降り頻る雨の中で ベルモット男主夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
'
「アダ!バブーッ」
「パパって聞こえたよな、今」
「いいえ、微塵も聞こえなかったわ」
それから、子育てはクロノに任せっぱなしだけれど。
クロノは嫌な顔一つせずに。
女優の仕事さえしていれば、組織の仕事はあまり入らない。
だから、休まずに女優の仕事に専念した。
「あ、この映画。クリス主演だけど俺が演じたやつだ」
「えぇ。男同士のキスシーンね」
「……」
家にいる時は、クロノなんて構わずにアイリの相手ばかりする私。
母親らしいことは出来てないけど、家にいる時くらいは、ね。
「危ないわよ?クロノ」
クロノはテーブルを支えにして。
ゆっくり、静かに。
「あ…」
立ち上がった。
「マー!」
けどすぐに。
ゴンッ
「あぎゃあああっ!!」
「っ!」
「痛そうな音だったぞ今…」
後ろに倒れ、頭を打った。
アイリが立ち上がったことに感動していたら、抱き留めるのが遅くなってしまって…。
もう大泣き。
「ふふっ」
でも笑みが零れた。
クロノの頭を撫でていると、母親なんだなと改めて感じたから。
組織には何とか隠し通せているけど。
いつ知られてしまうかと、いつも不安…。
「心配するなって。大丈夫だよ」
と、クロノは言う。
「えぇ、そうね」
そう返すものの、やっぱり不安は拭いきれない…。
どうしたら組織から逃れられるかを、ずっと考えて。
答えが出ないまま、3年が経った。
「ママ!あのねママ!」
「なぁに?アイリ」
アイリはもう、単語ではなく文章で話せるようになった。
「ママの絵かいたんだよ!」
「あら、上手いじゃない」
3年も組織にバレないなんて。
パパラッチにも撮られることなく。
怖いくらい穏やかに暮らせた。
「ねぇ、あなたも見て。……クロノ?」
アイリが描いてくれた絵をクロノに見せようと、クロノのほうを見れば。
クロノは神妙な面持ちで、携帯電話の画面を見つめていた。
「どうしたの?」
立ち上がり、クロノの傍に行く。
「いや。何でもない」
クロノは携帯電話を閉じて、ニコリと笑う。
「…なんでもないというような顔じゃなかったわ」
「悪いな。いい男すぎて」
「…バカじゃないの?」
「うっせ。お、クロノが描いた絵か。上手いなぁ」
何を聞いてもはぐらかされた。
テーブルに置かれた携帯電話を横目で見つめる。
まだメールは消去されてない。
今なら…。
ゴンッ
「うぎゃあああ!」
「ぎゃあああっ!大丈夫かぁ!?」
確認出来ると思えば、痛々しい音と共にクロノの泣き声が。
「何やってるのよ…」
どうやら転んで、フローリングに頭を打ったみたい。
「ママーっ」
「はいはい」
クロノが私に抱き着き、スンスン泣いている。
「嫌われた…」
「かもね」
クロノをあやしている内に、メールのことなんて忘れてしまっていて。
そして、運命の“あの日”が。
やってきてしまった。
.
「アダ!バブーッ」
「パパって聞こえたよな、今」
「いいえ、微塵も聞こえなかったわ」
それから、子育てはクロノに任せっぱなしだけれど。
クロノは嫌な顔一つせずに。
女優の仕事さえしていれば、組織の仕事はあまり入らない。
だから、休まずに女優の仕事に専念した。
「あ、この映画。クリス主演だけど俺が演じたやつだ」
「えぇ。男同士のキスシーンね」
「……」
家にいる時は、クロノなんて構わずにアイリの相手ばかりする私。
母親らしいことは出来てないけど、家にいる時くらいは、ね。
「危ないわよ?クロノ」
クロノはテーブルを支えにして。
ゆっくり、静かに。
「あ…」
立ち上がった。
「マー!」
けどすぐに。
ゴンッ
「あぎゃあああっ!!」
「っ!」
「痛そうな音だったぞ今…」
後ろに倒れ、頭を打った。
アイリが立ち上がったことに感動していたら、抱き留めるのが遅くなってしまって…。
もう大泣き。
「ふふっ」
でも笑みが零れた。
クロノの頭を撫でていると、母親なんだなと改めて感じたから。
組織には何とか隠し通せているけど。
いつ知られてしまうかと、いつも不安…。
「心配するなって。大丈夫だよ」
と、クロノは言う。
「えぇ、そうね」
そう返すものの、やっぱり不安は拭いきれない…。
どうしたら組織から逃れられるかを、ずっと考えて。
答えが出ないまま、3年が経った。
「ママ!あのねママ!」
「なぁに?アイリ」
アイリはもう、単語ではなく文章で話せるようになった。
「ママの絵かいたんだよ!」
「あら、上手いじゃない」
3年も組織にバレないなんて。
パパラッチにも撮られることなく。
怖いくらい穏やかに暮らせた。
「ねぇ、あなたも見て。……クロノ?」
アイリが描いてくれた絵をクロノに見せようと、クロノのほうを見れば。
クロノは神妙な面持ちで、携帯電話の画面を見つめていた。
「どうしたの?」
立ち上がり、クロノの傍に行く。
「いや。何でもない」
クロノは携帯電話を閉じて、ニコリと笑う。
「…なんでもないというような顔じゃなかったわ」
「悪いな。いい男すぎて」
「…バカじゃないの?」
「うっせ。お、クロノが描いた絵か。上手いなぁ」
何を聞いてもはぐらかされた。
テーブルに置かれた携帯電話を横目で見つめる。
まだメールは消去されてない。
今なら…。
ゴンッ
「うぎゃあああ!」
「ぎゃあああっ!大丈夫かぁ!?」
確認出来ると思えば、痛々しい音と共にクロノの泣き声が。
「何やってるのよ…」
どうやら転んで、フローリングに頭を打ったみたい。
「ママーっ」
「はいはい」
クロノが私に抱き着き、スンスン泣いている。
「嫌われた…」
「かもね」
クロノをあやしている内に、メールのことなんて忘れてしまっていて。
そして、運命の“あの日”が。
やってきてしまった。
.