ハガレン百合夢、リザさんお相手の長編です。
愛しき人よ リザさん百合長編夢
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「えぇ、今は調査には行かなくていいから。動きがないなら待機、あったら現場にいる国家錬金術師の指示に従って。最終的な判断はマースに任せるわ」
大総統府に行く前に、イーストシティ駅の公衆電話で、マースへと連絡を入れる。
「私も明日そちらに向かうから、えぇ」
電話を終えて、受話器を置く。
汽車が来るまであと5分、ところね。
ベンチに座り、地下空洞についての資料を確認する。
よくもまぁこんな巨大で長いトンネルを掘ったものよね。
アメストリスという国も、ホムンクルスが野望を果たすために創られた国。
ホムンクルスは、神とやらになって何がしたかったのかしら。
自ら孤独を望むなんて正気の沙汰じゃないわよまったく。
資料を閉じて、鞄に入れて。
ふと、ホームの向こう側を見ると。
「………」
黒いフードを被った存在がいた。
体はこちらを向き、顔はフードの暗がりで見えないけど視線を感じるから私を見ている。
「……怪しさしかない出立ちね…」
私も真っ直ぐその存在を見つめて。
汽車が来て、フードの存在が見えなくなった。
それに乗り込まず、座ったままの私。
汽車が出た。
「……私のお客様ってことか」
フードの存在も微動だにせず、そこに佇んでいて。
立ち上がれば、ピクリと反応を見せた。
駅は人が多い。
戦えなくはないけど、相手の力を知らずに守るのは些か困難。
私は駅から出て、人気の少ない場所へと足を進める。
居る。
来てる。
一定の距離を空けて、私の後をついて来てる。
こんな追跡されたら、味方でもないわねこれは。
戦闘になったとしても、今日は調子良いから大丈夫。
人気のない場所、夕暮れの公園。
遊んでいた子供たちももう帰って、きっと晩ご飯と騒いでいる時間帯。
公園の真ん中で立ち止まる。
「誰かわからないけど、私に何か用?」
振り返れば、先程のフードの存在が居た。
体格はエドワードくらい。
大人なら体躯は小さいわね。
「…“雷鳴の錬金術師”」
見えた顔は、褐色の肌。
「あなた、イシュヴァールの民?」
いえ、瞳は赤くないから混血?
けれど、その瞳は憎悪に駆られた瞳で真っ直ぐ私を見据えていた。
「…前にも同じようなことがあったわね」
スカーと対峙したあの時と一緒。
まぁ、国家錬金術師はイシュヴァールの民に恨まれているから仕方がない。
「親父の仇」
声はまだ幼さが残っている。
エドワードと同じくらいの年かしら。
私はメガネに手を掛ける。
「話し合いは?」
「必要ない」
話し合いは無用。
何が何でも私を殺す、か。
中央に行くの遅れちゃうなぁこれは。
少年は手を前に掲げた瞬間。
「…ッッ!!」
刀が錬成され、斬りかかってきた。
私はメガネを投げ捨て、同じように刀を錬成して刀で少年の刀を受ける。
「イシュヴァラの教えに反してるんじゃない?」
錬成陣なしで、私のようにノーモーションで錬金術を使った。
「どうでもいい」
「ッ!」
少年は体を反転させ、蹴りを放って来た。
それを躱そうと体を引いたけど。
ドガッ
「ぐ……ッ!!!」
頭、コメカミに当たった。
躱せなかった?
なんで?
見えていたのに?
体格差があれど、加減なしの蹴りの威力は大きい。
「…ッッ」
体勢を整え、次の攻撃は後ろに飛び退くことで躱した。
「……強いわね」
口から滴る血を拭い、頭に触れる。
目眩がする。
大きな一撃を頭にもらってしまった。
「あんたが、弱いんだよ」
刀の鋒を私に向けて。
「あんたを殺すためだけに、オレは生きて来た」
地を蹴る。
死ぬなら。
イシュヴァールの民に殺されたいとずっと思っていた。
でも、役目を果たしてから死にたい。
役目を果たす前には死ねないと先延ばしにして。
結局はイシュヴァールの民に許されてしまった。
でも彼は違う。
あの時のスカーのように、私を確実に殺しに来ている。
イシュヴァールの民に殺されたかったはずなのに。
“アイリさん”
“アイリさん?”
“愛してるわ、アイリさん”
リザと出会い、死にたくないと思うようになってしまった。
「…ッ」
また躱せなくて、左腕を掠った。
何?
なんで躱せない?
距離感が掴めない。
見えているのに、彼は一歩前に居る。
だったら。
「…ッッ!ぐぅ…ッッ!!」
躱さずに受け流し、腹に蹴りを入れてやった。
少年は飛ばされながら体勢を整え、私を睨む。
強いわね、この少年。
いえ、私が弱くなった?
体が痛むわけじゃないのに。
「…戦いなんてやめて、話し合わない?」
「…お前を殺す以外にオレの選択肢はない」
どうにも話し合う気はない。
「そう…。殺されないために、私も本気を出すけれど。いいのね?」
「あぁ、その本気の強さをぶち砕いて屈辱を味わわせて殺してやるよ」
私たちは睨み合って。
同時に地を蹴った。
「「……ッッ」」
辺りには金属音が響き辺り、私と少年の刀がぶつかり合う。
少年の錬金術の使い方は私に似ていて、確実に私を殺すために私の戦い方を研究したんでしょうね。
戦うにつれて、距離感も掴めて来て攻撃を躱せるようになってきた。
体格差から私が有利。
でもなぜか、この少年からは焦りを感じられない。
何か隠し持ってる?
少年から間合いを取る。
「時間が長引けば、増援が来るわよ?」
この戦いの音を聞いて通報されているはず。
「………」
増援が来てもいいの?
わざと長引かせている?
…何を考えて…。
「…ぃ…ッ!!」
急に、左目に痛みが走った。
こんな時に。
その隙を見逃さず、少年は斬りかかって来た。
左目を押さえながらも弾き返し、また間合いを取る。
けれど少年は間合いを詰め、斬りかかって来る。
だめだ。
このままじゃ。
この子は少年。
死なせたくはなかった。
でも私も死ぬわけにはいかない。
だってリザが待ってるから。
リザのために、私は死ねない。
私は痛む左目を開けて。
「…範囲は園内…」
園内に誰もいないことを願い、“雷鳴”を発動させようとした瞬間。
少年は両手を合わせて、何やら錬金術を使っている。
「頭の良いあんたなら、これが何なのかわかるだろ?」
少年の手の平では水の錬成、雷の錬成、火の錬成が行われていて。
「ちょっと…ッッ!!待ってよ!!あなたわかってるの!?」
科学者だからこそ瞬時に理解してしまう。
化学爆発を起こそうとしていることに。
自爆する気だ。
私諸共、死ぬ気なんだ。
しかもあの感じから見ると、かなりの規模。
少年は憎悪の眼差しで私を見つめて。
そして。
「お前さえ死ねば、他なんてどうでもいい」
地を蹴り、その大規模な爆弾を私に放った。
ああ。
ダメだ。
これは避けられない。
間に合わない。
リザ。
リザ。
ごめん、ごめんね。
私、死ぬわ。
ごめんね。
せめてこの爆発を出来るだけ小さくさせて。
被害を最小限にすることしか出来ない。
「アイリさんッッ!!!」
ああ、神様。
神様って本当にいるのね。
爆発の瞬間。
私は私を呼ぶ声の方を見て。
“ごめんね、リザ”
そう口にして、小さく笑った。
辺りは眩い光と。
物凄い爆発音に包まれて。
私の意識はそこで完全に途絶えた。
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「えぇ、今は調査には行かなくていいから。動きがないなら待機、あったら現場にいる国家錬金術師の指示に従って。最終的な判断はマースに任せるわ」
大総統府に行く前に、イーストシティ駅の公衆電話で、マースへと連絡を入れる。
「私も明日そちらに向かうから、えぇ」
電話を終えて、受話器を置く。
汽車が来るまであと5分、ところね。
ベンチに座り、地下空洞についての資料を確認する。
よくもまぁこんな巨大で長いトンネルを掘ったものよね。
アメストリスという国も、ホムンクルスが野望を果たすために創られた国。
ホムンクルスは、神とやらになって何がしたかったのかしら。
自ら孤独を望むなんて正気の沙汰じゃないわよまったく。
資料を閉じて、鞄に入れて。
ふと、ホームの向こう側を見ると。
「………」
黒いフードを被った存在がいた。
体はこちらを向き、顔はフードの暗がりで見えないけど視線を感じるから私を見ている。
「……怪しさしかない出立ちね…」
私も真っ直ぐその存在を見つめて。
汽車が来て、フードの存在が見えなくなった。
それに乗り込まず、座ったままの私。
汽車が出た。
「……私のお客様ってことか」
フードの存在も微動だにせず、そこに佇んでいて。
立ち上がれば、ピクリと反応を見せた。
駅は人が多い。
戦えなくはないけど、相手の力を知らずに守るのは些か困難。
私は駅から出て、人気の少ない場所へと足を進める。
居る。
来てる。
一定の距離を空けて、私の後をついて来てる。
こんな追跡されたら、味方でもないわねこれは。
戦闘になったとしても、今日は調子良いから大丈夫。
人気のない場所、夕暮れの公園。
遊んでいた子供たちももう帰って、きっと晩ご飯と騒いでいる時間帯。
公園の真ん中で立ち止まる。
「誰かわからないけど、私に何か用?」
振り返れば、先程のフードの存在が居た。
体格はエドワードくらい。
大人なら体躯は小さいわね。
「…“雷鳴の錬金術師”」
見えた顔は、褐色の肌。
「あなた、イシュヴァールの民?」
いえ、瞳は赤くないから混血?
けれど、その瞳は憎悪に駆られた瞳で真っ直ぐ私を見据えていた。
「…前にも同じようなことがあったわね」
スカーと対峙したあの時と一緒。
まぁ、国家錬金術師はイシュヴァールの民に恨まれているから仕方がない。
「親父の仇」
声はまだ幼さが残っている。
エドワードと同じくらいの年かしら。
私はメガネに手を掛ける。
「話し合いは?」
「必要ない」
話し合いは無用。
何が何でも私を殺す、か。
中央に行くの遅れちゃうなぁこれは。
少年は手を前に掲げた瞬間。
「…ッッ!!」
刀が錬成され、斬りかかってきた。
私はメガネを投げ捨て、同じように刀を錬成して刀で少年の刀を受ける。
「イシュヴァラの教えに反してるんじゃない?」
錬成陣なしで、私のようにノーモーションで錬金術を使った。
「どうでもいい」
「ッ!」
少年は体を反転させ、蹴りを放って来た。
それを躱そうと体を引いたけど。
ドガッ
「ぐ……ッ!!!」
頭、コメカミに当たった。
躱せなかった?
なんで?
見えていたのに?
体格差があれど、加減なしの蹴りの威力は大きい。
「…ッッ」
体勢を整え、次の攻撃は後ろに飛び退くことで躱した。
「……強いわね」
口から滴る血を拭い、頭に触れる。
目眩がする。
大きな一撃を頭にもらってしまった。
「あんたが、弱いんだよ」
刀の鋒を私に向けて。
「あんたを殺すためだけに、オレは生きて来た」
地を蹴る。
死ぬなら。
イシュヴァールの民に殺されたいとずっと思っていた。
でも、役目を果たしてから死にたい。
役目を果たす前には死ねないと先延ばしにして。
結局はイシュヴァールの民に許されてしまった。
でも彼は違う。
あの時のスカーのように、私を確実に殺しに来ている。
イシュヴァールの民に殺されたかったはずなのに。
“アイリさん”
“アイリさん?”
“愛してるわ、アイリさん”
リザと出会い、死にたくないと思うようになってしまった。
「…ッ」
また躱せなくて、左腕を掠った。
何?
なんで躱せない?
距離感が掴めない。
見えているのに、彼は一歩前に居る。
だったら。
「…ッッ!ぐぅ…ッッ!!」
躱さずに受け流し、腹に蹴りを入れてやった。
少年は飛ばされながら体勢を整え、私を睨む。
強いわね、この少年。
いえ、私が弱くなった?
体が痛むわけじゃないのに。
「…戦いなんてやめて、話し合わない?」
「…お前を殺す以外にオレの選択肢はない」
どうにも話し合う気はない。
「そう…。殺されないために、私も本気を出すけれど。いいのね?」
「あぁ、その本気の強さをぶち砕いて屈辱を味わわせて殺してやるよ」
私たちは睨み合って。
同時に地を蹴った。
「「……ッッ」」
辺りには金属音が響き辺り、私と少年の刀がぶつかり合う。
少年の錬金術の使い方は私に似ていて、確実に私を殺すために私の戦い方を研究したんでしょうね。
戦うにつれて、距離感も掴めて来て攻撃を躱せるようになってきた。
体格差から私が有利。
でもなぜか、この少年からは焦りを感じられない。
何か隠し持ってる?
少年から間合いを取る。
「時間が長引けば、増援が来るわよ?」
この戦いの音を聞いて通報されているはず。
「………」
増援が来てもいいの?
わざと長引かせている?
…何を考えて…。
「…ぃ…ッ!!」
急に、左目に痛みが走った。
こんな時に。
その隙を見逃さず、少年は斬りかかって来た。
左目を押さえながらも弾き返し、また間合いを取る。
けれど少年は間合いを詰め、斬りかかって来る。
だめだ。
このままじゃ。
この子は少年。
死なせたくはなかった。
でも私も死ぬわけにはいかない。
だってリザが待ってるから。
リザのために、私は死ねない。
私は痛む左目を開けて。
「…範囲は園内…」
園内に誰もいないことを願い、“雷鳴”を発動させようとした瞬間。
少年は両手を合わせて、何やら錬金術を使っている。
「頭の良いあんたなら、これが何なのかわかるだろ?」
少年の手の平では水の錬成、雷の錬成、火の錬成が行われていて。
「ちょっと…ッッ!!待ってよ!!あなたわかってるの!?」
科学者だからこそ瞬時に理解してしまう。
化学爆発を起こそうとしていることに。
自爆する気だ。
私諸共、死ぬ気なんだ。
しかもあの感じから見ると、かなりの規模。
少年は憎悪の眼差しで私を見つめて。
そして。
「お前さえ死ねば、他なんてどうでもいい」
地を蹴り、その大規模な爆弾を私に放った。
ああ。
ダメだ。
これは避けられない。
間に合わない。
リザ。
リザ。
ごめん、ごめんね。
私、死ぬわ。
ごめんね。
せめてこの爆発を出来るだけ小さくさせて。
被害を最小限にすることしか出来ない。
「アイリさんッッ!!!」
ああ、神様。
神様って本当にいるのね。
爆発の瞬間。
私は私を呼ぶ声の方を見て。
“ごめんね、リザ”
そう口にして、小さく笑った。
辺りは眩い光と。
物凄い爆発音に包まれて。
私の意識はそこで完全に途絶えた。
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