'


「赤コーナー！“鉄血の錬金術師” バスク・グラン！！」

呼ばれたグランが舞台に現れると、歓声が上がる。

頑張ってください！

負けるな！

などなど、たくさんの声援にグランは片手を上げる。

「青コーナー！！“雷鳴の錬金術師” アイリ・セイフォード！！」

続いてアイリの名を呼ぶと、グランよりも大きな声援が上がった。

愛してるー！

付き合ってください！

尊敬してます！

一生ついて行きます！

などなど、声援とはまた違った声もあった。

「今日この日をどれだけ楽しみにしていたか」

「お手柔らかに」

相対するアイリとグラン。

グランはバキバキと指を鳴らし、ニヤリと笑う。

そして。




「それではー！！！READY FIGHT！！」




鳴らされたゴング。


最初に動いたのは。

「むぅううん！！」

グラン。


グランの錬金術は武器を造り出すこと。

グランはガンッと拳を合わせ、地面に手を付いて。


「へぇ」


大砲を造り出した。

放れた大砲は猛スピードでアイリに襲いかかるが。


パチン、とアイリが指を弾けば。


「な………！？」


アイリの目の前で分解され、消えてなくなった。

しかしグランは攻撃の手を緩めず、あらゆる武器を錬成してアイリへ放つが全て分解される。

「ちぃ！」

錬成をやめ、アイリへ拳を放つが躱される。

アイリは余裕に笑みを浮かべて、次々に放たれる拳を軽やかに躱して。

「いいの？」

口を開く。






「こんなに私に近づいて。いいの？」





放たれた拳を躱し、手首を掴み。

「ぐ……ッ！こんなもの……ッ」

素早く後ろに回り込み捻り上げて。

グランの耳元で。




「お疲れ様でした、グラン准将」




そう囁いた瞬間。


ビリビリビリビリッッ！！！
「ぎゃああああ！！」



と、電流を流し込んだ。

パッとアイリが手を離すと、倒れ込んだグラン。

「担架、持ってきて」

ヒューズへと視線を向け、ニコリと笑った。


わぁあああああ！！！


大歓声。

会場はもう大歓声に包まれた。

アイリの錬金術を直で見た者たちによる大歓声は鳴り止まず。

大歓声の中、グランは運ばれていった…。

「指を弾くことで錬金術を使うのか」

アイリの錬金術の発動を冷静に分析している。クロノ

ふとクロノがアイリを見ると、アイリは逆さまにクロノへ人差し指を向けていて。

不敵に笑み、クイクイッと二回屈伸させたから。

「…上等」

クロノも不敵な笑みを返した。



.