ハガレン百合夢、リザさんお相手の長編です。
愛しき人よ リザさん百合長編夢
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「おはよう…アイリさん。今日も良い天気よ」
アイリさんが傷つき、倒れてから三日。
未だにアイリさんは目を覚まさない。
私は毎日病室へと行って、アイリさんに声をかける。
頭には痛々しい包帯が巻かれ、頬にもガーゼが貼られていて。
体だってミイラみたいに包帯だらけなの。
それを見る度に胸が締め付けられる。
あの時引き留めてさえいれば。
あの時声をかけていれば。
或いはこんなことにはならなかったのかもしれない。
あなたなら大丈夫だと過信しすぎた結果がこれ。
あなたを超える者は、ブラッドレイ以外にはいないと思っていた結果が。
「…あなたを失いかけた…」
アイリさんの頬に触れ、目を閉じる。
ごめんなさい、アイリさん。
あなたを一人にしてしまったから。
こんなことに。
早く目を覚まして。
空色と透き通るような綺麗なクリアな瞳で私を見て。
“リザ”
落ち着くその声で、私の名前を呼んで。
コンコン
ノック音。
「…はい」
『私だ。入るぞ』
アームストロング少将の声。
「どうぞ…」
静かに空いた扉から、アームストロング少将が入ってきて。
「まだ目を覚まさんか」
アイリさんを見て、小さく息を吐いた。
「…はい、まだ…」
アームストロング少将はアイリさんの友人。
アイリさんが信頼を寄せる数少ない人物で。
友人の重体に、すぐに駆け付けてくれた。
「アームストロング少将…これから地下空洞へ…?」
さらに、アイリさんが不在の間、地下空洞の件を任されたの。
「あぁ。どのくらい事が進んでいるのかをヒューズと話さんとな」
その前に、アイリさんの顔を見にきてくれたようで。
「…こいつはまたこんなミイラみたいに包帯だらけになって…」
阿呆な奴だ、と。
呆れたような表情を浮かべた。
「本当に、阿保ですよね…」
私も俯き気味に苦笑を零せば。
「……」
「…?」
アームストロング少将は私を見つめて。
「リザ・ホークアイ」
「…!」
顎に手を添えられ、上を向かされた。
「アーム「下を向くな。前を見ろ」
アームストロング少将を見上げる。
「アイリは確かに心配だ。だが、下を向いてばかりでは守れるものも守れない。貴様には使命があるんだろう。命を賭してでも守らねばならん奴がいるんだろう」
かつてアイリさんが私に言ってくれた言葉。
下を向く理由は今はある。
でも。
私には私の使命がある。
“真っ直ぐ前を見て。下ばかり見ていたら守れるものも守れない”
“その瞳に映る人を守れるように。あなたが守るべき人を守るために”
しかし私は。
私の瞳に映る人を、守れなかった。
「…私は…守れませんでした…私の瞳に映る人を…」
あの時アイリさんがくれた言葉を。
私は守れなかったの。
だからきっと、マスタング准将の背中だって守ることなんて出来ない。
「…阿保はアイリだけじゃないようだな」
アームストロング少将はため息を零し、私に背中を向けて。
「奇跡的にアイリにも貴様にも“次”がある。だから、“次”は必ず守ればいい。アイリはまだ死んでいない。生きているんだぞ。」
アイリさんは、まだ。
ああ、そうだ。
アイリさんは、生きているんだ。
「マスタングの奴だって生きている。即ちそれは、今の今まで貴様があいつの背中を守り続けたからだ。」
ああ、救われる。
「下を向くな、前を見ろ。今の貴様では、マスタングも安心して背中を任せられんぞ」
ああ、また前を見ることができる。
私は大きく息を吸い、深く吐き出して。
「マルコー氏がくれた“次”を、必ず守ります。必ず」
立ち上がり、アームストロング少将に敬礼をした。
「それでこそ、私が最も欲した人材だな」
アームストロング少将は小さく笑みを浮かべて。
「またその阿保の顔を見にくるよ」
「はい、いつでも」
片手を上げて、去っていった。
そう、そうだ。
アイリさんは生きてる。
下を向く理由はもうないじゃない。
前を向いて、私は私のするべきことをする。
アイリさんの護衛だっているんだし、彼らを信じて。
私はまたイシュヴァールの地に戻る。
「…大丈夫なのか?」
「はい、アームストロング少将に喝を入れていただきましたので」
病室には出勤前に毎日行く。
顔を見て、キスをして、行ってきますを言って。
あなたが目を覚ますのをずっと待ってるから。
アイリさん、早く声が聞きたい。
早く抱き締めたい。
早く笑顔が見たい。
“次”は必ず、全部守るから。
「…はぁッ!…はぁッ!」
アイリさんが目を覚ましたという報告を受けたのは、その二週間後で。
私はイシュヴァールの地から慌てて病院へとやって来た。
マスタング准将たちと一緒に。
「!アームストロング少将!」
前方からアームストロング少将が足早に歩いて来る。
アームストロング少将は眉間に皺を寄せ、複雑な表情を浮かべていた。
どうしたのだろう。
アイリさんが目覚めたのに、浮かない表情。
「…いい。行け。」
立ち止まって敬礼をしようとすれば、そう仰ってくれた。
「っはい!」
ありがたい。
今は一秒でも早くアイリさんに会いたいから。
「アイリさん…!」
ガラッと乱暴に扉を開けて、病室へ駆け込む。
アイリさんは窓の外を見ていた。
起きてる。
目が覚めてる。
よかった。
「…アイリさん」
ベッドの脇にある椅子に座り、アイリさんの手を握って再び名前を呼ぶと。
アイリさんはゆっくりと私のほうを見て。
そして。
「…あなた…誰…?」
そう、口にした。
ああ、神様。
ああ、なんということを。
ああ。
心が。
心が悲鳴をあげている。
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「おはよう…アイリさん。今日も良い天気よ」
アイリさんが傷つき、倒れてから三日。
未だにアイリさんは目を覚まさない。
私は毎日病室へと行って、アイリさんに声をかける。
頭には痛々しい包帯が巻かれ、頬にもガーゼが貼られていて。
体だってミイラみたいに包帯だらけなの。
それを見る度に胸が締め付けられる。
あの時引き留めてさえいれば。
あの時声をかけていれば。
或いはこんなことにはならなかったのかもしれない。
あなたなら大丈夫だと過信しすぎた結果がこれ。
あなたを超える者は、ブラッドレイ以外にはいないと思っていた結果が。
「…あなたを失いかけた…」
アイリさんの頬に触れ、目を閉じる。
ごめんなさい、アイリさん。
あなたを一人にしてしまったから。
こんなことに。
早く目を覚まして。
空色と透き通るような綺麗なクリアな瞳で私を見て。
“リザ”
落ち着くその声で、私の名前を呼んで。
コンコン
ノック音。
「…はい」
『私だ。入るぞ』
アームストロング少将の声。
「どうぞ…」
静かに空いた扉から、アームストロング少将が入ってきて。
「まだ目を覚まさんか」
アイリさんを見て、小さく息を吐いた。
「…はい、まだ…」
アームストロング少将はアイリさんの友人。
アイリさんが信頼を寄せる数少ない人物で。
友人の重体に、すぐに駆け付けてくれた。
「アームストロング少将…これから地下空洞へ…?」
さらに、アイリさんが不在の間、地下空洞の件を任されたの。
「あぁ。どのくらい事が進んでいるのかをヒューズと話さんとな」
その前に、アイリさんの顔を見にきてくれたようで。
「…こいつはまたこんなミイラみたいに包帯だらけになって…」
阿呆な奴だ、と。
呆れたような表情を浮かべた。
「本当に、阿保ですよね…」
私も俯き気味に苦笑を零せば。
「……」
「…?」
アームストロング少将は私を見つめて。
「リザ・ホークアイ」
「…!」
顎に手を添えられ、上を向かされた。
「アーム「下を向くな。前を見ろ」
アームストロング少将を見上げる。
「アイリは確かに心配だ。だが、下を向いてばかりでは守れるものも守れない。貴様には使命があるんだろう。命を賭してでも守らねばならん奴がいるんだろう」
かつてアイリさんが私に言ってくれた言葉。
下を向く理由は今はある。
でも。
私には私の使命がある。
“真っ直ぐ前を見て。下ばかり見ていたら守れるものも守れない”
“その瞳に映る人を守れるように。あなたが守るべき人を守るために”
しかし私は。
私の瞳に映る人を、守れなかった。
「…私は…守れませんでした…私の瞳に映る人を…」
あの時アイリさんがくれた言葉を。
私は守れなかったの。
だからきっと、マスタング准将の背中だって守ることなんて出来ない。
「…阿保はアイリだけじゃないようだな」
アームストロング少将はため息を零し、私に背中を向けて。
「奇跡的にアイリにも貴様にも“次”がある。だから、“次”は必ず守ればいい。アイリはまだ死んでいない。生きているんだぞ。」
アイリさんは、まだ。
ああ、そうだ。
アイリさんは、生きているんだ。
「マスタングの奴だって生きている。即ちそれは、今の今まで貴様があいつの背中を守り続けたからだ。」
ああ、救われる。
「下を向くな、前を見ろ。今の貴様では、マスタングも安心して背中を任せられんぞ」
ああ、また前を見ることができる。
私は大きく息を吸い、深く吐き出して。
「マルコー氏がくれた“次”を、必ず守ります。必ず」
立ち上がり、アームストロング少将に敬礼をした。
「それでこそ、私が最も欲した人材だな」
アームストロング少将は小さく笑みを浮かべて。
「またその阿保の顔を見にくるよ」
「はい、いつでも」
片手を上げて、去っていった。
そう、そうだ。
アイリさんは生きてる。
下を向く理由はもうないじゃない。
前を向いて、私は私のするべきことをする。
アイリさんの護衛だっているんだし、彼らを信じて。
私はまたイシュヴァールの地に戻る。
「…大丈夫なのか?」
「はい、アームストロング少将に喝を入れていただきましたので」
病室には出勤前に毎日行く。
顔を見て、キスをして、行ってきますを言って。
あなたが目を覚ますのをずっと待ってるから。
アイリさん、早く声が聞きたい。
早く抱き締めたい。
早く笑顔が見たい。
“次”は必ず、全部守るから。
「…はぁッ!…はぁッ!」
アイリさんが目を覚ましたという報告を受けたのは、その二週間後で。
私はイシュヴァールの地から慌てて病院へとやって来た。
マスタング准将たちと一緒に。
「!アームストロング少将!」
前方からアームストロング少将が足早に歩いて来る。
アームストロング少将は眉間に皺を寄せ、複雑な表情を浮かべていた。
どうしたのだろう。
アイリさんが目覚めたのに、浮かない表情。
「…いい。行け。」
立ち止まって敬礼をしようとすれば、そう仰ってくれた。
「っはい!」
ありがたい。
今は一秒でも早くアイリさんに会いたいから。
「アイリさん…!」
ガラッと乱暴に扉を開けて、病室へ駆け込む。
アイリさんは窓の外を見ていた。
起きてる。
目が覚めてる。
よかった。
「…アイリさん」
ベッドの脇にある椅子に座り、アイリさんの手を握って再び名前を呼ぶと。
アイリさんはゆっくりと私のほうを見て。
そして。
「…あなた…誰…?」
そう、口にした。
ああ、神様。
ああ、なんということを。
ああ。
心が。
心が悲鳴をあげている。
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