姉妹 リザさん姉妹夢
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「入って」
「…お、お邪魔します…」
アルバート少将のご自宅。
心臓が口から飛び出そうな状態のまま、中へ上がらせていただいた。
中は広い割には家具が少なすぎて。
「………女性の一人暮らしとは思えないくらいシンプルですね」
思わずそう口にしちゃった。
「長く家にいることがないからね」
シャワーを浴びるためと、着替えるためと、仮眠を取るため。
暮らしているって感じじゃないわね…。
そんな生活で体を壊さなきゃいいけど…。
「あなたはこっちの部屋を使って」
案内してくれた部屋も、一人で使うには広い。
「…ウォークインクローゼット…」
ベッドも大きいし、ウォークインクローゼットも。
「中にある服とか好きなの使っていいわよ」
ウォークインクローゼットには、少しの服が入ってて。
「ありがとうございます」
私好みの服で、ちょっと嬉しかった。
「じゃあ、私はリビングにいるから」
「あ、はい…」
軍服の上着を脱ぐ。
好きな服を着ていいと仰ってくれたけど、着るには抵抗がある。
あ、いえ。
嫌な感じじゃないのよ?
ただほら、私たちは普通の姉妹ではないから。
血の繋がりはあれど、他人に等しい関係だから。
家で軍服のまま居るのはなかなか落ち着かないけど、仕方ないわよね。
部屋の中を見渡してから、リビングへと続くドアを開けた時。
「あ、リザ。軽くなら何か作れるけど作る?それともどこか外食に行く?」
キッチンに立つアルバート少将が。
「え?」
今。
私の名前を呼んだ?
「え?なに?」
きょとんと私を見るアルバート少将。
今、私の名前を呼んだわよね?
「…今…名前…」
「…あー…」
アルバート少将は視線を泳がせて。
「……ホークアイ中尉」
呼び直した。
違う。
そうじゃない。
「…その…嫌だったら謝るわ」
嫌なんかじゃなくて。
「…もう一度…呼んでください…」
もう一度呼んでほしい。
あなたの口から。
もう二度と呼ばれることがないと思っていた私の名前を。
アルバート少将は、小さく笑みを浮かべて。
とても優しい眼差しで。
「リザ」
もう一度、呼んでくれた。
どうしよう。
涙が出そう。
「おいで、リザ」
手を伸ばしてくれたからその手を取れば。
「!…っ」
引き寄せ、抱き締めてくれた。
ああ、もう。
嬉しい。
嬉しすぎて。
涙を堪えるなんて無理。
「…っねえ…さん…っ」
「うん」
アルバート少将の…姉さんの背中に腕を回せば、ギュッと強く抱き締め返してくれて。
「…ごめんね?リザ…」
突然謝られた。
「…ぇ…?」
姉さんを見上げると、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべていて。
「…あの時、無理やりにでもあなたを連れて行くべきだったとずっと後悔してた…」
あの時とは。
私が差し出された姉さんの手を取らなかったあの日のこと。
優しい姉さんは、あの時からずっと気にかけてくれていた。
「…っきっと…無理やり連れられても父のところに戻ったかもしれません…」
「大丈夫、戻れないように監禁してるはずだから」
なんて言うものだから。
「監禁、ですか」
「そう、監禁よ」
額を合わせ、二人で笑い合った。
またあの頃のような、仲の良い姉妹になれたのかしら。
気軽に話をおかけしてもいいのかしら。
プライベートだけ?
こうして笑い合えるのはプライベートだけなの?
「ロイや東部のみんなにセクハラされたらすぐに報告しなさいね」
「もしセクハラされたらどうしますか?」
「そりゃもうあらゆる権力を用いて陥れるわ」
姉さんが私のために、あらゆる権力を。
きっと冗談ではないのだろう言葉に嬉しくなる。
その言葉で、プライベートでも話をかけていいんだって思えた。
「さて、と。ご飯食べて寝ないと」
「あ…はい…そうですね」
もう少しくっ付いて居たかったけど仕方ない。
明日の始発でイーストシティに戻らないとだから。
それでも。
「美味しそうです」
「美味しそう、じゃなくて美味しいの。多分」
「多分って言っちゃったら“美味しそう”で正解になっちゃいますよ」
「揚げ足取りー」
なんて、小さなことでも笑い合う。
ただ。
「というか、敬語も必要ないわよ?」
「ぁ…その…」
敬語が抜けない。
「まぁ長らく使っていたから、そう簡単には取れないと思うけど…」
「いえ、使わないようにしてみま…るわ…」
「あは!徐々に徐々に、で大丈夫よ」
そう仰り、姉さんはクスクス笑った。
ああ、姉さん。
姉さんだ。
「ほら、暖かいうちに食べましょう」
「はい、そうで…ね」
「そうでね。ふふっ」
「もう、笑わないでください」
ああ、姉妹だって思えた。
これが“普通の姉妹”だって。
それから。
姉さんの手作り料理を食べて。
「じゃあおやすみ、リザ」
「おやすみなさい、姉さん」
姉さんは自室、私は用意してくださった部屋で眠りに就いた。
もっと姉さんと話して居たい。
でも明日は始発の汽車に乗らないとだから仕方ない。
「…ありがとうございます…おじいさん…」
きっかけをくれたグラタン中将…おじいさんにお礼を言って。
目を閉じた。
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「入って」
「…お、お邪魔します…」
アルバート少将のご自宅。
心臓が口から飛び出そうな状態のまま、中へ上がらせていただいた。
中は広い割には家具が少なすぎて。
「………女性の一人暮らしとは思えないくらいシンプルですね」
思わずそう口にしちゃった。
「長く家にいることがないからね」
シャワーを浴びるためと、着替えるためと、仮眠を取るため。
暮らしているって感じじゃないわね…。
そんな生活で体を壊さなきゃいいけど…。
「あなたはこっちの部屋を使って」
案内してくれた部屋も、一人で使うには広い。
「…ウォークインクローゼット…」
ベッドも大きいし、ウォークインクローゼットも。
「中にある服とか好きなの使っていいわよ」
ウォークインクローゼットには、少しの服が入ってて。
「ありがとうございます」
私好みの服で、ちょっと嬉しかった。
「じゃあ、私はリビングにいるから」
「あ、はい…」
軍服の上着を脱ぐ。
好きな服を着ていいと仰ってくれたけど、着るには抵抗がある。
あ、いえ。
嫌な感じじゃないのよ?
ただほら、私たちは普通の姉妹ではないから。
血の繋がりはあれど、他人に等しい関係だから。
家で軍服のまま居るのはなかなか落ち着かないけど、仕方ないわよね。
部屋の中を見渡してから、リビングへと続くドアを開けた時。
「あ、リザ。軽くなら何か作れるけど作る?それともどこか外食に行く?」
キッチンに立つアルバート少将が。
「え?」
今。
私の名前を呼んだ?
「え?なに?」
きょとんと私を見るアルバート少将。
今、私の名前を呼んだわよね?
「…今…名前…」
「…あー…」
アルバート少将は視線を泳がせて。
「……ホークアイ中尉」
呼び直した。
違う。
そうじゃない。
「…その…嫌だったら謝るわ」
嫌なんかじゃなくて。
「…もう一度…呼んでください…」
もう一度呼んでほしい。
あなたの口から。
もう二度と呼ばれることがないと思っていた私の名前を。
アルバート少将は、小さく笑みを浮かべて。
とても優しい眼差しで。
「リザ」
もう一度、呼んでくれた。
どうしよう。
涙が出そう。
「おいで、リザ」
手を伸ばしてくれたからその手を取れば。
「!…っ」
引き寄せ、抱き締めてくれた。
ああ、もう。
嬉しい。
嬉しすぎて。
涙を堪えるなんて無理。
「…っねえ…さん…っ」
「うん」
アルバート少将の…姉さんの背中に腕を回せば、ギュッと強く抱き締め返してくれて。
「…ごめんね?リザ…」
突然謝られた。
「…ぇ…?」
姉さんを見上げると、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべていて。
「…あの時、無理やりにでもあなたを連れて行くべきだったとずっと後悔してた…」
あの時とは。
私が差し出された姉さんの手を取らなかったあの日のこと。
優しい姉さんは、あの時からずっと気にかけてくれていた。
「…っきっと…無理やり連れられても父のところに戻ったかもしれません…」
「大丈夫、戻れないように監禁してるはずだから」
なんて言うものだから。
「監禁、ですか」
「そう、監禁よ」
額を合わせ、二人で笑い合った。
またあの頃のような、仲の良い姉妹になれたのかしら。
気軽に話をおかけしてもいいのかしら。
プライベートだけ?
こうして笑い合えるのはプライベートだけなの?
「ロイや東部のみんなにセクハラされたらすぐに報告しなさいね」
「もしセクハラされたらどうしますか?」
「そりゃもうあらゆる権力を用いて陥れるわ」
姉さんが私のために、あらゆる権力を。
きっと冗談ではないのだろう言葉に嬉しくなる。
その言葉で、プライベートでも話をかけていいんだって思えた。
「さて、と。ご飯食べて寝ないと」
「あ…はい…そうですね」
もう少しくっ付いて居たかったけど仕方ない。
明日の始発でイーストシティに戻らないとだから。
それでも。
「美味しそうです」
「美味しそう、じゃなくて美味しいの。多分」
「多分って言っちゃったら“美味しそう”で正解になっちゃいますよ」
「揚げ足取りー」
なんて、小さなことでも笑い合う。
ただ。
「というか、敬語も必要ないわよ?」
「ぁ…その…」
敬語が抜けない。
「まぁ長らく使っていたから、そう簡単には取れないと思うけど…」
「いえ、使わないようにしてみま…るわ…」
「あは!徐々に徐々に、で大丈夫よ」
そう仰り、姉さんはクスクス笑った。
ああ、姉さん。
姉さんだ。
「ほら、暖かいうちに食べましょう」
「はい、そうで…ね」
「そうでね。ふふっ」
「もう、笑わないでください」
ああ、姉妹だって思えた。
これが“普通の姉妹”だって。
それから。
姉さんの手作り料理を食べて。
「じゃあおやすみ、リザ」
「おやすみなさい、姉さん」
姉さんは自室、私は用意してくださった部屋で眠りに就いた。
もっと姉さんと話して居たい。
でも明日は始発の汽車に乗らないとだから仕方ない。
「…ありがとうございます…おじいさん…」
きっかけをくれたグラタン中将…おじいさんにお礼を言って。
目を閉じた。
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