ハガレン百合夢、リザさんお相手の長編です。
愛しき人よ リザさん百合長編夢
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「!おはようございます」
「!お、おはようございます…」
「美味しそうな朝食をありがとうございます」
「いえ…!冷蔵庫を勝手に見てしまってすみませんっ!」
「えーと、ここはアイリさんの自宅でもあるので、勝手にではないから大丈夫ですよ」
「あ…」
翌日、リビングへと行けばすでに##NAME1##さんは起きていて。
朝食を作ってくれていた。
チラチラと申し訳なさそうに見てくる姿が可愛らしい。
それに、眼鏡でエプロン姿でポニーテールのアイリさんはいつものアイリさんで。
「…アイリさん」
「はい?どうしました?」
…本当に記憶がないのかを試してみたら。
敬語だから、やっぱり記憶がないみたい。
「その、体は大丈夫ですか?」
「え?」
アイリさんは結構な頻度で左目と体に痛みが走るから。
眼球をくり抜かれた後遺症と、先の戦いで傷ついた後遺症で。
「…退院したとはいえ、車に撥ねられたのでまだ万全ではないでしょうから」
「あ…はい、そうですね…。体は大丈夫です。痛みとかも今のところありません」
アイリさんは手をワキワキさせて確かめている。
体の痛みなのに、手をワキワキ。
…可愛い。
「よかったです。ですが、まだ安静にしていないとですからね」
「は、はい、わかりました」
アイリさんも私も小さく笑い、朝食を食べる。
「美味しいです」
「よかったぁ…あまり自信なかったんですが、そう言ってもらえて安心しました」
記憶を失っても、料理はちゃんと出来るみたい。
…やっぱり記憶を失ってもアイリさんは優秀ね。
「あの、食べ終わったらお家を探検してみてもいいですか?」
探検。
確かに、昨日は簡単にしか案内していないから。
「もちろんです」
というか。
パッとアイリさんを見て、昨日と同じ服であることに気づいた。
「あ、服」
「え?あ…えと…私の服がどれかわからなくて…」
すみません、と申し訳なさそうに謝ってきた。
「いえ、謝るのは私です。ちゃんとお教えしてない私が悪いので、すみませんアイリさん」
「そんな…!リザさんが謝ることじゃ…!」
ブブブブ!と高速で首と手を振るアイリさん。
ふふっ、やっぱり可愛い人。
「こちらです」
朝食を終え、アイリさんの服がある場所を教える。
「こちら側がアイリさんのお洋服があって、こちらに私の服があります」
「…ウォークインクローゼットというやつですね」
私は好き勝手にアイリさんの服を着て、アイリさんの理性を落としたりしていたけれど。
アイリさんは私より背が高いから私の服は着れない。
「あなたの服なので、好きな服を着てくださいね」
「あ、はい…わかりました…!ありがとうございます…!」
クローゼット内を見渡して、その広さに驚いている。
「私はリビングに居ますので」
「は、はい」
いつもなら着替えるところを見てたりするけど、今はやっちゃ駄目。
今のアイリさんにとって、私は他人だから。
アイリさんを待つ間に食器を片付けて、ふと時計を見る。
そろそろアイリさんの警護交代の時間ね。
タオルで手を拭いて、玄関へ行く。
「!あ、おはようさんス」
「おはよう、ハイス。今日はあなたなのね」
「っス。んじゃ俺は定位置に付きますね」
ハイス、とは。
ハイマンス・ブレダ元少尉の愛称。
彼はもう軍人ではなく、外から私たちに協力してくれているの。
「ちょっと待って。アイリさんに紹介したいから、入ってもらってもいい?」
「あー…そうっスよね…お邪魔しやーす」
記憶がないから、ハイスのことも忘れてしまっているため、友人であることを紹介したい。
ハイスは少しだけ悲しそうな表情を浮かべ、けれどすぐに顔を上げて中に入った。
ハイスを招き入れれば、アイリさんが寝室から出て来ていて。
「あ、えと…おは…おはようございます…!」
ハイスを見て驚いていた。
「アイリさん、こちら友人のハイマンス・ブレダさんです。アイリさんとも面識があった人なんですよ」
「そ、そうなんですね…!すみません…その…覚えてなくて…」
アイリさんは申し訳なさそうにはハイスを見つめている。
「仕方ないことですし、いいんスよ。俺のことは気軽にハイスと呼んでください」
「ハイス…さん…」
「……ハイスさん…良い響き…」
アイリさんは私たちを呼び捨てで呼んでいたから、さん付けで呼ばれることがどこか新鮮よね。
まぁ、マスタング准将は“ロイ君”と呼んでいたけど。
あの呼び方可愛いわよね。
呼び方ね、呼び方。
マスタング准将を可愛いと言ってるわけじゃないわよ?
「近くまで来たから顔を見て行こうかと思って」
「そうだったんですね。今コーヒー入れますので、ゆっくりして行ってください」
アイリさんはニコリと笑み、キッチンに立つ。
「(…やっぱり全然ダメっスか?)」
「(えぇ、何も思い出せていないわ)」
「(そうかぁ…)」
アイリさんの様子を見ながら、聞こえないように小声で話す。
「(そうすぐには戻らないわよ)」
「(スね…)」
少しずつでも戻ってほしいけど、無理には思い出させたくはない。
パリンッ
「「ッ!!」」
突然、何かが割れる音が聞こえ、ハイスと同時にアイリさんを見る。
「ッッ」
アイリさんは左目を押さえ、蹲った。
「アイリさんッ!」
すぐに駆け寄り、アイリさんを支える。
左目に痛みが走っているようで、冷や汗が出始めている。
「ハイス、そこの引き出しから鎮痛剤を取ってもらえる?」
「っす!」
しまったわね…。
記憶喪失に囚われて、鎮痛剤が必要なことを伝え忘れていた。
「薬と水です!」
「ありがとう」
ハイスは水も入れてくれて、それを受け取る。
「アイリさん、鎮痛剤と水です。飲めますか?」
…飲めないと口移しになるのだけど。
私は良くても今のアイリさんは良くないから。
「…ッ」
アイリさんはなんとか薬を飲み込んで。
「大尉、アイリさん、すんませんが」
「えぇ、お願い」
ハイスが断りを入れてからアイリさんを横抱きにして、寝室へ運んでくれた。
「鎮痛剤が効いてくるまで時間がかかると思うから」
「わかりました。俺は持ち場に付きます」
「ありがとう、ハイス」
「あ、見送りは大丈夫っす。アイリさんの傍に居てあげてください」
「そうさせてもらうわね、ごめんなさい」
そうしてハイスは去って行った。
ベッドの上で、痛みで蹲っていて。
「…アイリさん、痛みが落ち着いただろう時間を見計らってまた来ますね」
「…っ、す、すみませ…っ」
傍に居てあげたい。
でも、私は今は他人だから。
きっと一人で居たいだろうと思って。
小さく笑みを浮かべて、アイリさんの頭を優しく一撫でして。
寝室を出た。
寝室の扉に背中を預け、座り込む。
膝を抱えて、膝に額を押し付けて。
「……苦しい…」
小さく呟いた。
“今は他人”というこの言葉を思うだけで、口にするだけで。
心が擦り減っていく。
生きていてくれるだけでいいと思っていたのに。
“ねぇ、リザー”
そう呼んでくれるアイリさんがとても恋しくて。
「…あなたに会いたい…アイリさん…」
再び小さくそう呟き、私は膝に顔を埋めた。
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「!おはようございます」
「!お、おはようございます…」
「美味しそうな朝食をありがとうございます」
「いえ…!冷蔵庫を勝手に見てしまってすみませんっ!」
「えーと、ここはアイリさんの自宅でもあるので、勝手にではないから大丈夫ですよ」
「あ…」
翌日、リビングへと行けばすでに##NAME1##さんは起きていて。
朝食を作ってくれていた。
チラチラと申し訳なさそうに見てくる姿が可愛らしい。
それに、眼鏡でエプロン姿でポニーテールのアイリさんはいつものアイリさんで。
「…アイリさん」
「はい?どうしました?」
…本当に記憶がないのかを試してみたら。
敬語だから、やっぱり記憶がないみたい。
「その、体は大丈夫ですか?」
「え?」
アイリさんは結構な頻度で左目と体に痛みが走るから。
眼球をくり抜かれた後遺症と、先の戦いで傷ついた後遺症で。
「…退院したとはいえ、車に撥ねられたのでまだ万全ではないでしょうから」
「あ…はい、そうですね…。体は大丈夫です。痛みとかも今のところありません」
アイリさんは手をワキワキさせて確かめている。
体の痛みなのに、手をワキワキ。
…可愛い。
「よかったです。ですが、まだ安静にしていないとですからね」
「は、はい、わかりました」
アイリさんも私も小さく笑い、朝食を食べる。
「美味しいです」
「よかったぁ…あまり自信なかったんですが、そう言ってもらえて安心しました」
記憶を失っても、料理はちゃんと出来るみたい。
…やっぱり記憶を失ってもアイリさんは優秀ね。
「あの、食べ終わったらお家を探検してみてもいいですか?」
探検。
確かに、昨日は簡単にしか案内していないから。
「もちろんです」
というか。
パッとアイリさんを見て、昨日と同じ服であることに気づいた。
「あ、服」
「え?あ…えと…私の服がどれかわからなくて…」
すみません、と申し訳なさそうに謝ってきた。
「いえ、謝るのは私です。ちゃんとお教えしてない私が悪いので、すみませんアイリさん」
「そんな…!リザさんが謝ることじゃ…!」
ブブブブ!と高速で首と手を振るアイリさん。
ふふっ、やっぱり可愛い人。
「こちらです」
朝食を終え、アイリさんの服がある場所を教える。
「こちら側がアイリさんのお洋服があって、こちらに私の服があります」
「…ウォークインクローゼットというやつですね」
私は好き勝手にアイリさんの服を着て、アイリさんの理性を落としたりしていたけれど。
アイリさんは私より背が高いから私の服は着れない。
「あなたの服なので、好きな服を着てくださいね」
「あ、はい…わかりました…!ありがとうございます…!」
クローゼット内を見渡して、その広さに驚いている。
「私はリビングに居ますので」
「は、はい」
いつもなら着替えるところを見てたりするけど、今はやっちゃ駄目。
今のアイリさんにとって、私は他人だから。
アイリさんを待つ間に食器を片付けて、ふと時計を見る。
そろそろアイリさんの警護交代の時間ね。
タオルで手を拭いて、玄関へ行く。
「!あ、おはようさんス」
「おはよう、ハイス。今日はあなたなのね」
「っス。んじゃ俺は定位置に付きますね」
ハイス、とは。
ハイマンス・ブレダ元少尉の愛称。
彼はもう軍人ではなく、外から私たちに協力してくれているの。
「ちょっと待って。アイリさんに紹介したいから、入ってもらってもいい?」
「あー…そうっスよね…お邪魔しやーす」
記憶がないから、ハイスのことも忘れてしまっているため、友人であることを紹介したい。
ハイスは少しだけ悲しそうな表情を浮かべ、けれどすぐに顔を上げて中に入った。
ハイスを招き入れれば、アイリさんが寝室から出て来ていて。
「あ、えと…おは…おはようございます…!」
ハイスを見て驚いていた。
「アイリさん、こちら友人のハイマンス・ブレダさんです。アイリさんとも面識があった人なんですよ」
「そ、そうなんですね…!すみません…その…覚えてなくて…」
アイリさんは申し訳なさそうにはハイスを見つめている。
「仕方ないことですし、いいんスよ。俺のことは気軽にハイスと呼んでください」
「ハイス…さん…」
「……ハイスさん…良い響き…」
アイリさんは私たちを呼び捨てで呼んでいたから、さん付けで呼ばれることがどこか新鮮よね。
まぁ、マスタング准将は“ロイ君”と呼んでいたけど。
あの呼び方可愛いわよね。
呼び方ね、呼び方。
マスタング准将を可愛いと言ってるわけじゃないわよ?
「近くまで来たから顔を見て行こうかと思って」
「そうだったんですね。今コーヒー入れますので、ゆっくりして行ってください」
アイリさんはニコリと笑み、キッチンに立つ。
「(…やっぱり全然ダメっスか?)」
「(えぇ、何も思い出せていないわ)」
「(そうかぁ…)」
アイリさんの様子を見ながら、聞こえないように小声で話す。
「(そうすぐには戻らないわよ)」
「(スね…)」
少しずつでも戻ってほしいけど、無理には思い出させたくはない。
パリンッ
「「ッ!!」」
突然、何かが割れる音が聞こえ、ハイスと同時にアイリさんを見る。
「ッッ」
アイリさんは左目を押さえ、蹲った。
「アイリさんッ!」
すぐに駆け寄り、アイリさんを支える。
左目に痛みが走っているようで、冷や汗が出始めている。
「ハイス、そこの引き出しから鎮痛剤を取ってもらえる?」
「っす!」
しまったわね…。
記憶喪失に囚われて、鎮痛剤が必要なことを伝え忘れていた。
「薬と水です!」
「ありがとう」
ハイスは水も入れてくれて、それを受け取る。
「アイリさん、鎮痛剤と水です。飲めますか?」
…飲めないと口移しになるのだけど。
私は良くても今のアイリさんは良くないから。
「…ッ」
アイリさんはなんとか薬を飲み込んで。
「大尉、アイリさん、すんませんが」
「えぇ、お願い」
ハイスが断りを入れてからアイリさんを横抱きにして、寝室へ運んでくれた。
「鎮痛剤が効いてくるまで時間がかかると思うから」
「わかりました。俺は持ち場に付きます」
「ありがとう、ハイス」
「あ、見送りは大丈夫っす。アイリさんの傍に居てあげてください」
「そうさせてもらうわね、ごめんなさい」
そうしてハイスは去って行った。
ベッドの上で、痛みで蹲っていて。
「…アイリさん、痛みが落ち着いただろう時間を見計らってまた来ますね」
「…っ、す、すみませ…っ」
傍に居てあげたい。
でも、私は今は他人だから。
きっと一人で居たいだろうと思って。
小さく笑みを浮かべて、アイリさんの頭を優しく一撫でして。
寝室を出た。
寝室の扉に背中を預け、座り込む。
膝を抱えて、膝に額を押し付けて。
「……苦しい…」
小さく呟いた。
“今は他人”というこの言葉を思うだけで、口にするだけで。
心が擦り減っていく。
生きていてくれるだけでいいと思っていたのに。
“ねぇ、リザー”
そう呼んでくれるアイリさんがとても恋しくて。
「…あなたに会いたい…アイリさん…」
再び小さくそう呟き、私は膝に顔を埋めた。
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