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「ふぅ…」

「…ん…オリヴィエ…」

「ん？ああ、すまん。起こしたか？」





中央での激闘、アメストリス建国の時からの長きに渡るホムンクルスとの戦いは、我ら人間の勝利の下、ようやく終結した。

マスタングの奴も、視力を奪われたが賢者の石の力で取り戻した。

アルバートの奴も、少年の姿から賢者の石の力で元の姿に。

まぁ戻る際、体中が粉砕骨折したんじゃないかというほどの痛みを伴うらしく、しばらくは動けんようだ。

アイリは、おそらくは死者以外の怪我人であいつほど怪我をしていないんじゃないかと思えるくらいの重傷を負った。

敵の錬金術師に、雷鳴の構築式が描かれている眼球をくり抜かれ、さらには出血多量一歩手前まで陥って危険な状態だった。



しかしそれは。



アイリの父親であるテイルズが。


アイリを救った。


いや。


救ってくれた。



失った眼球も、手にしていた賢者の石の力で再生して。


しかしその賢者の石は。

先の戦い、キング・ブラッドレイとの死闘で傷つき倒れた我が部下・バッカニアと、シンの国の家臣を助けるために使い、アイリの眼球を再生させただけで朽ちてしまった。

だからテイルズは。



その命を使って。






愛しい娘を再び死から救った。






『オリヴィエ君…アイリを頼んだよ…』






愛おしく、それでいてとても優しい眼差しをアイリへと向けて、アイリの隣に倒れたテイルズにそう言われて。





『ああ、任せてくれ。アイリは必ず私が』





そう伝えると、テイルズは満足したかのように。





亡き妻の元へと眠りに就いた。






それからが忙しかった。

中央指令部の再生に、立て直し。

市民への説明。

私を含めるブリッグズ兵への裁判。

だがそれは大総統になったグラマンが庇ってくれたおかげで、罪には問われなかった。

アイリもアイリで、黙って入院していればいいものを抜け出して事後処理をしている現場を何度見たことか。



そして落ち着きを取り戻した頃。



アイリは軍を退職して。




ブリッグズ要塞の食堂で、毎日忙しく働いている。


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