降り頻る雨の中で ベルモット男主夢
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「妊娠?」
「えぇ」
「俺の子?」
「当たり前でしょ?」
早々とショッピングを切り上げ、変装してクロノの家へ行った。
ちなみに、変装についてはもう突っ込んでくれなくなったわ。
マスクを取り、すぐに妊娠のことを告げれば。
「そっか」
と。だけ。
「…それだけ?」
「え?ほかに何かある?」
きょとん顔をするクロノ。
「喜ぶとか、怒るとか、慌てる、とか。いろいろあるでしょ?」
「お前こそどうなんだよ。あんまり嬉しそうに見えないけど」
タバコを吸おうと、ライターの火を点けたら。
「妊婦にタバコは厳禁。」
と、タバコを奪われた。
「…嬉しくないわけではないけど、私の立場を考えると、ね」
「パパラッチに組織に、か。ちょっと俺を見ろ」
「なに?」
言われた通り、クロノを見つめる。
クロノはタバコを銜え、私のライターで火を点けて。
タバコの煙を吐き出す。
その仕草はどこか気品があり、女のようで。
どこか、覚えがあるような仕草だった。
「どうだ?」
クロノがニッと笑う。
「どうってなによ?今の、何か意味があるの?」
けど思い出すに至らないほど。
「自分じゃやっぱりわからないか」
「え?」
「んンッ!ゴホンッ!」
クロノは数回咳払いをして。
「『あなたがタバコを吸う時の仕草よ』」
私の声で、そう言った。
「ッ!!」
私は目を見開く。
声が…まったく同じ…。
「『ここにあなたの名前を書いてくれる?』」
「え、えぇ」
チラシの白い部分に、“Vermuth”と書く。
クロノは違うチラシに…。
「『照らし合わせてみて』」
同じく“Vermuth”と書き、私はそれを重ねて照らし合わせる。
すると…。
「…嘘でしょ…」
筆跡が……。
1mmもズレることなく。
重なった。
「『だから言ったでしょ?』俺の右に出る奴はいない、と」
私の声から自分の声へ。
不敵な笑みを浮かべる。
すごい、なんてものじゃない。
変装のレベルじゃないわよ、これ。
「す、姿はどうなの?」
「問題ないよ。俺のスペシャルメイクで完璧にお前になれる。」
クロノは悪戯に笑い、タバコの火を消す。
「体の構造的に、男が女になるなんて「問題ないって言ったろ?俺をただのヒョロい奴と思うな。待ってろ」
そして徐に立ち上がり、
「覗くなよ?絶対に」
「…わかったわ」
寝室へ行った。
…覗くなと言われれば、覗きたくなるのが人間というもので。
足音を殺し、寝室へ。
もちろんドアを開ける音だって立ててない。
なのに。
寝室にはクロノの姿がなかった。
「……クロノ?」
小さく呼び掛ける。
けど、返事はない。
寝室へ入り、熱を分かち合ったベッドのシーツに触れて。
全身が映る鏡の前に立つ。
「こんな鏡、前にあったかしら」
私が映る鏡をまじまじと見つめる。
私が…映る…?
「……この鏡」
私しか、映ってない。
「『鏡じゃないわよ』」
「!!」
鏡の向こうの私が、クスリと笑う。
ぬっ、と。
「…え?」
枠を潜り、私の前に立つ私。
身長も、服装も。
何もかも。
全て………私。
「『覗くなって言ったのに』」
恐ろしい。
この男、組織にとって脅威だわ。
組織にクロノのこの能力を知られれば、必ず消せと命令されるでしょう。
「おい、おーい」
ハッと気が付けば、私の姿から自分の姿に戻っていた。
「…末恐ろしい人ね、あなた」
「お褒めの言葉として受け取っておくよ。それより、お前になりきるのは簡単だが俺はお前の組織のことを知らない。」
私という人間になるには、私が居る組織のことを知らなければならない。
「…で、でも…」
「重要なことは話さなくていい。ただ、仲間のコードネームとその特徴を教えてくれ。」
クロノにとって。
組織のことを知るということは、今までよりさらに命を危険に晒されるということ。
それを覚悟の上で。
そうまでして。
私やこのお腹の子を護ろうとしてくれている。
「…変装がバレれば、あなたは間違いなく消されるわよ…?」
「お前が組織に報告しないかぎり、バレることはない」
どこから来る自信なんだか知らないけど。
なぜか、それもそうかと納得してしまう。
「!」
まふっとベッドへ倒されて。
「お前が惚れた男は、自分の命が危ないからって怯えるようなヘタレな男じゃないだろ?」
ニッと悪戯に笑み、キスをしてくれた。
私もクスリと笑み、クロノの首に腕を回して。
「…ここまで思い通りにならない男は初めてよ…」
「ざまぁみろ」
今度はどちらからともなく、顔を近付けた…。
.
「妊娠?」
「えぇ」
「俺の子?」
「当たり前でしょ?」
早々とショッピングを切り上げ、変装してクロノの家へ行った。
ちなみに、変装についてはもう突っ込んでくれなくなったわ。
マスクを取り、すぐに妊娠のことを告げれば。
「そっか」
と。だけ。
「…それだけ?」
「え?ほかに何かある?」
きょとん顔をするクロノ。
「喜ぶとか、怒るとか、慌てる、とか。いろいろあるでしょ?」
「お前こそどうなんだよ。あんまり嬉しそうに見えないけど」
タバコを吸おうと、ライターの火を点けたら。
「妊婦にタバコは厳禁。」
と、タバコを奪われた。
「…嬉しくないわけではないけど、私の立場を考えると、ね」
「パパラッチに組織に、か。ちょっと俺を見ろ」
「なに?」
言われた通り、クロノを見つめる。
クロノはタバコを銜え、私のライターで火を点けて。
タバコの煙を吐き出す。
その仕草はどこか気品があり、女のようで。
どこか、覚えがあるような仕草だった。
「どうだ?」
クロノがニッと笑う。
「どうってなによ?今の、何か意味があるの?」
けど思い出すに至らないほど。
「自分じゃやっぱりわからないか」
「え?」
「んンッ!ゴホンッ!」
クロノは数回咳払いをして。
「『あなたがタバコを吸う時の仕草よ』」
私の声で、そう言った。
「ッ!!」
私は目を見開く。
声が…まったく同じ…。
「『ここにあなたの名前を書いてくれる?』」
「え、えぇ」
チラシの白い部分に、“Vermuth”と書く。
クロノは違うチラシに…。
「『照らし合わせてみて』」
同じく“Vermuth”と書き、私はそれを重ねて照らし合わせる。
すると…。
「…嘘でしょ…」
筆跡が……。
1mmもズレることなく。
重なった。
「『だから言ったでしょ?』俺の右に出る奴はいない、と」
私の声から自分の声へ。
不敵な笑みを浮かべる。
すごい、なんてものじゃない。
変装のレベルじゃないわよ、これ。
「す、姿はどうなの?」
「問題ないよ。俺のスペシャルメイクで完璧にお前になれる。」
クロノは悪戯に笑い、タバコの火を消す。
「体の構造的に、男が女になるなんて「問題ないって言ったろ?俺をただのヒョロい奴と思うな。待ってろ」
そして徐に立ち上がり、
「覗くなよ?絶対に」
「…わかったわ」
寝室へ行った。
…覗くなと言われれば、覗きたくなるのが人間というもので。
足音を殺し、寝室へ。
もちろんドアを開ける音だって立ててない。
なのに。
寝室にはクロノの姿がなかった。
「……クロノ?」
小さく呼び掛ける。
けど、返事はない。
寝室へ入り、熱を分かち合ったベッドのシーツに触れて。
全身が映る鏡の前に立つ。
「こんな鏡、前にあったかしら」
私が映る鏡をまじまじと見つめる。
私が…映る…?
「……この鏡」
私しか、映ってない。
「『鏡じゃないわよ』」
「!!」
鏡の向こうの私が、クスリと笑う。
ぬっ、と。
「…え?」
枠を潜り、私の前に立つ私。
身長も、服装も。
何もかも。
全て………私。
「『覗くなって言ったのに』」
恐ろしい。
この男、組織にとって脅威だわ。
組織にクロノのこの能力を知られれば、必ず消せと命令されるでしょう。
「おい、おーい」
ハッと気が付けば、私の姿から自分の姿に戻っていた。
「…末恐ろしい人ね、あなた」
「お褒めの言葉として受け取っておくよ。それより、お前になりきるのは簡単だが俺はお前の組織のことを知らない。」
私という人間になるには、私が居る組織のことを知らなければならない。
「…で、でも…」
「重要なことは話さなくていい。ただ、仲間のコードネームとその特徴を教えてくれ。」
クロノにとって。
組織のことを知るということは、今までよりさらに命を危険に晒されるということ。
それを覚悟の上で。
そうまでして。
私やこのお腹の子を護ろうとしてくれている。
「…変装がバレれば、あなたは間違いなく消されるわよ…?」
「お前が組織に報告しないかぎり、バレることはない」
どこから来る自信なんだか知らないけど。
なぜか、それもそうかと納得してしまう。
「!」
まふっとベッドへ倒されて。
「お前が惚れた男は、自分の命が危ないからって怯えるようなヘタレな男じゃないだろ?」
ニッと悪戯に笑み、キスをしてくれた。
私もクスリと笑み、クロノの首に腕を回して。
「…ここまで思い通りにならない男は初めてよ…」
「ざまぁみろ」
今度はどちらからともなく、顔を近付けた…。
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