想いの在処 リザさん百合夢
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セイフォード少将が東部に来て、二ヶ月ほど経った。
セイフォード少将の評判の悪さは相変わらずだけど、私や大佐はセイフォード少将への印象が少し変わりつつある。
本当は優しい人なんじゃないだろうか、って。
子供を助けて、もう落ちないように格子を錬成したり。
ハヤテ号に見せた笑みもそう。
本当は優しい人で、甘さを出さないように厳しくしているのかもしれない。
「やぁ、ホークアイ中尉」
「!ゼイオン中将!」
物思いに耽っていたら、ゼイオン中将がまたいらしていた。
慌てて敬礼をする。
「楽にしていいよ」
ニコニコと優しそうな笑顔を浮かべている。
今日いらっしゃるご予定ではなかったのに。
「セイフォード君、いるかなぁ」
今日もセイフォード少将にご用事みたい。
「今日はいらっしゃるかと」
「そうかそうか」
ゼイオン中将はニコニコ笑いながら、私へと手を伸ばしてきた。
「?」
その手はなんだろうと視線で追って。
「ゼイオン中将、いらっしゃる時は事前に連絡をください」
ふと、後ろから肩に手を置かれた。
振り返れば、眉間に皺を寄せたセイフォード少将が居て。
「いやぁ、急に思い立つものでね」
ゼイオン中将はセイフォード少将が来たことで、私へ伸ばされた手を引いて。
セイフォード少将はさり気なく私の前に出る。
「尉官は下がってちょうだい」
「あ…はい…」
「うんうん、またね。ホークアイ中尉」
私は敬礼をして、セイフォード少将とゼイオン中将の前から去る。
少しだけ振り返れば、ゼイオン中将はセイフォード少将の肩を撫でていて。
「………」
どこか、気味が悪いと思ってしまった。
優しいで評判のゼイオン中将をそう思うのはなぜ?
あの触り方?
セイフォード少将を見る、あの色を帯びた眼差し?
部下としてセイフォード少将を見てるんじゃなくて。
あれはまるで…。
「…なんて、馬鹿なこと考えちゃダメね」
もう一度セイフォード少将を見て。
「………大丈夫…なんですよね…?」
なんだか心配になってしまった…。
「え?ゼイオン中将がセイフォード少将に?」
「えぇ、そう」
給湯室で、レベッカと会う。
先程の光景をレベッカに話すと、レベッカは顎に手を添えて。
「でもゼイオン中将に限って、そんなことあるかしら」
やっぱり優しいで評判の方だから。
セイフォード少将を性の対象として見てるなんて信じられないわよね。
「そうよね…」
でも。
以前来た時、その翌日のセイフォード少将はどこか辛そうだった。
性の対象として考えて、その相手をさせられているとしたら…。
あの体調の悪さが頷けてしまう。
けれど、あのセイフォード少将が無抵抗に抱かれたりする?
絶対に黙ってないと思うのだけど…。
「セイフォード少将に聞いたって「“尉官が知るべきことじゃない”って言われるだけよ」よね…」
ふむ、と。
レベッカと顎に手を添えて考える。
「まぁ何にせよ、黙って抱かれる人じゃないから大丈夫じゃない?」
レベッカは私の肩に手を置いて。
「心配するだけ損かもしれないわよ?あの人に限っては」
じゃあね、と行ってしまった。
「……損で終わるならそれに越したことはないのよ、レベッカ…」
コーヒーカップを二つ、トレーに置いて。
「何もなければいいのだけど…」
小さくそう呟き、ため息を零した。
セイフォード少将の執務室前。
気持ちを切り替えて、ノックをしようとした時。
『…っん…っぁ…っい…った…っ』
『はぁ…いいよ…セイフォード君…』
艶かしい声が聞こえて来た。
「え?」
え?
嘘。
え?
『こんな…っ場所で…っ』
『だって君、中央にいないから…』
嘘よね?
私は扉に手をついて。
「セイフォード少将…?」
小さくセイフォード少将の名前を口にすると。
『ッッ!!開け…っないで…ッ!!』
苦しそうにセイフォード少将が叫んだ。
『…やはり邪魔が入るかぁ…』
『い…ぁ…った…っ』
待って。
待って。
思考が追いつかない。
何?
何をしているの?
え?
嘘。
セックスをしているの?
仕事中に?
執務室で?
カチャカチャと金属音が聞こえて。
ガチャリ、と扉が開いて、ゼイオン中将が出て来た。
「じゃあセイフォード君、また今夜」
終始ニコニコと笑顔で、ゼイオン中将は居なくなった。
閉まる直前に見えた、セイフォード少将の乱れた姿。
「セ…セイフォード少将…」
また扉に手をついて、セイフォード少将の名前を呟く。
『………なに』
いつも以上に冷たさを感じる返事。
「あ…あの…コーヒー…」
中に入ろうか、否か迷う。
セイフォード少将が今どんな姿をしているかは見えたから知ってる。
でも見られたくないだろうから。
知られたくないだろうから。
でも、でも。
『………いらないから、仕事に戻ってちょうだい』
放ってなんておけるわけないじゃない。
深呼吸をして。
「…失礼します」
中に入る。
「ッ!」
セイフォード少将はソファーに座っていて、驚くように私を見ている。
ああ、やっぱり。
セックスをしていたんだ。
「仕事に戻れと言ったはずよ」
「従い兼ねます」
セイフォード少将の乱れたままの軍服と、醸し出される色香。
セックスをしていたんでしょうけど。
「…だからクタクタなんですね」
セイフォード少将の様子を見ると、強要されたと言った感じかしら。
「……何のこと?」
セイフォード少将は私から視線を逸らして、服を整える。
「以前も今みたいに辛そうでしたから…」
「………」
セイフォード少将は立ち上がり、デスクに付く。
「で?私とゼイオン中将の関係を知って、私を脅すつもり?」
デスクに肘を置き、頬杖を付く。
「なぜゼイオン中将と寝るんですか?」
「なぜあなたに話す必要があるの?」
必要か、じゃない。
「知りたいからです」
知りたいから。
あなたがなぜ“少将”という階級がありながら、ゼイオン中将と寝るのかを。
その理由を知りたいから。
「尉官のあなたが知るべきことじゃない、と何度言えば理解してくれるのかしら」
「では尉官としてではなく一人の人間として聞きます。なぜ、ゼイオン中将と寝るのですか?」
「…仕事中に尉官としてではない、は通用しないわ」
「仕事中にセックスをするほうもするほうですよ」
「それは向こうから……」
向こうから?
不意に出た言葉。
向こうから迫って来た?
セイフォード少将は目を閉じて。
「…私の心配よりも、今後の自分の心配をしなさい。これを見られたゼイオン中将があなたに何もしないなんて有り得ないから」
口封じのために、権力で私を脅して来るのかしら。
私は真っ直ぐにセイフォード少将を見て。
「今回のことをグラマン中将に報告させていただきます。」
グラマン中将なら、何とかセイフォード少将を助けてくれるかもしれない。
私には無理だから。
階級の違いで、セイフォード少将を救うなんて無理だから。
「……グラマン中将…」
途端に、セイフォード少将は眉間に皺を寄せて。
「……グラマン中将…には…言わないで…」
体勢を変えて、組んだ手に額を乗せて。
グラマン中将には言わないでほしい、そう言った。
「…あの人…は…私がもう…こんなことをしないと…信じているから…」
だから知られたくない、と。
“私がもうこんなことをしない”って。
前からそうだったの?
「……では、話してくださいますか?それが条件です」
こんなことをしてまで。
あなたは何がしたいのだろう。
「………わかったわ。でも今夜は「今夜、話していただきます」
ゼイオン中将は“また今夜”と言っていた。
だから、今夜ゼイオン中将と合わせるわけにはいかない。
「私の自宅でもいいですか?」
「………えぇ」
私も、ゼイオン中将に何かされるかもしれない。
これを目撃してしまった以上、ただでは済まないことくらいわかってる。
でも今は、それ以上にセイフォード少将を救いたい。
私には無理かもしれないけれど。
少しでも力になれるなら。
こんなことをしないでくれるなら。
.
セイフォード少将が東部に来て、二ヶ月ほど経った。
セイフォード少将の評判の悪さは相変わらずだけど、私や大佐はセイフォード少将への印象が少し変わりつつある。
本当は優しい人なんじゃないだろうか、って。
子供を助けて、もう落ちないように格子を錬成したり。
ハヤテ号に見せた笑みもそう。
本当は優しい人で、甘さを出さないように厳しくしているのかもしれない。
「やぁ、ホークアイ中尉」
「!ゼイオン中将!」
物思いに耽っていたら、ゼイオン中将がまたいらしていた。
慌てて敬礼をする。
「楽にしていいよ」
ニコニコと優しそうな笑顔を浮かべている。
今日いらっしゃるご予定ではなかったのに。
「セイフォード君、いるかなぁ」
今日もセイフォード少将にご用事みたい。
「今日はいらっしゃるかと」
「そうかそうか」
ゼイオン中将はニコニコ笑いながら、私へと手を伸ばしてきた。
「?」
その手はなんだろうと視線で追って。
「ゼイオン中将、いらっしゃる時は事前に連絡をください」
ふと、後ろから肩に手を置かれた。
振り返れば、眉間に皺を寄せたセイフォード少将が居て。
「いやぁ、急に思い立つものでね」
ゼイオン中将はセイフォード少将が来たことで、私へ伸ばされた手を引いて。
セイフォード少将はさり気なく私の前に出る。
「尉官は下がってちょうだい」
「あ…はい…」
「うんうん、またね。ホークアイ中尉」
私は敬礼をして、セイフォード少将とゼイオン中将の前から去る。
少しだけ振り返れば、ゼイオン中将はセイフォード少将の肩を撫でていて。
「………」
どこか、気味が悪いと思ってしまった。
優しいで評判のゼイオン中将をそう思うのはなぜ?
あの触り方?
セイフォード少将を見る、あの色を帯びた眼差し?
部下としてセイフォード少将を見てるんじゃなくて。
あれはまるで…。
「…なんて、馬鹿なこと考えちゃダメね」
もう一度セイフォード少将を見て。
「………大丈夫…なんですよね…?」
なんだか心配になってしまった…。
「え?ゼイオン中将がセイフォード少将に?」
「えぇ、そう」
給湯室で、レベッカと会う。
先程の光景をレベッカに話すと、レベッカは顎に手を添えて。
「でもゼイオン中将に限って、そんなことあるかしら」
やっぱり優しいで評判の方だから。
セイフォード少将を性の対象として見てるなんて信じられないわよね。
「そうよね…」
でも。
以前来た時、その翌日のセイフォード少将はどこか辛そうだった。
性の対象として考えて、その相手をさせられているとしたら…。
あの体調の悪さが頷けてしまう。
けれど、あのセイフォード少将が無抵抗に抱かれたりする?
絶対に黙ってないと思うのだけど…。
「セイフォード少将に聞いたって「“尉官が知るべきことじゃない”って言われるだけよ」よね…」
ふむ、と。
レベッカと顎に手を添えて考える。
「まぁ何にせよ、黙って抱かれる人じゃないから大丈夫じゃない?」
レベッカは私の肩に手を置いて。
「心配するだけ損かもしれないわよ?あの人に限っては」
じゃあね、と行ってしまった。
「……損で終わるならそれに越したことはないのよ、レベッカ…」
コーヒーカップを二つ、トレーに置いて。
「何もなければいいのだけど…」
小さくそう呟き、ため息を零した。
セイフォード少将の執務室前。
気持ちを切り替えて、ノックをしようとした時。
『…っん…っぁ…っい…った…っ』
『はぁ…いいよ…セイフォード君…』
艶かしい声が聞こえて来た。
「え?」
え?
嘘。
え?
『こんな…っ場所で…っ』
『だって君、中央にいないから…』
嘘よね?
私は扉に手をついて。
「セイフォード少将…?」
小さくセイフォード少将の名前を口にすると。
『ッッ!!開け…っないで…ッ!!』
苦しそうにセイフォード少将が叫んだ。
『…やはり邪魔が入るかぁ…』
『い…ぁ…った…っ』
待って。
待って。
思考が追いつかない。
何?
何をしているの?
え?
嘘。
セックスをしているの?
仕事中に?
執務室で?
カチャカチャと金属音が聞こえて。
ガチャリ、と扉が開いて、ゼイオン中将が出て来た。
「じゃあセイフォード君、また今夜」
終始ニコニコと笑顔で、ゼイオン中将は居なくなった。
閉まる直前に見えた、セイフォード少将の乱れた姿。
「セ…セイフォード少将…」
また扉に手をついて、セイフォード少将の名前を呟く。
『………なに』
いつも以上に冷たさを感じる返事。
「あ…あの…コーヒー…」
中に入ろうか、否か迷う。
セイフォード少将が今どんな姿をしているかは見えたから知ってる。
でも見られたくないだろうから。
知られたくないだろうから。
でも、でも。
『………いらないから、仕事に戻ってちょうだい』
放ってなんておけるわけないじゃない。
深呼吸をして。
「…失礼します」
中に入る。
「ッ!」
セイフォード少将はソファーに座っていて、驚くように私を見ている。
ああ、やっぱり。
セックスをしていたんだ。
「仕事に戻れと言ったはずよ」
「従い兼ねます」
セイフォード少将の乱れたままの軍服と、醸し出される色香。
セックスをしていたんでしょうけど。
「…だからクタクタなんですね」
セイフォード少将の様子を見ると、強要されたと言った感じかしら。
「……何のこと?」
セイフォード少将は私から視線を逸らして、服を整える。
「以前も今みたいに辛そうでしたから…」
「………」
セイフォード少将は立ち上がり、デスクに付く。
「で?私とゼイオン中将の関係を知って、私を脅すつもり?」
デスクに肘を置き、頬杖を付く。
「なぜゼイオン中将と寝るんですか?」
「なぜあなたに話す必要があるの?」
必要か、じゃない。
「知りたいからです」
知りたいから。
あなたがなぜ“少将”という階級がありながら、ゼイオン中将と寝るのかを。
その理由を知りたいから。
「尉官のあなたが知るべきことじゃない、と何度言えば理解してくれるのかしら」
「では尉官としてではなく一人の人間として聞きます。なぜ、ゼイオン中将と寝るのですか?」
「…仕事中に尉官としてではない、は通用しないわ」
「仕事中にセックスをするほうもするほうですよ」
「それは向こうから……」
向こうから?
不意に出た言葉。
向こうから迫って来た?
セイフォード少将は目を閉じて。
「…私の心配よりも、今後の自分の心配をしなさい。これを見られたゼイオン中将があなたに何もしないなんて有り得ないから」
口封じのために、権力で私を脅して来るのかしら。
私は真っ直ぐにセイフォード少将を見て。
「今回のことをグラマン中将に報告させていただきます。」
グラマン中将なら、何とかセイフォード少将を助けてくれるかもしれない。
私には無理だから。
階級の違いで、セイフォード少将を救うなんて無理だから。
「……グラマン中将…」
途端に、セイフォード少将は眉間に皺を寄せて。
「……グラマン中将…には…言わないで…」
体勢を変えて、組んだ手に額を乗せて。
グラマン中将には言わないでほしい、そう言った。
「…あの人…は…私がもう…こんなことをしないと…信じているから…」
だから知られたくない、と。
“私がもうこんなことをしない”って。
前からそうだったの?
「……では、話してくださいますか?それが条件です」
こんなことをしてまで。
あなたは何がしたいのだろう。
「………わかったわ。でも今夜は「今夜、話していただきます」
ゼイオン中将は“また今夜”と言っていた。
だから、今夜ゼイオン中将と合わせるわけにはいかない。
「私の自宅でもいいですか?」
「………えぇ」
私も、ゼイオン中将に何かされるかもしれない。
これを目撃してしまった以上、ただでは済まないことくらいわかってる。
でも今は、それ以上にセイフォード少将を救いたい。
私には無理かもしれないけれど。
少しでも力になれるなら。
こんなことをしないでくれるなら。
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