名探偵コナン 旧拍手文置き場
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
'
「…38.7度。四捨五入して39度」
「…四捨五入しないで…」
ある日。
いつものようにアイリへ、非通知で電話をかければ。
『あ゙い゙…』
物凄い鼻声のアイリが出た。
『……今から行くわ』
と、すぐに自宅へ向かった。
早い話、アイリは風邪を引いたのよ。
赤い顔して、息も荒くて。
最初は誘ってるのかと思っちゃったけど。
「なんで風邪なんて引いたのよ」
「…風邪引くのに理由なんてあるの?」
「あるに決まってるでしょ?寝る時に全裸で寝たとか」
さり気なく鎌を掛けてみた。
「抱かれた後でもあるまいし、全裸でなんか寝ないわよ…」
ということは、誰かと寝たわけじゃなさそうね。
「多分、風邪菌にやられたんじゃないかな…」
「そんなの当たり前でしょ?あなた、本当に大学院を飛び級卒業したの?」
「…今日はいつになく毒を吐くわね…」
アイリはため息を零し、数回咳をする。
本当は風邪を引いた理由なんて聞かなくても知っているの。
刑事課と交通課の彼女たち。
佐藤美和子と宮本由美。
彼女らはアイリに好意を寄せているから、何かと遊びに誘うのよ。
合コンはもちろん、普通の飲み会や食事にしても必ずアイリの隣に座るし。
昨日だって合コンで、酔い潰れはしないものの結構な量を飲んでたわ。
解散後も、あの寒空の下で3人で盛り上がってるんだもの。
そりゃ風邪も引くでしょうね。
正直、見ていて腹立たしいったらない。
「食欲はあるの?」
「…軽いものなら…」
「ステーキでいいかしら?」
「殺す気かっ」
冗談に本気で怒るアイリに笑み、額にキスを落として。
「渋々お粥を作ってあげるわ」
「一言余計よ…」
キッチンへ行った。
その時。
ピーンポーン
インターホンが鳴った。
「誰かしら」
玄関へ行き、覗き穴から来訪者を確認する。
「あらあら」
アイリの先輩である、佐藤美和子。
どうやら風邪で休むことを知り、心配になって来たのね。
「ふむ」
気を使って外出してもいいんだけど。
佐藤美和子はアイリに好意を寄せているから。
二人きりにするのは危険。
さらに、アイリは今赤い顔をして額にはうっすらと汗を浮かばせて、荒い息をしている。
二人きりにするのはもっと危険。
ピーンポーン
『アイリー?大丈夫ー?』
再びインターホンが鳴って。
「……」
私は小さく笑んで。
「はーい、ちょっと待ってねー」
アイリでもなく、私でもない声で返事をした。
「…マジシャン並の早さね…」
念のために持ってきた化粧道具とマスクで顔を変えて。
「私は神川魅月よ。いいわね?」
「…はいはい」
アイリに即席で考えた名前を告げて。
「どちら様ですか?」
玄関の扉を開ければ。
「…あの…どちら様…?」
佐藤美和子に逆に問われた。
「私は近所に住んでる神川魅月って言います。最近アイリさんと知り合って」
佐藤美和子を中へ招き入れる。
「そうなんですね。私は佐藤美和子といって、アイリの職場の先輩です」
「へぇ」
知ってるわよそんなこと。
佐藤美和子を渋々アイリの寝室へ案内する。
「いらっしゃい…美和子さん」
「アイリ、やっぱり風邪引いたのね」
アイリは力無くはにかむ。
「だーから上着は着なさいって言ったのに。熱は?」
と、佐藤美和子はアイリに顔を近づけた。
額と額を合わせようとしてるみたいだけど。
「38.7度よ。」
ごめんなさいね、それはさせられないわ。
「38度、ね。高熱じゃない。薬は飲んだの?」
「い、いえ…まだ…」
「今お粥作ってるから、それから飲ませようと思って」
「そう」
さり気なく、あなたは必要ないことを伝えてるんだけど気づいてくれない。
「美和子さん…今日非番なの…?」
「今日は遅番よ。だから大丈夫」
チラリとアイリが私を見つめる。
ああ、名前を忘れたのね。
“み、つ、き”
口パクで伝えた。
「…み…つ…き…さんは?」
「?なんで片言なのよ」
佐藤美和子に気づかれないように、額に手を宛ててため息を零す。
「アイリさん、少し寝たほうがいいわ」
「そうね。起きてからお粥食べて、薬を飲みなさい」
佐藤美和子はアイリの顔の傍に手を置いて。
「ッ!!」
ちゅ、と。
汗ばむアイリの額にキスを落とした。
……日本警察でアイリの知り合いじゃなければ。
今ここで、この女を殺してるわね。
ほんと、日本警察には悪い虫が多くて困るわ。
「魅月さんはどこら辺に住んでるんですか?」
「2階よ。」
リビングへ戻り、佐藤美和子と二人きりに。
私はタバコに火を点ける。
「仕事場でのアイリさんはどうなの?」
「朝が弱いのか、かなりの確率でデスクに突っ伏して寝てるわね」
佐藤美和子は苦笑いを漏らす。
まぁ、聞かなくても知ってるけど。
「まったく。仕事中に寝るなんて、バカなのねあの子」
ふぅ、とタバコの煙を吐き出し、クスリと笑む。
「でも洞察力は目を見張るものがあるわ」
「そう」
それも知ってるわ。
あなたたちには大学を飛び級卒業と言っているでしょうけど、本当はハーバードの大学院を飛び級卒業しているんだもの。
頭の良さは科学者並よ。
天然なのが残念なだけで。
「魅月さんはアイリとどうやって知り合ったんですか?」
私は目を細めて。
「…どうして?」
逆に問う。
アイリに好意を寄せているから、私がアイリにとってどういう存在かが気になるようね。
「な、なんとなくかしら。深い意味はないわ」
深い意味はない、か。
ああ、やっぱり腹立たしい。
「近くのコンビニよ。」
「そ、そう…」
適当に言えば、あんまり納得はしていないみたい。
そんなことどうでもいいけど。
ピリリリ
「あ」
突然、携帯電話が鳴った。
佐藤美和子の携帯電話で。
「はい、はい。わかりました!すぐに行きます!」
出動要請らしく、佐藤美和子の顔付きが変わった。
「事件?」
「えぇ。殺人事件みたい。じゃあ魅月さん、アイリのことをよろしくお願いします」
「えぇ」
ということで、ようやく佐藤美和子は去った。
「……」
私は玄関の鍵を閉め、マスクを取りながら寝室へ行く。
「…ベル…あ…違うか…なんだっけ…」
「帰ったわ」
アイリは寝ていなかったようで、熱に浮された表情で私を見つめていた。
「そう…じゃあ…ベルモットでいいのね…」
「……」
ギシリと膝をベッドに置いて。
「?ベル……っん…っ!」
そのままアイリへとキスを落とした。
「ん…っんぅ…っふっ」
深く深く、舌を絡め取る。
私の肩を押して来るけど、今のあなたの力では押し返せないわ。
「は…っん…っねつ…っ!うつる…っ!」
「風邪、よ。移るのは」
ちゅ、とリップノイズを立てて離れれば、透明の糸が私たちを繋いだ。
「はぁ…はぁ…」
「私の中で、佐藤美和子はブラックリストだからね」
「…なんでよ…」
ベッドに腰をかけ、先ほど佐藤美和子がキスをしたアイリの額に唇を寄せて。
「………犬なの?」
舐める。
「消毒よ」
「……嫉妬した?」
顔を上げれば、アイリがニヤニヤ笑ってて。
「もう少しで爆発したわ」
瞼にキスを落とす。
「あなたでも嫉妬するのね?」
「当たり前よ」
アイリはなんだか嬉しそう。
人の気も知らないで…。
「お粥作ってくれない?」
「仕方ないわね、まったく」
惚れた弱みに付け込まれたわ、もう。
まぁ、アイリの風邪が治ったら抱いてやるんだから。
許しを乞うまで溺れさせてやるわ。
「…寝込むなら、自分ちで寝込んでちょうだい」
「…それが移した張本人の言葉かしら…」
…それは叶わず、今度は私が看病される側に…。
END
「…38.7度。四捨五入して39度」
「…四捨五入しないで…」
ある日。
いつものようにアイリへ、非通知で電話をかければ。
『あ゙い゙…』
物凄い鼻声のアイリが出た。
『……今から行くわ』
と、すぐに自宅へ向かった。
早い話、アイリは風邪を引いたのよ。
赤い顔して、息も荒くて。
最初は誘ってるのかと思っちゃったけど。
「なんで風邪なんて引いたのよ」
「…風邪引くのに理由なんてあるの?」
「あるに決まってるでしょ?寝る時に全裸で寝たとか」
さり気なく鎌を掛けてみた。
「抱かれた後でもあるまいし、全裸でなんか寝ないわよ…」
ということは、誰かと寝たわけじゃなさそうね。
「多分、風邪菌にやられたんじゃないかな…」
「そんなの当たり前でしょ?あなた、本当に大学院を飛び級卒業したの?」
「…今日はいつになく毒を吐くわね…」
アイリはため息を零し、数回咳をする。
本当は風邪を引いた理由なんて聞かなくても知っているの。
刑事課と交通課の彼女たち。
佐藤美和子と宮本由美。
彼女らはアイリに好意を寄せているから、何かと遊びに誘うのよ。
合コンはもちろん、普通の飲み会や食事にしても必ずアイリの隣に座るし。
昨日だって合コンで、酔い潰れはしないものの結構な量を飲んでたわ。
解散後も、あの寒空の下で3人で盛り上がってるんだもの。
そりゃ風邪も引くでしょうね。
正直、見ていて腹立たしいったらない。
「食欲はあるの?」
「…軽いものなら…」
「ステーキでいいかしら?」
「殺す気かっ」
冗談に本気で怒るアイリに笑み、額にキスを落として。
「渋々お粥を作ってあげるわ」
「一言余計よ…」
キッチンへ行った。
その時。
ピーンポーン
インターホンが鳴った。
「誰かしら」
玄関へ行き、覗き穴から来訪者を確認する。
「あらあら」
アイリの先輩である、佐藤美和子。
どうやら風邪で休むことを知り、心配になって来たのね。
「ふむ」
気を使って外出してもいいんだけど。
佐藤美和子はアイリに好意を寄せているから。
二人きりにするのは危険。
さらに、アイリは今赤い顔をして額にはうっすらと汗を浮かばせて、荒い息をしている。
二人きりにするのはもっと危険。
ピーンポーン
『アイリー?大丈夫ー?』
再びインターホンが鳴って。
「……」
私は小さく笑んで。
「はーい、ちょっと待ってねー」
アイリでもなく、私でもない声で返事をした。
「…マジシャン並の早さね…」
念のために持ってきた化粧道具とマスクで顔を変えて。
「私は神川魅月よ。いいわね?」
「…はいはい」
アイリに即席で考えた名前を告げて。
「どちら様ですか?」
玄関の扉を開ければ。
「…あの…どちら様…?」
佐藤美和子に逆に問われた。
「私は近所に住んでる神川魅月って言います。最近アイリさんと知り合って」
佐藤美和子を中へ招き入れる。
「そうなんですね。私は佐藤美和子といって、アイリの職場の先輩です」
「へぇ」
知ってるわよそんなこと。
佐藤美和子を渋々アイリの寝室へ案内する。
「いらっしゃい…美和子さん」
「アイリ、やっぱり風邪引いたのね」
アイリは力無くはにかむ。
「だーから上着は着なさいって言ったのに。熱は?」
と、佐藤美和子はアイリに顔を近づけた。
額と額を合わせようとしてるみたいだけど。
「38.7度よ。」
ごめんなさいね、それはさせられないわ。
「38度、ね。高熱じゃない。薬は飲んだの?」
「い、いえ…まだ…」
「今お粥作ってるから、それから飲ませようと思って」
「そう」
さり気なく、あなたは必要ないことを伝えてるんだけど気づいてくれない。
「美和子さん…今日非番なの…?」
「今日は遅番よ。だから大丈夫」
チラリとアイリが私を見つめる。
ああ、名前を忘れたのね。
“み、つ、き”
口パクで伝えた。
「…み…つ…き…さんは?」
「?なんで片言なのよ」
佐藤美和子に気づかれないように、額に手を宛ててため息を零す。
「アイリさん、少し寝たほうがいいわ」
「そうね。起きてからお粥食べて、薬を飲みなさい」
佐藤美和子はアイリの顔の傍に手を置いて。
「ッ!!」
ちゅ、と。
汗ばむアイリの額にキスを落とした。
……日本警察でアイリの知り合いじゃなければ。
今ここで、この女を殺してるわね。
ほんと、日本警察には悪い虫が多くて困るわ。
「魅月さんはどこら辺に住んでるんですか?」
「2階よ。」
リビングへ戻り、佐藤美和子と二人きりに。
私はタバコに火を点ける。
「仕事場でのアイリさんはどうなの?」
「朝が弱いのか、かなりの確率でデスクに突っ伏して寝てるわね」
佐藤美和子は苦笑いを漏らす。
まぁ、聞かなくても知ってるけど。
「まったく。仕事中に寝るなんて、バカなのねあの子」
ふぅ、とタバコの煙を吐き出し、クスリと笑む。
「でも洞察力は目を見張るものがあるわ」
「そう」
それも知ってるわ。
あなたたちには大学を飛び級卒業と言っているでしょうけど、本当はハーバードの大学院を飛び級卒業しているんだもの。
頭の良さは科学者並よ。
天然なのが残念なだけで。
「魅月さんはアイリとどうやって知り合ったんですか?」
私は目を細めて。
「…どうして?」
逆に問う。
アイリに好意を寄せているから、私がアイリにとってどういう存在かが気になるようね。
「な、なんとなくかしら。深い意味はないわ」
深い意味はない、か。
ああ、やっぱり腹立たしい。
「近くのコンビニよ。」
「そ、そう…」
適当に言えば、あんまり納得はしていないみたい。
そんなことどうでもいいけど。
ピリリリ
「あ」
突然、携帯電話が鳴った。
佐藤美和子の携帯電話で。
「はい、はい。わかりました!すぐに行きます!」
出動要請らしく、佐藤美和子の顔付きが変わった。
「事件?」
「えぇ。殺人事件みたい。じゃあ魅月さん、アイリのことをよろしくお願いします」
「えぇ」
ということで、ようやく佐藤美和子は去った。
「……」
私は玄関の鍵を閉め、マスクを取りながら寝室へ行く。
「…ベル…あ…違うか…なんだっけ…」
「帰ったわ」
アイリは寝ていなかったようで、熱に浮された表情で私を見つめていた。
「そう…じゃあ…ベルモットでいいのね…」
「……」
ギシリと膝をベッドに置いて。
「?ベル……っん…っ!」
そのままアイリへとキスを落とした。
「ん…っんぅ…っふっ」
深く深く、舌を絡め取る。
私の肩を押して来るけど、今のあなたの力では押し返せないわ。
「は…っん…っねつ…っ!うつる…っ!」
「風邪、よ。移るのは」
ちゅ、とリップノイズを立てて離れれば、透明の糸が私たちを繋いだ。
「はぁ…はぁ…」
「私の中で、佐藤美和子はブラックリストだからね」
「…なんでよ…」
ベッドに腰をかけ、先ほど佐藤美和子がキスをしたアイリの額に唇を寄せて。
「………犬なの?」
舐める。
「消毒よ」
「……嫉妬した?」
顔を上げれば、アイリがニヤニヤ笑ってて。
「もう少しで爆発したわ」
瞼にキスを落とす。
「あなたでも嫉妬するのね?」
「当たり前よ」
アイリはなんだか嬉しそう。
人の気も知らないで…。
「お粥作ってくれない?」
「仕方ないわね、まったく」
惚れた弱みに付け込まれたわ、もう。
まぁ、アイリの風邪が治ったら抱いてやるんだから。
許しを乞うまで溺れさせてやるわ。
「…寝込むなら、自分ちで寝込んでちょうだい」
「…それが移した張本人の言葉かしら…」
…それは叶わず、今度は私が看病される側に…。
END
1/18ページ