豹変 ベルモット男主夢
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『……あなたがやったの?』
『…こいつは…五年前に女の子数人を…レイプして殺した奴だから…』
『…へぇ、よく調べてあるわね』
『……』
五年前の、ある夜に。
私は二十世紀最大の悪魔と出会った。
真夜中と呼べる時間帯。
住宅街の真ん中に。
フード付きの黒いコートを羽織る少年がいた。
背丈は150cmくらい。
でも声がまだ幼いことから、十代であることには違いない。
少年の手に握られているナイフ。
物凄く鋭利なもので、足元に倒れている男は声帯から動脈にかけてスッパリ切られていて、大量の血が流れていた。
声帯も切ったのは悲鳴や叫び声を上げさせないため。
随分人を殺すことに長けた通り魔だと思った。
たまたまここを通った運のない男だと。
でも違った。
足元で絶命している男は。
五年前に起きた十代の少女数人をレイプした挙句、殺害した犯人らしい。
法律の隙間を掻い潜り、こうしてのうのうと生きていた。
『……こいつを見ると…聞こえてくる…』
少年は小さく呟く。
『何が聞こえるの?』
私の問いかけに、少年は少し俯いて。
『……』
少しの静寂。
得体の知れない不気味な少年。
『…被害者の…恐怖に泣き叫ぶ…絶望の声…』
ポタリ。
足元に何かが落ちた。
え?
まさか。
『…泣いているの?』
少年はゆっくり顔を上げた。
赤い瞳から、一筋の涙を零していた。
…赤い瞳なんて初めて見たわ。
『…』
赤い瞳が私を捉える。
『…クリス・ヴィンヤード』
突然私の名前を口にした。
『…今日あんたが…この時間に…この場所を通ることは知っていた…。』
『え?』
待って。
『…こうして…殺人現場を見れば…立ち止まることも…』
待って。
『無防備に…近づいて来ることも…』
待ってよ。
この時間、この場所。
私が通り、立ち止まり、近くこと。
全て計画通りなの?
殺した男をここに呼び出して。
私が通る瞬間に殺した。
全て、計画通りなの?
『…あんたが…ある組織の幹部であることも…』
赤い瞳で私を見続ける。
『…あんたの正体も…全部…知っている…』
背筋が凍る。
ここまで恐怖したのは初めてかもしれない。
私はこの少年が怖い。
血に濡れたナイフを私へ向ける。
『…私もターゲットの一人だったのね』
私は両手を上げ、降参ポーズを見せて。
左手首に忍ばせていた拳銃を取り出し、少年へ向ける。
『……』
私は視線を下げ、自分の脇腹を見る。
拳銃を突きつけられている。
ほぼ同時の反応速度。
『……参ったわね…』
いえ。
同時なんかじゃない。
少年が私の脇腹に突きつけている拳銃は、私のもの。
殺すことに長けた通り魔?
違うわ。
誰かを殺すためだけに生まれた悪魔よ。
赤い瞳の奥にあるのは。
世界各国で理不尽に命を奪われた人、大切な人を奪われた遺族を想い心を痛めて。
理不尽に命を奪った犯人への真っ直ぐな憎悪。
法に守られた犯罪者を、断罪するための存在。
この少年は。
二十世紀最大の悪であり。
大切な人の命を理不尽に奪われた遺族の最大の味方。
『…取引しない?』
この少年を野放しにするわけにはいかない。
『…しない』
『あなたを勧誘したいのよ』
他の組織に存在を知られる前に。
『…オレは誰の下にも付かない』
『所属するだけでいいわ。あなたの邪魔はしないし、必要なものは何でも用意してあげる』
何としてでも手に入れなければ。
組織の脅威になる。
『……』
無言の少年に私はクスリと笑み、脇腹にある銃に触れて。
『ここじゃあれだから、場所を移さない?』
『……わかった』
少年は拳銃を離し、絶命している男の背中にナイフを刺した。
『証拠を残すの?」
『…盗んだやつだから…』
いらない、ということね。
『あなた、名前は?』
『………』
少年はチラリと私を見て、何も言わずに歩き出した。
『車、あっちなんだけど』
『………』
これは、名前を聞くまで時間がかかりそうね。
でもこの場で殺されてもおかしくなかったのに、なぜ私を殺さなかったのかしら。
それについても話しもらわないと、ね。
.
『……あなたがやったの?』
『…こいつは…五年前に女の子数人を…レイプして殺した奴だから…』
『…へぇ、よく調べてあるわね』
『……』
五年前の、ある夜に。
私は二十世紀最大の悪魔と出会った。
真夜中と呼べる時間帯。
住宅街の真ん中に。
フード付きの黒いコートを羽織る少年がいた。
背丈は150cmくらい。
でも声がまだ幼いことから、十代であることには違いない。
少年の手に握られているナイフ。
物凄く鋭利なもので、足元に倒れている男は声帯から動脈にかけてスッパリ切られていて、大量の血が流れていた。
声帯も切ったのは悲鳴や叫び声を上げさせないため。
随分人を殺すことに長けた通り魔だと思った。
たまたまここを通った運のない男だと。
でも違った。
足元で絶命している男は。
五年前に起きた十代の少女数人をレイプした挙句、殺害した犯人らしい。
法律の隙間を掻い潜り、こうしてのうのうと生きていた。
『……こいつを見ると…聞こえてくる…』
少年は小さく呟く。
『何が聞こえるの?』
私の問いかけに、少年は少し俯いて。
『……』
少しの静寂。
得体の知れない不気味な少年。
『…被害者の…恐怖に泣き叫ぶ…絶望の声…』
ポタリ。
足元に何かが落ちた。
え?
まさか。
『…泣いているの?』
少年はゆっくり顔を上げた。
赤い瞳から、一筋の涙を零していた。
…赤い瞳なんて初めて見たわ。
『…』
赤い瞳が私を捉える。
『…クリス・ヴィンヤード』
突然私の名前を口にした。
『…今日あんたが…この時間に…この場所を通ることは知っていた…。』
『え?』
待って。
『…こうして…殺人現場を見れば…立ち止まることも…』
待って。
『無防備に…近づいて来ることも…』
待ってよ。
この時間、この場所。
私が通り、立ち止まり、近くこと。
全て計画通りなの?
殺した男をここに呼び出して。
私が通る瞬間に殺した。
全て、計画通りなの?
『…あんたが…ある組織の幹部であることも…』
赤い瞳で私を見続ける。
『…あんたの正体も…全部…知っている…』
背筋が凍る。
ここまで恐怖したのは初めてかもしれない。
私はこの少年が怖い。
血に濡れたナイフを私へ向ける。
『…私もターゲットの一人だったのね』
私は両手を上げ、降参ポーズを見せて。
左手首に忍ばせていた拳銃を取り出し、少年へ向ける。
『……』
私は視線を下げ、自分の脇腹を見る。
拳銃を突きつけられている。
ほぼ同時の反応速度。
『……参ったわね…』
いえ。
同時なんかじゃない。
少年が私の脇腹に突きつけている拳銃は、私のもの。
殺すことに長けた通り魔?
違うわ。
誰かを殺すためだけに生まれた悪魔よ。
赤い瞳の奥にあるのは。
世界各国で理不尽に命を奪われた人、大切な人を奪われた遺族を想い心を痛めて。
理不尽に命を奪った犯人への真っ直ぐな憎悪。
法に守られた犯罪者を、断罪するための存在。
この少年は。
二十世紀最大の悪であり。
大切な人の命を理不尽に奪われた遺族の最大の味方。
『…取引しない?』
この少年を野放しにするわけにはいかない。
『…しない』
『あなたを勧誘したいのよ』
他の組織に存在を知られる前に。
『…オレは誰の下にも付かない』
『所属するだけでいいわ。あなたの邪魔はしないし、必要なものは何でも用意してあげる』
何としてでも手に入れなければ。
組織の脅威になる。
『……』
無言の少年に私はクスリと笑み、脇腹にある銃に触れて。
『ここじゃあれだから、場所を移さない?』
『……わかった』
少年は拳銃を離し、絶命している男の背中にナイフを刺した。
『証拠を残すの?」
『…盗んだやつだから…』
いらない、ということね。
『あなた、名前は?』
『………』
少年はチラリと私を見て、何も言わずに歩き出した。
『車、あっちなんだけど』
『………』
これは、名前を聞くまで時間がかかりそうね。
でもこの場で殺されてもおかしくなかったのに、なぜ私を殺さなかったのかしら。
それについても話しもらわないと、ね。
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