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｢……うそ…よね…｣

クロノと寝てから２ヶ月程経ったある日。

ハリウッド女優のクリス・ヴィンヤードとしてパリで、ショッピングを満喫していた時。

突然の吐き気に襲われ、お手洗いへ駆け込んだ。

個室に入り、鍵をかけて。

トイレの水を流す音で苦しげな声を消す。

｢…｣

便座を下ろした便器の上に座る。

今日は体調もよく、気分だって悪くなかった。

だから公にショッピングをしていたんだから。

それなのに、急に吐き気に襲われるということは…。

極めつけに、この二ヶ月月のものが来ていない…。

つまり。





｢…なんてこと…｣






妊娠してしまったと…いうこと。








喜ぶべき事実なんだけれど。

私の立場では喜べない。

ハリウッド女優が妊娠となれば、パパラッチも黙っていないし。

さらに、組織だって…。

｢…知られる前に堕ろさないと…｣

けど…。

組織の一員である私。

この先、子供を授かることなんてないかもしれない。

抱いてくれたのはあの日だけだから尚更。

あの人との間に授かる命は。

この子だけかもしれない…。

｢とりあえず、クロノには告げておいたほうがいいわね…｣

堕ろせとは言われないでしょうけど、喜んでくれるかもしれないし…。


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