'


「担架だ！早く！」

ヒューズがクロノに走り寄り、体を起こす。

ロイもリザも駆け寄る。

「アサシンだろ…もう…」

クロノは苦笑いを浮かべる。

「あそこまでだったとは…」

ロイもクロノの様子を見て青ざめる。

「…大丈夫ですか…？」

動けないクロノを心配するように見つめるリザ。

「いや…大丈夫ではない…首折れてないかな…すごく痛い…」

「大丈夫よ、折れてはいないわ」

クスクス笑うアイリは、先程の雰囲気とは違って優しい雰囲気だ。

そんなアイリを見つめ、アイリの奥で騒ぎ散らしている男たちを見つめて。

「せめて…食らってください…」

「え？」

ニヤリと笑ったクロノがグッと拳を握ると、何か錬成反応が起こり…そして。





バシャーンッ！！
「………ッ！！」




アイリの頭上から大量の水が降ってきた。

「それ、鉄球でしたら死んでましたよ」

さっき言われたようなことを言い返し、悪戯に笑うアイリ。

「……戦いは終わったはずだけど…」

アイリは前髪を掻き上げ、ピキピキとコメカミに青筋を浮かべた時。

「お……おおお……！」

「ピンク…」

「眼福や…至福…」

「よくやった…アルバート！」

クロノを称賛する歓声が上がる。

「「「………」」」

ロイもヒューズもリザも、顔を真っ赤にさせてアイリを見ていて。

「なに？」

アイリはわけが分からず首を傾げれば。




「白いワイシャツって、濡れると透けるんですよね」




担架に乗せられるクロノが一言言えば、アイリは自分の体を見て。

「ッッッ！！！このエロ坊主！！！」

ようやく自分の状況に気付き、胸を両手で覆った。

そう。

クロノの最後の悪あがきによる水攻撃で、アイリはずぶ濡れ。

白いワイシャツは水圧で体に貼り付き、ボディラインとピンクの下着を露わにさせていた。

「さっさと上着を着ろ阿呆！」

オリヴィエがアイリへと上着を投げ渡し、アイリは急いでそれを着た。

「覚悟しときなさいね！」

担架で運ばれて行くクロノにそう叫べば、クロノはピースサインをして答えた…。




それから、アレックスの試合やその他の国家錬金術師はアイリとの戦いを見て棄権をして、戦闘査定は終了した…。


.