このままあなたを アルフォンス語り オリヴィエ百合夢
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それから色々回って、たくさん話した。
たくさん笑った。
たくさん食べた。
アイリさんはずっと楽しそうに笑ってくれてたから、すごく安心した。
「綺麗ねー」
「うん、本当に綺麗だね」
夕暮れ時。
浜辺を歩く僕ら。
夕焼けに照らされる海はすごく綺麗で。
それに照らされるアイリさんもすごく綺麗だった。
「今日一日どうだった?」
アイリさんに聞けば。
「すっごく楽しかったわ!」
やっぱり楽しそうに笑ってくれた。
「それならよかった」
本当はもっといろんなところに行きたかった。
もっとアイリさんと話して。
もっと一緒に居たかった。
「冷たー!」
アイリさんはサンダルを脱いで波打ち際を歩く。
好きだ。
風になびく髪を押さえる仕草。
その海水の冷たさにキャッキャとはしゃぐ姿。
「アルフォンスもー!」
僕を呼ぶその優しい声。
全部、全部。
好きだ。
でも、アイリさんからしたら僕はまだ子供。
今日もデートじゃなくて、多分一緒に“出掛けてる”程度なんだろう。
今日はあの時交わした子供との約束を守ってくれたに過ぎないんだ。
きっとこの先も、僕を一人の男として見てくれることはない。
……だったら。
僕は先を歩くアイリさんの腕を掴んで。
「アルフォンス?」
子供として。
子供の特権をフル活用して。
「どう……………」
子供の悪戯をしよう。
僕は僕の名前を告ぐアイリさんのその唇に。
軽く、触れるだけの。
キスをした。
見開かれるアイリさんの瞳。
「アル「子供の悪戯として許してよ」
アイリさんから離れ、アイリさんの言葉を遮るようにはにかむと。
「……わかったわ。」
アイリさんは許してくれた。
「でも」
「え?」
アイリさんは真っ直ぐ僕を見つめて。
「次は許さないわよ?」
そう言った。
「えー!厳しいなぁ」
「当たり前でしょ!私は人妻なんですからね!」
またいつもみたいに、優しく笑ってくれた。
ああ、好きだ。
こんなに好きなのに。
あなたの隣にいることが出来ないなんて。
「あ!」
声の方を見れば。
「アームストロング少将…」
遠くにアームストロング少将が立っていた。
なんで居るんだろうって思った。
でも尾行されてた気配はないし。
そんなことをする人でもない。
「オリヴィエー!!」
アイリさんは走ってアームストロング少将のところに行った。
走って、その勢いのままアームストロング少将に抱きついて。
転んで、びしょびしょになってる。
二人で笑ってる顔を見たらとても幸せそうで。
「アームストロング少将、なんでいるんですか?」
「鋼のから聞いた」
まったく兄さんは。
周りを見回しても兄さんはいない。
兄さんは来てないのかな。
「アルフォンス、今日はありがとう」
「ううん。僕こそ今日はありがとうございました」
アームストロング少将はアイリさんを迎えに来たってことか。
「じゃあ、またね」
「旅は気をつけて行けよ?」
「はい、気をつけます」
そうして、アイリさんとのデートは終わりを告げた。
アイリさんとアームストロング少将の背中を見つめる。
わかってた。
わかってただろ。
僕じゃダメなんだ。
アームストロング少将じゃなきゃ、アイリさんはダメなんだ。
アイリさんが僕に向ける笑顔はとても優しいけれど。
アームストロング少将に向ける笑顔は、とても愛おしそうで。
僕じゃアイリさんは幸せになれないんだ。
アームストロング少将の隣で、初めて幸せそうに笑うんだ。
泣くな。
泣くな。
わかってたんだ。
わかってたことなんだから。
「アームストロング少将ーー!!」
僕がアームストロング少将を呼び止めると、アイリさんとアームストロング少将は立ち止まって僕のほうを向いた。
「アイリさんを幸せにしてあげてくださーい!!」
僕はアイリさんが好きだ。
だからこそ。
アイリさんが幸せそうに笑うなら。
たとえそれが、僕の力じゃなくても。
あなたが笑うなら。
僕はそれだけでいい。
アームストロング少将とアイリさんは顔を見合わせて。
「約束する」
アームストロング少将は約束をしてくれた。
僕はあなたが好きだ。
この想いが思い出に変わるくらい良い人を見つけて。
あなた以上に好きだと思える人を見つけて。
いつか、あなたに紹介したいな。
見えなくなったアームストロング少将たち。
途端に涙が溢れて。
何回も拭うと。
「アル!」
兄さんの声がした。
そちらを見ると、兄さんが仁王立ちしてて。
「あっちで花火が上がるらしいから、行くぞアル!」
ニッと笑った。
僕は溢れて来る涙をもう一回拭って。
「アイリさんと見たかったなぁ」
「てめ!オレじゃだめだっつーのかよ!」
ニッと笑って。
「良い人見つけるぞー!」
海に向かって、そう叫んだ。
僕はあなたが好きだ。
この想いがいつか過去形に変わるまで。
アイリさん。
あなたを好きなままでいてもいいですか?
END
それから色々回って、たくさん話した。
たくさん笑った。
たくさん食べた。
アイリさんはずっと楽しそうに笑ってくれてたから、すごく安心した。
「綺麗ねー」
「うん、本当に綺麗だね」
夕暮れ時。
浜辺を歩く僕ら。
夕焼けに照らされる海はすごく綺麗で。
それに照らされるアイリさんもすごく綺麗だった。
「今日一日どうだった?」
アイリさんに聞けば。
「すっごく楽しかったわ!」
やっぱり楽しそうに笑ってくれた。
「それならよかった」
本当はもっといろんなところに行きたかった。
もっとアイリさんと話して。
もっと一緒に居たかった。
「冷たー!」
アイリさんはサンダルを脱いで波打ち際を歩く。
好きだ。
風になびく髪を押さえる仕草。
その海水の冷たさにキャッキャとはしゃぐ姿。
「アルフォンスもー!」
僕を呼ぶその優しい声。
全部、全部。
好きだ。
でも、アイリさんからしたら僕はまだ子供。
今日もデートじゃなくて、多分一緒に“出掛けてる”程度なんだろう。
今日はあの時交わした子供との約束を守ってくれたに過ぎないんだ。
きっとこの先も、僕を一人の男として見てくれることはない。
……だったら。
僕は先を歩くアイリさんの腕を掴んで。
「アルフォンス?」
子供として。
子供の特権をフル活用して。
「どう……………」
子供の悪戯をしよう。
僕は僕の名前を告ぐアイリさんのその唇に。
軽く、触れるだけの。
キスをした。
見開かれるアイリさんの瞳。
「アル「子供の悪戯として許してよ」
アイリさんから離れ、アイリさんの言葉を遮るようにはにかむと。
「……わかったわ。」
アイリさんは許してくれた。
「でも」
「え?」
アイリさんは真っ直ぐ僕を見つめて。
「次は許さないわよ?」
そう言った。
「えー!厳しいなぁ」
「当たり前でしょ!私は人妻なんですからね!」
またいつもみたいに、優しく笑ってくれた。
ああ、好きだ。
こんなに好きなのに。
あなたの隣にいることが出来ないなんて。
「あ!」
声の方を見れば。
「アームストロング少将…」
遠くにアームストロング少将が立っていた。
なんで居るんだろうって思った。
でも尾行されてた気配はないし。
そんなことをする人でもない。
「オリヴィエー!!」
アイリさんは走ってアームストロング少将のところに行った。
走って、その勢いのままアームストロング少将に抱きついて。
転んで、びしょびしょになってる。
二人で笑ってる顔を見たらとても幸せそうで。
「アームストロング少将、なんでいるんですか?」
「鋼のから聞いた」
まったく兄さんは。
周りを見回しても兄さんはいない。
兄さんは来てないのかな。
「アルフォンス、今日はありがとう」
「ううん。僕こそ今日はありがとうございました」
アームストロング少将はアイリさんを迎えに来たってことか。
「じゃあ、またね」
「旅は気をつけて行けよ?」
「はい、気をつけます」
そうして、アイリさんとのデートは終わりを告げた。
アイリさんとアームストロング少将の背中を見つめる。
わかってた。
わかってただろ。
僕じゃダメなんだ。
アームストロング少将じゃなきゃ、アイリさんはダメなんだ。
アイリさんが僕に向ける笑顔はとても優しいけれど。
アームストロング少将に向ける笑顔は、とても愛おしそうで。
僕じゃアイリさんは幸せになれないんだ。
アームストロング少将の隣で、初めて幸せそうに笑うんだ。
泣くな。
泣くな。
わかってたんだ。
わかってたことなんだから。
「アームストロング少将ーー!!」
僕がアームストロング少将を呼び止めると、アイリさんとアームストロング少将は立ち止まって僕のほうを向いた。
「アイリさんを幸せにしてあげてくださーい!!」
僕はアイリさんが好きだ。
だからこそ。
アイリさんが幸せそうに笑うなら。
たとえそれが、僕の力じゃなくても。
あなたが笑うなら。
僕はそれだけでいい。
アームストロング少将とアイリさんは顔を見合わせて。
「約束する」
アームストロング少将は約束をしてくれた。
僕はあなたが好きだ。
この想いが思い出に変わるくらい良い人を見つけて。
あなた以上に好きだと思える人を見つけて。
いつか、あなたに紹介したいな。
見えなくなったアームストロング少将たち。
途端に涙が溢れて。
何回も拭うと。
「アル!」
兄さんの声がした。
そちらを見ると、兄さんが仁王立ちしてて。
「あっちで花火が上がるらしいから、行くぞアル!」
ニッと笑った。
僕は溢れて来る涙をもう一回拭って。
「アイリさんと見たかったなぁ」
「てめ!オレじゃだめだっつーのかよ!」
ニッと笑って。
「良い人見つけるぞー!」
海に向かって、そう叫んだ。
僕はあなたが好きだ。
この想いがいつか過去形に変わるまで。
アイリさん。
あなたを好きなままでいてもいいですか?
END
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