姉妹 リザさん姉妹夢
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「アルバート少将」
「!……マスタング大佐、と…ホークアイ中尉。どうして中央司令部に?」
「グラマン中将がぎっくり腰を起こしまして、その代わりです」
「…そう」
ある日。
ぎっくり腰を起こしたグラマン中将の代わりに、マスタング大佐が定例会議に出席した。
会議室に行く途中、アルバート少将の後ろ姿を見つけてマスタング大佐が声をかけた。
アルバート少将は振り返って、マスタング大佐だとわかると眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をした。
嫌そうな、ではないわね。
アルバート少将はマスタング大佐のことを嫌っているから。
「……」
アルバート少将がチラッと私を見てくれたので。
「…お元気そうでよかったです」
そう声をかけると。
「……あなたも変わりないみたいね」
そう返してくれた。
「今度食事でもどうですか?」
マスタング大佐は自分が嫌われているとわかっているのに、ニコニコと笑顔でアルバート少将を食事に誘う。
凄いメンタルよね…。
「………」
アルバート少将はまた眉間に皺を寄せて。
「あなたのその上官に対する馴れ馴れしさ、直した方がいいわよ」
と、嫌味を言っても。
「まぁ同期ですからね」
ニコッと笑うマスタング大佐。
「……」
さらに眉間に皺を寄せて、私を見て。
「…じゃあね」
「あ…はい、また…」
そう言って、執務室へと入ってしまった。
「つれないなぁ相変わらず」
マスタング大佐はクツクツ笑う。
私は羨ましい。
あんなに素っ気なく、嫌々会話をされているにも関わらず普通に話をかけられることが。
「君たちの仲も相変わらず、か」
「…相変わらずも何も、会うことも会話をすることもほぼありませんから」
私とアルバート少将は、会うことも会話をすることもない。
どうしてマスタング大佐が、そんなことを気にするのか。
それは。
「実の姉だとしても、あの方は上官なので」
アルバート少将が、私の実の姉だから。
そう。
アイリ・アルバート少将は、私の姉。
姉は16歳の時に家を出て行った。
“行くわよ、リザ”
私の手を引き、私も連れて行ってくれようとしたけれど。
“…お父さんを独りに出来ない…”
すでに病を患い弱っていた父を、独りには出来なかった。
あの時の姉は悲しそうだったけど、私ならそう言うということを知っていたかのように。
“…そう”
驚きもせず、私の手を離した。
“ホークアイ”と名乗ることすら嫌だったようで、当時保護してくれた老夫婦の性を名乗っている。
なぜ知ってるかと言うと、マスタング大佐が教えてくださったから。
姉とは士官学校で同期になって。
自分の師のことを話した時に、胸倉を掴まれて“今すぐその男に師を仰ぐのは辞めろ”と言われたらしい。
理由を聞けば、父であることを話してくれたみたい。
父のお弟子さんだとわかった日から冷たくなったと笑って話してくれたわ。
それでも大佐が姉を嫌わないのは。
“彼女は常に君の身を案じているよ”
妹を想う姉の心情を理解してくれたから。
「上官の前に、君の姉なんだがね」
「姉である前に、あの方は上官です」
「難儀だなぁ君たちは」
マスタング大佐は肩を竦め、私は苦笑を零した。
出来るなら、もうあの頃のように…。
“おねえちゃんだいすき!”
“わたしもだいすきよリザ”
あの頃のように…。
.
「アルバート少将」
「!……マスタング大佐、と…ホークアイ中尉。どうして中央司令部に?」
「グラマン中将がぎっくり腰を起こしまして、その代わりです」
「…そう」
ある日。
ぎっくり腰を起こしたグラマン中将の代わりに、マスタング大佐が定例会議に出席した。
会議室に行く途中、アルバート少将の後ろ姿を見つけてマスタング大佐が声をかけた。
アルバート少将は振り返って、マスタング大佐だとわかると眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をした。
嫌そうな、ではないわね。
アルバート少将はマスタング大佐のことを嫌っているから。
「……」
アルバート少将がチラッと私を見てくれたので。
「…お元気そうでよかったです」
そう声をかけると。
「……あなたも変わりないみたいね」
そう返してくれた。
「今度食事でもどうですか?」
マスタング大佐は自分が嫌われているとわかっているのに、ニコニコと笑顔でアルバート少将を食事に誘う。
凄いメンタルよね…。
「………」
アルバート少将はまた眉間に皺を寄せて。
「あなたのその上官に対する馴れ馴れしさ、直した方がいいわよ」
と、嫌味を言っても。
「まぁ同期ですからね」
ニコッと笑うマスタング大佐。
「……」
さらに眉間に皺を寄せて、私を見て。
「…じゃあね」
「あ…はい、また…」
そう言って、執務室へと入ってしまった。
「つれないなぁ相変わらず」
マスタング大佐はクツクツ笑う。
私は羨ましい。
あんなに素っ気なく、嫌々会話をされているにも関わらず普通に話をかけられることが。
「君たちの仲も相変わらず、か」
「…相変わらずも何も、会うことも会話をすることもほぼありませんから」
私とアルバート少将は、会うことも会話をすることもない。
どうしてマスタング大佐が、そんなことを気にするのか。
それは。
「実の姉だとしても、あの方は上官なので」
アルバート少将が、私の実の姉だから。
そう。
アイリ・アルバート少将は、私の姉。
姉は16歳の時に家を出て行った。
“行くわよ、リザ”
私の手を引き、私も連れて行ってくれようとしたけれど。
“…お父さんを独りに出来ない…”
すでに病を患い弱っていた父を、独りには出来なかった。
あの時の姉は悲しそうだったけど、私ならそう言うということを知っていたかのように。
“…そう”
驚きもせず、私の手を離した。
“ホークアイ”と名乗ることすら嫌だったようで、当時保護してくれた老夫婦の性を名乗っている。
なぜ知ってるかと言うと、マスタング大佐が教えてくださったから。
姉とは士官学校で同期になって。
自分の師のことを話した時に、胸倉を掴まれて“今すぐその男に師を仰ぐのは辞めろ”と言われたらしい。
理由を聞けば、父であることを話してくれたみたい。
父のお弟子さんだとわかった日から冷たくなったと笑って話してくれたわ。
それでも大佐が姉を嫌わないのは。
“彼女は常に君の身を案じているよ”
妹を想う姉の心情を理解してくれたから。
「上官の前に、君の姉なんだがね」
「姉である前に、あの方は上官です」
「難儀だなぁ君たちは」
マスタング大佐は肩を竦め、私は苦笑を零した。
出来るなら、もうあの頃のように…。
“おねえちゃんだいすき!”
“わたしもだいすきよリザ”
あの頃のように…。
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