白猫姫 オリヴィエ百合夢

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セントラルシティに着いた。

行きと同じように駅窓口に見つからないように外に出た。

猫の視点から見るセントラルシティは、とても広い。

それだけではなく人混みも。

まぁ今は猫だ。

人混みなどすり抜けていけばいい。

猫の歩幅だからか、駅から中央司令部までこんなに遠いとは。

「あ、ねこだ」

たまに行き交う人々の目に止まり、私を撫でようとする。

「あ」

すまんな、急いでいるんだ。

屈んで私を撫でようとしたが、スッと避けて先を急ぐ。

「やっぱり野良猫は自由気ままだよなぁ」

無視したにも関わらず、ニコニコしている。

猫得だな。





「…ニャア…(着いた…)」

やっと中央司令部に着いた。

なかなか遠かった。

確か猫の行動範囲は、一日につき半径100m以内。

今の私は数キロ移動したから疲れてもおかしくはないが。

「ニャアニャニャ(そんな鍛え方はしていない)」

中央司令部の門の前には憲兵が立っている。

私は塀に体を密着させ、ゆっくりと憲兵の横をすり抜ける。

ふん。

猫1匹の侵入を許すとは甘いな。

何とか中央司令部内に侵入も出来た。

大丈夫なのか、中央司令部は。

いくら猫といえど、こんなにも簡単に侵入を許して。

見つからないように隅に隠れつつ[#dn=1#]の執務室を目指す。

「……ン?」

ん?

道を間違えたか?

こっちじゃないな…。

いや待て、その角を曲がれば見えるはず。

「……ン?」

……違うな…。

視点が低すぎて、今自分がいる場所すらわからんとは…。

「え、猫?」

「!!」

しまった。

「なんでこんなところに猫が…」

見つかった。

「……」

私はそいつを睨みながら、遠避けるような動きで横を通り過ぎようとしたが。

「こら!駄目だよ!」

「ニャッ!?(なッ!?)」

ひょい、と抱き上げられた。

「ニャニャ!!(離せ!)」

「うわっ!暴れんな!」

「ニ゙ャアニャニャ!!(黙れ!いいから離せ!)」

バタバタと暴れてもなかなか離してもらえず。

傷はつけたくないが仕方ない。

私は爪を出し、そいつの手に向かって振り下ろした。






「何をしているの?」





背後から声が聞こえた。

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