白猫姫 オリヴィエ百合夢
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「……?」
真夜中と呼べる時間帯。
ふと目が覚めれば、アイリの姿がなかった。
なんだ、眠れないのか?
ベッドから降り、僅かに開いている扉からリビングのほうへ行く。
「……」
リビングを見回し、アイリを探す。
「……!」
アイリは電話の前に居て、受話器にただ触れていて。
電話を見つめている眼差しは、どこか寂しそうで不安そうだった。
「ニャー(どうした?)」
「!あら、起きちゃった?」
一声鳴けば、私に気づいて笑みを浮かべた。
中央司令部から電話だったのか?
アイリがソファーに座ったから、私もソファーに飛び乗る。
「ニャア(どうしたんだ)」
「心配してくれてるの?」
「ニャアニャ(当たり前だろうが)」
アイリはクスクス笑って。
「…たまにね?漠然とした不安が押し寄せてくるの」
漠然とした不安。
まだ“あの日”ではないはずなのに。
「多分、私が人体錬成を行なったのが夜だったということも関係してるのかもしれないけど」
アイリは両足を抱えて背中を丸くし、膝に顔を埋めて。
「“あの日”じゃなくても、たまに夜が怖くなる…」
自分の中にある恐怖を口にした。
「…ニャア…(アイリ…)」
「…こういう時にね?声が聞きたくなるの」
声?
誰の声を?
「…“阿保”って口癖のように言ってくるけど、それがすごく心地良くて安心して…」
恐怖が薄れる、と。
私に顔を向けてアイリが小さく笑う。
“たまに”ということは、結構な頻度で不安に陥るのか?
…知らなかった。
アイリは夜中に電話をかけてくることがないから。
なら、今も私へと電話をしようとしたということか。
「…こんな夜中に電話したらさすがに迷惑かなって思って、毎回躊躇ってかけず終い」
気がつけば朝になってるわ、と。
アイリははにかむ。
「なんて、猫ちゃんに話してもわからないわよね」
「ニャアニャニャン(猫ではないからわかる)」
「あー」
私を抱き上げ、腹に乗せる。
背中はアイリが立膝をしているから安定している。
「猫ちゃん、じゃあれかな。飼い猫さんだとしても今だけの借りの名前付けようか」
アイリは私の顔を見て。
「“ミラ”って呼ぼうかしら」
私に名を付けた。
“ミラ”
「ニャ、ニャア(お前、それは)」
「ふふっ、気に入った?この名前はねー」
私に顔を寄せて、耳元で。
「私の好きな人のミドルネームなの」
そう囁いた。
待て、お前。
ちょっと待て。
なぜ今言うんだ。
今の私は猫なんだぞ。
「あいつ、ミドルネームが暇してるからね」
ミドルネームが暇してるってなんだ。
「ニャア(アイリ)」
「ミラ」
「…ニャア(…アイリ)」
「ふふっ、可愛いなぁ」
アイリがクスクス笑う。
猫得?
猫も良いものだ?
良くない。
断じて良くない。
今すぐに戻りたい。
人間に戻って、アイリを抱き締めたい。
「ニャア、ニャ(アイリ、私だ)」
「ん」
ちゅ、とアイリの唇に自分の鼻先を付ける。
「慰めてくれるのー?」
アイリは優しい笑みを浮かべて。
「もしあなたに飼い主さんが居なかったら、引き取らせてもらうから私と家族になりましょうね」
ちゅ、と。
アイリからもキスをしてくれた。
ボンッ
「………え?」
と、同時に。
「…戻った…のか…?」
人の姿に戻った私。
なんというタイミングで…。
.
「……?」
真夜中と呼べる時間帯。
ふと目が覚めれば、アイリの姿がなかった。
なんだ、眠れないのか?
ベッドから降り、僅かに開いている扉からリビングのほうへ行く。
「……」
リビングを見回し、アイリを探す。
「……!」
アイリは電話の前に居て、受話器にただ触れていて。
電話を見つめている眼差しは、どこか寂しそうで不安そうだった。
「ニャー(どうした?)」
「!あら、起きちゃった?」
一声鳴けば、私に気づいて笑みを浮かべた。
中央司令部から電話だったのか?
アイリがソファーに座ったから、私もソファーに飛び乗る。
「ニャア(どうしたんだ)」
「心配してくれてるの?」
「ニャアニャ(当たり前だろうが)」
アイリはクスクス笑って。
「…たまにね?漠然とした不安が押し寄せてくるの」
漠然とした不安。
まだ“あの日”ではないはずなのに。
「多分、私が人体錬成を行なったのが夜だったということも関係してるのかもしれないけど」
アイリは両足を抱えて背中を丸くし、膝に顔を埋めて。
「“あの日”じゃなくても、たまに夜が怖くなる…」
自分の中にある恐怖を口にした。
「…ニャア…(アイリ…)」
「…こういう時にね?声が聞きたくなるの」
声?
誰の声を?
「…“阿保”って口癖のように言ってくるけど、それがすごく心地良くて安心して…」
恐怖が薄れる、と。
私に顔を向けてアイリが小さく笑う。
“たまに”ということは、結構な頻度で不安に陥るのか?
…知らなかった。
アイリは夜中に電話をかけてくることがないから。
なら、今も私へと電話をしようとしたということか。
「…こんな夜中に電話したらさすがに迷惑かなって思って、毎回躊躇ってかけず終い」
気がつけば朝になってるわ、と。
アイリははにかむ。
「なんて、猫ちゃんに話してもわからないわよね」
「ニャアニャニャン(猫ではないからわかる)」
「あー」
私を抱き上げ、腹に乗せる。
背中はアイリが立膝をしているから安定している。
「猫ちゃん、じゃあれかな。飼い猫さんだとしても今だけの借りの名前付けようか」
アイリは私の顔を見て。
「“ミラ”って呼ぼうかしら」
私に名を付けた。
“ミラ”
「ニャ、ニャア(お前、それは)」
「ふふっ、気に入った?この名前はねー」
私に顔を寄せて、耳元で。
「私の好きな人のミドルネームなの」
そう囁いた。
待て、お前。
ちょっと待て。
なぜ今言うんだ。
今の私は猫なんだぞ。
「あいつ、ミドルネームが暇してるからね」
ミドルネームが暇してるってなんだ。
「ニャア(アイリ)」
「ミラ」
「…ニャア(…アイリ)」
「ふふっ、可愛いなぁ」
アイリがクスクス笑う。
猫得?
猫も良いものだ?
良くない。
断じて良くない。
今すぐに戻りたい。
人間に戻って、アイリを抱き締めたい。
「ニャア、ニャ(アイリ、私だ)」
「ん」
ちゅ、とアイリの唇に自分の鼻先を付ける。
「慰めてくれるのー?」
アイリは優しい笑みを浮かべて。
「もしあなたに飼い主さんが居なかったら、引き取らせてもらうから私と家族になりましょうね」
ちゅ、と。
アイリからもキスをしてくれた。
ボンッ
「………え?」
と、同時に。
「…戻った…のか…?」
人の姿に戻った私。
なんというタイミングで…。
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