花言葉 オリヴィエ百合夢
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「また暇になった」
昼食を終え、アイリはまた中央司令部へと戻っていった。
アイリの自宅の合鍵は持っているから。
「自宅で少し休むか」
休むというほど疲れてもないが、このまま街をブラブラしてるのも何だしな。
アイリの自宅へと足を進めた時。
「ん?」
先ほどの花屋が目に入った。
“セイフォード少将にお花を贈ると、喜ばれますよ”
ホークアイの言葉を思い出す。
花を贈ったからと本当に喜ぶか?
茶化して来たり…。
いや、あいつは人の好意を茶化すような奴ではないか。
素直に受け取るか、恥ずかしさからぶちぶち文句を言いながら受け取るか。
後者だな。
…それでも。
“贈るつもりはなかったのかもしれませんが、セイフォード少将の嬉しそうな表情、見てみたくありませんか?”
あいつの嬉しそうな表情…か…。
「いらっしゃいませ!あ、あなたは先ほどの!」
「!あ、あぁ、うむ」
フラワーショップの付近をウロウロしていたら、先ほどと同じ店員に声を掛けられた。
私を覚えていたようだ。
「どんなお花をお探しですか?」
店員はニコニコと笑む。
「どんな花…」
どんな花と言われても、まったく詳しくないため何を贈れば良いのかすらわからん。
「お贈りする方はどんな方ですか?」
「…友だ」
今はまだ、な。
「ご友人様!では、そのご友人様のお誕生日とか特別な日ですか?」
店員は花を一緒に選んでくれているんだろうな。
私が詳しくなさすぎるから、贈る相手に失礼がないように。
喜ばれるように。
「…いや、特にそういうのではないんだが」
と、私が言うと。
「…なるほど」
店員は何かに気付いた。
「本日、ちょっと珍しい薔薇が入ってきたんです」
「珍しい薔薇?」
薔薇はありきたりな気がするが、珍しいなら有りか。
店員が持って来て見せてくれたのは。
鮮やかな赤でもなく、可愛らしいピンクでもなく。
「ダークピンクの薔薇です」
濃いピンクの薔薇だった。
「ダークピンク」
手に取る。
ダークピンクか。
これがちょっと珍しい色の薔薇なのか。
疎い私にはわからんが、花屋の店員が言うならそうなんだろう。
「では一輪…」
と言うと、店員はニコリと笑って。
「薔薇は色と本数によって花言葉が違うんですよ」
花言葉について話し出した。
「花言葉…」
さすがに花言葉はまったくわからんぞ…。
「お客様にとってその方は、どういうお方ですか?」
「……」
どういうお方…。
「…まぁ…そのうち…」
言葉を濁す。
他人にこんな話、恥ずかしすぎる。
本人に話すのも恥ずかしいが、無理だ。
「ダークピンクの薔薇の花言葉は“愛を誓います”です」
「…む」
しかし店員は私の内を理解したのか、一度奥に下がって何か書類のような紙を持ってきた。
「先ほど申し上げた通り、薔薇は本数によって花言葉が違います。なので、そのご友人様との関係性で本数を決めるとよろしいかもしれませんね」
と、その書類のような紙には、薔薇の花言葉が記載されていた。
詳しく書かれている。
色の花言葉、そしてその本数が意味するもの。
「……これは貴女が?」
「はい!薔薇を贈る方に喜んでほしくて!」
もちろん他のお花の花言葉も調べてあります!と。
ニコニコと優しげに笑う。
「……そうか」
アイリは友。
私たちは軍役を終えるまで結ばれることはない。
お互い貶し合い、高め合い、認め合い、信頼し合う間柄。
お互いに口にはしない想いを。
形にしてもいいのだろうか。
困らせないだろうか。
ダークピンクの薔薇、12輪の花言葉に目が止まる。
「お客様」
「…はい」
店員はニコリと私に笑み、拳を握って。
「勇気です」
そう言った。
勇気、か。
そうだな。
私も小さく笑み、紙を返して。
「…ダークピンクの薔薇、12輪包んでください」
「ありがとうございます!」
ダークピンクの薔薇を12輪購入した。
店員は丁寧に花束にしてくれて。
「こんなに想われた方はすごく幸せだと思います」
花束を受け取る。
「…だといいのですが」
最後まで丁寧な対応に、私は花屋へと振り返って。
「ありがとう」
一言感謝を述べると。
「またお越しくださいませ!」
店員は優しい笑みを浮かべ、深々と頭を下げた。
「商売上手だな、あの店員は」
上手く乗せられ、買わされた。
しかし、悪い気はせん。
「…困らないといいが…」
そこが些か心配だが、もし困っていたら店員に押し売りされたと告げよう。
などと色々言い訳を考えていたら、アイリの自宅に着いた。
「帰宅するまで待つか」
花束をカウンターテーブルに置いて。
「…いや、少し仮眠を取ろう」
クッと背中を伸ばし、寝室へ行く。
靴と上着を脱いで、マフっとベッドへ倒れ込む。
「……」
アイリの枕。
アイリの良い香りがする。
「……」
チラッと扉を見て、部屋の中を見渡して。
誰もいないことを確認してから。
「……む」
アイリの枕にグリグリと顔を埋めた。
「…ふぅ」
そして。
「一時間ほど寝よう…」
静かに目を閉じた。
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「また暇になった」
昼食を終え、アイリはまた中央司令部へと戻っていった。
アイリの自宅の合鍵は持っているから。
「自宅で少し休むか」
休むというほど疲れてもないが、このまま街をブラブラしてるのも何だしな。
アイリの自宅へと足を進めた時。
「ん?」
先ほどの花屋が目に入った。
“セイフォード少将にお花を贈ると、喜ばれますよ”
ホークアイの言葉を思い出す。
花を贈ったからと本当に喜ぶか?
茶化して来たり…。
いや、あいつは人の好意を茶化すような奴ではないか。
素直に受け取るか、恥ずかしさからぶちぶち文句を言いながら受け取るか。
後者だな。
…それでも。
“贈るつもりはなかったのかもしれませんが、セイフォード少将の嬉しそうな表情、見てみたくありませんか?”
あいつの嬉しそうな表情…か…。
「いらっしゃいませ!あ、あなたは先ほどの!」
「!あ、あぁ、うむ」
フラワーショップの付近をウロウロしていたら、先ほどと同じ店員に声を掛けられた。
私を覚えていたようだ。
「どんなお花をお探しですか?」
店員はニコニコと笑む。
「どんな花…」
どんな花と言われても、まったく詳しくないため何を贈れば良いのかすらわからん。
「お贈りする方はどんな方ですか?」
「…友だ」
今はまだ、な。
「ご友人様!では、そのご友人様のお誕生日とか特別な日ですか?」
店員は花を一緒に選んでくれているんだろうな。
私が詳しくなさすぎるから、贈る相手に失礼がないように。
喜ばれるように。
「…いや、特にそういうのではないんだが」
と、私が言うと。
「…なるほど」
店員は何かに気付いた。
「本日、ちょっと珍しい薔薇が入ってきたんです」
「珍しい薔薇?」
薔薇はありきたりな気がするが、珍しいなら有りか。
店員が持って来て見せてくれたのは。
鮮やかな赤でもなく、可愛らしいピンクでもなく。
「ダークピンクの薔薇です」
濃いピンクの薔薇だった。
「ダークピンク」
手に取る。
ダークピンクか。
これがちょっと珍しい色の薔薇なのか。
疎い私にはわからんが、花屋の店員が言うならそうなんだろう。
「では一輪…」
と言うと、店員はニコリと笑って。
「薔薇は色と本数によって花言葉が違うんですよ」
花言葉について話し出した。
「花言葉…」
さすがに花言葉はまったくわからんぞ…。
「お客様にとってその方は、どういうお方ですか?」
「……」
どういうお方…。
「…まぁ…そのうち…」
言葉を濁す。
他人にこんな話、恥ずかしすぎる。
本人に話すのも恥ずかしいが、無理だ。
「ダークピンクの薔薇の花言葉は“愛を誓います”です」
「…む」
しかし店員は私の内を理解したのか、一度奥に下がって何か書類のような紙を持ってきた。
「先ほど申し上げた通り、薔薇は本数によって花言葉が違います。なので、そのご友人様との関係性で本数を決めるとよろしいかもしれませんね」
と、その書類のような紙には、薔薇の花言葉が記載されていた。
詳しく書かれている。
色の花言葉、そしてその本数が意味するもの。
「……これは貴女が?」
「はい!薔薇を贈る方に喜んでほしくて!」
もちろん他のお花の花言葉も調べてあります!と。
ニコニコと優しげに笑う。
「……そうか」
アイリは友。
私たちは軍役を終えるまで結ばれることはない。
お互い貶し合い、高め合い、認め合い、信頼し合う間柄。
お互いに口にはしない想いを。
形にしてもいいのだろうか。
困らせないだろうか。
ダークピンクの薔薇、12輪の花言葉に目が止まる。
「お客様」
「…はい」
店員はニコリと私に笑み、拳を握って。
「勇気です」
そう言った。
勇気、か。
そうだな。
私も小さく笑み、紙を返して。
「…ダークピンクの薔薇、12輪包んでください」
「ありがとうございます!」
ダークピンクの薔薇を12輪購入した。
店員は丁寧に花束にしてくれて。
「こんなに想われた方はすごく幸せだと思います」
花束を受け取る。
「…だといいのですが」
最後まで丁寧な対応に、私は花屋へと振り返って。
「ありがとう」
一言感謝を述べると。
「またお越しくださいませ!」
店員は優しい笑みを浮かべ、深々と頭を下げた。
「商売上手だな、あの店員は」
上手く乗せられ、買わされた。
しかし、悪い気はせん。
「…困らないといいが…」
そこが些か心配だが、もし困っていたら店員に押し売りされたと告げよう。
などと色々言い訳を考えていたら、アイリの自宅に着いた。
「帰宅するまで待つか」
花束をカウンターテーブルに置いて。
「…いや、少し仮眠を取ろう」
クッと背中を伸ばし、寝室へ行く。
靴と上着を脱いで、マフっとベッドへ倒れ込む。
「……」
アイリの枕。
アイリの良い香りがする。
「……」
チラッと扉を見て、部屋の中を見渡して。
誰もいないことを確認してから。
「……む」
アイリの枕にグリグリと顔を埋めた。
「…ふぅ」
そして。
「一時間ほど寝よう…」
静かに目を閉じた。
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