背中合わせ ベルモット百合夢
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その日の夜。
「…はぁー…」
ベルモットが勝手に置いて行ったワインを開けた。
勝手に開けたら怒られるかな、なんて思ったけど。
私の家にあるんだもの、いいわよね。
「…美味しい…」
高いんだろうなぁ…。
「どんな生活してるのかしら」
ハリウッドの大女優で、さらには組織の幹部。
私たち庶民には考えられないセレブな生活に違いないわ。
「…考えただけでも嫌味な生活ね」
なんて、ちょっとだけ笑みが零れた。
「…どんな生活、か…」
思えば、私はベルモットのことは何も知らない。
向こうは私以上に私を知っているのに。
ずっと疑問だったけど、なぜベルモットは私のことを知ってるんだろう。
出会ったのは4年前。
大学院の卒業式の日。
私は初めて会ったのに、ベルモットはその前から私を知っているようで。
前に聞いたら、“さぁね”なんてはぐらかされた。
「…4年前より前に…会ったことあるのかな」
まぁ、ベルモットは変装のスペシャリストだからどこかでは会ってるでしょうね。
「…なんて」
…私、ベルモットのことばかり考えてる…。
「いかん!これじゃダメよ!」
ワイングラスを置いて、首を振る。
「ベルモットは敵なんだから!」
本来なら、今の現状が当たり前なんだから。
「…清々するわ」
私はワイングラスを手に取り、グラスの中のワインを見つめ続けた。
デロデロデロデロデッデ~ン
「…………何…今の…」
なんか…変な曲が…。
デロデロデロデロデッデ~ン
ほらまた。
どこからかなと思って、ふと携帯電話を見れば光ってる。
デロデロデロデロデッデ~ン
「……私の携帯電話から鳴ってる…」
こ、こんな変な曲にした覚えはないんだけど…。
携帯電話を開き、名前を見ると。
「…ッ!」
非通知からの番号だった。
デロデロデ“ピッ”
「……」
恐る恐るボタンを押し、携帯電話を耳に当てる。
『………もしもしくらい言ったらどうなの…?』
聞こえてきたのは、今の今まで私の頭を支配していたベルモットの声で…。
「……………着音…勝手に変えたでしょ…」
なぜだか知らないけれど。
『今頃気づいたの?もう一ヶ月も前に変えたのに』
心が。
すごく。
落ち着いた。
「勝手に変えないでよ!びっくりするじゃないっ!」
『びっくりしたなら、作戦は成功のようね』
あ、まずい。
「…まったく…」
涙が出そう…。
「……なんで今まで電話して来なかったの?」
『…』
今まで、なぜ音信不通だったのかを問えば無言で。
『…ちょっといろいろ忙しくてね』
喋ったかと思えば誤魔化された。
『なに?心配してるの?私に会いたかった?声が聞きたかった?』
「っぜ、全部ハズレよバーカバーカ!!」
少し声を聞いただけで。
こんなに安心しちゃうなんて。
『はいはい。ほんと、あなたは可愛いわよね』
「嫌味を言うために電話をしてきたの!?」
色気のない会話でも。
こんなに満たされちゃうなんて。
『あら、バレた?組織にはからかう相手がいないからつまらないのよね』
クスクスと笑い声が携帯電話の向こうで響く。
「私関係ない…………」
じゃない、とは言わず。
───……響く?
「…ベルモット」
『なに?』
私は携帯電話を強く握って。
「………今、どこにいるの…?」
静かに問いかけた。
『………』
無言のベルモット。
『…あるホテルの、地下駐車場よ』
私は玄関へと視線を向ける。
「…そう」
目を閉じて、息を殺して。
「ホテルの…」
『そうよ』
静かに、ゆっくりと玄関へ向かった…。
.
その日の夜。
「…はぁー…」
ベルモットが勝手に置いて行ったワインを開けた。
勝手に開けたら怒られるかな、なんて思ったけど。
私の家にあるんだもの、いいわよね。
「…美味しい…」
高いんだろうなぁ…。
「どんな生活してるのかしら」
ハリウッドの大女優で、さらには組織の幹部。
私たち庶民には考えられないセレブな生活に違いないわ。
「…考えただけでも嫌味な生活ね」
なんて、ちょっとだけ笑みが零れた。
「…どんな生活、か…」
思えば、私はベルモットのことは何も知らない。
向こうは私以上に私を知っているのに。
ずっと疑問だったけど、なぜベルモットは私のことを知ってるんだろう。
出会ったのは4年前。
大学院の卒業式の日。
私は初めて会ったのに、ベルモットはその前から私を知っているようで。
前に聞いたら、“さぁね”なんてはぐらかされた。
「…4年前より前に…会ったことあるのかな」
まぁ、ベルモットは変装のスペシャリストだからどこかでは会ってるでしょうね。
「…なんて」
…私、ベルモットのことばかり考えてる…。
「いかん!これじゃダメよ!」
ワイングラスを置いて、首を振る。
「ベルモットは敵なんだから!」
本来なら、今の現状が当たり前なんだから。
「…清々するわ」
私はワイングラスを手に取り、グラスの中のワインを見つめ続けた。
デロデロデロデロデッデ~ン
「…………何…今の…」
なんか…変な曲が…。
デロデロデロデロデッデ~ン
ほらまた。
どこからかなと思って、ふと携帯電話を見れば光ってる。
デロデロデロデロデッデ~ン
「……私の携帯電話から鳴ってる…」
こ、こんな変な曲にした覚えはないんだけど…。
携帯電話を開き、名前を見ると。
「…ッ!」
非通知からの番号だった。
デロデロデ“ピッ”
「……」
恐る恐るボタンを押し、携帯電話を耳に当てる。
『………もしもしくらい言ったらどうなの…?』
聞こえてきたのは、今の今まで私の頭を支配していたベルモットの声で…。
「……………着音…勝手に変えたでしょ…」
なぜだか知らないけれど。
『今頃気づいたの?もう一ヶ月も前に変えたのに』
心が。
すごく。
落ち着いた。
「勝手に変えないでよ!びっくりするじゃないっ!」
『びっくりしたなら、作戦は成功のようね』
あ、まずい。
「…まったく…」
涙が出そう…。
「……なんで今まで電話して来なかったの?」
『…』
今まで、なぜ音信不通だったのかを問えば無言で。
『…ちょっといろいろ忙しくてね』
喋ったかと思えば誤魔化された。
『なに?心配してるの?私に会いたかった?声が聞きたかった?』
「っぜ、全部ハズレよバーカバーカ!!」
少し声を聞いただけで。
こんなに安心しちゃうなんて。
『はいはい。ほんと、あなたは可愛いわよね』
「嫌味を言うために電話をしてきたの!?」
色気のない会話でも。
こんなに満たされちゃうなんて。
『あら、バレた?組織にはからかう相手がいないからつまらないのよね』
クスクスと笑い声が携帯電話の向こうで響く。
「私関係ない…………」
じゃない、とは言わず。
───……響く?
「…ベルモット」
『なに?』
私は携帯電話を強く握って。
「………今、どこにいるの…?」
静かに問いかけた。
『………』
無言のベルモット。
『…あるホテルの、地下駐車場よ』
私は玄関へと視線を向ける。
「…そう」
目を閉じて、息を殺して。
「ホテルの…」
『そうよ』
静かに、ゆっくりと玄関へ向かった…。
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