ハガレン 旧拍手文置き場
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『自慢』
「なぁ!今日ソラのうちで遊ぼうぜ!」
「…え?うちで…?」
「だってお前んち広いしさ!」
「……母さんに聞いてみないと…」
ある日、小学校で。
友達のテツに、オレの家で遊びたいって言われた。
オレの家は、控えめに言ってもデカすぎて。
友達たちがよく来たがる。
鬼ごっこもできるし隠れんぼも出来るからだと思う。
それに、母さんが焼いてくれるクッキーも美味しいから。
まぁ、急な約束でも母さんたちは嫌な顔は一切しない。
…でもなんでこんなにオレの家で遊ぶのが嫌なのかと言うと。
なんか知らないけど、みんな母さんと話したがるからだ。
確かに、自慢じゃないけど母さん二人はキレイな母さんだと思う。
参観日とか来てくれた時、なんか知らないけど両親が来てる友達が多くて。
絶対に“こんにちは、今日の懇親会出席しますか?”って聞かれてる。
“こんにちは、出席しますよ”って母さんが笑顔で答えると、みんな顔を赤くするんだ。
なんかそれがすっげー嫌だ。
母さんにはさ、リザ母さんがいるのにさ。
そしてもう一つ言われてるのが…。
“次期大総統選に出馬しますよね?”
オレはよくわからないんだけど、アイリ母さんと買い物に行ったりするとよく聞かれてるんだ。
『母さん、みんな知り合いなの?』
『んー?知り合いというか、お母さん結構有名だったのよ』
『有名?』
『えぇ。元“雷鳴の錬金術師”という二つ名を持つ国家錬金術師で、国軍中将だったから』
『えええ!?“雷鳴の錬金術師”ってお母さんだったの!?』
『あら、知ってるの?あなたが産まれる前に退役してるのに』
『……教科書に載ってたよ。国を救った英雄の一人だって…』
教科書には“アイリ・セイフォード”って載ってたから、同じ名前なんだくらいにしか思ってなかった。
リザ母さんに聞いたら、アイリ母さんの人望は厚く広く、アイリ母さんの言葉と行動は国民を動かす力があるって言ってた。
だから、国民から“次期大総統選に出馬してほしい”って言われるんだって。
アイリ母さんが出馬したら投票の9割は入るだろうってさ。
…そんな優秀すぎる母さんの子だから。
オレも期待されまくってる。
“雷鳴の錬金術師”のお子さんなら、将来は国家錬金術師になれること間違いないって。
…学校の授業ですら付いて行けてないのに、無理に決まってる。
でも、みんな期待するんだ。
「おーいソラ!早くお前んち行こうぜ!」
「!か、母さんに聞いてみないとわからないからな!?」
オレより先にオレんちに向かおうとする友達に、ちょっとだけイラッて来る。
オレは公園とかで鬼ごっこのがいいんだけどなぁ…。
「……ただいま」
「おかえりー」
家に帰って来てすぐ、母さんがキッチンから顔を覗かせて迎えてくれた。
「あ、あのさ母さん…」
「んー?どうしたの?」
オレは数回目を泳がせて。
「その…友達が…来てるんだけど…うちで遊んでもいい…?」
そう聞くと。
「もちろんよ。いらっしゃいな」
…やっぱり母さんは嫌な顔をしないで、笑顔で迎え入れてくれた。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します!うわあ!良い匂い!ソラのお母さんクッキー焼いたんですか!?」
「いらっしゃい。えぇ、お部屋に持って行ってあげるからね」
「い、いいよ!オレが持ってくから、お前ら先に部屋行ってて!」
オレが友達の背中を押し、部屋へと押し込む。
カバンを置いて、キッチンに取りに行く時。
「オレも行く!」
「オレも!」
友達二人もついて来ようとしたから。
「いいから!部屋に居ろよ!」
「ちぇー!いいじゃんか!なぁ!?」
「な!ソラはケチだよなぁー」
ケチとかそんなんじゃないんだよ。
お前らがさ、母さんと話したがるからさ。
「あら、今持って行こうと思ったのに」
途中まで母さんが持って来てくれていて。
「い、いいって言っただろ!オレが取りに来るからさ!」
「あ」
母さんから奪うようにお盆を取ると、ちょっとだけジュースが溢れた。
「「……」」
いや、そんなつもりなかったんだ。
その、反抗期とかじゃなくて。
「ソラ「おーいソラー!あ、ソラのお母さん!」
母さんがオレを呼ぶのと同時に、テツが顔を出して母さんが居ることに部屋から出て来た。
「ソラの「“プルルルル プルルルル”」
今度はテツが母さんを呼ぼうとしたら、電話がかかってきた。
よかった…。
「ごめんね。電話だから行くわね」
と、オレの頭に手を置いて小さく笑みを浮かべてくれて。
「ぅん…」
母さんは電話のほうに行った。
「…ソラのお母さん、キレイだよなぁ」
「いいなぁ…」
うちの母ちゃんとは大違いだ!ってテツは言う。
…まぁ、自慢じゃないけど。
アイリ母さんもリザ母さんも、すごくキレイな人だから。
そう言われると、ちょっと嬉しいというか。
まぁ、当たり前というか…。
「テツ、ちょっとこれ持って部屋に行ってて」
「わかった。早くな!」
テツにお盆を持たせ、母さんのほうに行く。
…ちょっとごめんなさいをしないと…。
ひょこっと電話のところを覗き込むと。
「んー…ちょっとそれは穏やかじゃないわね。でも、判断はオリヴィエに任せるわ。それでも問題が起きそうならまた連絡をちょうだい」
…母さんは眉間に皺を寄せて、深刻そうな顔をしていた。
アイリ母さんはキレイな人だけど。
同時にすごくカッコ良くもあるんだ。
強い信念を秘めた眼差しと。
揺るぎない言葉、迷いのない行動力は本当に凄いって思う。
どうして迷わず行動とか、決断が出来るのかを前にリザ母さんに聞いたら。
『アイリお母さんはね?立場上、判断と決断をミスしてはいけない地位にいたの。恐怖心は判断を鈍らせ、動揺は決断を揺るがせるから、迷っている暇なんてないし迷ってはいけないのよ』
そうやって、たくさんの部下の命を背負い生きて来たって。
だからみんなアイリ母さんについて行った。
アイリ母さんの判断力と決断力の的確さに。
キレイな母さんだけど、オレはカッコいい母さんに憧れたんだ。
母さんたちのような立派な軍人になりたいって思ったんだ。
「ふぅ………あら、ソラ。どうしたの?」
「!あ、いや…その…」
電話を終えた母さんが、オレに気付いた。
「その…電話…」
「電話?ああ、大丈夫よ。」
何か問題があったみたいだけど、母さんはニコリと笑った。
「…あの、さ…母さん…」
「なぁに?」
母さんはキッチンに行ったから、オレも付いて行く。
「その…さっきは…」
ちょっとキツイ言い方をしてごめんなさいって謝ろうとしたら。
「ん、わかってる。恥ずかしかったのと」
“友達から私を遠ざけたかったのよね?”と。
オレの心情を理解してくれていた。
「き、気付いてたの…?」
「そりゃあれだけ好き好きアピールされたら気付くわよ」
母さんは苦笑いを零して。
「でも大丈夫だから、安心してちょうだい」
すぐに笑顔を浮かべてくれた。
…だよな。
そうだよな。
アイリ母さんに限って、テツの告白を受けるなんてないよな。
オレ絶対にやだし。
テツが父親になるとか、絶対やだ。
「私はあなたとあなたのもう一人のお母さんが好きよ」
「…ぅ…」
優しい笑顔に、なんだか照れくさくて。
「ほらほら、早くお部屋に戻らないとお友達が呼びに来るわよ?」
「ぅ、うん!」
やっぱり、アイリ母さんはすごい。
何でもわかってるんだ。
「遅かったじゃん。何してたんだよ」
「トイレだよトイレ!」
「んなことより、ゲームしようぜ!」
自慢じゃないけど………いや…。
すげー自慢だけどさ!
やっぱりアイリ母さんはすごい人なんだよな!
「私、まだモテモテみたいなのねー」
「…監禁するわよ?もう…」
「あは!子供に嫉妬なんてリザは本当に可愛いわよね」
なんて、母さんたちが話してたなんて知らない。
END
「なぁ!今日ソラのうちで遊ぼうぜ!」
「…え?うちで…?」
「だってお前んち広いしさ!」
「……母さんに聞いてみないと…」
ある日、小学校で。
友達のテツに、オレの家で遊びたいって言われた。
オレの家は、控えめに言ってもデカすぎて。
友達たちがよく来たがる。
鬼ごっこもできるし隠れんぼも出来るからだと思う。
それに、母さんが焼いてくれるクッキーも美味しいから。
まぁ、急な約束でも母さんたちは嫌な顔は一切しない。
…でもなんでこんなにオレの家で遊ぶのが嫌なのかと言うと。
なんか知らないけど、みんな母さんと話したがるからだ。
確かに、自慢じゃないけど母さん二人はキレイな母さんだと思う。
参観日とか来てくれた時、なんか知らないけど両親が来てる友達が多くて。
絶対に“こんにちは、今日の懇親会出席しますか?”って聞かれてる。
“こんにちは、出席しますよ”って母さんが笑顔で答えると、みんな顔を赤くするんだ。
なんかそれがすっげー嫌だ。
母さんにはさ、リザ母さんがいるのにさ。
そしてもう一つ言われてるのが…。
“次期大総統選に出馬しますよね?”
オレはよくわからないんだけど、アイリ母さんと買い物に行ったりするとよく聞かれてるんだ。
『母さん、みんな知り合いなの?』
『んー?知り合いというか、お母さん結構有名だったのよ』
『有名?』
『えぇ。元“雷鳴の錬金術師”という二つ名を持つ国家錬金術師で、国軍中将だったから』
『えええ!?“雷鳴の錬金術師”ってお母さんだったの!?』
『あら、知ってるの?あなたが産まれる前に退役してるのに』
『……教科書に載ってたよ。国を救った英雄の一人だって…』
教科書には“アイリ・セイフォード”って載ってたから、同じ名前なんだくらいにしか思ってなかった。
リザ母さんに聞いたら、アイリ母さんの人望は厚く広く、アイリ母さんの言葉と行動は国民を動かす力があるって言ってた。
だから、国民から“次期大総統選に出馬してほしい”って言われるんだって。
アイリ母さんが出馬したら投票の9割は入るだろうってさ。
…そんな優秀すぎる母さんの子だから。
オレも期待されまくってる。
“雷鳴の錬金術師”のお子さんなら、将来は国家錬金術師になれること間違いないって。
…学校の授業ですら付いて行けてないのに、無理に決まってる。
でも、みんな期待するんだ。
「おーいソラ!早くお前んち行こうぜ!」
「!か、母さんに聞いてみないとわからないからな!?」
オレより先にオレんちに向かおうとする友達に、ちょっとだけイラッて来る。
オレは公園とかで鬼ごっこのがいいんだけどなぁ…。
「……ただいま」
「おかえりー」
家に帰って来てすぐ、母さんがキッチンから顔を覗かせて迎えてくれた。
「あ、あのさ母さん…」
「んー?どうしたの?」
オレは数回目を泳がせて。
「その…友達が…来てるんだけど…うちで遊んでもいい…?」
そう聞くと。
「もちろんよ。いらっしゃいな」
…やっぱり母さんは嫌な顔をしないで、笑顔で迎え入れてくれた。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します!うわあ!良い匂い!ソラのお母さんクッキー焼いたんですか!?」
「いらっしゃい。えぇ、お部屋に持って行ってあげるからね」
「い、いいよ!オレが持ってくから、お前ら先に部屋行ってて!」
オレが友達の背中を押し、部屋へと押し込む。
カバンを置いて、キッチンに取りに行く時。
「オレも行く!」
「オレも!」
友達二人もついて来ようとしたから。
「いいから!部屋に居ろよ!」
「ちぇー!いいじゃんか!なぁ!?」
「な!ソラはケチだよなぁー」
ケチとかそんなんじゃないんだよ。
お前らがさ、母さんと話したがるからさ。
「あら、今持って行こうと思ったのに」
途中まで母さんが持って来てくれていて。
「い、いいって言っただろ!オレが取りに来るからさ!」
「あ」
母さんから奪うようにお盆を取ると、ちょっとだけジュースが溢れた。
「「……」」
いや、そんなつもりなかったんだ。
その、反抗期とかじゃなくて。
「ソラ「おーいソラー!あ、ソラのお母さん!」
母さんがオレを呼ぶのと同時に、テツが顔を出して母さんが居ることに部屋から出て来た。
「ソラの「“プルルルル プルルルル”」
今度はテツが母さんを呼ぼうとしたら、電話がかかってきた。
よかった…。
「ごめんね。電話だから行くわね」
と、オレの頭に手を置いて小さく笑みを浮かべてくれて。
「ぅん…」
母さんは電話のほうに行った。
「…ソラのお母さん、キレイだよなぁ」
「いいなぁ…」
うちの母ちゃんとは大違いだ!ってテツは言う。
…まぁ、自慢じゃないけど。
アイリ母さんもリザ母さんも、すごくキレイな人だから。
そう言われると、ちょっと嬉しいというか。
まぁ、当たり前というか…。
「テツ、ちょっとこれ持って部屋に行ってて」
「わかった。早くな!」
テツにお盆を持たせ、母さんのほうに行く。
…ちょっとごめんなさいをしないと…。
ひょこっと電話のところを覗き込むと。
「んー…ちょっとそれは穏やかじゃないわね。でも、判断はオリヴィエに任せるわ。それでも問題が起きそうならまた連絡をちょうだい」
…母さんは眉間に皺を寄せて、深刻そうな顔をしていた。
アイリ母さんはキレイな人だけど。
同時にすごくカッコ良くもあるんだ。
強い信念を秘めた眼差しと。
揺るぎない言葉、迷いのない行動力は本当に凄いって思う。
どうして迷わず行動とか、決断が出来るのかを前にリザ母さんに聞いたら。
『アイリお母さんはね?立場上、判断と決断をミスしてはいけない地位にいたの。恐怖心は判断を鈍らせ、動揺は決断を揺るがせるから、迷っている暇なんてないし迷ってはいけないのよ』
そうやって、たくさんの部下の命を背負い生きて来たって。
だからみんなアイリ母さんについて行った。
アイリ母さんの判断力と決断力の的確さに。
キレイな母さんだけど、オレはカッコいい母さんに憧れたんだ。
母さんたちのような立派な軍人になりたいって思ったんだ。
「ふぅ………あら、ソラ。どうしたの?」
「!あ、いや…その…」
電話を終えた母さんが、オレに気付いた。
「その…電話…」
「電話?ああ、大丈夫よ。」
何か問題があったみたいだけど、母さんはニコリと笑った。
「…あの、さ…母さん…」
「なぁに?」
母さんはキッチンに行ったから、オレも付いて行く。
「その…さっきは…」
ちょっとキツイ言い方をしてごめんなさいって謝ろうとしたら。
「ん、わかってる。恥ずかしかったのと」
“友達から私を遠ざけたかったのよね?”と。
オレの心情を理解してくれていた。
「き、気付いてたの…?」
「そりゃあれだけ好き好きアピールされたら気付くわよ」
母さんは苦笑いを零して。
「でも大丈夫だから、安心してちょうだい」
すぐに笑顔を浮かべてくれた。
…だよな。
そうだよな。
アイリ母さんに限って、テツの告白を受けるなんてないよな。
オレ絶対にやだし。
テツが父親になるとか、絶対やだ。
「私はあなたとあなたのもう一人のお母さんが好きよ」
「…ぅ…」
優しい笑顔に、なんだか照れくさくて。
「ほらほら、早くお部屋に戻らないとお友達が呼びに来るわよ?」
「ぅ、うん!」
やっぱり、アイリ母さんはすごい。
何でもわかってるんだ。
「遅かったじゃん。何してたんだよ」
「トイレだよトイレ!」
「んなことより、ゲームしようぜ!」
自慢じゃないけど………いや…。
すげー自慢だけどさ!
やっぱりアイリ母さんはすごい人なんだよな!
「私、まだモテモテみたいなのねー」
「…監禁するわよ?もう…」
「あは!子供に嫉妬なんてリザは本当に可愛いわよね」
なんて、母さんたちが話してたなんて知らない。
END