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｢はぁ！食った食ったぁ！｣

｢…空腹で倒れてたのかよ…｣

少し栄養失調ではあるけれど、大事には至らないと医師に言われた。

｢志保！会いたかったぁ！｣

食事を摂って元気になったみたいで、食べ終わったと思ったらいきなり抱き着かれた。

｢私もよ、アイリ｣

アイリの背中に腕を回す

｢感動の再会に水を差すようで悪ぃが…あんたに聞きたいことがあるんだ｣

工藤君が真剣な面持ちでアイリに言う。

ピクリ

アイリが反応する。

｢あなたが“江戸川コナン”君なんだってね｣

クスリ

アイリが笑う。

｢｢……｣｣

二人は視線を交差させて。

アイリは私から離れ、扉のほうへ歩く。

｢安心して。私は志保を誘き出すために、母に連れて来られたわけじゃないわ。｣

そう零すアイリの横顔が、どこか悲しそうで。

｢アイリ｢ここじゃあれだから、場所を移しましょう｣

アイリを呼ぼうとすれば遮られた。

｢あぁ、わかった｣

工藤君もアイリの表情に気付き、私に頷いた。

大丈夫だ、と。

…えぇ、わかってる。

けど…。

どうしてアイリは、あんな表情をしたのかしら…。





｢で、聞きたいことって？｣

病院から少し離れた公園へやってきた。

時間も時間だから、人の姿はない。

｢あんたの母親、ベルモットの本名と今の居場所だ。｣

アイリはブランコに座って。

｢どっちも答えられません｣

ニコリと笑う。

｢やっぱりな…。じゃあ父親は？｣

｢１５年前に死んだわ。｣

｢…小さくなった理由は？｣

｢あなたたちと同じ薬を飲んだからよ｣

｢何のために？｣

工藤君の鋭い眼差しに、アイリが眉間に皺を寄せる。

｢…｣

キィ…

古い音を立てて、ブランコを漕ぐ。

｢灰原と同じように、逃げてきたのか？｣

｢…｣

質問には答えず、俯いて。







｢…私…組織の一員ではないの…｣







静かに語り始める。



｢いくつの時だったかな…母が悪いことをしているって気づいたのは…。でも…何も言えなかった…｣

どんなに悪いことをしていても。

自分の前では。

優しいお母さんだから。

｢でも、あんたなら止められるんじゃねぇか？これ以上罪を犯すなと｣

アイリはブランコを止めて、悲しみに歪む表情を浮かべて。

｢出来たらやってるわよ…そんなこと…とっくの昔に…｣

出来ない理由は…。

工藤君もそれに気付き、目を細めた、

｢…だから逃げてきたの…。母にも告げずに…。｣

アイリは鎖を握る手に力を込めて、パッとブランコから下りる。

｢まぁそれでも、あなたに母のヒントを何一つあげるつもりはないわ。｣

｢だろうな｣

工藤君は肩を竦めた。

｢じゃ、もう行くから。私と居たくないでしょ？｣

私を見つめる眼差しは、すごく寂しそう…。

｢行く宛てはあるのか？｣

｢ないわ。何とかなるわよ、きっと｣

｢……餓死しそうになってた奴が言う台詞か…｣

工藤君はため息を零し、呆れるような表情を浮かべた…。


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