頼みの綱 オリヴィエ百合夢
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「セイフォード少将は何でもできるんですね」
ノースシティの駅にて、マイルズと共にアイリを待つ。
今回の件、本来ならすぐに断っていた。
明日など無理がありすぎるだろう。
どこの世界に“明日雪祭りをやりたい”、“はいそうですか”と二つ返事をする阿呆がいる。
しかし、だ。
市民には雪祭り開催は知らせてあり、ブリッグズ要塞前で行うためどういう雪像があるかは当日まで明かさなかったらしい。
それを功を成したのか、市民は雪像が一つも出来ていないことに気づかず雪祭りを楽しみにしているとかで。
知るかと吐き捨ててやりたかったが、泣きつかれてな…。
この状況を打破出来るのはアイリしかいないと思い、頼みに行った。
あいつは忙しいから、かなり無理な頼みではある。
しかし。
“終電までに終わらせてそっちに行くわ”
そう言って、受けてくれた。
雪像のイラスト、個数、サイズ、会場の規模などを用意しておけば、あとはアイリが色々計算してやってくれるようだ。
「今回も断られるかと思いましたが」
「あまり無理はさせたくないんだがな」
普段から無理をしている分、無理はさせたくない。
だが今回はアイリ以外ではどうにも出来ない件だったから。
私から頼み事をすることはないため、珍しく思って受けてくれたのだろう。
「あ、汽車が来ましたよ」
「む」
話をしているうちに終電の汽車が到着し、アイリが出てきた。
「あら、オリヴィエ自らお迎えに来てくれたのね」
「あぁ」
アイリは薄手のコートを羽織っていた。
この地でそのコートは寒いだろうな。
「お疲れ様です、アイリ少将」
「ご苦労様。マイルズ少佐もありがとう」
「とんでもないです。車を出してきますね」
「うむ」
私はコートを脱いで。
「これを着ろ」
「え?」
アイリへ差し出す。
「それでは寒いぞ。この地の寒さは知っているだろう」
「借りようとは思ってたけど、着てるやつだとオリヴィエだって寒いでしょ?」
「私は要塞にもう一着ある」
ズイッと差し出し、手渡す。
アイリは私とコートを交互に見て。
「ありがと」
小さく笑い、自分のコートを脱いで私のコートを着た。
私は私でアイリが着ていたコートを着る。
「あったかーい」
「今の今まで着てたからな」
で、終電だから周りには誰も居ないしマイルズも居ない。
「わ!?なに…っん…ぅ…」
アイリの手を引き、キスをする。
アイリは目を見開いたが、応えるように舌を絡め合わせた。
「は…」
「は」
離れた時には透明の糸が伝う。
「…いきなり」
「欲求不満なんだ」
アイリを抱きたいが今はそれどころではない。
「あは!欲求不満なんだ?」
「あぁ。今すぐお前を抱きたい衝動を抑えている」
アイリはクスクス笑い、私はそんなアイリに茶封筒を渡す。
「あ、雪像にするキャラクターちゃんとした写真にしてくれたのね」
「そのほうがわかりやすいだろう」
「えぇ、名前だけ言われても作れないから助かるわ」
助かるはこちらの台詞だ。
「雪像のサイズは…結構大きいわね。しかも個数も32個となかなかの数…」
「これでも結構減らしたんだがな」
「最初は何体だったの?」
「50」
「50はさすがにね…」
などと会話をしながらマイルズが待つ車へ行く。
駅から出て、足元に積もる雪に触れる。
「ふーん、良い雪ね」
「サラサラでもないから雪像が作りやすいかもな」
「えぇ」
車に乗り込み、私もアイリも後部座席に座る。
「何とかなりそうですか?」
「そうねぇ」
マイルズの質問に、アイリは窓枠に肘を掛けて。
「何とかなりそうじゃなくて、何とかしてみせるわ」
不敵に笑った。
「…さすがだな。雷鳴の」
「頼りにしてます」
本当に、こいつはこういうところがあるから頼もしい。
アイリに任せたなら大丈夫、という絶対的な安堵感がある。
「ちゃんと今の気温と明日の気温も書いてくれてるのね」
「あぁ、必要だろう」
気温次第で雪の密度も変わってくるからな。
「あとは雪像のサイズに対してどれだけ雪が必要かを算出して、かな」
こりゃかかるなぁ、と零すが無理とは言わない。
「我々ももちろん手伝います」
「えぇ、ありがとね」
ありがとうはこちらの台詞だ。
本当にこいつは、人が良すぎる奴だよまったく…。
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「セイフォード少将は何でもできるんですね」
ノースシティの駅にて、マイルズと共にアイリを待つ。
今回の件、本来ならすぐに断っていた。
明日など無理がありすぎるだろう。
どこの世界に“明日雪祭りをやりたい”、“はいそうですか”と二つ返事をする阿呆がいる。
しかし、だ。
市民には雪祭り開催は知らせてあり、ブリッグズ要塞前で行うためどういう雪像があるかは当日まで明かさなかったらしい。
それを功を成したのか、市民は雪像が一つも出来ていないことに気づかず雪祭りを楽しみにしているとかで。
知るかと吐き捨ててやりたかったが、泣きつかれてな…。
この状況を打破出来るのはアイリしかいないと思い、頼みに行った。
あいつは忙しいから、かなり無理な頼みではある。
しかし。
“終電までに終わらせてそっちに行くわ”
そう言って、受けてくれた。
雪像のイラスト、個数、サイズ、会場の規模などを用意しておけば、あとはアイリが色々計算してやってくれるようだ。
「今回も断られるかと思いましたが」
「あまり無理はさせたくないんだがな」
普段から無理をしている分、無理はさせたくない。
だが今回はアイリ以外ではどうにも出来ない件だったから。
私から頼み事をすることはないため、珍しく思って受けてくれたのだろう。
「あ、汽車が来ましたよ」
「む」
話をしているうちに終電の汽車が到着し、アイリが出てきた。
「あら、オリヴィエ自らお迎えに来てくれたのね」
「あぁ」
アイリは薄手のコートを羽織っていた。
この地でそのコートは寒いだろうな。
「お疲れ様です、アイリ少将」
「ご苦労様。マイルズ少佐もありがとう」
「とんでもないです。車を出してきますね」
「うむ」
私はコートを脱いで。
「これを着ろ」
「え?」
アイリへ差し出す。
「それでは寒いぞ。この地の寒さは知っているだろう」
「借りようとは思ってたけど、着てるやつだとオリヴィエだって寒いでしょ?」
「私は要塞にもう一着ある」
ズイッと差し出し、手渡す。
アイリは私とコートを交互に見て。
「ありがと」
小さく笑い、自分のコートを脱いで私のコートを着た。
私は私でアイリが着ていたコートを着る。
「あったかーい」
「今の今まで着てたからな」
で、終電だから周りには誰も居ないしマイルズも居ない。
「わ!?なに…っん…ぅ…」
アイリの手を引き、キスをする。
アイリは目を見開いたが、応えるように舌を絡め合わせた。
「は…」
「は」
離れた時には透明の糸が伝う。
「…いきなり」
「欲求不満なんだ」
アイリを抱きたいが今はそれどころではない。
「あは!欲求不満なんだ?」
「あぁ。今すぐお前を抱きたい衝動を抑えている」
アイリはクスクス笑い、私はそんなアイリに茶封筒を渡す。
「あ、雪像にするキャラクターちゃんとした写真にしてくれたのね」
「そのほうがわかりやすいだろう」
「えぇ、名前だけ言われても作れないから助かるわ」
助かるはこちらの台詞だ。
「雪像のサイズは…結構大きいわね。しかも個数も32個となかなかの数…」
「これでも結構減らしたんだがな」
「最初は何体だったの?」
「50」
「50はさすがにね…」
などと会話をしながらマイルズが待つ車へ行く。
駅から出て、足元に積もる雪に触れる。
「ふーん、良い雪ね」
「サラサラでもないから雪像が作りやすいかもな」
「えぇ」
車に乗り込み、私もアイリも後部座席に座る。
「何とかなりそうですか?」
「そうねぇ」
マイルズの質問に、アイリは窓枠に肘を掛けて。
「何とかなりそうじゃなくて、何とかしてみせるわ」
不敵に笑った。
「…さすがだな。雷鳴の」
「頼りにしてます」
本当に、こいつはこういうところがあるから頼もしい。
アイリに任せたなら大丈夫、という絶対的な安堵感がある。
「ちゃんと今の気温と明日の気温も書いてくれてるのね」
「あぁ、必要だろう」
気温次第で雪の密度も変わってくるからな。
「あとは雪像のサイズに対してどれだけ雪が必要かを算出して、かな」
こりゃかかるなぁ、と零すが無理とは言わない。
「我々ももちろん手伝います」
「えぇ、ありがとね」
ありがとうはこちらの台詞だ。
本当にこいつは、人が良すぎる奴だよまったく…。
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