想いの在処 リザさん百合夢
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「どうぞ」
「……お邪魔します」
夜、勤務を終えて。
セイフォード少将を自宅へと招いた。
なんだか不思議よね。
セイフォード少将が私の家にいるなんて。
セイフォード少将は落ち着きなく、ソワソワした様子だったから。
「…!」
ハヤテ号を抱っこさせてあげた。
「ワン!」
私とハヤテ号を交互に見つめて。
「…あなたのご主人様は、私を脅してきたのよ?」
「クーン?」
ハヤテ号に嘘を言い始めた。
「断じて脅してませんよ」
コーヒーを入れて、テーブルに置く。
セイフォード少将の隣に腰をかけて、ハヤテ号を抱っこして下ろして。
「はい、話してください」
聞く準備が整った。
「……」
セイフォード少将はどこか気まずそう。
「グラマン中将は私の祖父なので、いつでも話せますよ?」
まぁ…嘘なんだけどね…。
祖父でも、グラマン中将とまともに会話なんてしたことないし…。
「…それのどこが脅しじゃないのかしら」
セイフォード少将は眉間に皺を寄せたけれど。
「……ゼイオン中将と…寝ているのは…」
静かに放った言葉は。
「…あの人が父の情報を持っているからよ」
だった。
ゼイオン中将と寝る理由は、自分のお父さんの情報を持っているから。
その情報を聞く等価交換がセックス。
「…お父さんを…憎んで…?」
情報を得たいということは、それなりの理由がある。
“会いたい”ではなく。
体を犠牲にしてまで得たい情報なんて。
憎しみしかない。
「……」
セイフォード少将は視線を落として。
「……憎んで…いたわ…」
憎んで“いた”
過去形。
今は違うの?
「でも今は…ただ父に会いたいだけ…」
え?
「え?」
憎しみじゃなくて、会いたいだけ?
なのに、自分の体を犠牲に?
いえ、だめ。
自分の感情だけで判断しちゃダメよ。
そう思う生い立ちだったってことじゃない。
「…それで…お父さんの情報は…」
「話してくれないのよ、あんにゃろ」
こんなに抱かせてやってるのに、なんて自分を軽んじている。
「…ま、まぁ…まさか執務室で押し倒されるとは思わなかったけど…」
コーヒーカップを持ち、口付ける。
「…私は子供居ませんし、私も父親に関して良い思い出はありませんが…もしも私があなたの家族だったら…」
私もコーヒーカップへ視線を落として。
「こんなことまでして欲しくないです…」
そう言った。
「え?」
セイフォード少将が私を見る。
「未だ姿を見せないお父さんもお父さんですが…何か理由があるのではないでしょうか?姿を現せられない理由が…」
どんな理由があるのかはわからない。
でも。
私はセイフォード少将を見つめて。
「娘が体を犠牲にしてまで探している事実を知ってしまえば…お父さん悲しまれてしまいますよ…」
そう言うと。
「っ!!」
セイフォード少将は目を見開いた。
「すぐに会うことは叶わないかもしれませんが…その時が来たら必ず姿を現してくれると思います…」
だから。
「もうあんな無茶はしなくていいんです。その時が来るまで待ってあげてください…」
お父さんもきっと、本当はあなたに会いたくてたまらないはずだから。
再会を果たすその時に。
「…もっと自分を大切にしてあげてください…」
二人で笑顔で抱き締め合えるように。
そう伝えると。
「………」
セイフォード少将は目を閉じて。
「っ」
一筋の涙を零した。
ああ、綺麗。
なんて綺麗な涙で。
なんて綺麗な人だろうって思った。
そしてわかった。
きっと誰かに止めて欲しかったんだろうって。
無茶はしないでいいって言って欲しかったんだろうって。
グラマン中将に知られたくないけど、本当はグラマン中将に告げてほしくて。
止めて欲しかったのかもしれない。
でもまさか私に言われるとは思ってなかったんでしょうね。
「シャワー使ってください。着替えは私のを用意しますので」
「え…でも…」
「ご遠慮なく」
抱かれた後だし、シャワー浴びたいだろうから。
今日はお泊まりいただいて、かしらね。
セイフォード少将は私より背が高いから、着替えは小さいかも。
『…胸が苦しい…』
「…やっぱり小さかったですね」
ワイシャツは着ていたものを着ていただき、寝室へ。
「私はソファーで寝ますのでベッドを使ってください」
「いえ、私がソファーで寝るわ」
「いえいえ、少将をソファーでなんて寝かせられません」
グイグイと背中を押して。
「そうじゃなくて…」
セイフォード少将は視線を泳がせて。
「…ベッドで寝ると起きられなくなるのよ」
疲れすぎているから、ベッドで寝るとぐっすり寝過ぎてしまう。
という可愛らしい理由で、ベッドでは寝られない、と。
「ちゃんと起こしてあげますから」
「いえ、大丈夫。その気持ちだけいただくわ」
と、ベッドで寝るのは頑なに拒否をされて、結局はセイフォード少将がソファーで寝ることに。
「電気消しますね」
「…えぇ」
でもよかった。
ゼイオン中将のところに行かれなくて。
自分を大切にして欲しいという言葉が届いたみたいで。
『……ありがとう』
寝室のドアを閉めて、聞こえて来た呟きに。
「……可愛い…」
厳しさと冷たさしかなかったセイフォード少将の、可愛らしい部分を知れたことが嬉しかった。
これからは無茶をしないで、ちゃんと誘いを断って。
自分を大切にしてくれるはず。
「……もしかして、グラマン中将がセイフォード少将を東部に呼んだのって…」
このことに気づいて、さり気なくゼイオン中将から遠避けた?
まさかわざわざ東部に来てまで迫るとは思ってなかったのかもしれない。
……そう考えると。
「…グラマン中将も凄い方…」
凄い人の孫なんだ、と改めて思いました。
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「どうぞ」
「……お邪魔します」
夜、勤務を終えて。
セイフォード少将を自宅へと招いた。
なんだか不思議よね。
セイフォード少将が私の家にいるなんて。
セイフォード少将は落ち着きなく、ソワソワした様子だったから。
「…!」
ハヤテ号を抱っこさせてあげた。
「ワン!」
私とハヤテ号を交互に見つめて。
「…あなたのご主人様は、私を脅してきたのよ?」
「クーン?」
ハヤテ号に嘘を言い始めた。
「断じて脅してませんよ」
コーヒーを入れて、テーブルに置く。
セイフォード少将の隣に腰をかけて、ハヤテ号を抱っこして下ろして。
「はい、話してください」
聞く準備が整った。
「……」
セイフォード少将はどこか気まずそう。
「グラマン中将は私の祖父なので、いつでも話せますよ?」
まぁ…嘘なんだけどね…。
祖父でも、グラマン中将とまともに会話なんてしたことないし…。
「…それのどこが脅しじゃないのかしら」
セイフォード少将は眉間に皺を寄せたけれど。
「……ゼイオン中将と…寝ているのは…」
静かに放った言葉は。
「…あの人が父の情報を持っているからよ」
だった。
ゼイオン中将と寝る理由は、自分のお父さんの情報を持っているから。
その情報を聞く等価交換がセックス。
「…お父さんを…憎んで…?」
情報を得たいということは、それなりの理由がある。
“会いたい”ではなく。
体を犠牲にしてまで得たい情報なんて。
憎しみしかない。
「……」
セイフォード少将は視線を落として。
「……憎んで…いたわ…」
憎んで“いた”
過去形。
今は違うの?
「でも今は…ただ父に会いたいだけ…」
え?
「え?」
憎しみじゃなくて、会いたいだけ?
なのに、自分の体を犠牲に?
いえ、だめ。
自分の感情だけで判断しちゃダメよ。
そう思う生い立ちだったってことじゃない。
「…それで…お父さんの情報は…」
「話してくれないのよ、あんにゃろ」
こんなに抱かせてやってるのに、なんて自分を軽んじている。
「…ま、まぁ…まさか執務室で押し倒されるとは思わなかったけど…」
コーヒーカップを持ち、口付ける。
「…私は子供居ませんし、私も父親に関して良い思い出はありませんが…もしも私があなたの家族だったら…」
私もコーヒーカップへ視線を落として。
「こんなことまでして欲しくないです…」
そう言った。
「え?」
セイフォード少将が私を見る。
「未だ姿を見せないお父さんもお父さんですが…何か理由があるのではないでしょうか?姿を現せられない理由が…」
どんな理由があるのかはわからない。
でも。
私はセイフォード少将を見つめて。
「娘が体を犠牲にしてまで探している事実を知ってしまえば…お父さん悲しまれてしまいますよ…」
そう言うと。
「っ!!」
セイフォード少将は目を見開いた。
「すぐに会うことは叶わないかもしれませんが…その時が来たら必ず姿を現してくれると思います…」
だから。
「もうあんな無茶はしなくていいんです。その時が来るまで待ってあげてください…」
お父さんもきっと、本当はあなたに会いたくてたまらないはずだから。
再会を果たすその時に。
「…もっと自分を大切にしてあげてください…」
二人で笑顔で抱き締め合えるように。
そう伝えると。
「………」
セイフォード少将は目を閉じて。
「っ」
一筋の涙を零した。
ああ、綺麗。
なんて綺麗な涙で。
なんて綺麗な人だろうって思った。
そしてわかった。
きっと誰かに止めて欲しかったんだろうって。
無茶はしないでいいって言って欲しかったんだろうって。
グラマン中将に知られたくないけど、本当はグラマン中将に告げてほしくて。
止めて欲しかったのかもしれない。
でもまさか私に言われるとは思ってなかったんでしょうね。
「シャワー使ってください。着替えは私のを用意しますので」
「え…でも…」
「ご遠慮なく」
抱かれた後だし、シャワー浴びたいだろうから。
今日はお泊まりいただいて、かしらね。
セイフォード少将は私より背が高いから、着替えは小さいかも。
『…胸が苦しい…』
「…やっぱり小さかったですね」
ワイシャツは着ていたものを着ていただき、寝室へ。
「私はソファーで寝ますのでベッドを使ってください」
「いえ、私がソファーで寝るわ」
「いえいえ、少将をソファーでなんて寝かせられません」
グイグイと背中を押して。
「そうじゃなくて…」
セイフォード少将は視線を泳がせて。
「…ベッドで寝ると起きられなくなるのよ」
疲れすぎているから、ベッドで寝るとぐっすり寝過ぎてしまう。
という可愛らしい理由で、ベッドでは寝られない、と。
「ちゃんと起こしてあげますから」
「いえ、大丈夫。その気持ちだけいただくわ」
と、ベッドで寝るのは頑なに拒否をされて、結局はセイフォード少将がソファーで寝ることに。
「電気消しますね」
「…えぇ」
でもよかった。
ゼイオン中将のところに行かれなくて。
自分を大切にして欲しいという言葉が届いたみたいで。
『……ありがとう』
寝室のドアを閉めて、聞こえて来た呟きに。
「……可愛い…」
厳しさと冷たさしかなかったセイフォード少将の、可愛らしい部分を知れたことが嬉しかった。
これからは無茶をしないで、ちゃんと誘いを断って。
自分を大切にしてくれるはず。
「……もしかして、グラマン中将がセイフォード少将を東部に呼んだのって…」
このことに気づいて、さり気なくゼイオン中将から遠避けた?
まさかわざわざ東部に来てまで迫るとは思ってなかったのかもしれない。
……そう考えると。
「…グラマン中将も凄い方…」
凄い人の孫なんだ、と改めて思いました。
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