風邪 リザさん百合夢
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「リザ…大丈夫かな…」
ガタンゴトンと揺れる汽車の中。
席は空いているけど、すぐ降りられるように扉の前に立つ。
席を隔てる壁に背中を預け、腕を組んで。
暗くなって来た外を眺める。
年末に倒れるなんて。
過労?
いえ、ロイ君やグラマン中将は部下に無理をさせるようなことはしない。
ましてやロイ君はそういうのは敏感だから、倒れる前に休ませるでしょうし。
「…自宅療養が出来るなら、そんな大事でもなさそうよね」
そうよね。
大丈夫よね?リザ。
「……大丈夫よね、本当に…」
一度不安になったら、なかなか不安が拭えない。
リザに関してはいつもそう。
失いたくないから。
絶対に失いたくない人だから。
だから一番怖いものはなに?と聞かれると、迷うことなく“恋人を失うこと”って答えるわ。
それ以外は何も怖くない。
幽霊や神様なんて、そんな曖昧な存在は信じてない。
運命とか奇跡とかは、リザと会うまでは信じていなかった。
でもリザと出会い交際することで、運命や奇跡だって思えるようなことが増えた。
「私の人生に彩りを与えてくれたのよね、リザは」
私はもうリザ無しではダメ人間になってしまうわ。
「あの…セイフォード少将…ですよね…?」
「!はい、そうです」
物思いに耽っていたら、声をかけられた。
振り返れば、若いお兄さんで。
隣には可愛らしい彼女さんも居て。
「どうしました?」
何か困り事かな?と、問えば。
「…あの…」
「?」
お兄さんも彼女さんも、言いづらそうにしていて。
二人が来た方をチラッと見れば。
「……あれね」
酔った男が乗客に絡んで迷惑をかけていた。
「は、はい…!オレらあいつから逃げて来たんですが…」
「その途中で私を見つけた、と」
「です…」
今は仕事したくないけど、そういうわけにはいかないわね。
私は二人に微笑んで。
「教えてくれてありがとう。あなたたちのおかげであの車両の人たちは救われたわよ」
そう告げ、迷惑男がいる車両へと向かった。
「「………かっこよ」」
なんて二人が呟いていたのは聞こえなかった。
「ちょっと、あなた」
「ああん?あんだぁあんたはぁ…」
迷惑男の肩に手を置くと、眉間にこれでもか!というくらい皺を寄せた迷惑男が振り返った。
酒臭すぎて、私も眉間に皺を寄せて。
「!……あなた」
その顔に、さらに深く眉間に皺を寄せた。
「こりゃまた若い姉ちゃんだこって!ああん!?なんだってよ!!」
迷惑男はニヤニヤ笑いながら、私の胸を鷲掴みにして。
「お、おい!あんた!いい加減に…!」
ついて来ていたさっきのお兄さんが、私を助けてくれようとしたのを片手で制して。
「座れ、ゼン・ルミス中佐」
迷惑男に命令を行使した。
「あ!?あんたなんで俺の……なま…え……」
バッと顔を上げたルミス中佐の表情は、酔っぱらいの顔から徐々に真っ青になってきて。
「え…あ…セ…セイフォード…少将……なぜ……」
正気を取り戻したから。
「もう一度言うわ。座れ、ゼン・ルミス中佐」
もう一度命令をした。
「は、はい!」
と、座席に座ったので。
「違う、床に正座」
ピッと床を指す。
「はいぃい!!」
すっかり酔いが覚めたようで、青褪めて絶望してる。
まぁそりゃあそうよ。
将官の胸を揉んだんだから。
「こんな時間に酔っ払って、あなたは何をしているの?軍人でありながらこの有様はなに?」
「ひ、久しぶりに…家族に会えるので…その前にちょっと一杯引っ掛けてからと…っ」
まだ夕方5時くらいだというのに、こんなベロベロになるなんて軍人として有り得ない。
「一杯?“いっぱい”の間違いでしょ」
「は、はい…っ申し訳ありません…っつい飲み過ぎちゃって…っ」
「守るべき国民に迷惑をかけるって軍人としてあるまじき行為よ」
「す、すみません…っ」
辺りは静まり返り、ガタンゴトンと汽車の音だけが耳に届く。
「ご家族もあなたが帰るのを楽しみにしているでしょうに、こんな迷惑行為をして」
「は、はい…ごめんなさい…」
私は周りを見て。
「部下が大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。この件につきましては然るべき対処を「セイフォード少将が悪いわけじゃないんですから、謝らないでください!」
私の言葉を遮ったのは、乗客の方で。
「…ですが…」
「その人も反省してるみたいですし!」
「良いお正月を迎えましょうよ!」
乗客の優しさで、ルミス中佐は許されてしまった。
「…ルミス中佐、乗客の皆さんは許してくださったわよ?あなたは何て言うの?」
「は…!あ、ありがとうございます!!大変申し訳ありませんでした!!」
と、頭を下げたからまぁ良しとしましょう。
それから、イーストシティに着いて。
「あ、あの…!セイフォード少将…!」
「なに?急いでるの」
急いで汽車から降りて、走ろうとしたら呼び止められた。
「すみませんでした…その…胸………」
私の胸を揉んできたことを謝られた。
「まぁ、酔っていたし今回は酔っ払いの悪戯で済ませてあげるけど」
ルミス中佐の肩に人差し指を当てて。
「次はないわよ?」
小さく笑った。
「は、はいッ!」
ルミス中佐は敬礼をして頭を下げた。
「じゃあね」
「はい!!良いお年を!!」
トラブルはあったけど、無事解決。
リザの家に急がないと。
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「リザ…大丈夫かな…」
ガタンゴトンと揺れる汽車の中。
席は空いているけど、すぐ降りられるように扉の前に立つ。
席を隔てる壁に背中を預け、腕を組んで。
暗くなって来た外を眺める。
年末に倒れるなんて。
過労?
いえ、ロイ君やグラマン中将は部下に無理をさせるようなことはしない。
ましてやロイ君はそういうのは敏感だから、倒れる前に休ませるでしょうし。
「…自宅療養が出来るなら、そんな大事でもなさそうよね」
そうよね。
大丈夫よね?リザ。
「……大丈夫よね、本当に…」
一度不安になったら、なかなか不安が拭えない。
リザに関してはいつもそう。
失いたくないから。
絶対に失いたくない人だから。
だから一番怖いものはなに?と聞かれると、迷うことなく“恋人を失うこと”って答えるわ。
それ以外は何も怖くない。
幽霊や神様なんて、そんな曖昧な存在は信じてない。
運命とか奇跡とかは、リザと会うまでは信じていなかった。
でもリザと出会い交際することで、運命や奇跡だって思えるようなことが増えた。
「私の人生に彩りを与えてくれたのよね、リザは」
私はもうリザ無しではダメ人間になってしまうわ。
「あの…セイフォード少将…ですよね…?」
「!はい、そうです」
物思いに耽っていたら、声をかけられた。
振り返れば、若いお兄さんで。
隣には可愛らしい彼女さんも居て。
「どうしました?」
何か困り事かな?と、問えば。
「…あの…」
「?」
お兄さんも彼女さんも、言いづらそうにしていて。
二人が来た方をチラッと見れば。
「……あれね」
酔った男が乗客に絡んで迷惑をかけていた。
「は、はい…!オレらあいつから逃げて来たんですが…」
「その途中で私を見つけた、と」
「です…」
今は仕事したくないけど、そういうわけにはいかないわね。
私は二人に微笑んで。
「教えてくれてありがとう。あなたたちのおかげであの車両の人たちは救われたわよ」
そう告げ、迷惑男がいる車両へと向かった。
「「………かっこよ」」
なんて二人が呟いていたのは聞こえなかった。
「ちょっと、あなた」
「ああん?あんだぁあんたはぁ…」
迷惑男の肩に手を置くと、眉間にこれでもか!というくらい皺を寄せた迷惑男が振り返った。
酒臭すぎて、私も眉間に皺を寄せて。
「!……あなた」
その顔に、さらに深く眉間に皺を寄せた。
「こりゃまた若い姉ちゃんだこって!ああん!?なんだってよ!!」
迷惑男はニヤニヤ笑いながら、私の胸を鷲掴みにして。
「お、おい!あんた!いい加減に…!」
ついて来ていたさっきのお兄さんが、私を助けてくれようとしたのを片手で制して。
「座れ、ゼン・ルミス中佐」
迷惑男に命令を行使した。
「あ!?あんたなんで俺の……なま…え……」
バッと顔を上げたルミス中佐の表情は、酔っぱらいの顔から徐々に真っ青になってきて。
「え…あ…セ…セイフォード…少将……なぜ……」
正気を取り戻したから。
「もう一度言うわ。座れ、ゼン・ルミス中佐」
もう一度命令をした。
「は、はい!」
と、座席に座ったので。
「違う、床に正座」
ピッと床を指す。
「はいぃい!!」
すっかり酔いが覚めたようで、青褪めて絶望してる。
まぁそりゃあそうよ。
将官の胸を揉んだんだから。
「こんな時間に酔っ払って、あなたは何をしているの?軍人でありながらこの有様はなに?」
「ひ、久しぶりに…家族に会えるので…その前にちょっと一杯引っ掛けてからと…っ」
まだ夕方5時くらいだというのに、こんなベロベロになるなんて軍人として有り得ない。
「一杯?“いっぱい”の間違いでしょ」
「は、はい…っ申し訳ありません…っつい飲み過ぎちゃって…っ」
「守るべき国民に迷惑をかけるって軍人としてあるまじき行為よ」
「す、すみません…っ」
辺りは静まり返り、ガタンゴトンと汽車の音だけが耳に届く。
「ご家族もあなたが帰るのを楽しみにしているでしょうに、こんな迷惑行為をして」
「は、はい…ごめんなさい…」
私は周りを見て。
「部下が大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。この件につきましては然るべき対処を「セイフォード少将が悪いわけじゃないんですから、謝らないでください!」
私の言葉を遮ったのは、乗客の方で。
「…ですが…」
「その人も反省してるみたいですし!」
「良いお正月を迎えましょうよ!」
乗客の優しさで、ルミス中佐は許されてしまった。
「…ルミス中佐、乗客の皆さんは許してくださったわよ?あなたは何て言うの?」
「は…!あ、ありがとうございます!!大変申し訳ありませんでした!!」
と、頭を下げたからまぁ良しとしましょう。
それから、イーストシティに着いて。
「あ、あの…!セイフォード少将…!」
「なに?急いでるの」
急いで汽車から降りて、走ろうとしたら呼び止められた。
「すみませんでした…その…胸………」
私の胸を揉んできたことを謝られた。
「まぁ、酔っていたし今回は酔っ払いの悪戯で済ませてあげるけど」
ルミス中佐の肩に人差し指を当てて。
「次はないわよ?」
小さく笑った。
「は、はいッ!」
ルミス中佐は敬礼をして頭を下げた。
「じゃあね」
「はい!!良いお年を!!」
トラブルはあったけど、無事解決。
リザの家に急がないと。
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