ハガレン百合夢、リザさんお相手の長編です。
愛しき人よ リザさん百合長編夢
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「今みたいにハキハキしていなくて、どちらかと言えば人見知りだったと思う」
「…人見知りのアイリさん」
「今のアイリを見たら想像出来ないでしょ?」
「はい…」
イズミさんは懐かしそうな表情を浮かべる。
『何の本をよんでるの?』
『…パパのお部屋にあった本…』
と、見せてくれた本の“表紙には特殊相対性理論”と書かれていて驚いたそう。
「あんな小さい頃からこんな難しい本を読んで理解するなんて、天才って本当にいるんだと思ったわ」
「アイリさんは10才の時に“雷鳴”の構築式を組み立てたと仰ってましたから…」
「一周回ってアホよね」
「えーっと…凄いです」
「そこはアホでいいの。褒め言葉だから」
なんてイズミさんと笑う。
「…まぁでも、前に“同期にも言われた”と不貞腐れていたんだけど」
同期、とは。
アームストロング少将のこと。
「何を言われたんです?」
アームストロング少将とアイリさんは顔を合わせる度に貶し合っていたから、きっとそんな感じだと思う。
「“雷鳴など凄くも何ともない”って」
「…そうなんですか」
イズミさんは苦笑を零して頷く。
「…アイリさんの“雷鳴”は、お父さんを殺すためだけに組み立てたと以前仰ってましたから…」
誰かを殺すためだけに組み立てられたものを、あの方は“凄い”と褒めたりはしない。
凄いは凄いのだけどね。
自慢していい力ではないということを言いたいのだと思う。
イズミさんは、アイリさんが真相を知るためにダブリスのご実家へ赴いた際、一緒に探してくれた人。
父親の人体錬成に巻き込まれたわけではなく、アイリさん自身が人体錬成を行った事実を共に知った人で。
その真実に泣きじゃくり、吐き続けるアイリさんの傍でずっと支えてくれた人。
『イズミがいなかったら多分精神崩壊起こしてたかもね』
なんて、笑いながら言っていたから。
『な…そんな笑いながら言うことではないですよ!』
そう怒ったのを覚えている。
「話を戻すとね、アイリは意味のわからない分厚い本を常に持っていてあまり笑う子じゃなかった」
今の性格とは正反対。
「ただ兄弟のように育った犬を飼ってて、その子に対してはよく笑っていたわ」
「犬、ですか」
「そう、白い犬でリザちゃんとこの子と同じくらいの大きさだったかな」
アイリさんから犬を飼っていたことは聞いたことはない。
人体錬成の影響で記憶混濁していたと言っていたから、それで忘れてしまっているのかもしれない。
「名前は単純に“シロ”って呼んでたわね」
可愛い子だったとイズミさんは言う。
「で、シロが私にも懐いてくれたからアイリとも仲良くなれて、私にも笑いかけてくれるようになったの」
アイリさんとイズミさんが仲良くなるきっかけをくれた子みたい。
イズミさんがちょっと羨ましい。
子供の頃からアイリさんと友人だったんだから。
「それで「…リザさん…?」
「「「!!」」」
名前を呼ばれ、そちらを見ると。
「アイリさん、どうされました?」
アイリさんが起きてきた。
眠ったばかりなのに。
「…お客様が…」
イズミさんたちに気付き、頭を下げる。
「こちらはイズミ・カーティスさんとシグ・カーティスさんです」
「初めまして…ではないですよね…」
「初めましてではないけど、今のあんたには初めましてだから初めまして」
イズミさんはカラカラと笑い、アイリさんを安心させてくれた。
「眠れませんでした?」
「…いえ、声が聞こえてきて…ご挨拶をしないとって思って…」
確かにまだ眠そう。
「そうだったんですね」
「ごめんね、起こしちゃって。あたしたち丁度帰るところでさ」
イズミさんたちは玄関へ行って。
「それじゃ、また来るよ」
「はい、いつでもいらしてください」
アイリさんへと笑いかけて、帰って行った。
「…お邪魔しちゃいました?」
「いえ、そんなことありませんよ」
アイリさんはどこか申し訳なさそうな表情を浮かべていて。
きっと今のアイリさんが、“あまり笑う子じゃなかった頃”から変わらず成長したアイリさんなのかもしれないと思った。
でもお父さんへの憎しみをきっかけにどんどん変わって、今のアイリさんになったとすれば。
申し訳ないけれど、そのほうがよかったのかもしれないとすら感じてしまう。
だって。
“本当…どうしてそんな可愛いの…?”
“ね、リザ。好きよ、愛してる”
“えー!?島買ったらダメなの!?”
表情がコロコロ変わるアイリさんではなかったかもしれないから。
誰にも笑いかけず、独りで生きていくような。
そんな人生だったのかもしれないから。
「まだ眠剤作用が残ってるでしょう?」
「ぅ…はい…」
アイリさんをまた寝室へ誘導して。
「大丈夫、眠ってください」
「……はい…ありがとうございます…」
アイリさんへ笑みを向けて。
再び寝息を立てたのを見て、寝室を出た。
「イズミさんのお話、もう少し聞きたかったわね」
他でもないアイリさんの過去をもう少しだけ。
「技術が発展してタイムマシン出来ないかしら」
なんて、子供みたいなこと呟きながら。
「さて、と。仕事しないと」
アイリさんの護衛という名の家事を開始した。
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「今みたいにハキハキしていなくて、どちらかと言えば人見知りだったと思う」
「…人見知りのアイリさん」
「今のアイリを見たら想像出来ないでしょ?」
「はい…」
イズミさんは懐かしそうな表情を浮かべる。
『何の本をよんでるの?』
『…パパのお部屋にあった本…』
と、見せてくれた本の“表紙には特殊相対性理論”と書かれていて驚いたそう。
「あんな小さい頃からこんな難しい本を読んで理解するなんて、天才って本当にいるんだと思ったわ」
「アイリさんは10才の時に“雷鳴”の構築式を組み立てたと仰ってましたから…」
「一周回ってアホよね」
「えーっと…凄いです」
「そこはアホでいいの。褒め言葉だから」
なんてイズミさんと笑う。
「…まぁでも、前に“同期にも言われた”と不貞腐れていたんだけど」
同期、とは。
アームストロング少将のこと。
「何を言われたんです?」
アームストロング少将とアイリさんは顔を合わせる度に貶し合っていたから、きっとそんな感じだと思う。
「“雷鳴など凄くも何ともない”って」
「…そうなんですか」
イズミさんは苦笑を零して頷く。
「…アイリさんの“雷鳴”は、お父さんを殺すためだけに組み立てたと以前仰ってましたから…」
誰かを殺すためだけに組み立てられたものを、あの方は“凄い”と褒めたりはしない。
凄いは凄いのだけどね。
自慢していい力ではないということを言いたいのだと思う。
イズミさんは、アイリさんが真相を知るためにダブリスのご実家へ赴いた際、一緒に探してくれた人。
父親の人体錬成に巻き込まれたわけではなく、アイリさん自身が人体錬成を行った事実を共に知った人で。
その真実に泣きじゃくり、吐き続けるアイリさんの傍でずっと支えてくれた人。
『イズミがいなかったら多分精神崩壊起こしてたかもね』
なんて、笑いながら言っていたから。
『な…そんな笑いながら言うことではないですよ!』
そう怒ったのを覚えている。
「話を戻すとね、アイリは意味のわからない分厚い本を常に持っていてあまり笑う子じゃなかった」
今の性格とは正反対。
「ただ兄弟のように育った犬を飼ってて、その子に対してはよく笑っていたわ」
「犬、ですか」
「そう、白い犬でリザちゃんとこの子と同じくらいの大きさだったかな」
アイリさんから犬を飼っていたことは聞いたことはない。
人体錬成の影響で記憶混濁していたと言っていたから、それで忘れてしまっているのかもしれない。
「名前は単純に“シロ”って呼んでたわね」
可愛い子だったとイズミさんは言う。
「で、シロが私にも懐いてくれたからアイリとも仲良くなれて、私にも笑いかけてくれるようになったの」
アイリさんとイズミさんが仲良くなるきっかけをくれた子みたい。
イズミさんがちょっと羨ましい。
子供の頃からアイリさんと友人だったんだから。
「それで「…リザさん…?」
「「「!!」」」
名前を呼ばれ、そちらを見ると。
「アイリさん、どうされました?」
アイリさんが起きてきた。
眠ったばかりなのに。
「…お客様が…」
イズミさんたちに気付き、頭を下げる。
「こちらはイズミ・カーティスさんとシグ・カーティスさんです」
「初めまして…ではないですよね…」
「初めましてではないけど、今のあんたには初めましてだから初めまして」
イズミさんはカラカラと笑い、アイリさんを安心させてくれた。
「眠れませんでした?」
「…いえ、声が聞こえてきて…ご挨拶をしないとって思って…」
確かにまだ眠そう。
「そうだったんですね」
「ごめんね、起こしちゃって。あたしたち丁度帰るところでさ」
イズミさんたちは玄関へ行って。
「それじゃ、また来るよ」
「はい、いつでもいらしてください」
アイリさんへと笑いかけて、帰って行った。
「…お邪魔しちゃいました?」
「いえ、そんなことありませんよ」
アイリさんはどこか申し訳なさそうな表情を浮かべていて。
きっと今のアイリさんが、“あまり笑う子じゃなかった頃”から変わらず成長したアイリさんなのかもしれないと思った。
でもお父さんへの憎しみをきっかけにどんどん変わって、今のアイリさんになったとすれば。
申し訳ないけれど、そのほうがよかったのかもしれないとすら感じてしまう。
だって。
“本当…どうしてそんな可愛いの…?”
“ね、リザ。好きよ、愛してる”
“えー!?島買ったらダメなの!?”
表情がコロコロ変わるアイリさんではなかったかもしれないから。
誰にも笑いかけず、独りで生きていくような。
そんな人生だったのかもしれないから。
「まだ眠剤作用が残ってるでしょう?」
「ぅ…はい…」
アイリさんをまた寝室へ誘導して。
「大丈夫、眠ってください」
「……はい…ありがとうございます…」
アイリさんへ笑みを向けて。
再び寝息を立てたのを見て、寝室を出た。
「イズミさんのお話、もう少し聞きたかったわね」
他でもないアイリさんの過去をもう少しだけ。
「技術が発展してタイムマシン出来ないかしら」
なんて、子供みたいなこと呟きながら。
「さて、と。仕事しないと」
アイリさんの護衛という名の家事を開始した。
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