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ある雨の日。

｢ベルモット｣

｢なぁに？ジン｣

“仕事”が終わった後、ジンの愛車であるポルシェ３５６Ａの後部座席に座る私。

｢てめぇのお気に入りのあの男だが｣

｢あの男？｣

バックミラー越しに私を見るジンの鋭い眼差し。

すぐにクロノのことだと気づいたけれど。

｢誰のことを言っているの？グロウ・ゼイオン？カガト・ライゼル？それとも｢クロノ・セイフォードだ。｣

お気に入りリストに入れている男の名を上げれば、ジンに遮られた。


｢クロノ…。ああ、あの銀髪のおバカさんね」

タバコに火を点け、少し嘲笑う。

｢その馬鹿な野郎に、ここのところ毎日会いに行ってるそうじゃねぇか｣

ニヤリと。

クロノとは正反対の、冷たい笑みを浮かべる。

｢えぇ。新しい玩具だからね。まだ飽きてないのよ｣

｢ほう？我々のことは話してねぇだろうな？｣

｢当たり前でしょ？私がハリウッド女優だからと浮かれているわ。｣

煙を吐き出し、クツクツ笑う。

｢可哀相な男だぜ。てめぇに遊ばれてるとも知らずにな｣

｢そうね。｣




こんなふうに、仲間をも騙せる演技力なのに。










｢嘘泣きすんな｣

｢…なぜわかるの？｣

クロノにはすぐにバレる…。

｢企業秘密です｣

｢いい加減教えてくれてもいいじゃない。｣

｢その台詞、二回目｣

全然私に興味を示してくれないだけではなく、この私を軽くあしらうなんて。

｢じゃあ抱いてって言ったらどうする？｣

｢じゃあの意味がわからないって返す｣

ジンとは違う、暖かな眼差しが。

とても心地良かった。













その翌日の夜。

再びクロノの家へやってきた。

“仕事”が終わってから、ね。

｢…あら？｣

いつもは鍵が閉まっているのに、今日は開いている。

｢……｣

静かに拳銃を構え、中へ入る。

持っていたライトで玄関を確認すると。

｢……血？｣

転々と、血の痕があって。







『……大丈夫だ…ワタアメ…。貫通してるから弾は残ってないよ…』





奥の部屋から光りが漏れ、そこからクロノの声が聞こえた。

貫通？

弾？




ま、まさか…っ！



私は急いでクロノの下へ向かう。

すると。






｢ッ！…なんだクリスか…驚かすなよ…｣






すごい量の血を流す…。

｢ックロノ…！｣



クロノの姿があった…。


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