降り頻る雨の中で ベルモット男主夢
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「よぉ、ベルモット」
「なに?」
ジンの車の後部座席に座る私。
「今の玩具の男の家に、入り浸ってるみてぇだな」
バックミラー越しに、冷たい眼差しで私を睨む。
「えぇ。今までの玩具より面白いのよ。SEXも上手いしね。」
タバコに火を点け、窓枠に肘を置く。
「ふん。気の毒になっちまうぜ。その玩具が」
「あら。ハリウッド女優である私とSEXが出来るんだもの。逆に有り難いと思ってほしいくらいだわ」
「くっくっ。その野郎も、とんでもねぇ女に気に入られたもんだな。だが、おかしな行動をしやがった時は…」
「えぇ。彼は玩具であり、恋人なんかじゃないからすぐにあの軽そうな頭を撃ち抜いてやるわ」
“あの方”の脅威にならないために、ね。
と。
見事に“私”を演じきったクロノ。
「お前、俺をこんなにコケにしてやがったのか…」
「そうでもしないと気付かれちゃうでしょ?」
一体どんな技術で変装してるのかしら…。
お腹が大きくなる前は、自分で組織へ行っていた。
少し出てきても、太った男の変装をしてジンの前に現れて。
何とかごまかせていたけれど。
さすがに八ヶ月になると、ね。
声や姿はもちろん。
仕草や癖、筆跡。
個人が放つ、独特なオーラまで意のままで。
未だにその秘密は教えてくれない。
「名前どうするの?」
「女の子だよな?だったらー。んー。」
一緒に名前を考えて。
「アイリでどう?可愛らしいでしょ?」
「…」
「なによ?イヤ?」
「いや、お前が普通の名前を付けるなんて意外で」
「…どんな名前を想像してたの?」
「殺し屋みたいな。アントニオとか」
「…女の子にアントニオなんて付けるわけないでしょ?その名前のどこが殺し屋よ。センスの欠片もないわね」
「…そこまで言わんでも…」
一時的にでも、普通の母親になれたことが嬉しい。
私の診察は、クロノの怪我を診た医者・ミナトが診てくれる。
私が家から出ることはなく、苦でもなかった。
そして。
「…っぅ…っ」
陣痛がやってきた。
けど、そこにクロノの姿はない。
私に成り済まし、映画の撮影で上海へ行っているから。
ワタアメが私の傍に居てくれる。
「ほら!イキんで!頭出てきてるぞ!」
クロノ。
クロノ。
もう少しだから。
もう少しで産まれるから。
あなたと私の子供が。
血に染まる私の手で抱いてもいいのか、不安だけれど。
愛しい命が産まれるわ。
クロノ。
「オギャーッ!オギャーッ!」
38時間、ずっと痛みに耐え続けて。
「金髪の。あんた似の女の子だ」
ようやく… アイリに出会えた…。
「はぁ…はぁ…。ほ、ほんと…。申し訳ないくらい…私似だわ…」
なんだろう。
この込み上げるものは。
この私が。
母親になるなんて。
「オギャーッ!オギャーッ!」
「…ふふ…っ元気な子ね…」
生まれたばかりの愛しいアイリへ。
生まれてきてくれてありがとうと。
小さな頭に、キスを落とした──…
.
「よぉ、ベルモット」
「なに?」
ジンの車の後部座席に座る私。
「今の玩具の男の家に、入り浸ってるみてぇだな」
バックミラー越しに、冷たい眼差しで私を睨む。
「えぇ。今までの玩具より面白いのよ。SEXも上手いしね。」
タバコに火を点け、窓枠に肘を置く。
「ふん。気の毒になっちまうぜ。その玩具が」
「あら。ハリウッド女優である私とSEXが出来るんだもの。逆に有り難いと思ってほしいくらいだわ」
「くっくっ。その野郎も、とんでもねぇ女に気に入られたもんだな。だが、おかしな行動をしやがった時は…」
「えぇ。彼は玩具であり、恋人なんかじゃないからすぐにあの軽そうな頭を撃ち抜いてやるわ」
“あの方”の脅威にならないために、ね。
と。
見事に“私”を演じきったクロノ。
「お前、俺をこんなにコケにしてやがったのか…」
「そうでもしないと気付かれちゃうでしょ?」
一体どんな技術で変装してるのかしら…。
お腹が大きくなる前は、自分で組織へ行っていた。
少し出てきても、太った男の変装をしてジンの前に現れて。
何とかごまかせていたけれど。
さすがに八ヶ月になると、ね。
声や姿はもちろん。
仕草や癖、筆跡。
個人が放つ、独特なオーラまで意のままで。
未だにその秘密は教えてくれない。
「名前どうするの?」
「女の子だよな?だったらー。んー。」
一緒に名前を考えて。
「アイリでどう?可愛らしいでしょ?」
「…」
「なによ?イヤ?」
「いや、お前が普通の名前を付けるなんて意外で」
「…どんな名前を想像してたの?」
「殺し屋みたいな。アントニオとか」
「…女の子にアントニオなんて付けるわけないでしょ?その名前のどこが殺し屋よ。センスの欠片もないわね」
「…そこまで言わんでも…」
一時的にでも、普通の母親になれたことが嬉しい。
私の診察は、クロノの怪我を診た医者・ミナトが診てくれる。
私が家から出ることはなく、苦でもなかった。
そして。
「…っぅ…っ」
陣痛がやってきた。
けど、そこにクロノの姿はない。
私に成り済まし、映画の撮影で上海へ行っているから。
ワタアメが私の傍に居てくれる。
「ほら!イキんで!頭出てきてるぞ!」
クロノ。
クロノ。
もう少しだから。
もう少しで産まれるから。
あなたと私の子供が。
血に染まる私の手で抱いてもいいのか、不安だけれど。
愛しい命が産まれるわ。
クロノ。
「オギャーッ!オギャーッ!」
38時間、ずっと痛みに耐え続けて。
「金髪の。あんた似の女の子だ」
ようやく… アイリに出会えた…。
「はぁ…はぁ…。ほ、ほんと…。申し訳ないくらい…私似だわ…」
なんだろう。
この込み上げるものは。
この私が。
母親になるなんて。
「オギャーッ!オギャーッ!」
「…ふふ…っ元気な子ね…」
生まれたばかりの愛しいアイリへ。
生まれてきてくれてありがとうと。
小さな頭に、キスを落とした──…
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