聖夜の奇跡 オリヴィエ百合夢
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「父上に“たまには帰ってこい”と言われてな」
だから渋々実家に戻った、とオリヴィエは応接用のソファーに座り足を組む。
アイリも立ち上がり、向かい側に座る。
「たまには家族団欒で食事をしたいのよ」
「阿呆か。子供でもあるまいに」
アイリはクスクス笑う。
「コーヒーでもいい?」
「構わん」
そしてコーヒーを淹れて、オリヴィエの前に置いた。
「外、寒かったでしょ」
「ブリッグズに比べれば、寒いうちにはいらんわ」
「確かにあの地は寒いものね…」
それでも何か温まるものはないかと辺りを見回す。
「アイリ」
「なぁに?」
ふいにオリヴィエがアイリの名を呼ぶ。
「明日も仕事なのか?」
「有能な将官たちが帰って来てくれれば休めるわ」
「…つまり仕事なんだな」
アイリはきょとん顔を浮かべ、ニヤリと笑って。
「なにー?クリスマス、一緒に過ごしたかった?」
そう問いかけると。
「阿呆。そんな関係か」
はっ、と吐き捨てられた。
「違うけど、もっと優しく言ってちょうだいよ」
いつも通りの口調ではあるが、少しだけ期待をしていたのか、オリヴィエに気づかれないように肩を落とす。
自分のコーヒーを取りに行くべく立ち上がり、デスクへと戻る。
「あ」
その時に見えた窓の外。
「どうした?」
オリヴィエも立ち上がり、アイリの隣に立つ。
「雪が降ってきたわ」
「雪などブリッグズで嫌というほど見ている」
「それはそうでしょうけど、イヴの夜に降る雪は普段降る雪とは意味が違うのよ」
聖夜の夜に降る雪はとても神秘的で。
煌びやかに彩る街も、雪が降ることで一層映える。
「こんなイヴの夜に、指令部の執務室にいるなんて…」
夢がないなぁ、と零すアイリに。
「…そんなこともあるまい」
オリヴィエはコートのポケットに手を入れる。
「あるわよー…だって……ん?」
そして、小さな小箱を取り出して。
「ほら」
アイリの手を引き、渡した。
「え?」
渡された小箱とオリヴィエを交互に見つめて。
「なに…これ……え…?」
驚愕の表情を浮かべるアイリの声が震えてきて。
「クリスマスなど正直どうでもよかったんだが」
オリヴィエは驚きすぎて開けることを忘れらている小箱を取り、フタを開けて。
「たまには、こんな夜があってもいいのかもしれないな」
小箱の中を見せた。
「うそ…」
小箱の中にあったのはシンプルなシルバーリングで。
「まぁ、時が来るまでは首にでもぶら下げておけ」
そのシルバーリングにはチェーンがついており、そのチェーンを手に取りアイリへと差し出した。
時が来るまで。
「…っっっ」
その言葉の意味を理解したアイリの瞳から、涙が溢れた。
拭っても拭って。
どんどん溢れて来る涙。
アイリはシルバーリングに手を添えて。
「付けて、くれる…?」
そう願うと。
「あぁ」
オリヴィエは小さく笑み、そっとアイリに首に手を回した。
自然と近づく顔。
オリヴィエをアイリは見つめ合って。
「…ん…」
静かに唇を合わせた。
ずっと独りで過ごしていた聖なる夜。
クリスマスなんてなくなればいいのに。
リア充爆ぜろ、と思っていたのに。
まさか自分もリア充の仲間入りになるなんて、思ってもみなかった。
アイリは自分の首元で淡く光るシルバーリングを見つめて。
「あ、私からもあるのよ」
「なに?」
「はいこれ」
「……手編みか?」
「えぇ。仕事の合間に編んでたの。ちょっと長すぎたかしら」
アイリはオリヴィエに送ったマフラーを取り、オリヴィエの首に巻く。
「いや、長めのほうがいい」
オリヴィエは首元にあるマフラーに触れて。
「…うむ」
ぐりぐりを顔に押し当てた。
その様子を見て、アイリは綺麗に微笑んで。
「メリークリスマス、オリヴィエ」
そっとオリヴィエの額にキスを落とした。
今日みたいな特別な日に、少しだけ顔が見たかった。
過ごしたいって思うのはわがままだから。
だから顔を見れればそれでよかった。
錬金術師のような科学者は、神様なんて曖昧な存在は信じないけど。
でも。
今だけは信じてもいいかもしれない。
今日だけは、神様はいるんだって信じて。
「食堂貸切って、クリスマスを指令部で過ごす寂しい野郎どもに何かご馳走でも作ろうかしら」
「材料はどうするんだ」
「そこはほら、アームストロングの名前で何とかなるでしょ?」
「…ならなくはないな。だが…」
そして、オリヴィエとアイリは小さく笑い合って。
「「もう少しだけ、このまま二人で居たい」」
再び口付けを交わした――――。
END
「父上に“たまには帰ってこい”と言われてな」
だから渋々実家に戻った、とオリヴィエは応接用のソファーに座り足を組む。
アイリも立ち上がり、向かい側に座る。
「たまには家族団欒で食事をしたいのよ」
「阿呆か。子供でもあるまいに」
アイリはクスクス笑う。
「コーヒーでもいい?」
「構わん」
そしてコーヒーを淹れて、オリヴィエの前に置いた。
「外、寒かったでしょ」
「ブリッグズに比べれば、寒いうちにはいらんわ」
「確かにあの地は寒いものね…」
それでも何か温まるものはないかと辺りを見回す。
「アイリ」
「なぁに?」
ふいにオリヴィエがアイリの名を呼ぶ。
「明日も仕事なのか?」
「有能な将官たちが帰って来てくれれば休めるわ」
「…つまり仕事なんだな」
アイリはきょとん顔を浮かべ、ニヤリと笑って。
「なにー?クリスマス、一緒に過ごしたかった?」
そう問いかけると。
「阿呆。そんな関係か」
はっ、と吐き捨てられた。
「違うけど、もっと優しく言ってちょうだいよ」
いつも通りの口調ではあるが、少しだけ期待をしていたのか、オリヴィエに気づかれないように肩を落とす。
自分のコーヒーを取りに行くべく立ち上がり、デスクへと戻る。
「あ」
その時に見えた窓の外。
「どうした?」
オリヴィエも立ち上がり、アイリの隣に立つ。
「雪が降ってきたわ」
「雪などブリッグズで嫌というほど見ている」
「それはそうでしょうけど、イヴの夜に降る雪は普段降る雪とは意味が違うのよ」
聖夜の夜に降る雪はとても神秘的で。
煌びやかに彩る街も、雪が降ることで一層映える。
「こんなイヴの夜に、指令部の執務室にいるなんて…」
夢がないなぁ、と零すアイリに。
「…そんなこともあるまい」
オリヴィエはコートのポケットに手を入れる。
「あるわよー…だって……ん?」
そして、小さな小箱を取り出して。
「ほら」
アイリの手を引き、渡した。
「え?」
渡された小箱とオリヴィエを交互に見つめて。
「なに…これ……え…?」
驚愕の表情を浮かべるアイリの声が震えてきて。
「クリスマスなど正直どうでもよかったんだが」
オリヴィエは驚きすぎて開けることを忘れらている小箱を取り、フタを開けて。
「たまには、こんな夜があってもいいのかもしれないな」
小箱の中を見せた。
「うそ…」
小箱の中にあったのはシンプルなシルバーリングで。
「まぁ、時が来るまでは首にでもぶら下げておけ」
そのシルバーリングにはチェーンがついており、そのチェーンを手に取りアイリへと差し出した。
時が来るまで。
「…っっっ」
その言葉の意味を理解したアイリの瞳から、涙が溢れた。
拭っても拭って。
どんどん溢れて来る涙。
アイリはシルバーリングに手を添えて。
「付けて、くれる…?」
そう願うと。
「あぁ」
オリヴィエは小さく笑み、そっとアイリに首に手を回した。
自然と近づく顔。
オリヴィエをアイリは見つめ合って。
「…ん…」
静かに唇を合わせた。
ずっと独りで過ごしていた聖なる夜。
クリスマスなんてなくなればいいのに。
リア充爆ぜろ、と思っていたのに。
まさか自分もリア充の仲間入りになるなんて、思ってもみなかった。
アイリは自分の首元で淡く光るシルバーリングを見つめて。
「あ、私からもあるのよ」
「なに?」
「はいこれ」
「……手編みか?」
「えぇ。仕事の合間に編んでたの。ちょっと長すぎたかしら」
アイリはオリヴィエに送ったマフラーを取り、オリヴィエの首に巻く。
「いや、長めのほうがいい」
オリヴィエは首元にあるマフラーに触れて。
「…うむ」
ぐりぐりを顔に押し当てた。
その様子を見て、アイリは綺麗に微笑んで。
「メリークリスマス、オリヴィエ」
そっとオリヴィエの額にキスを落とした。
今日みたいな特別な日に、少しだけ顔が見たかった。
過ごしたいって思うのはわがままだから。
だから顔を見れればそれでよかった。
錬金術師のような科学者は、神様なんて曖昧な存在は信じないけど。
でも。
今だけは信じてもいいかもしれない。
今日だけは、神様はいるんだって信じて。
「食堂貸切って、クリスマスを指令部で過ごす寂しい野郎どもに何かご馳走でも作ろうかしら」
「材料はどうするんだ」
「そこはほら、アームストロングの名前で何とかなるでしょ?」
「…ならなくはないな。だが…」
そして、オリヴィエとアイリは小さく笑い合って。
「「もう少しだけ、このまま二人で居たい」」
再び口付けを交わした――――。
END
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