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その日は、すごく雨の強い日で。



その日は、朝から嫌な予感がして。






“あの方”からの呼び出しで、久しぶりに組織へ顔を出した。







“あの方”の部屋。





そこにはジンもいたわ。





｢ベルモット。近くへおいで｣




｢はい｣



“あの方”の言葉通り、“あの方”のデスクに近づいた瞬間。












呼吸が止まった。











なぜなら。










｢キミによく似て、可愛い女の子だね｣









“あの方”のデスクに。








アイリの写真が置いてあったから。









どうして。

どうしてバレたの？

外で遊ばせる時だって、組織の見張りがいないかをちゃんと確認してから遊ばせていたのに。

クロノだってちゃんと確認してくれていたのに。





ハッとジンへ振り返る。









ジンの口元が、小さく歪んでいた。







こいつだわ。

こいつがボスにこの写真を。













｢ベルモット｣












｢ッッ！！！｣

ビクリと肩が震えた。










｢娘が大切かい？｣










手足が震える。

ガチガチと歯が鳴る。

冷や汗すら出ないこの恐怖。




私が消されるのなら構わない。





けど。




クロノだけは。










｢私は、キミを高く評価しているんだ。キミを失いたくないんだよ、ベルモット。だからね？｣











静かに。


“あの方”は。












｢娘を助けてやる代わりに、その父親を消せ｣













恐れていた命令を。






私に下した。







｢出来るね？ベルモット。｣






出来なければ。





クロノだけじゃなく。





アイリまで失うことに。




なってしまう。







クロノ、クロノ。



私、どうしたらいいの？


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