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｢………｣

｢どうしたの？アイリ｣

｢あ…いえ…何でもありません…｣




今日は３月２１日。

２月１４日に、ベルモットからチョコレートをもらったから。

ホワイトデーの仕返しをしてやろうかと思って。

３月１４日にチョコレートケーキを用意して待ってたんだけど。

ベルモットは姿を見せず。

翌日も翌々日も。

まったく連絡もなく、今に至る。

思い返すと、３月１４日よりも前から連絡がない。

着信履歴を見れば、２月１７日以降音信不通。

ストーカーから解放されたと嬉しいはずなのに、心のどこかで心配してしまっている自分がいる。

｢…｣

何回も携帯電話を確認しちゃう。

毎日のように鳴っていた携帯電話は今は静か。

｢…別に寂しくないし｣

そうよ。

この心配は、またストーカーされたらどうしようという不安なんだから。

ベルモットのことだから、きっと元気でしょ。

｢…うん、そうよね｣

怪我なんてするヘマはしないでしょうし。

きっと私に飽きたのよ。

………。

そ、それはそれで…ヘコむわね…。

｢百面相して、本当に何でもないの？｣

いろいろ物思いに耽っていれば、美和子さんに顔を覗き込まれた…。

｢な、なんでもありませんて。大丈夫です｣

うん、そうよそうよ。

ベルモットのことだから、またひょっこり顔を出すに決まってるわ。

だから、悩むだけ損よね。

｢…損…よね…｣

ベルモット…。

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