ハガレン 旧拍手文置き場
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『壁ドン』
「ねぇ、リザ」
「今度は何が流行ってるの?」
「もう言わなくてもわかるのね」
ある日。
レベッカがまた流行り情報を持ってきた。
今恋人同士の間で流行っているもの、或いは行動をね。
大した情報ではないのだけど、いつも私に持って来るのよ。
私がアイリさんにして欲しいと望んでると思ってるみたいで。
そんなことないのに。
………。
まぁ…たまに…は…あるかもしれないけど…。
「今日持ってきた情報はね?きっと絶対にセイフォード少将に実演してもらいたいって思えるくらいのことよ」
レベッカが自信満々で胸を張る。
「今日はセイフォード少将、中央司令部に行っているから実演なんて無理よ」
「今日じゃなくてもいいじゃない。別日にしてもらって、感想聞かせて」
「…あなたは本当、恥ずかしいことをズバズバ聞いて来るわよね…」
本当、アイリさんに私への流行りのことをさせた結果を毎回聞かれるの…。
この前のサディズムの件もそうよ、まったく。
「今回はね?“壁ドン”よ!」
「…壁ドン?なに、壁を殴るの?」
今の流行りは“壁ドン”というものらしく、それがそこいらで行われてるとか。
「壁殴ってたらそこら中穴だらけでしょ?」
「穴が空くほど殴る行動なの?殴ったほうの手は大丈夫なのかしら」
「あんたのそのガチ回答、可愛くないわよ!」
レベッカはため息を零し、私の手を掴んで。
「流行りに疎いあんたに実演してあげるから、セイフォード少将にもしてもらってね」
「いいわよ、実演なんてしなくて…」
「いいから来て!」
レベッカに無理やり手を引かれ、壁際に立たされて。
「いい?いくわよ?」
「はいはい…」
レベッカが、ドンッと音を立てるように私の顔の横に手を付けて。
「これが壁ドン」
私の顎に手を添えて、上を向かせた。
「……こんなのが流行るの?」
「恋人にされたら盛り上がるってこと。だからリザもセイフォード少将に「ちょっとロイ君いるー?」
レベッカの言葉を遮るように、オフィスに入って来たのは。
「「セイフォード少将…!?」」
アイリさんだった。
アイリさんは私たちを見て、きょとんとしている。
「え?」
「あ、あのこれは…」
「違うんですセイフォード少将!!」
それはそうだろう。
だって今の私は、レベッカに迫られている状況に見えるもの…。
「なにして「アイリちゃん」
きょとん顔から眉間に皺を寄せ、信じられないというような表情に変わるアイリさん。
「アウル中将…いついらしたんですか?」
アイリさんの言葉を遮ったのは、アウル中将で。
「たった今よ」
いつアウル中将が来ていたのかなんてどうでもよくて。
ただ今は。
「あの、セイフォード少将。これは「アイリちゃん、ちょっといいかしら」
一刻も早くこの状況の説明をしたかったのに。
アウル中将は私たちを見て小さく笑い、アイリさんの手を引いて。
「……はい、今行きます」
アイリさんはチラッと私たちを見て、アウル中将と行ってしまった。
「……これ、ヤバくない?」
レベッカが離れ、顔を真っ青にさせる。
絶対に浮気だと思われた。
自分が居ない間の出来事だもの。
しかもレベッカが私の顎に手を添えた状況を見れば確定よ。
「リザ…本当ごめ「大丈夫、あなたは悪くないから」
そう。
レベッカの悪ふざけでもあるんだけど。
でもレベッカを責めるのは間違い。
責めちゃ駄目。
私がちゃんと拒否しなかったから。
私の責任。
大丈夫、大丈夫。
アイリさんはわかってくれる。
私を信じてくれる。
そうですよね?アイリさん。
10分後。
アイリさんとアウル中将のお茶を持ってアイリさんの執務室へ伺う。
深呼吸をして。
コンコン
「ホークアイ中尉です。お茶をお持ちしました」
執務室の扉をノックする。
『入っていいわよ』
普通のトーンの声色に、少しだけホッとした。
「…失礼します」
扉を開け、中に入る。
「!アウル中将は…」
「アウル中将は中央へ行ったわ」
アイリさんは顔を上げず、書類と睨めっこ。
「そう…ですか…」
いつもなら顔を上げて、笑みをくれるのに。
「…お茶を…」
「えぇ、ありがとう」
アイリさんのデスクにお茶を置いて。
「あの… セイフォード少将…」
先程の、レベッカとのことを説明しようとすれば。
「用はこれだけ?」
「ぁ…いえ…あの…」
アイリさんはニコリと笑って。
「あ、そうそう。今日、アウル中将と食事に行くから夜ご飯はいらないわ」
そう言った。
「え?」
うそ。
「アウル中将と、ですか?」
「えぇ、そう。さっきのあれは今夜食事でもどう?っていう誘いだったの」
嘘よね?
アウル中将と食事だなんて。
嘘ですよね?
「……本当に…食事に…?」
アイリさんを見れば、アイリさんは書類に視線を落として。
「えぇ、本当に」
そう言った。
ああ、駄目だ。
涙が出そう。
だって、よりにもよってアウル中将とだなんて。
アウル中将とアイリさんは肉体関係を持ってて。
そんな方と食事だなんて、絶対に食事だけで終わるわけがない。
「…わかりました…」
私は俯き、扉へと歩いて行って。
扉に片手を付いて。
「…あの… アイリさん…」
「…んー?」
アイリさんのほうを見ずに。
「…私のこと…嫌いなって…しまわれましたか…?」
最後のほうは。
震えてしまったかもしれない。
「え?」
先程のあれで、アイリさんに嫌われてしまったのかもしれない。
浮気だと思われて。
愛想を尽かされてしまったのかもしれない。
説明しないとなのに、説明出来る状況じゃなくて。
「私に…愛想を…尽かして…」
「っ」
ガタンッと聞こえて、少しだけそちらを見れば。
「っごめん!!違うのリザ!!」
アイリさんが走って来て、抱き締めてくれた。
その拍子に、アウル中将の分のカップが落ちて割れてしまった。
「だって…レベッカとあんなことになってるんだもん…私だって嫉妬するわよ…!」
私とレベッカに嫉妬をさせられたから、アイリさんもアウル中将を使って私に嫉妬をさせようとしたようで。
「っアウル中将と…っ食事に…っ」
「行かない。行かないわよ、絶対。誘われたのは事実だけど、ちゃんと断ったの」
ギュウ、と強く抱き締めてくれるから。
私もアイリさんを強く抱き締めて。
アイリさんの胸に顔を埋めて。
「…っ」
グリグリと顔を押し付けて。
「ごめんなさい…っアイリさ…っ」
ちゃんと謝った。
「私もごめんね…?まさか泣かせてしまうとは思わなくて…」
顔を埋めながら首を振って。
今はただただアイリさんの温もりを感じていた。
「壁ドンっていうのが流行ってるの?」
「そうみたいです…」
「リザがその壁ドンを知らないから、レベッカが実演して教えてくれたってことね」
「はい…」
数分して落ち着き、今はアイリさんは椅子に座り、私はそのアイリさんを跨ぐ体勢でアイリさんの上に乗っている。
「…本当にもう。レベッカにはしてやられたわね…」
あんにゃろ、とアイリさんは頬を膨らませる。
「私がちゃんと拒否しなかったのも悪いんです…」
レベッカだけが悪いわけじゃないことを伝えれば。
「んっ」
ちゅ、とアイリさんがキスをしてくれて。
「そうして友人を庇うリザも好きよ」
クスクス笑った。
ああ、よかった。
よかった。
誤解が解けて、本当によかった。
このまま誤解が解けなかったらどうしようって不安で一杯だったから…。
「それにしても、壁ドンねぇ」
アイリさんはニコリと笑みを浮かべて。
「やってみよっか」
私を立ち上がらせた。
…アイリさんの壁ドンも見てみたいとは思ったけど…。
「…今は…仕事中です…」
…私の心臓が破裂しそうになるでしょうから…。
「えー?レベッカにはさせて私にはさせてくれない?」
…まぁ…聞いてはくれないわよね…。
「ほらリザ、ここに立って」
「…アイリさん、本当にするんですか?」
「ん、私も壁ドンしてみたい」
アイリさんに手を引かれ、執務室の奥へと連れて行かれて。
壁際に立たされる。
そして。
ドンッ
「私のものになって?」
私の顔の横に、ドンッと音を立てて手を付いて。
顎に手を添えて上を向かされて。
そう言われてしまえば。
「…っっっ」
無理よ。
心臓がもう無理。
「リザ?私のものになってくれる?」
私は両手で顔を隠して。
「…っ身も心も…っもうとっくにあなたのものですから…っ」
すでにあなたのものであることを伝えれば。
「…………」
アイリさんからの返事はなくて。
チラッと指の隙間からアイリさんの顔を見ると。
「………アイリさん、顔が真っ赤ですよ…?」
これでもかというくらい真っ赤な顔にさせていた。
「…っああもう…っ!!」
「ん…っぅ…っ」
アイリさんは真っ赤な顔のまま、噛み付くようなキスをしてくれた。
脳髄から痺れてしまうような…甘く濃厚なキス。
執務室内には厭らしい水音が響いて。
恥ずかしいけれど、私からも求めた。
「ね、もう一回言って?」
「…っそんな…の…っ無理です…っ」
言ってと言われると、恥ずかしさが勝って言えない…。
「もう一回聞きたい」
「…っ」
額をくっ付けられ、ちゅ、ちゅ、と。
キスをしてくれて。
「…身も心も…っもうすでにあなたのものです…っ」
小さく小さく告げると。
アイリさんは優しく、幸せそうに笑って。
「私の身も心も、全部リザのものよ」
再びキスをしてくれた。
この人はもう。
どこまで溺れさせれば気が済むのだろうか。
どこまで依存させるのだろう。
「抱いてもいい?」
「…仕事中ですよ…」
「声、抑えてね?」
「…本当にもう…あなたは…」
私の身も心も、全部あなたのものであり。
あなたの身も心は、私のもの。
生涯変わることはないこの想いに。
私たちは小さく笑い合った。
「ね、大丈夫だっ………たみたいね」
「?えぇ、大丈夫よ」
「…あんた、ちょっと医務室で休んできたら?」
「え?どうして?」
「…色香がすごい醸し出てるのよ。セイフォード少将とヤッてきたでしょ?」
「ッ!?」
END
「ねぇ、リザ」
「今度は何が流行ってるの?」
「もう言わなくてもわかるのね」
ある日。
レベッカがまた流行り情報を持ってきた。
今恋人同士の間で流行っているもの、或いは行動をね。
大した情報ではないのだけど、いつも私に持って来るのよ。
私がアイリさんにして欲しいと望んでると思ってるみたいで。
そんなことないのに。
………。
まぁ…たまに…は…あるかもしれないけど…。
「今日持ってきた情報はね?きっと絶対にセイフォード少将に実演してもらいたいって思えるくらいのことよ」
レベッカが自信満々で胸を張る。
「今日はセイフォード少将、中央司令部に行っているから実演なんて無理よ」
「今日じゃなくてもいいじゃない。別日にしてもらって、感想聞かせて」
「…あなたは本当、恥ずかしいことをズバズバ聞いて来るわよね…」
本当、アイリさんに私への流行りのことをさせた結果を毎回聞かれるの…。
この前のサディズムの件もそうよ、まったく。
「今回はね?“壁ドン”よ!」
「…壁ドン?なに、壁を殴るの?」
今の流行りは“壁ドン”というものらしく、それがそこいらで行われてるとか。
「壁殴ってたらそこら中穴だらけでしょ?」
「穴が空くほど殴る行動なの?殴ったほうの手は大丈夫なのかしら」
「あんたのそのガチ回答、可愛くないわよ!」
レベッカはため息を零し、私の手を掴んで。
「流行りに疎いあんたに実演してあげるから、セイフォード少将にもしてもらってね」
「いいわよ、実演なんてしなくて…」
「いいから来て!」
レベッカに無理やり手を引かれ、壁際に立たされて。
「いい?いくわよ?」
「はいはい…」
レベッカが、ドンッと音を立てるように私の顔の横に手を付けて。
「これが壁ドン」
私の顎に手を添えて、上を向かせた。
「……こんなのが流行るの?」
「恋人にされたら盛り上がるってこと。だからリザもセイフォード少将に「ちょっとロイ君いるー?」
レベッカの言葉を遮るように、オフィスに入って来たのは。
「「セイフォード少将…!?」」
アイリさんだった。
アイリさんは私たちを見て、きょとんとしている。
「え?」
「あ、あのこれは…」
「違うんですセイフォード少将!!」
それはそうだろう。
だって今の私は、レベッカに迫られている状況に見えるもの…。
「なにして「アイリちゃん」
きょとん顔から眉間に皺を寄せ、信じられないというような表情に変わるアイリさん。
「アウル中将…いついらしたんですか?」
アイリさんの言葉を遮ったのは、アウル中将で。
「たった今よ」
いつアウル中将が来ていたのかなんてどうでもよくて。
ただ今は。
「あの、セイフォード少将。これは「アイリちゃん、ちょっといいかしら」
一刻も早くこの状況の説明をしたかったのに。
アウル中将は私たちを見て小さく笑い、アイリさんの手を引いて。
「……はい、今行きます」
アイリさんはチラッと私たちを見て、アウル中将と行ってしまった。
「……これ、ヤバくない?」
レベッカが離れ、顔を真っ青にさせる。
絶対に浮気だと思われた。
自分が居ない間の出来事だもの。
しかもレベッカが私の顎に手を添えた状況を見れば確定よ。
「リザ…本当ごめ「大丈夫、あなたは悪くないから」
そう。
レベッカの悪ふざけでもあるんだけど。
でもレベッカを責めるのは間違い。
責めちゃ駄目。
私がちゃんと拒否しなかったから。
私の責任。
大丈夫、大丈夫。
アイリさんはわかってくれる。
私を信じてくれる。
そうですよね?アイリさん。
10分後。
アイリさんとアウル中将のお茶を持ってアイリさんの執務室へ伺う。
深呼吸をして。
コンコン
「ホークアイ中尉です。お茶をお持ちしました」
執務室の扉をノックする。
『入っていいわよ』
普通のトーンの声色に、少しだけホッとした。
「…失礼します」
扉を開け、中に入る。
「!アウル中将は…」
「アウル中将は中央へ行ったわ」
アイリさんは顔を上げず、書類と睨めっこ。
「そう…ですか…」
いつもなら顔を上げて、笑みをくれるのに。
「…お茶を…」
「えぇ、ありがとう」
アイリさんのデスクにお茶を置いて。
「あの… セイフォード少将…」
先程の、レベッカとのことを説明しようとすれば。
「用はこれだけ?」
「ぁ…いえ…あの…」
アイリさんはニコリと笑って。
「あ、そうそう。今日、アウル中将と食事に行くから夜ご飯はいらないわ」
そう言った。
「え?」
うそ。
「アウル中将と、ですか?」
「えぇ、そう。さっきのあれは今夜食事でもどう?っていう誘いだったの」
嘘よね?
アウル中将と食事だなんて。
嘘ですよね?
「……本当に…食事に…?」
アイリさんを見れば、アイリさんは書類に視線を落として。
「えぇ、本当に」
そう言った。
ああ、駄目だ。
涙が出そう。
だって、よりにもよってアウル中将とだなんて。
アウル中将とアイリさんは肉体関係を持ってて。
そんな方と食事だなんて、絶対に食事だけで終わるわけがない。
「…わかりました…」
私は俯き、扉へと歩いて行って。
扉に片手を付いて。
「…あの… アイリさん…」
「…んー?」
アイリさんのほうを見ずに。
「…私のこと…嫌いなって…しまわれましたか…?」
最後のほうは。
震えてしまったかもしれない。
「え?」
先程のあれで、アイリさんに嫌われてしまったのかもしれない。
浮気だと思われて。
愛想を尽かされてしまったのかもしれない。
説明しないとなのに、説明出来る状況じゃなくて。
「私に…愛想を…尽かして…」
「っ」
ガタンッと聞こえて、少しだけそちらを見れば。
「っごめん!!違うのリザ!!」
アイリさんが走って来て、抱き締めてくれた。
その拍子に、アウル中将の分のカップが落ちて割れてしまった。
「だって…レベッカとあんなことになってるんだもん…私だって嫉妬するわよ…!」
私とレベッカに嫉妬をさせられたから、アイリさんもアウル中将を使って私に嫉妬をさせようとしたようで。
「っアウル中将と…っ食事に…っ」
「行かない。行かないわよ、絶対。誘われたのは事実だけど、ちゃんと断ったの」
ギュウ、と強く抱き締めてくれるから。
私もアイリさんを強く抱き締めて。
アイリさんの胸に顔を埋めて。
「…っ」
グリグリと顔を押し付けて。
「ごめんなさい…っアイリさ…っ」
ちゃんと謝った。
「私もごめんね…?まさか泣かせてしまうとは思わなくて…」
顔を埋めながら首を振って。
今はただただアイリさんの温もりを感じていた。
「壁ドンっていうのが流行ってるの?」
「そうみたいです…」
「リザがその壁ドンを知らないから、レベッカが実演して教えてくれたってことね」
「はい…」
数分して落ち着き、今はアイリさんは椅子に座り、私はそのアイリさんを跨ぐ体勢でアイリさんの上に乗っている。
「…本当にもう。レベッカにはしてやられたわね…」
あんにゃろ、とアイリさんは頬を膨らませる。
「私がちゃんと拒否しなかったのも悪いんです…」
レベッカだけが悪いわけじゃないことを伝えれば。
「んっ」
ちゅ、とアイリさんがキスをしてくれて。
「そうして友人を庇うリザも好きよ」
クスクス笑った。
ああ、よかった。
よかった。
誤解が解けて、本当によかった。
このまま誤解が解けなかったらどうしようって不安で一杯だったから…。
「それにしても、壁ドンねぇ」
アイリさんはニコリと笑みを浮かべて。
「やってみよっか」
私を立ち上がらせた。
…アイリさんの壁ドンも見てみたいとは思ったけど…。
「…今は…仕事中です…」
…私の心臓が破裂しそうになるでしょうから…。
「えー?レベッカにはさせて私にはさせてくれない?」
…まぁ…聞いてはくれないわよね…。
「ほらリザ、ここに立って」
「…アイリさん、本当にするんですか?」
「ん、私も壁ドンしてみたい」
アイリさんに手を引かれ、執務室の奥へと連れて行かれて。
壁際に立たされる。
そして。
ドンッ
「私のものになって?」
私の顔の横に、ドンッと音を立てて手を付いて。
顎に手を添えて上を向かされて。
そう言われてしまえば。
「…っっっ」
無理よ。
心臓がもう無理。
「リザ?私のものになってくれる?」
私は両手で顔を隠して。
「…っ身も心も…っもうとっくにあなたのものですから…っ」
すでにあなたのものであることを伝えれば。
「…………」
アイリさんからの返事はなくて。
チラッと指の隙間からアイリさんの顔を見ると。
「………アイリさん、顔が真っ赤ですよ…?」
これでもかというくらい真っ赤な顔にさせていた。
「…っああもう…っ!!」
「ん…っぅ…っ」
アイリさんは真っ赤な顔のまま、噛み付くようなキスをしてくれた。
脳髄から痺れてしまうような…甘く濃厚なキス。
執務室内には厭らしい水音が響いて。
恥ずかしいけれど、私からも求めた。
「ね、もう一回言って?」
「…っそんな…の…っ無理です…っ」
言ってと言われると、恥ずかしさが勝って言えない…。
「もう一回聞きたい」
「…っ」
額をくっ付けられ、ちゅ、ちゅ、と。
キスをしてくれて。
「…身も心も…っもうすでにあなたのものです…っ」
小さく小さく告げると。
アイリさんは優しく、幸せそうに笑って。
「私の身も心も、全部リザのものよ」
再びキスをしてくれた。
この人はもう。
どこまで溺れさせれば気が済むのだろうか。
どこまで依存させるのだろう。
「抱いてもいい?」
「…仕事中ですよ…」
「声、抑えてね?」
「…本当にもう…あなたは…」
私の身も心も、全部あなたのものであり。
あなたの身も心は、私のもの。
生涯変わることはないこの想いに。
私たちは小さく笑い合った。
「ね、大丈夫だっ………たみたいね」
「?えぇ、大丈夫よ」
「…あんた、ちょっと医務室で休んできたら?」
「え?どうして?」
「…色香がすごい醸し出てるのよ。セイフォード少将とヤッてきたでしょ?」
「ッ!?」
END