想いの在処 リザさん百合夢
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「ホークアイ中尉」
「!はっ」
数日後、給湯室でセイフォード少将に呼び止められた。
敬礼をして、片手を上げてくれたから後ろ手に組む。
「マスタング大佐を探してるのだけど、見てない?」
「え?執務室にいらっしゃいませんでしたか?」
どうやらセイフォード少将はマスタング大佐を探しているようなんだけれど。
「…居ないから聞いてるのよ」
…言い方。
というか、まさか… セイフォード少将がいらっしゃる時にサボってるのかしら…。
いえ、そんなことをしたらどうなるかくらい大佐だってわかっているはず…。
「お手洗い、かもしれませんね」
「ああ、お手洗い。そうね」
「マスタング大佐にはどのようなご用事で?」
マスタング大佐、今引き止めてますのでサボりなら早く帰って来てください。
「あなたに話すような内容じゃないわ」
「……失礼しました」
…また言われてしまった…。
でも、こうしてセイフォード少将を近くで見て思うのは。
光を宿さない瞳をしている、ということ。
何かに絶望したままというような。
「セイフォード少将!」
セイフォード少将の後方から、マスタング大佐が走ってきた。
「申し訳ありません。…受け付けへ書類を渡しに行っておりました」
「受け付けに?」
セイフォード少将がマスタング大佐へ向き直ってジッと見つめると、マスタング大佐は気まずそうに視線を逸らした。
…あれは受け付けの子を口説いていたのを、誰かにセイフォード少将が自分を探していると聞いて慌てて来た感じね…。
少将も書類なんてないことがわかっているのに。
「…そう。私、ちょっと大総統府に行って来るから。すぐ戻るわ」
「はっ、了解しました」
問い質さず、書類をマスタング大佐に渡して。
「それ、確認したら私のデスクに置いておいてちょうだい」
「は、はい」
セイフォード少将は行ってしまった。
「……怒られるかと思った」
「子供ですか。というより、セイフォード少将がいらっしゃるのにサボる大佐に非がありますよ」
「いや…サボっていたわけじゃなくて…ただ今夜食事でもどうかと思って…」
「世間ではそれをサボりと言うんです。今回は大丈夫でしたが、次はどうなるかわかりませんよ?」
「うむ…そうだな」
マスタング大佐はホッと胸を撫で下ろした。
私はセイフォード少将が行った方向を見つめて。
“尉官が知るべきことじゃない”と言われるけれど、また何か聞いてみようと思った。
会話を重ねれば、きっと少しは心を開いてくれるはず。
忍耐と努力ね、これは。
「セイフォード少将、評判悪いわねー」
お昼を食堂でレベッカと摂る。
「評判はわからないけれど、良くはないでしょうね」
「声をかけても相槌だけとか無視とかされるみたいでね」
セイフォード少将の東方司令部での評判は最悪らしく、レベッカがため息を零している。
「グラマン中将はどうしてセイフォード少将を東部に寄越したのかしら…」
「何か思うことがあってでしょ」
東部のみんなはグラマン中将の復帰を切望されており、早くセイフォード少将には中央に帰ってもらいたいようで。
「あんたは?なんか酷いこと言われてないの?マスタング組が結構関わること多いでしょ?」
「今のところ関わることはあまりないけれど、そうね。“尉官のあなたが知るべきことじゃない”とは言われたわ」
「なにそれー!それは酷いわね…」
一聞すれば酷く聞こえる言葉だけど。
「でも確かに、私が知るべきではないことだろうから」
言い方はあれど、間違いではない。
「でもそんな言い方ないじゃない。グラマン中将はそんな言い方絶対にしないわ!」
グラマン中将はしないのはわかるわよ。
でも、セイフォード少将はグラマン中将ではない。
最初に“グラマン中将ほど甘くない”と仰っていたしね。
「ん?あれって」
レベッカが食堂の入り口を見た。
「え?」
私もレベッカの視線を追うように入り口を見ると、入り口にはゼイオン中将がいらっしゃっていて。
誰かを探しているご様子。
「「「「ゼイオン中将!!」」」」
食堂の居た者たち全員で立ち上がり、敬礼をする。
「ああ、楽にしていい」
ゼイオン中将はニコリと笑む。
「セイフォード君を探しているんだが、知らないかな?」
どうやらセイフォード少将にご用事があるみたい。
「セイフォード少将なら二時間ほど前に大総統府へ向かわれました。まだ帰還しておりません」
私がそう答えると、ゼイオン中将は顎に手を添えて。
「そうかそうか。ありがとう」
またニコリと笑み、去って行った。
「…わざわざ中央司令部から何の用事かしらね」
「さぁ。でも、セイフォード少将がここにいたら“尉官の私たちが知るべきことじゃない”って言うわね」
でも、ゼイオン中将はお人柄が良いことで有名だし、セイフォード少将と合うのかしら。
「さて、と。仕事に戻らないと」
「あ、もうそんな時間。」
食器をカウンターへ返却して。
「じゃあレベッカ」
「えぇ、またね」
部署が違うレベッカとは別々の方向へ歩き出した。
その時に。
「あ…」
セイフォード少将の姿を発見。
黒いコートを纏い、書類を見ながら歩いてる。
…一応、ゼイオン中将がいらしてることをお伝えした方がいいわよね。
「セイフォード少将」
「…!」
セイフォード少将を呼び止めると、セイフォード少将は足を止めて視線だけを私に向けた。
「ゼイオン中将がいらしてますよ」
そうお伝えすると。
「……ゼイオン中将が?」
顔を上げて、眉間に皺を寄せて明らかに嫌そうな顔をした。
あ、やっぱり性格が合わないんでしょうね。
セイフォード少将は厳しいお方で、ゼイオン中将はお優しいお方だから。
「はい。セイフォード少将をお探ししてました」
「……そう」
視線を落とし、軽く息を吐いて。
カツン、と音を立てて私の横を過ぎて行った。
「………」
今の。
今の表情。
あれ、性格が合わないから嫌だって感じじゃない。
セイフォード少将がグラマン中将に見せるような感じじゃない。
セイフォード少将とゼイオン中将の間に、何かある?
上下関係以外の何か。
「……なんて、聞いても答えてはくれないだろうし」
“尉官のあなたが知るべきことじゃないわ”って返されるだけね。
…結構根に持ってるのよね、この言葉…。
.
「ホークアイ中尉」
「!はっ」
数日後、給湯室でセイフォード少将に呼び止められた。
敬礼をして、片手を上げてくれたから後ろ手に組む。
「マスタング大佐を探してるのだけど、見てない?」
「え?執務室にいらっしゃいませんでしたか?」
どうやらセイフォード少将はマスタング大佐を探しているようなんだけれど。
「…居ないから聞いてるのよ」
…言い方。
というか、まさか… セイフォード少将がいらっしゃる時にサボってるのかしら…。
いえ、そんなことをしたらどうなるかくらい大佐だってわかっているはず…。
「お手洗い、かもしれませんね」
「ああ、お手洗い。そうね」
「マスタング大佐にはどのようなご用事で?」
マスタング大佐、今引き止めてますのでサボりなら早く帰って来てください。
「あなたに話すような内容じゃないわ」
「……失礼しました」
…また言われてしまった…。
でも、こうしてセイフォード少将を近くで見て思うのは。
光を宿さない瞳をしている、ということ。
何かに絶望したままというような。
「セイフォード少将!」
セイフォード少将の後方から、マスタング大佐が走ってきた。
「申し訳ありません。…受け付けへ書類を渡しに行っておりました」
「受け付けに?」
セイフォード少将がマスタング大佐へ向き直ってジッと見つめると、マスタング大佐は気まずそうに視線を逸らした。
…あれは受け付けの子を口説いていたのを、誰かにセイフォード少将が自分を探していると聞いて慌てて来た感じね…。
少将も書類なんてないことがわかっているのに。
「…そう。私、ちょっと大総統府に行って来るから。すぐ戻るわ」
「はっ、了解しました」
問い質さず、書類をマスタング大佐に渡して。
「それ、確認したら私のデスクに置いておいてちょうだい」
「は、はい」
セイフォード少将は行ってしまった。
「……怒られるかと思った」
「子供ですか。というより、セイフォード少将がいらっしゃるのにサボる大佐に非がありますよ」
「いや…サボっていたわけじゃなくて…ただ今夜食事でもどうかと思って…」
「世間ではそれをサボりと言うんです。今回は大丈夫でしたが、次はどうなるかわかりませんよ?」
「うむ…そうだな」
マスタング大佐はホッと胸を撫で下ろした。
私はセイフォード少将が行った方向を見つめて。
“尉官が知るべきことじゃない”と言われるけれど、また何か聞いてみようと思った。
会話を重ねれば、きっと少しは心を開いてくれるはず。
忍耐と努力ね、これは。
「セイフォード少将、評判悪いわねー」
お昼を食堂でレベッカと摂る。
「評判はわからないけれど、良くはないでしょうね」
「声をかけても相槌だけとか無視とかされるみたいでね」
セイフォード少将の東方司令部での評判は最悪らしく、レベッカがため息を零している。
「グラマン中将はどうしてセイフォード少将を東部に寄越したのかしら…」
「何か思うことがあってでしょ」
東部のみんなはグラマン中将の復帰を切望されており、早くセイフォード少将には中央に帰ってもらいたいようで。
「あんたは?なんか酷いこと言われてないの?マスタング組が結構関わること多いでしょ?」
「今のところ関わることはあまりないけれど、そうね。“尉官のあなたが知るべきことじゃない”とは言われたわ」
「なにそれー!それは酷いわね…」
一聞すれば酷く聞こえる言葉だけど。
「でも確かに、私が知るべきではないことだろうから」
言い方はあれど、間違いではない。
「でもそんな言い方ないじゃない。グラマン中将はそんな言い方絶対にしないわ!」
グラマン中将はしないのはわかるわよ。
でも、セイフォード少将はグラマン中将ではない。
最初に“グラマン中将ほど甘くない”と仰っていたしね。
「ん?あれって」
レベッカが食堂の入り口を見た。
「え?」
私もレベッカの視線を追うように入り口を見ると、入り口にはゼイオン中将がいらっしゃっていて。
誰かを探しているご様子。
「「「「ゼイオン中将!!」」」」
食堂の居た者たち全員で立ち上がり、敬礼をする。
「ああ、楽にしていい」
ゼイオン中将はニコリと笑む。
「セイフォード君を探しているんだが、知らないかな?」
どうやらセイフォード少将にご用事があるみたい。
「セイフォード少将なら二時間ほど前に大総統府へ向かわれました。まだ帰還しておりません」
私がそう答えると、ゼイオン中将は顎に手を添えて。
「そうかそうか。ありがとう」
またニコリと笑み、去って行った。
「…わざわざ中央司令部から何の用事かしらね」
「さぁ。でも、セイフォード少将がここにいたら“尉官の私たちが知るべきことじゃない”って言うわね」
でも、ゼイオン中将はお人柄が良いことで有名だし、セイフォード少将と合うのかしら。
「さて、と。仕事に戻らないと」
「あ、もうそんな時間。」
食器をカウンターへ返却して。
「じゃあレベッカ」
「えぇ、またね」
部署が違うレベッカとは別々の方向へ歩き出した。
その時に。
「あ…」
セイフォード少将の姿を発見。
黒いコートを纏い、書類を見ながら歩いてる。
…一応、ゼイオン中将がいらしてることをお伝えした方がいいわよね。
「セイフォード少将」
「…!」
セイフォード少将を呼び止めると、セイフォード少将は足を止めて視線だけを私に向けた。
「ゼイオン中将がいらしてますよ」
そうお伝えすると。
「……ゼイオン中将が?」
顔を上げて、眉間に皺を寄せて明らかに嫌そうな顔をした。
あ、やっぱり性格が合わないんでしょうね。
セイフォード少将は厳しいお方で、ゼイオン中将はお優しいお方だから。
「はい。セイフォード少将をお探ししてました」
「……そう」
視線を落とし、軽く息を吐いて。
カツン、と音を立てて私の横を過ぎて行った。
「………」
今の。
今の表情。
あれ、性格が合わないから嫌だって感じじゃない。
セイフォード少将がグラマン中将に見せるような感じじゃない。
セイフォード少将とゼイオン中将の間に、何かある?
上下関係以外の何か。
「……なんて、聞いても答えてはくれないだろうし」
“尉官のあなたが知るべきことじゃないわ”って返されるだけね。
…結構根に持ってるのよね、この言葉…。
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