ハガレン 旧拍手文置き場
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『雷鳴と鷹 2』
「…今、電話のところで…セイフォード少将がキレてる感じだったんスけど…なんかあったんスかね…」
「セイフォード少将が?」
「あの人がキレるなんて珍しいな…」
セイフォード少将が東方司令部に滞在すること3日目。
ハボック少尉が何やらただならぬ様子のセイフォード少将に、顔を真っ青にさせていた。
「今は確か、中央へ連絡を入れているはずだけど…」
あの人を怒らせるなんて…中央で何かあったのかしら…。
「触らぬ神に祟りなし、って言うからしばらくは近づかないほうがいいな…」
「セイフォード少将は誰かに当たるような方じゃねぇだろ」
「いやー…あの様子は変だった…」
ハボック少尉とブレダ少尉の話を聞いて。
「………」
なんだか心配になってきたわ…。
大丈夫なのかしら…。
「ホークアイ中尉、ちょっと様子見てきてくださいよ…」
あわよくば機嫌を直してきて欲しい、と。
「今は仕事中よ。それに中央とセイフォード少将の問題に、私たちが口を出すべきではないわ」
「まぁ…そうっスよね…」
肩を落とすハボック少尉を横目で見つめ、書類を手に取り目を通す。
私の後ろをフュリー曹長が通った時。
「………ホークアイ中尉」
フュリー曹長に呼ばれて、そちらを見る。
「なに?フュリー曹長。」
「…あの…その……」
何やら口籠って、はっきりしないから。
「はっきり言ってちょうだい」
そう言うと。
「……書類、上下逆さまですよ…」
そう言われた。
「「「「………」」」」
シン、と静まり返るオフィス。
「………」
私は静かに書類を置いて立ち上がり、オフィスを出て行く。
その際に。
「よろしくっスー」
なんてハボック少尉に言われ、オフィスの扉に背中を預けて額を押さえた。
「……参ったわね…本当…」
信じられないくらい動揺してる自分に動揺してしまう。
セイフォード少将が怒るなんて珍しいを通り越して異常。
よろしく、と言われても…。
今私が行くべきなのかしら…。
なんて思いを巡らせながらセイフォード少将のところに向かった。
「いい加減にしてちょうだい。私は忙しいのよ。」
……怒ってる声が聞こえてきた。
こっそり角から覗く。
「知らないわよそんなこと。そんなくだらない事でいちいち連絡して来ないで」
壁に寄り掛かり、眉間に皺を寄せて。
「もう切るから。次そんなくだらない事で連絡してきたら許さない。」
ガチャンッ、と強めに受話器を置いて。
「ああ…イライラする…」
額を押さえて深いため息を吐いた。
…ハボック少尉の言う通り…ただよらぬ雰囲気…。
怖くはないのだけれど、そっとしておいたほうがいいのかを迷ってしまう。
「……」
普通を装って声をかけてみようかしら。
私は深呼吸を一つして、カツン…と靴を鳴らす。
「あ、セイフォード少将。如何なされました?」
普通に、普通に。
「……」
セイフォード少将が顔を上げれば、眉間に皺を寄せたままで。
「セイフォード少将?」
私が首を傾げた瞬間だった。
「…ッ!」
腕を掴まれて。
ドンッ
「…い…ッ」
壁に押し付けられて。
「ッアイリさ…ンぅ…っ」
噛みつかれるようなキスをされたのは。
「ん…っン…っ」
私は目を見開く。
こんな強引で、無理やりされたのは初めて。
「ン、ん…っふ…っぁ…っ」
アイリさんの肩を押すけど、離れてくれない。
それどころか、両頬を押さえられて。
「ぁ…っふ…ぁ…っ」
舌を絡め取られて。
深く深く深く、深く求められた。
「は…っぁ…ぅ…っ」
待ってください、アイリさん。
足がもうガクガクと震えて…。
「ん…」
「は…っはぁ…っはぁ…っ」
ようやく長い口付けから解放されて、私はズルズルと座り込む。
…腰に力が入らないのよ。
「……」
アイリさんも屈み、私の頬に触れて。
「ごめんね…リザ…」
申し訳なさそうに謝ってきた。
自分の苛立ちから、強引で無理やりのキスだったから。
「……何があったかはわかりませんが…少しは怒りは収まりましたか…?」
私の頬にあるアイリさんの手に、自分の手を重ねる。
「………まだって言ったら、もう一回してもいい?」
…困ったわね。
嫌じゃなかったから、悩みどころなの…。
怒り任せのキスだったとしても。
初めてこんな強引で無理やりなキスをされて。
…興奮してしまった自分がいるから…。
ただ、ここは職場。
「…リザ…?」
アイリさんの手が私の顎に添えられ、親指で唇をなぞられる。
ああ、もう。
ゾクゾクする…。
「…ここは職場ですから、困ります」
アイリさんの空色の瞳が、真っ直ぐ私を捉えてくる。
逸らせない。
ドキドキと胸が高鳴って。
「困るだけ?」
「…っ」
求めてしまう前に。
「…っアイリさん…お願いですから…これ以上掻き立てないでください…っ!」
アイリさんの軍服を握り、俯いて。
昂る熱を抑え込む。
「………」
アイリさんは私の手を握り、軍服から手を離させて。
「んっ」
触れるだけのキスをしてくれた。
「んー!」
そしてギュウッときつく抱き締めてからパッと離れて。
「…ちょっと屋上で頭冷やして来るわね」
はにかむように笑って、足早に去って行った。
「……っ」
私は目を閉じ、自分の軍服の胸元を握り、口を押さえる。
熱が冷めない。
ドキドキと胸が高鳴って、息苦しい。
欲情を掻き立てられる前に、アイリさんを止めたつもりだったのだけれど。
もう遅かったみたい…。
「…ああ、もう…」
本当に困った人…。
壁に背中を預けたまま立ち上がって。
アイリさんが去ったほうを見つめて。
「……屋上…ね…」
アイリさんの後を追った。
「……怒りは収まりましたか?」
「えぇ、すっきり」
「……それならよかったです」
「ね、リザ。もう一回いい?」
「ッだめに決まって…っ…あっぁ…っま、まってくださ…っぃあっ!あっあ…っ」
END