盲目の剣士 しのぶさん男主夢
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翌日。
暇ではないけれど、私はまたあの村へとやって来た。
珍しい生薬は、やはり買っておきたいから。
「あ…」
そこに。
また白杖で探りながら歩いている##NAME2##さんが居て。
銀麗さんは顔面を強打した看板をひょいっと避けたけど。
「!危ない!」
避けた先にも看板があって。
ガタンッ
ガタガタガタッ
ドサッ
ぶつかって転んだ。
「ギャハッ!ギャハハハッ!やっぱりぶつかったか銀麗!」
また骨董屋の方が出て来て、銀麗さんを笑った。
周りを見れば、またニヤニヤしてるだけで。
…昨日は色々助けてあげていたのに。
薬屋さんも銀麗さんには恩があるって…。
「いたた…」
「大丈夫ですか?」
私は銀麗さんへ歩み寄り、肩に手を置く。
「!この声、君は昨日のお嬢さん」
「こんにちは」
言いながら骨董屋の方を見れば、骨董屋の方は慌てて店内へ逃げ込んだ。
「…酷いことしますね」
「いや、ぶつかる僕が悪いのさ」
大丈夫だよ、と銀麗さんは服に付いた土を払う。
「ところで、今日はどうしたんだい?」
「あ、はい。この村は珍しい生薬がたくさんあるので、今日も買い付けに」
昨日は持ち合わせがなかったことを告げると、銀麗さんは顎に手を添えて。
「なるほど。じゃあ今日はお嬢さんに少し分けてあげようかな」
「え?」
付いておいで、と銀麗さんは歩き出した。
その後ろをついて行く。
白杖を付いているけど、足取りはしっかりしてる。
探り探り歩くのではなく、目が見えているかのように。
前方の水溜り。
「あ、銀麗さん」
水溜りがあることを教えようとしたら。
「!」
銀麗さんは水溜りを避けるように回り込んだ。
「ん?なんだい?」
銀麗さんは足を止め、こちらへ振り返る。
「あ…いえ、水溜りがあったので」
「ああ、うん。昨日教えてもらった場所だから、ちゃんと覚えているよ。ありがとう」
…昨日教えてもらった場所って…。
どうやって覚えるのよ…。
この人…記憶力も凄くて、視覚以外の感覚も恐ろしく鋭い。
村の人は銀麗さんとぶつからないように歩いているけれど。
銀麗さんもまたぶつからないように歩いている。
「あ」
「ん?」
私は銀麗さんの腕を掴み、足を止めさせる。
「おっと!銀麗の通り道だったな!わりぃわりぃ!」
前方に人がいたから。
男の人は銀麗さんの前を空けるように退けた。
「すみません、五平さん。ありがとう」
「いやいや、こっちこそすまんな!」
銀麗さんは歩き出して。
「お嬢さん、ありがとう」
「いえ、とんでもないです」
ぶつかる前に教えてあげたことに、お礼を言ってくれた。
この村の方々は不思議だけど、銀麗さんには優しい方々。
あの骨董屋の方以外は。
「ここが僕の家なんだ。どうぞ」
「…お邪魔します」
銀麗さんは普通に家の引き戸を開けた。
…本当に目が見えないの?この人…。
「ん?」
「え?」
玄関で銀麗さんが立ち止まる。
「誰か居ますか?」
自分の家なのになぜ?と思えば。
「あ、銀麗帰って来たか。前に水道の調子がおかしいって言ってただろ?見に来てたんだ」
「なんと。わざわざありがとうリュウさん」
台所からひょこっと顔を出した男性が居たから…。
「…勝手に上られていいんですか?」
コソッと銀麗さんに聞くと。
「うん。僕のためにしてくれているから、問題ないよ」
と…。
銀麗さんの危機管理能力を問いたいですね…。
「う……わ………」
「結構な種類の生薬あるよ」
銀麗さんに通された部屋は、壁四面が小さな引き出しで埋め尽くされていて。
ドアがある面にも引き出しが…。
真ん中には長いテーブルの上に研究に使う道具がたくさんあって。
な、なにここ住みたい…。
「わからない生薬があれば、ここから数えて何列目の何段目と言ってくれれば名前がわかるから」
全ての引き出しの中身を覚えているなんて…。
「好きなのを好きなだけ持って行くといいよ」
「い、いいんですか!?」
「もちろんさ。お茶を淹れてくるね」
銀麗さんはニコリと笑み、台所へ行った。
台所から。
『なんだよあの可愛い子』
『薬学と医療に精通してる子みたいです。僕の生薬が彼女の研究の足しになればいいけど』
『お前さんはつくづく人が良いなぁ。っと、治ったぞ』
『そんなことないですよ。ありがとうございます、いくらになりますか?』
『金?金なんていらねぇって。また困ったことがありゃすぐ来るからよ』
『いつもすみません、助かります』
『いいってことさ。じゃあな』
『はい、また』
なんて言う会話が聞こえて来た。
…本当、人が良いというか良い人と言うか…。
私は引き出しを一つ開けて。
「…こんな貴重な生薬まで…」
どうやって仕入れてるのかしら…。
「…こんな時間まですみません」
「いやいや、いいんだよ」
あまりに夢中になりすぎて、気が付けば夜になっていた。
結構たくさん生薬をいただいてしまって、お金を払うと言っても受け取ってもらえなかったから。
こっそりとテーブルに、持って来たお金を全部置いて来た。
「今日はこの村で泊まって行ったほうがいいよ。僕はこれから夜回りするから、僕の家で寝て行くといい」
「夜回り?何か物騒なことが?」
銀麗さんは白杖を手に持って。
「いや、もしもの時にすぐ対応出来るようにさ」
ニコリと笑う。
もしもの時?
でも盲目で…もしもの時の対応って…。
「ん」
ふと、銀麗さんから笑みが消えた。
「?どうし……」
ました、とは続かず。
なぜなら銀麗さんが、自分の口元で人差し指を立てたから。
「足音が聞こえる」
「足音?」
耳を澄ませても、虫の鳴き声とシンと静まる音しか聞こえないけれど…。
「二つ。一つは草履。骨董屋さんの千太郎さんの足音」
足音で誰かがわかるなんて…。
「もう一つは裸足。二人とも走っている」
「……」
裸足?
一人は裸足で走っている?
「息遣い。千太郎さんは荒く、焦っている」
銀麗さんはゆっくりと振り返って。
「これは千太郎さんが追われている」
「……まさか」
私がそう言った瞬間。
「銀麗ッッ!!!助けてくれッッ!!」
銀麗さんへ助けを求める叫び声が聞こえた。
「…ッ!!」
すぐに走ろうとすれば、すでに銀麗さんは居なくて。
私の目に映ったのは。
「…うそ…」
鬼に追われる骨董屋さんと。
「“空の呼吸 一つ目 烈空”」
閃光を纏いながら日輪刀を振るう銀麗さんの姿だった。
「グガ…ガ…」
鬼はバラバラに斬られ、静かに散った…。
……一太刀目しか見えなかったんだけど…バラバラに…。
な、なんて強さなの…この人…。
.
翌日。
暇ではないけれど、私はまたあの村へとやって来た。
珍しい生薬は、やはり買っておきたいから。
「あ…」
そこに。
また白杖で探りながら歩いている##NAME2##さんが居て。
銀麗さんは顔面を強打した看板をひょいっと避けたけど。
「!危ない!」
避けた先にも看板があって。
ガタンッ
ガタガタガタッ
ドサッ
ぶつかって転んだ。
「ギャハッ!ギャハハハッ!やっぱりぶつかったか銀麗!」
また骨董屋の方が出て来て、銀麗さんを笑った。
周りを見れば、またニヤニヤしてるだけで。
…昨日は色々助けてあげていたのに。
薬屋さんも銀麗さんには恩があるって…。
「いたた…」
「大丈夫ですか?」
私は銀麗さんへ歩み寄り、肩に手を置く。
「!この声、君は昨日のお嬢さん」
「こんにちは」
言いながら骨董屋の方を見れば、骨董屋の方は慌てて店内へ逃げ込んだ。
「…酷いことしますね」
「いや、ぶつかる僕が悪いのさ」
大丈夫だよ、と銀麗さんは服に付いた土を払う。
「ところで、今日はどうしたんだい?」
「あ、はい。この村は珍しい生薬がたくさんあるので、今日も買い付けに」
昨日は持ち合わせがなかったことを告げると、銀麗さんは顎に手を添えて。
「なるほど。じゃあ今日はお嬢さんに少し分けてあげようかな」
「え?」
付いておいで、と銀麗さんは歩き出した。
その後ろをついて行く。
白杖を付いているけど、足取りはしっかりしてる。
探り探り歩くのではなく、目が見えているかのように。
前方の水溜り。
「あ、銀麗さん」
水溜りがあることを教えようとしたら。
「!」
銀麗さんは水溜りを避けるように回り込んだ。
「ん?なんだい?」
銀麗さんは足を止め、こちらへ振り返る。
「あ…いえ、水溜りがあったので」
「ああ、うん。昨日教えてもらった場所だから、ちゃんと覚えているよ。ありがとう」
…昨日教えてもらった場所って…。
どうやって覚えるのよ…。
この人…記憶力も凄くて、視覚以外の感覚も恐ろしく鋭い。
村の人は銀麗さんとぶつからないように歩いているけれど。
銀麗さんもまたぶつからないように歩いている。
「あ」
「ん?」
私は銀麗さんの腕を掴み、足を止めさせる。
「おっと!銀麗の通り道だったな!わりぃわりぃ!」
前方に人がいたから。
男の人は銀麗さんの前を空けるように退けた。
「すみません、五平さん。ありがとう」
「いやいや、こっちこそすまんな!」
銀麗さんは歩き出して。
「お嬢さん、ありがとう」
「いえ、とんでもないです」
ぶつかる前に教えてあげたことに、お礼を言ってくれた。
この村の方々は不思議だけど、銀麗さんには優しい方々。
あの骨董屋の方以外は。
「ここが僕の家なんだ。どうぞ」
「…お邪魔します」
銀麗さんは普通に家の引き戸を開けた。
…本当に目が見えないの?この人…。
「ん?」
「え?」
玄関で銀麗さんが立ち止まる。
「誰か居ますか?」
自分の家なのになぜ?と思えば。
「あ、銀麗帰って来たか。前に水道の調子がおかしいって言ってただろ?見に来てたんだ」
「なんと。わざわざありがとうリュウさん」
台所からひょこっと顔を出した男性が居たから…。
「…勝手に上られていいんですか?」
コソッと銀麗さんに聞くと。
「うん。僕のためにしてくれているから、問題ないよ」
と…。
銀麗さんの危機管理能力を問いたいですね…。
「う……わ………」
「結構な種類の生薬あるよ」
銀麗さんに通された部屋は、壁四面が小さな引き出しで埋め尽くされていて。
ドアがある面にも引き出しが…。
真ん中には長いテーブルの上に研究に使う道具がたくさんあって。
な、なにここ住みたい…。
「わからない生薬があれば、ここから数えて何列目の何段目と言ってくれれば名前がわかるから」
全ての引き出しの中身を覚えているなんて…。
「好きなのを好きなだけ持って行くといいよ」
「い、いいんですか!?」
「もちろんさ。お茶を淹れてくるね」
銀麗さんはニコリと笑み、台所へ行った。
台所から。
『なんだよあの可愛い子』
『薬学と医療に精通してる子みたいです。僕の生薬が彼女の研究の足しになればいいけど』
『お前さんはつくづく人が良いなぁ。っと、治ったぞ』
『そんなことないですよ。ありがとうございます、いくらになりますか?』
『金?金なんていらねぇって。また困ったことがありゃすぐ来るからよ』
『いつもすみません、助かります』
『いいってことさ。じゃあな』
『はい、また』
なんて言う会話が聞こえて来た。
…本当、人が良いというか良い人と言うか…。
私は引き出しを一つ開けて。
「…こんな貴重な生薬まで…」
どうやって仕入れてるのかしら…。
「…こんな時間まですみません」
「いやいや、いいんだよ」
あまりに夢中になりすぎて、気が付けば夜になっていた。
結構たくさん生薬をいただいてしまって、お金を払うと言っても受け取ってもらえなかったから。
こっそりとテーブルに、持って来たお金を全部置いて来た。
「今日はこの村で泊まって行ったほうがいいよ。僕はこれから夜回りするから、僕の家で寝て行くといい」
「夜回り?何か物騒なことが?」
銀麗さんは白杖を手に持って。
「いや、もしもの時にすぐ対応出来るようにさ」
ニコリと笑う。
もしもの時?
でも盲目で…もしもの時の対応って…。
「ん」
ふと、銀麗さんから笑みが消えた。
「?どうし……」
ました、とは続かず。
なぜなら銀麗さんが、自分の口元で人差し指を立てたから。
「足音が聞こえる」
「足音?」
耳を澄ませても、虫の鳴き声とシンと静まる音しか聞こえないけれど…。
「二つ。一つは草履。骨董屋さんの千太郎さんの足音」
足音で誰かがわかるなんて…。
「もう一つは裸足。二人とも走っている」
「……」
裸足?
一人は裸足で走っている?
「息遣い。千太郎さんは荒く、焦っている」
銀麗さんはゆっくりと振り返って。
「これは千太郎さんが追われている」
「……まさか」
私がそう言った瞬間。
「銀麗ッッ!!!助けてくれッッ!!」
銀麗さんへ助けを求める叫び声が聞こえた。
「…ッ!!」
すぐに走ろうとすれば、すでに銀麗さんは居なくて。
私の目に映ったのは。
「…うそ…」
鬼に追われる骨董屋さんと。
「“空の呼吸 一つ目 烈空”」
閃光を纏いながら日輪刀を振るう銀麗さんの姿だった。
「グガ…ガ…」
鬼はバラバラに斬られ、静かに散った…。
……一太刀目しか見えなかったんだけど…バラバラに…。
な、なんて強さなの…この人…。
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