想いの在処 リザさん百合夢
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トレインジャックは、セイフォード少将が到着して瞬く間に解決した。
トレインジャック犯である“赤の組織”は三名しかいないことをすぐに見抜いて。
的確な判断と指示の下、見事に。
「…悔しいけど優秀なんだよな」
「それな…」
ハボック少尉とブレダ少尉は現場の処理をしながら文句を言っている。
セイフォード少将は駅の外で周りを見回して、マスタング大佐と何か話している。
すると。
「ホークアイ中尉」
大佐に呼ばれた。
「はっ」
駆け足で行き、敬礼をする。
「今セイフォード少将と話をしていたんだが、ここを狙撃するとしたら君ならどこから狙う?」
狙撃を?
「この場に居るセイフォード少将を狙う、もしくはマスタング大佐を狙う場合で?」
「えぇ、そう」
この場に立つ二人を狙う場合、ね。
私は周りを見渡す。
一般市民が溢れる駅の入り口に立つ二人を確実にヘッドショット出来る場所。
高い建物。
15m以上の高さが欲しい。
「そうですね…私ならあの建物から狙います」
セイフォード少将の左後方、凡そ200mは離れているだろう高い建物から狙うことを伝えて。
「……」
セイフォード少将が振り返った瞬間だった。
パリンッ
何かが割れる音が聞こえたのは。
「?何の音…」
と言い終える前に、セイフォード少将の体が傾いた。
「「ッッ!?」」
嘘。
え?
セイフォード少将の足元には血が。
狙撃?
セイフォード少将が狙撃された?
「「ッセイフォード少将ッッ!!!」」
大佐と同時に叫び、セイフォード少将へと手を伸ばした時。
「…ッいった…っ」
セイフォード少将は踏み留まり、額を押さえて。
「…ホークアイ中尉が指した建物に居るわ。拘束したから捕まえてきて」
そう言った。
「え!?」
「拘束した!?」
また大佐と顔を見合わせて。
「ハボック少尉!ブレダ少尉!来い!」
「「!はい!」」
「ホークアイ中尉、セイフォード少将を頼んだぞ」
「わ、わかりました」
マスタング大佐はハボック少尉たちを連れて、狙撃されたと思われる建物へと向かった。
セイフォード少将は額を押さえたまま膝を付く。
額から血が滴ってる。
「だ、大丈夫ですか!?」
ポケットからハンカチを取り出し、セイフォード少将の額にあてがう。
「…えぇ。ただ少しクラクラするわ」
軽い脳震盪を起こしているみたいだけど。
「ヘッドショットだったのに…なぜ…」
撃ち抜かれていないのか。
額の傷を見れば、左側部が少し切れてるくらいで。
「……」
「…これは…」
セイフォード少将は足元から何かの破片を取って、私に渡して来た。
冷たくて、溶けた。
え?
氷?
セイフォード少将の足元に散らばっているのは、氷の破片。
何かが割れるあの音は、この氷が砕けた音。
「…ヒットする直前に衝撃を和らげるために氷を錬成したの」
和らぐかは賭けだったみたいだけど。
この瞬間の判断力と。
ライフルから放たれた弾丸を肉眼で捉えられるほどの動体視力に。
戦慄した。
頭に当たると思ったのなんて、一秒あるかないかだっただろうに。
–ああ、本当に格好良い。
–どうしよう、格好良い。
でも、錬成陣はどこに?
エドワード君のように両手を合わせることなく、ノーモーションで錬金術を使った。
大佐と同じく軍手?
いえ、軍手は穿いてない。
じゃあどこに?
セイフォード少将を支えながら、近くにあったベンチに座らせて。
隣に座り、セイフォード少将の顔を見た時に。
「あ」
気付いた。
「……なに?」
セイフォード少将の錬成陣の場所に。
多分、角度と光加減が奇跡的に重なって見えたのかも。
「いえ」
でもそんな場所にあるということは、知られたくないのかもしれないから。
何も言わないでいると。
「………なによ」
気になる様子で。
「…ノーモーションの錬金術が気になって、錬成陣はどこにあるのだろうと思いまして」
「……」
セイフォード少将は視線を逸らす。
やっぱり。
「でも、わかりました」
錬成陣の場所は知られたくないみたい。
「……言って」
どこにあるか、それは。
セイフォード少将の顔を覗き込んで。
「左目です」
錬成陣の在処を口にした。
「……」
「違いますか?」
セイフォード少将は視線を彷徨わせて。
「…正解よ」
ため息を零した。
「誰にも言いませんから安心してくださいね」
弱味を握ったなんて思ってない。
誰にでも知られたくないことがあるから。
私だって…“焔の錬成陣”は誰にも見られたくない…。
「…知られたくないわけでもないんだけど。ただ目に錬成陣を刻むことによって、錬金術が使いやすいってだけの話よ」
…錬金術を使いやすくさせるためだけに瞳に錬成陣を焼き付けたの?
視力を失わずに?
視界の邪魔にならないように?
…天才すぎるでしょう…まったく…。
その後、狙撃犯を拘束したマスタング大佐が戻ってきて。
“赤の組織”の四人目だったと言っていた。
大佐もセイフォード少将の瞬間の判断力と動体視力に驚いていたけれど。
それ以上に。
「恐ろしく早い錬成スピードと、錬成反応の小ささの方が驚いたよ…」
それらと“雷鳴”の構築式を合わせた錬成陣が、左目に刻まれている。
そう考えると…。
「…天才とはあの方のためにあるようなものだな」
「本当に…」
本当に恐ろしい人。
でも、そんなに早い錬金術を使えるならどうして子供を助ける時に使わなかったのだろう。
走るよりも視線を巡らせるだけで使える錬金術のほうが遥かに早いのに。
「……まさか子供だったから?」
3才くらいの子供に、助けるためとは言え急な錬金術を行使すれば怖がらせてしまうから?
それとも子供の脆さを知っているから?
何にせよ、あんな危機的状況でそんなことを考えていたのだとしたら。
「……結構甘いところがある方なのかもしれないわね」
なんて、現場の事後処理の指示をしているセイフォード少将を見つめて、小さく呟いた。
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トレインジャックは、セイフォード少将が到着して瞬く間に解決した。
トレインジャック犯である“赤の組織”は三名しかいないことをすぐに見抜いて。
的確な判断と指示の下、見事に。
「…悔しいけど優秀なんだよな」
「それな…」
ハボック少尉とブレダ少尉は現場の処理をしながら文句を言っている。
セイフォード少将は駅の外で周りを見回して、マスタング大佐と何か話している。
すると。
「ホークアイ中尉」
大佐に呼ばれた。
「はっ」
駆け足で行き、敬礼をする。
「今セイフォード少将と話をしていたんだが、ここを狙撃するとしたら君ならどこから狙う?」
狙撃を?
「この場に居るセイフォード少将を狙う、もしくはマスタング大佐を狙う場合で?」
「えぇ、そう」
この場に立つ二人を狙う場合、ね。
私は周りを見渡す。
一般市民が溢れる駅の入り口に立つ二人を確実にヘッドショット出来る場所。
高い建物。
15m以上の高さが欲しい。
「そうですね…私ならあの建物から狙います」
セイフォード少将の左後方、凡そ200mは離れているだろう高い建物から狙うことを伝えて。
「……」
セイフォード少将が振り返った瞬間だった。
パリンッ
何かが割れる音が聞こえたのは。
「?何の音…」
と言い終える前に、セイフォード少将の体が傾いた。
「「ッッ!?」」
嘘。
え?
セイフォード少将の足元には血が。
狙撃?
セイフォード少将が狙撃された?
「「ッセイフォード少将ッッ!!!」」
大佐と同時に叫び、セイフォード少将へと手を伸ばした時。
「…ッいった…っ」
セイフォード少将は踏み留まり、額を押さえて。
「…ホークアイ中尉が指した建物に居るわ。拘束したから捕まえてきて」
そう言った。
「え!?」
「拘束した!?」
また大佐と顔を見合わせて。
「ハボック少尉!ブレダ少尉!来い!」
「「!はい!」」
「ホークアイ中尉、セイフォード少将を頼んだぞ」
「わ、わかりました」
マスタング大佐はハボック少尉たちを連れて、狙撃されたと思われる建物へと向かった。
セイフォード少将は額を押さえたまま膝を付く。
額から血が滴ってる。
「だ、大丈夫ですか!?」
ポケットからハンカチを取り出し、セイフォード少将の額にあてがう。
「…えぇ。ただ少しクラクラするわ」
軽い脳震盪を起こしているみたいだけど。
「ヘッドショットだったのに…なぜ…」
撃ち抜かれていないのか。
額の傷を見れば、左側部が少し切れてるくらいで。
「……」
「…これは…」
セイフォード少将は足元から何かの破片を取って、私に渡して来た。
冷たくて、溶けた。
え?
氷?
セイフォード少将の足元に散らばっているのは、氷の破片。
何かが割れるあの音は、この氷が砕けた音。
「…ヒットする直前に衝撃を和らげるために氷を錬成したの」
和らぐかは賭けだったみたいだけど。
この瞬間の判断力と。
ライフルから放たれた弾丸を肉眼で捉えられるほどの動体視力に。
戦慄した。
頭に当たると思ったのなんて、一秒あるかないかだっただろうに。
–ああ、本当に格好良い。
–どうしよう、格好良い。
でも、錬成陣はどこに?
エドワード君のように両手を合わせることなく、ノーモーションで錬金術を使った。
大佐と同じく軍手?
いえ、軍手は穿いてない。
じゃあどこに?
セイフォード少将を支えながら、近くにあったベンチに座らせて。
隣に座り、セイフォード少将の顔を見た時に。
「あ」
気付いた。
「……なに?」
セイフォード少将の錬成陣の場所に。
多分、角度と光加減が奇跡的に重なって見えたのかも。
「いえ」
でもそんな場所にあるということは、知られたくないのかもしれないから。
何も言わないでいると。
「………なによ」
気になる様子で。
「…ノーモーションの錬金術が気になって、錬成陣はどこにあるのだろうと思いまして」
「……」
セイフォード少将は視線を逸らす。
やっぱり。
「でも、わかりました」
錬成陣の場所は知られたくないみたい。
「……言って」
どこにあるか、それは。
セイフォード少将の顔を覗き込んで。
「左目です」
錬成陣の在処を口にした。
「……」
「違いますか?」
セイフォード少将は視線を彷徨わせて。
「…正解よ」
ため息を零した。
「誰にも言いませんから安心してくださいね」
弱味を握ったなんて思ってない。
誰にでも知られたくないことがあるから。
私だって…“焔の錬成陣”は誰にも見られたくない…。
「…知られたくないわけでもないんだけど。ただ目に錬成陣を刻むことによって、錬金術が使いやすいってだけの話よ」
…錬金術を使いやすくさせるためだけに瞳に錬成陣を焼き付けたの?
視力を失わずに?
視界の邪魔にならないように?
…天才すぎるでしょう…まったく…。
その後、狙撃犯を拘束したマスタング大佐が戻ってきて。
“赤の組織”の四人目だったと言っていた。
大佐もセイフォード少将の瞬間の判断力と動体視力に驚いていたけれど。
それ以上に。
「恐ろしく早い錬成スピードと、錬成反応の小ささの方が驚いたよ…」
それらと“雷鳴”の構築式を合わせた錬成陣が、左目に刻まれている。
そう考えると…。
「…天才とはあの方のためにあるようなものだな」
「本当に…」
本当に恐ろしい人。
でも、そんなに早い錬金術を使えるならどうして子供を助ける時に使わなかったのだろう。
走るよりも視線を巡らせるだけで使える錬金術のほうが遥かに早いのに。
「……まさか子供だったから?」
3才くらいの子供に、助けるためとは言え急な錬金術を行使すれば怖がらせてしまうから?
それとも子供の脆さを知っているから?
何にせよ、あんな危機的状況でそんなことを考えていたのだとしたら。
「……結構甘いところがある方なのかもしれないわね」
なんて、現場の事後処理の指示をしているセイフォード少将を見つめて、小さく呟いた。
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