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｢………｣

｢どうした？ベルモット｣

｢…何が？｣

｢どこか上の空ですぜ｣






降り頻る雨。

ジンの車の後部座席に座る私。

辺りは暗く、車も少ないため、景色を遮るものは何もなかった。

窓枠に肘をかけ、横目でその雨と流れる景色を見つめる私に、ジンとウォッカが話しをかけてきた。

｢…眠いのよ。休む暇もなく仕事だったから｣

｢ハリウッド女優さんは多忙なんですね｣

軽く欠伸をして見せれば、ウォッカは納得したけれど。

｢…そういえば、あの時もこんな雨の日だったな？ベルモット｣

ジンはバックミラー越しに私へと視線を向けていた。

｢……｣

私はジンから視線を外して。

｢…そう言われればそうね。昔のことだから忘れていたわ｣

再び景色を見つめた。

こんな雨の日、どころじゃないわ。

｢…｣

まさに今日。

１５年前の今日。







『俺の右に出る奴はいないよ』






私は“あの人”を失った。





悪戯に笑む“あの人”を。




この手にかけた──…


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