ハガレン百合夢、リザさんお相手の長編です。
愛しき人よ リザさん百合長編夢
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『……リザさん…』
「!!」
一時間ほど経って、寝室から弱々しく私を呼ぶ声が聞こえた。
「入りますね」
断りを入れて、寝室へ。
「あ、横になったままで大丈夫です」
アイリさんは体を起こそうとしたから、それを止めた。
「すみません、鎮痛剤が必要なことを伝え忘れてしまって…」
重要なことを伝え忘れたことを謝った。
「…いえ…私が悪いんです…」
アイリさんは力無く笑って。
「…全てを…忘れてしまったから…」
記憶喪失になってなければ、自分の体のこともわかっているはずなのに。
「…いいえ、アイリさんは悪くありません」
そう。
アイリさんは悪くない。
「悪いのは、ひき逃げをした犯人です」
あなたをこんな体にした人。
ブラッドレイと、ブラッドレイもどきたち。
そして…。
あの少年。
アイリさんは眠そうで、ハイスが取ってくれた鎮痛剤は副作用が強いやつみたい。
「アイリさん、少し眠ってください」
「…でも…」
「その鎮痛剤は副作用で眠くなるものなので」
アイリさんの頭に触れて。
「なので、少し眠って大丈夫です」
小さく笑いかける。
安心させるように。
「……はい…じゃあ少しだけ…」
アイリさんも小さく笑み、間も無く眠りについた。
スゥスゥと寝息を立てるアイリさんを見て、今度は眠っているから。
だから額に触れるだけのキスをして、寝室を出た。
寝室の扉に額を付け、深く息を吐いて。
「…割れた食器を片付けないと」
キッチンへ行く。
急に痛みに襲われた時、落としてしまった食器。
割れた音からしてコーヒーカップ一つでしょうね。
「!あら」
キッチンへ行けば、ハイスが破片を拾っておいてくれたようで大きな破片はキッチンの上に置いてあった。
ちゃんとキッチンペーパーを敷いて、その上に。
細かな破片はキッチンペーパーで集めてくれたのか、踏まないようにキッチンペーパーが被せられていた。
「ありがたいわね」
私はクスクス笑い、破片の片付けをしていると。
コンコン
『ホークアイ大尉、カーティス夫妻がいらしているようです』
ドアをノックする音と共に聞こえたのはハイスの声で。
カーティス夫妻。
カーティス夫妻の奥様のほうは、アイリさんの幼馴染。
「えぇ、わかったわ。通して差し上げて」
『っす』
アイリさんの退院を知って駆け付けてくれたのね。
手早く破片を片付けて玄関に行く。
複数人の足音が聞こえたから、静かにドアを開けて。
「おはようございます、イズミさん、シグさん」
深刻な面持ちのお二人にご挨拶をする。
「…おはようさん、その…リザちゃん…」
「中へどうぞ。アイリさんですね。アイリさんは今、鎮痛剤を飲んで眠ってます」
カーティス夫妻を中へ通す。
「…鎮痛剤ってことは、痛みが…?」
「はい、先ほど。後遺症のことを話していなかった私の落ち度です…」
車に轢き逃げされたと説明はしてあるけれど、体と左目の痛みについて話していなかった。
アイリさんには申し訳ないわね…。
「そうかい…」
「じゃあ、今は鎮痛剤の副作用で寝ているということかな?」
シグさんに問われ、頷く。
「なので、すみませんがアイリさんとお話は…」
そこまで言うと、イズミさんは首を横に振って。
「いいのいいの。アイリが無事ならそれで」
記憶を失えど、とりあえず無事なら安心だとイズミさんは言った。
「でもアイリの入院中にお見舞いに行けなくて申し訳なかったね…」
「あの時イズミは少し体調を崩していてね。それでも行こうとするから俺が止めたんだ」
アイリさんの入院中、イズミさんたちはいらっしゃることがなかった。
けれど、アイリさんからはイズミさんの事情を聞いているから体調が良くないのだろうと思っていた。
「いえ、大丈夫です。入院中に来ていたらきっと…」
で、言葉を止めて。
「…リザちゃん…」
「すみません…」
苦笑を零す。
入院中に来ていたら、心の準備をする前に記憶を失った事実を知ってしまう。
きっとショックが大きくて、さらに体調を崩してしまわれていたかもしれない。
私の思いは口にせずともイズミさんたちに伝わり、私の手を握ってくれた。
こうして、落ち着いてイズミさんと会話をするのは初めて。
以前紹介してくれたけど、アイリさんは忙しい人だからすぐに帰ってきてしまったから。
だから私は。
「イズミさんに、ずっと聞きたかったことがあるんです」
「聞きたかったこと?なんだい?」
ずっと気になっていたことを聞く。
「アイリさんの幼少の頃はどういう感じだったんですか?」
小さい頃の、アイリさんの様子。
私は軍人で恰好良い“ セイフォード少将”しか知らないから。
「アイリの幼少期?」
イズミさんはきょとんとした表情を浮かべて。
「はい、幼馴染のイズミさんしか知らない面があるのかなと思いまして」
私の言葉に、小さく笑った。
「アイリの子供の頃はね」
イズミさんは目を伏せ、語り始めた。
「すごく大人しい子だったよ」
アイリさんの幼少期を。
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『……リザさん…』
「!!」
一時間ほど経って、寝室から弱々しく私を呼ぶ声が聞こえた。
「入りますね」
断りを入れて、寝室へ。
「あ、横になったままで大丈夫です」
アイリさんは体を起こそうとしたから、それを止めた。
「すみません、鎮痛剤が必要なことを伝え忘れてしまって…」
重要なことを伝え忘れたことを謝った。
「…いえ…私が悪いんです…」
アイリさんは力無く笑って。
「…全てを…忘れてしまったから…」
記憶喪失になってなければ、自分の体のこともわかっているはずなのに。
「…いいえ、アイリさんは悪くありません」
そう。
アイリさんは悪くない。
「悪いのは、ひき逃げをした犯人です」
あなたをこんな体にした人。
ブラッドレイと、ブラッドレイもどきたち。
そして…。
あの少年。
アイリさんは眠そうで、ハイスが取ってくれた鎮痛剤は副作用が強いやつみたい。
「アイリさん、少し眠ってください」
「…でも…」
「その鎮痛剤は副作用で眠くなるものなので」
アイリさんの頭に触れて。
「なので、少し眠って大丈夫です」
小さく笑いかける。
安心させるように。
「……はい…じゃあ少しだけ…」
アイリさんも小さく笑み、間も無く眠りについた。
スゥスゥと寝息を立てるアイリさんを見て、今度は眠っているから。
だから額に触れるだけのキスをして、寝室を出た。
寝室の扉に額を付け、深く息を吐いて。
「…割れた食器を片付けないと」
キッチンへ行く。
急に痛みに襲われた時、落としてしまった食器。
割れた音からしてコーヒーカップ一つでしょうね。
「!あら」
キッチンへ行けば、ハイスが破片を拾っておいてくれたようで大きな破片はキッチンの上に置いてあった。
ちゃんとキッチンペーパーを敷いて、その上に。
細かな破片はキッチンペーパーで集めてくれたのか、踏まないようにキッチンペーパーが被せられていた。
「ありがたいわね」
私はクスクス笑い、破片の片付けをしていると。
コンコン
『ホークアイ大尉、カーティス夫妻がいらしているようです』
ドアをノックする音と共に聞こえたのはハイスの声で。
カーティス夫妻。
カーティス夫妻の奥様のほうは、アイリさんの幼馴染。
「えぇ、わかったわ。通して差し上げて」
『っす』
アイリさんの退院を知って駆け付けてくれたのね。
手早く破片を片付けて玄関に行く。
複数人の足音が聞こえたから、静かにドアを開けて。
「おはようございます、イズミさん、シグさん」
深刻な面持ちのお二人にご挨拶をする。
「…おはようさん、その…リザちゃん…」
「中へどうぞ。アイリさんですね。アイリさんは今、鎮痛剤を飲んで眠ってます」
カーティス夫妻を中へ通す。
「…鎮痛剤ってことは、痛みが…?」
「はい、先ほど。後遺症のことを話していなかった私の落ち度です…」
車に轢き逃げされたと説明はしてあるけれど、体と左目の痛みについて話していなかった。
アイリさんには申し訳ないわね…。
「そうかい…」
「じゃあ、今は鎮痛剤の副作用で寝ているということかな?」
シグさんに問われ、頷く。
「なので、すみませんがアイリさんとお話は…」
そこまで言うと、イズミさんは首を横に振って。
「いいのいいの。アイリが無事ならそれで」
記憶を失えど、とりあえず無事なら安心だとイズミさんは言った。
「でもアイリの入院中にお見舞いに行けなくて申し訳なかったね…」
「あの時イズミは少し体調を崩していてね。それでも行こうとするから俺が止めたんだ」
アイリさんの入院中、イズミさんたちはいらっしゃることがなかった。
けれど、アイリさんからはイズミさんの事情を聞いているから体調が良くないのだろうと思っていた。
「いえ、大丈夫です。入院中に来ていたらきっと…」
で、言葉を止めて。
「…リザちゃん…」
「すみません…」
苦笑を零す。
入院中に来ていたら、心の準備をする前に記憶を失った事実を知ってしまう。
きっとショックが大きくて、さらに体調を崩してしまわれていたかもしれない。
私の思いは口にせずともイズミさんたちに伝わり、私の手を握ってくれた。
こうして、落ち着いてイズミさんと会話をするのは初めて。
以前紹介してくれたけど、アイリさんは忙しい人だからすぐに帰ってきてしまったから。
だから私は。
「イズミさんに、ずっと聞きたかったことがあるんです」
「聞きたかったこと?なんだい?」
ずっと気になっていたことを聞く。
「アイリさんの幼少の頃はどういう感じだったんですか?」
小さい頃の、アイリさんの様子。
私は軍人で恰好良い“ セイフォード少将”しか知らないから。
「アイリの幼少期?」
イズミさんはきょとんとした表情を浮かべて。
「はい、幼馴染のイズミさんしか知らない面があるのかなと思いまして」
私の言葉に、小さく笑った。
「アイリの子供の頃はね」
イズミさんは目を伏せ、語り始めた。
「すごく大人しい子だったよ」
アイリさんの幼少期を。
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