戦闘査定 オリヴィエ百合夢
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ロイの叫び声を同時だった。
「ぐ…く…ッ」
アイリの手によって創り出された氷の刀に。
左肩を斬られた。
「安易に間合いに入るものじゃないわよ」
まさにノーモーションでのことだった。
「……卑怯なんですよ。誘導なんて」
「あら。誘導されるほうが悪いんじゃないかしら」
誘導。
そう、アイリは“指を鳴らすことで錬金術を発動させる”と思い込ませていたのだ。
しかし実際は、指を鳴らさずに錬金術を発動させることが出来る。
「(ノーモーション、か。なぜそれが可能なんだ)」
錬金術師である以上、錬成陣は絶対に必要。
ノーモーションなんてあり得ない。
ではどこに?
「…(…しかしこの人…錬成スピードが異常に速い…)」
ノーモーションとされる錬金術のスピード。
瞬きしている間に変わることがある。
錬成反応も極めて小さい。
「…恐ろしいな」
ロイが小さく呟き、アイリを見つめる。
「…(そうか…警戒すべきは“雷鳴”じゃない…)」
クロノは左肩の傷に触れ、ギリリと歯を食いしばる。
そう。
警戒すべきは“雷鳴”ではない。
警戒すべきは。
恐ろしく速い錬成スピードと。
そのスピードに対応出来る動体視力。
「…(目だ…この人は目に錬成陣を刻んでいる…。)」
流れる視線で相手の動きを見極め、瞬きで錬金術を使っていることに気付いた。
「(化け物だな…)」
クロノは左肩を握る手に力が入る。
「ふむ」
クロノの目つきが変わったのを感じ取り、アイリは周りを見渡した。
この戦いを見るために集まった観覧者たち。
数百、数千はいるかもしれない。
アイリは片手を上げて。
「上着、脱いでもいいかしら」
軍服の上着のボタンを外した。
「は、はい…」
ヒューズがそう言うと、アイリはお礼を言って上着をオリヴィエのところまで持って行く。
「やるのか」
「ええ。練兵場が壊れる前に決めないとね」
オリヴィエは上着を受け取り、アイリは白いワイシャツの第二ボタンまで外して動きやすくする。
舞台へ戻り、手当てを終えたクロノと向き合う。
「…負けたらヒューズに何を言われるかわかりませんので、負けられません」
クロノが拳を握れば、氷ではなく“炎の刀“を造り出した。
「さすがは“天剣の錬金術師”ね」
見事なものだわ、とアイリが目を細めた。
「行きます」
「えぇ」
お互い構え、同時に地を蹴った。
振り上げる“炎の刀”は錬成し直されないよう少し成質を変えて。
体術も駆使し、先程とはまるで違う動きをするクロノに対し、アイリはクロノの動きに順応して躱していく。
クロノが“炎の刀”を振るえば空気が揺れる。
綺麗な刀だと思いながら、アイリはぶつぶつと何かを呟いている。
「(なんだ?何を呟いている?)」
その呟きはあまりに小さく、クロノにも聞こえない。
そして。
「本当に見事な錬金術だわ。でもね」
アイリの視線がクロノの“炎の刀”に移った瞬間。
「な…ッ!!んだよ……ッッ!!!」
パリッと錬成反応が聞こえたと思ったら、クロノの手から“炎の刀”は消えた。
「解読されちゃうのは、まだまだ甘ちゃんかしら」
そう。
アイリは“炎の刀”をずっと分析していたのだ。
普通の成質ではない。
氷、土、水、風、雷。
あらゆる可能性を考え、分解してみせた。
それに油断し、一瞬怯んだのをアイリは見逃さず。
クロノの右手首を掴んで。
「ッしまっ……!!!」
回転で威力を殺さずそのまま。
ドガッッ
「ぐ……ぁ……ッッッ!!!」
クロノの首に肘を食らわせた。
数メートル飛ばされる。
「…折れたんじゃないのか…首…」
「いや、アルバートの奴、ヒットする直前で少し前に踏み込んでいる」
折れてはいないが、かなりの大ダメージだろう。
静まり返る練兵場。
「ぐ…っ」
負けられない。
どんな理由だろうと、“頼む”と言われた以上。
負けられない。
脳震盪が起きているだろうクロノは、震えながらも立ち上がろうとする。
しかし。
アイリはクロノの後ろにいて。
「あなたの唯一の敗因は」
横目でクロノを見つめて。
「私を本気にさせたこと」
舞台全体に、“雷鳴”の錬成陣を錬成した。
目を細め自分を見ているその眼差しは。
言葉通り、本気だった。
見たことがない鋭い眼差しで。
クロノはヒューズを見つめ、痛む首を振りパタリと仰向けに倒れて。
そして。
「…参った…降参です…」
片手を上げて降参した。
アイリは目を閉じて。
「ん。よろしい」
ニコリと優しく微笑んだ。
“雷鳴”vs“天剣”
“天剣”の完全な敗北で幕を下ろした…。
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ロイの叫び声を同時だった。
「ぐ…く…ッ」
アイリの手によって創り出された氷の刀に。
左肩を斬られた。
「安易に間合いに入るものじゃないわよ」
まさにノーモーションでのことだった。
「……卑怯なんですよ。誘導なんて」
「あら。誘導されるほうが悪いんじゃないかしら」
誘導。
そう、アイリは“指を鳴らすことで錬金術を発動させる”と思い込ませていたのだ。
しかし実際は、指を鳴らさずに錬金術を発動させることが出来る。
「(ノーモーション、か。なぜそれが可能なんだ)」
錬金術師である以上、錬成陣は絶対に必要。
ノーモーションなんてあり得ない。
ではどこに?
「…(…しかしこの人…錬成スピードが異常に速い…)」
ノーモーションとされる錬金術のスピード。
瞬きしている間に変わることがある。
錬成反応も極めて小さい。
「…恐ろしいな」
ロイが小さく呟き、アイリを見つめる。
「…(そうか…警戒すべきは“雷鳴”じゃない…)」
クロノは左肩の傷に触れ、ギリリと歯を食いしばる。
そう。
警戒すべきは“雷鳴”ではない。
警戒すべきは。
恐ろしく速い錬成スピードと。
そのスピードに対応出来る動体視力。
「…(目だ…この人は目に錬成陣を刻んでいる…。)」
流れる視線で相手の動きを見極め、瞬きで錬金術を使っていることに気付いた。
「(化け物だな…)」
クロノは左肩を握る手に力が入る。
「ふむ」
クロノの目つきが変わったのを感じ取り、アイリは周りを見渡した。
この戦いを見るために集まった観覧者たち。
数百、数千はいるかもしれない。
アイリは片手を上げて。
「上着、脱いでもいいかしら」
軍服の上着のボタンを外した。
「は、はい…」
ヒューズがそう言うと、アイリはお礼を言って上着をオリヴィエのところまで持って行く。
「やるのか」
「ええ。練兵場が壊れる前に決めないとね」
オリヴィエは上着を受け取り、アイリは白いワイシャツの第二ボタンまで外して動きやすくする。
舞台へ戻り、手当てを終えたクロノと向き合う。
「…負けたらヒューズに何を言われるかわかりませんので、負けられません」
クロノが拳を握れば、氷ではなく“炎の刀“を造り出した。
「さすがは“天剣の錬金術師”ね」
見事なものだわ、とアイリが目を細めた。
「行きます」
「えぇ」
お互い構え、同時に地を蹴った。
振り上げる“炎の刀”は錬成し直されないよう少し成質を変えて。
体術も駆使し、先程とはまるで違う動きをするクロノに対し、アイリはクロノの動きに順応して躱していく。
クロノが“炎の刀”を振るえば空気が揺れる。
綺麗な刀だと思いながら、アイリはぶつぶつと何かを呟いている。
「(なんだ?何を呟いている?)」
その呟きはあまりに小さく、クロノにも聞こえない。
そして。
「本当に見事な錬金術だわ。でもね」
アイリの視線がクロノの“炎の刀”に移った瞬間。
「な…ッ!!んだよ……ッッ!!!」
パリッと錬成反応が聞こえたと思ったら、クロノの手から“炎の刀”は消えた。
「解読されちゃうのは、まだまだ甘ちゃんかしら」
そう。
アイリは“炎の刀”をずっと分析していたのだ。
普通の成質ではない。
氷、土、水、風、雷。
あらゆる可能性を考え、分解してみせた。
それに油断し、一瞬怯んだのをアイリは見逃さず。
クロノの右手首を掴んで。
「ッしまっ……!!!」
回転で威力を殺さずそのまま。
ドガッッ
「ぐ……ぁ……ッッッ!!!」
クロノの首に肘を食らわせた。
数メートル飛ばされる。
「…折れたんじゃないのか…首…」
「いや、アルバートの奴、ヒットする直前で少し前に踏み込んでいる」
折れてはいないが、かなりの大ダメージだろう。
静まり返る練兵場。
「ぐ…っ」
負けられない。
どんな理由だろうと、“頼む”と言われた以上。
負けられない。
脳震盪が起きているだろうクロノは、震えながらも立ち上がろうとする。
しかし。
アイリはクロノの後ろにいて。
「あなたの唯一の敗因は」
横目でクロノを見つめて。
「私を本気にさせたこと」
舞台全体に、“雷鳴”の錬成陣を錬成した。
目を細め自分を見ているその眼差しは。
言葉通り、本気だった。
見たことがない鋭い眼差しで。
クロノはヒューズを見つめ、痛む首を振りパタリと仰向けに倒れて。
そして。
「…参った…降参です…」
片手を上げて降参した。
アイリは目を閉じて。
「ん。よろしい」
ニコリと優しく微笑んだ。
“雷鳴”vs“天剣”
“天剣”の完全な敗北で幕を下ろした…。
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