名探偵コナン 旧拍手文置き場

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セイフォード、じゃ検索には引っ掛からねぇよなぁ…」



米花町にあるネットカフェに、オレはいた。

灰原がベルモットから聞いたというアイリの過去。

父親は火事で亡くなったことになっているが、本当はベルモットがその手にかけたんだ。

アイリの命と引き換えに。

「15年前のイギリスで起きた火事を検索してみるか」

灰原の話を聞いて、気になった点が二つあった。

それを解明すべく、カタカタとキーボードを打ち込み、15年前のイギリスで起きた火事を洗ってみることにした。

一つ一つ。

時間のかかる作業だが仕方ねぇ。

本当は博士んちで、灰原に手伝ってもらえりゃ早いだけどな。

博士んちにはアイリがいるから。

真実を知らねぇアイリに知られるわけにはいかない。

「…まぁ真実は話せねぇよな…」

ベルモットは自分の夫、つまりアイリの父親を殺したんだ。

アイリを救うためだとしても、母親が父親を殺したなんて事実は酷すぎる。

だから知られねぇように。

ベルモットは敵だがアイリは友達だ。

あのベルモットが心から愛した男っつーのも知りたいしな。



「っと、これか」

しばらくして、15年前にロンドン郊外で起きた火事の記事を見つけた。

焼死体で発見されたのは家主である男が一人。

その傍には動物の骨も発見されている。

何らおかしな点はない極普通の記事。

「この傍にあった動物ってのは、飼い犬か飼い猫だな」

何度読み返しても、不審な点は一つもない。

「…やっぱ、ベルモット本人に詳しく聞くっきゃねぇか…」

っても、ベルモットの電話番号なんて知らない。

どうしたものかと考えていると。







「15年前のロンドンの記事を調べて何をしているの?」








背後から声をかけられた。

「ッ!!」

バッと振り返れば、黒髪の女がいた。

サングラスをしているから顔はわからないが。

間違いない。

ベルモットだ。

「…小学校の課題なんだ」

「あらあら。それにしても随分と昔の記事を見ているのね」

ベルモットはオレの隣に腰をかけ、パソコンをいじる。

「…なんでオメーがいるんだよ」

アイリが心配していたの。最近ボウヤの様子がおかしいと」

だから探りに来たのよ、なんて。

アイリに心配をかけるなんて、どういうつもり?」

「…過保護かよ…」

こいつ、本当に組織の人間か…?

まぁいい。

オレもベルモットに聞きたいことがあったしな。

「とりあえず、ちょっと付き合え」

「あら、大胆な誘いね」

「バーロ!違うよ!」

この記事を印刷し、ネカフェの料金を払いネカフェを出る。

「地下駐車場へ行ってくれ」

「はいはい。まったく、何の疑いもなく車に乗るんだから」

こいつはいつもさり気なくオレを守ってくれる。

アイリが関係してるのか、はたまたオレに何かをさせようとしているのか。

それはわからないが、こいつはオレを組織に売ったりしねぇと確信がある。






「ここでいいかしら」

「あぁ」

あまり車がない地下の駐車場。

ベルモットは変装を解き、タバコに火を点けた。

「で?なぜ15年前の、ロンドンの記事を調べていたの?」

「聞かなくても大体わかってんだろ?」

間髪入れずそう言うと、ベルモットはクスリと笑う。

「15年前、オメーが旦那を手にかけたと言ってたな?」

「えぇ。」

アイリの命と引き換えに。」

「そうよ」

オレが疑問に思ったことの、まず一つ目。

「3才だったアイリの存在が知られたと」

「それがなに?」

オレはベルモットを見つめて。









「3才まで、どうやってアイリを隠していたんだ?」










普通に考えればまず不可能だ。

妊娠すれば日に日に腹は大きくなり、出産や入院だって必要になる。

それをどうやって隠していたんだ。

「さぁね」

しかし教えてくれるわけもなく。

だがな。

仮説くらいなら立てれるんだよ。






「そうだな…。例えば、旦那はオメー以上の変装の達人なら」






不可能が可能になる。

ベルモット以上の。

声も体格も仕草も筆跡も。

個人が放つオーラまでも意のままに出来るのなら。

「……」

ベルモットは黙り、窓の外を見つめる。

間違っちゃいねぇようだな。

さらにもう一つ気になった点。

「これも灰原から聞いたんだが、オメー旦那を殺す時、旦那に拳銃を渡されたらしいな」

「…だから?」

機嫌が悪くなった。

まぁベルモットにとっちゃ、思い出したくもない過去だから。

オレは印刷した記事を見つめて。

「普通誰かを殺すなら、拳銃または凶器を持って行くだろ?」

殺すと決めたなら丸腰でなんか行くはずがない。

殺すつもりはなく、衝動的に現場で凶器を見つけるのならまだしも。

「持って行ったわよ。拳銃を」

「じゃあなんで渡された?」

「さぁ。ポケットに入れていたし、気づかなかったんじゃない?」

気づかない?

変装術があり、ベルモットに成り代わって組織へ行くような男が。

そんな事態を予測出来ないなんて。

「…」

正直、納得出来ない。

「あなたは何が言いたいの?何を知りたいの?」

「……」

オレは記事から視線を外し、ベルモットを見つめて。










「もし、オメーが渡された拳銃に何か細工をしていたとしたら」











変装のスペシャリストなら。

そんな細工は造作もないこと。

「……な、に…を…」

ベルモットの目が見開かれる。





「オメーの組織を知り、自分を殺しに来るとわかってるなら、拳銃を持って来ることくらい考えないわけがない」






オレが言いたいのは。

「…ベルモット……」









一つの可能性。











「オメーの旦那、もしかしたら生きてるんじゃねぇか?」















アイリの父親が生きているのではないか、という。




一つの可能性を。




ベルモットへと告げた──…。


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