想いの在処 リザさん百合夢
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「……大丈夫かしら」
その日の夜。
セイフォード少将の執務室の窓際に立ち、外を眺める。
午後九時を回っても、セイフォード少将は戻って来ない。
私も本来はとっくに退勤時間は過ぎているのだけど、セイフォード少将が心配で帰れず。
セイフォード少将の椅子に座る。
ここでこの三ヶ月間座って、ずっと仕事をしているんだ。
セイフォード少将の万年筆。
使い古された万年筆だけど、握りやすくて書きやすそう。
デスクの上には難しそうな本が数冊。
デスクの横にあるゴミ箱には栄養ドリンクの空瓶が数本。
「…まだ栄養ドリンクに頼ってるのね」
引き出し…は、開けたらまずいわよね。
椅子の背もたれに背中を預けて。
額に触れる。
セイフォード少将の唇が触れた額。
「…セイフォード少将…」
どんな想いだったんですか?
どんな想いでキスをしてくれたんです?
あなたの中に、少しでも私は居ますか?
デスクに項垂れるように突っ伏して、今は居ないセイフォード少将を想った。
その時だった。
カツン。
足音が聞こえたのは。
「!」
私は立ち上がり、扉を見ると。
「う〜、さむ〜…」
ガチャ、と音を立てて入って来たのは。
「おかえりなさい…」
「……ッッ!?!?!?び、びっくりしたぁ…!!」
私が居ることに、とんでもないくらいの驚きを見せたセイフォード少将だった。
「…っ帰ってなかったの?」
私のために中央へ行って、ゼイオン中将と対峙しているのに帰れるわけないじゃない…。
「…大丈夫でしたか…?」
見たところ怪我もないみたいだし、精神的にも大丈夫そうだけれど…。
セイフォード少将はコートを着たまま私へ歩み寄って来て。
「あなたの移動はなくなったわ」
私の前に立ち、そう言った。
私の移動がなくなった…。
それは嬉しいけど…。
「…ゼイオン中将と、どんな話を…?」
ゼイオン中将に何を言って、どう動かしたんだろう…。
「んー。大した話はしてないんだけど」
セイフォード少将は笑みを浮かべて。
「“今回の件を白日の下に晒して戦う覚悟、私はありますがあなたはどうですか?”って聞いただけよ」
肩を竦めた。
「…今回の件とは、やはりあの…」
「そ、私とゼイオン中将が肉体関係にあったこと」
それを白日の下に晒して、戦う覚悟が。
セイフォード少将にはあったんだ。
そうまでして。
知られたくないことを晒してまで。
私を助けてくれた。
「“条件はなんだ?”って言うから、“ホークアイ中尉の人事異動を無効にする事と、手を出さない事”を条件に無事解決しました」
「……手を出さない事?」
セイフォード少将はコートを脱いで、デスクに置く。
「そのままの意味よ。あの男、女好きだから」
それを聞いて思い出すのは。
“ゼイオン中将、いらっしゃる時は事前に連絡をください”
あの時。
私がゼイオン中将と話をしていた時の。
セイフォード少将が後ろから私の肩に手を置いて、“尉官は下がれ”と私を後ろに控えさせた…あの光景…。
あれはまさか。
…私を守ってくれた?
ゼイオン中将のセクハラから、私を遠避けてくれたの?
「…あの時…守ってくれたん…ですか…?」
私の問いに、セイフォード少将は横目で私を見つめて。
「ゼイオン中将を噂通りの優しい人だと信じて油断してる子が目の前にいたら、そりゃあ庇うでしょ」
クスリと笑った。
ああ、もう。
好き。
本当に。
本当に好き。
「というか寒くないの?給湯室でコーヒー入れて来ない?…って…」
セイフォード少将はまたクスクス笑って。
「何を泣くことがあったのよ、あなたは」
私の頬に手を添えた。
好き過ぎて。
好き過ぎて。
どうにかなってしまいそう。
頬を伝う涙をそのままに、頬にあるセイフォード少将の手に自分の手を重ねて。
「……手、冷たいですよ」
目を閉じる。
冷たい手だけど。
ずっと触れていたい。
離したくない。
「………」
私は目を開け、セイフォード少将を見上げる。
視線が交差する。
綺麗な空色の瞳に囚われて、逸らすことが出来ない。
「……暖めてくれる?」
もう片方の頬にも手が添えられて。
「……暖めてあげます」
その手を掴み、私は目を閉じた。
その日。
私とセイフォード少将しか居ない東方司令部の執務室で。
「ぁ…ン…っん…っ」
「…あなたのナカ…暖かい…」
熱を分かち合った。
何度も、何度も。
.
「……大丈夫かしら」
その日の夜。
セイフォード少将の執務室の窓際に立ち、外を眺める。
午後九時を回っても、セイフォード少将は戻って来ない。
私も本来はとっくに退勤時間は過ぎているのだけど、セイフォード少将が心配で帰れず。
セイフォード少将の椅子に座る。
ここでこの三ヶ月間座って、ずっと仕事をしているんだ。
セイフォード少将の万年筆。
使い古された万年筆だけど、握りやすくて書きやすそう。
デスクの上には難しそうな本が数冊。
デスクの横にあるゴミ箱には栄養ドリンクの空瓶が数本。
「…まだ栄養ドリンクに頼ってるのね」
引き出し…は、開けたらまずいわよね。
椅子の背もたれに背中を預けて。
額に触れる。
セイフォード少将の唇が触れた額。
「…セイフォード少将…」
どんな想いだったんですか?
どんな想いでキスをしてくれたんです?
あなたの中に、少しでも私は居ますか?
デスクに項垂れるように突っ伏して、今は居ないセイフォード少将を想った。
その時だった。
カツン。
足音が聞こえたのは。
「!」
私は立ち上がり、扉を見ると。
「う〜、さむ〜…」
ガチャ、と音を立てて入って来たのは。
「おかえりなさい…」
「……ッッ!?!?!?び、びっくりしたぁ…!!」
私が居ることに、とんでもないくらいの驚きを見せたセイフォード少将だった。
「…っ帰ってなかったの?」
私のために中央へ行って、ゼイオン中将と対峙しているのに帰れるわけないじゃない…。
「…大丈夫でしたか…?」
見たところ怪我もないみたいだし、精神的にも大丈夫そうだけれど…。
セイフォード少将はコートを着たまま私へ歩み寄って来て。
「あなたの移動はなくなったわ」
私の前に立ち、そう言った。
私の移動がなくなった…。
それは嬉しいけど…。
「…ゼイオン中将と、どんな話を…?」
ゼイオン中将に何を言って、どう動かしたんだろう…。
「んー。大した話はしてないんだけど」
セイフォード少将は笑みを浮かべて。
「“今回の件を白日の下に晒して戦う覚悟、私はありますがあなたはどうですか?”って聞いただけよ」
肩を竦めた。
「…今回の件とは、やはりあの…」
「そ、私とゼイオン中将が肉体関係にあったこと」
それを白日の下に晒して、戦う覚悟が。
セイフォード少将にはあったんだ。
そうまでして。
知られたくないことを晒してまで。
私を助けてくれた。
「“条件はなんだ?”って言うから、“ホークアイ中尉の人事異動を無効にする事と、手を出さない事”を条件に無事解決しました」
「……手を出さない事?」
セイフォード少将はコートを脱いで、デスクに置く。
「そのままの意味よ。あの男、女好きだから」
それを聞いて思い出すのは。
“ゼイオン中将、いらっしゃる時は事前に連絡をください”
あの時。
私がゼイオン中将と話をしていた時の。
セイフォード少将が後ろから私の肩に手を置いて、“尉官は下がれ”と私を後ろに控えさせた…あの光景…。
あれはまさか。
…私を守ってくれた?
ゼイオン中将のセクハラから、私を遠避けてくれたの?
「…あの時…守ってくれたん…ですか…?」
私の問いに、セイフォード少将は横目で私を見つめて。
「ゼイオン中将を噂通りの優しい人だと信じて油断してる子が目の前にいたら、そりゃあ庇うでしょ」
クスリと笑った。
ああ、もう。
好き。
本当に。
本当に好き。
「というか寒くないの?給湯室でコーヒー入れて来ない?…って…」
セイフォード少将はまたクスクス笑って。
「何を泣くことがあったのよ、あなたは」
私の頬に手を添えた。
好き過ぎて。
好き過ぎて。
どうにかなってしまいそう。
頬を伝う涙をそのままに、頬にあるセイフォード少将の手に自分の手を重ねて。
「……手、冷たいですよ」
目を閉じる。
冷たい手だけど。
ずっと触れていたい。
離したくない。
「………」
私は目を開け、セイフォード少将を見上げる。
視線が交差する。
綺麗な空色の瞳に囚われて、逸らすことが出来ない。
「……暖めてくれる?」
もう片方の頬にも手が添えられて。
「……暖めてあげます」
その手を掴み、私は目を閉じた。
その日。
私とセイフォード少将しか居ない東方司令部の執務室で。
「ぁ…ン…っん…っ」
「…あなたのナカ…暖かい…」
熱を分かち合った。
何度も、何度も。
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