姉妹 リザさん姉妹夢
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眠さから欠伸をする。
「ホークアイ中尉でも寝坊するのね」
「…どうして起こしてくださらなかったんですか」
というか、姉さんは私より先に起きていてすでに軍服を纏っていたわ。
「これ、汽車の中で食べて」
姉さんに渡されたのはサンドウィッチで。
「え?作ってくださったんですか?」
私のために作ってくれたの?
「誰かさんが寝坊したから、今から食べてたら始発に間に合わないでしょう?」
姉さんはクスクス笑ってそう言った。
「ですからそれは、姉さんが起こしてくださらないからです…」
「起こそうとしたんだけど、可愛い寝顔だったから起こせなかったの」
「…もう」
私も軍服に着替えに寝室へ行って。
「…帰らなきゃだけど…帰りたくないわね…」
せっかく“普通の姉妹”になれたのに。
もっと姉さんと居たいのに。
帰らないといけない。
その気持ちが表れてしまったのか。
『リザー?着替えたー?』
姉さんに呼ばれた。
ただ軍服を着るだけに時間をかけてしまった。
「はい、今行きます」
軍服の上着を着て、寝室を出る。
「お待たせしました」
「ちょっと来て」
「?はい」
ちょいちょいと手招きをされ、姉さんに歩み寄ると。
「!」
「久しぶりでしょ?」
ヘアブラシで髪を梳いてくれた。
「…そうですね」
こうして髪を梳いてもらったのは、幼い頃。
母がまだ生きていた頃。
一緒にお風呂に入って、じゃれ合って。
まだ父が怖いと思っていなかった頃だった。
「よし、と。さぁ行きましょうか」
「あ、はい。ありがとうございます」
姉さんと一緒に出て、駅に向かう。
わざわざ見送ってくださるみたい。
「今度、母のお墓参り一緒にどうです?」
「もちろん行くわ」
母の命日が近いし、誘ってみると行くと言ってくれたのに。
「あと父の」
「もちろん行かないわ」
父のお墓参りは駄目だった。
「わかってるでしょ?父への憎しみを」
「わかってますが、やはり私たちの親なので」
「そうだけど、父に育てられた記憶がないわ」
「それでも父が居たから私たちは今ここに居るんですよ」
「………それはずるいわよ」
これを言っちゃうのは狡いかもしれないけれど。
「科学者としてのその頭脳も、父譲り…ではないですか?」
「……」
「一度でもいいので、一緒に行きましょう?」
私がそう言うと、姉さんはため息を零して。
「…わかりました。日時の都合付けます」
両手を上げた。
科学者である姉さんを言い負かしてやったわ。
「ふふっ、ありがとうございます」
姉さんも姉さんで小さな笑みを浮かべた。
きっと父も、姉さんに会いに来てほしいはずだから。
憎まれていると理解していても。
時々窓の外を見ていたあの後ろ姿は。
姉さんを想っていたはずだから。
「いつでもいらっしゃい」
「はい、また伺わせていただきます」
駅に着き、汽車に乗る私。
「じゃあまたね」
「はい…また…」
扉が閉まり、手を振り合う。
たった一日だったけど、普通の姉妹に戻れた日だった。
でもこれからはプライベートでは姉さんと呼べる。
仕事中だってきっと呼んでも怒られない。
「…グラマン中将の言う通りだったわね」
“彼女は大丈夫だよ”
その言葉通り、大丈夫だった。
近いうちに姉さんと一緒に、グラマン中将…いえ、おじいさんを食事に誘ってみようかしら。
なんて思いながら。
「さて、と。切り替えないと」
イーストシティに着いたら、リザ・ホークアイ中尉として。
油断せず隙も見せないいつもの私に戻ろう。
でもイーストシティに着くまでは。
もう少しだけこの思いに浸らせて。
END
眠さから欠伸をする。
「ホークアイ中尉でも寝坊するのね」
「…どうして起こしてくださらなかったんですか」
というか、姉さんは私より先に起きていてすでに軍服を纏っていたわ。
「これ、汽車の中で食べて」
姉さんに渡されたのはサンドウィッチで。
「え?作ってくださったんですか?」
私のために作ってくれたの?
「誰かさんが寝坊したから、今から食べてたら始発に間に合わないでしょう?」
姉さんはクスクス笑ってそう言った。
「ですからそれは、姉さんが起こしてくださらないからです…」
「起こそうとしたんだけど、可愛い寝顔だったから起こせなかったの」
「…もう」
私も軍服に着替えに寝室へ行って。
「…帰らなきゃだけど…帰りたくないわね…」
せっかく“普通の姉妹”になれたのに。
もっと姉さんと居たいのに。
帰らないといけない。
その気持ちが表れてしまったのか。
『リザー?着替えたー?』
姉さんに呼ばれた。
ただ軍服を着るだけに時間をかけてしまった。
「はい、今行きます」
軍服の上着を着て、寝室を出る。
「お待たせしました」
「ちょっと来て」
「?はい」
ちょいちょいと手招きをされ、姉さんに歩み寄ると。
「!」
「久しぶりでしょ?」
ヘアブラシで髪を梳いてくれた。
「…そうですね」
こうして髪を梳いてもらったのは、幼い頃。
母がまだ生きていた頃。
一緒にお風呂に入って、じゃれ合って。
まだ父が怖いと思っていなかった頃だった。
「よし、と。さぁ行きましょうか」
「あ、はい。ありがとうございます」
姉さんと一緒に出て、駅に向かう。
わざわざ見送ってくださるみたい。
「今度、母のお墓参り一緒にどうです?」
「もちろん行くわ」
母の命日が近いし、誘ってみると行くと言ってくれたのに。
「あと父の」
「もちろん行かないわ」
父のお墓参りは駄目だった。
「わかってるでしょ?父への憎しみを」
「わかってますが、やはり私たちの親なので」
「そうだけど、父に育てられた記憶がないわ」
「それでも父が居たから私たちは今ここに居るんですよ」
「………それはずるいわよ」
これを言っちゃうのは狡いかもしれないけれど。
「科学者としてのその頭脳も、父譲り…ではないですか?」
「……」
「一度でもいいので、一緒に行きましょう?」
私がそう言うと、姉さんはため息を零して。
「…わかりました。日時の都合付けます」
両手を上げた。
科学者である姉さんを言い負かしてやったわ。
「ふふっ、ありがとうございます」
姉さんも姉さんで小さな笑みを浮かべた。
きっと父も、姉さんに会いに来てほしいはずだから。
憎まれていると理解していても。
時々窓の外を見ていたあの後ろ姿は。
姉さんを想っていたはずだから。
「いつでもいらっしゃい」
「はい、また伺わせていただきます」
駅に着き、汽車に乗る私。
「じゃあまたね」
「はい…また…」
扉が閉まり、手を振り合う。
たった一日だったけど、普通の姉妹に戻れた日だった。
でもこれからはプライベートでは姉さんと呼べる。
仕事中だってきっと呼んでも怒られない。
「…グラマン中将の言う通りだったわね」
“彼女は大丈夫だよ”
その言葉通り、大丈夫だった。
近いうちに姉さんと一緒に、グラマン中将…いえ、おじいさんを食事に誘ってみようかしら。
なんて思いながら。
「さて、と。切り替えないと」
イーストシティに着いたら、リザ・ホークアイ中尉として。
油断せず隙も見せないいつもの私に戻ろう。
でもイーストシティに着くまでは。
もう少しだけこの思いに浸らせて。
END
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