いことかを知らんのは、貴様だけだろうな」
そう言うと。
「…褒められてるのかわからないけど、褒められたって認識しとくわね」
またクスクス笑った。
「次はライラのやつ」
次の小テストは、消した跡がたくさんあるもので。
「不正解だな」
「んー。最初の数式は間違いではないんだけど」
途中でわからなくなって消して、また書いて消してを繰り返したが結局間違ったまま。
「あー、きっとここがわからないのね」
なるほどなるほど、とブツブツほざきながら採点をしている。
「前の奴のように、説明文を書いてやったほうがいいんじゃないのか?」
「勉強が苦手な子に文字で説明書いたって頭に入ってこないの。明日口で説明するわ」
「…口ででも、苦手な奴に説明は難しいのでは?」
「そこはほら、私頭良いから」
「ちっ」
本当にこいつ、万能だな…。
アイリは小さく笑い、他の生徒の採点も終わらせて。
「さて、と!何食べよっかー」
夕食の準備を始めた。
…元素記号の暗号、か。
アイリが凄いというのだから、間違いはない。
あれだったら引き抜きも視野に入れておこう。
「ハンバーグが食いたい」
「ハンバーグ?挽肉抜きでいいかしら」
「ハンバーグというものを知っているか?」
などと、冗談を言いながら。
「持ってってー」
「うむ」
美味い夕食を楽しんだ。
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