一人じゃない リザさん百合夢
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「少し早かったわね」
20時頃。
軍服のまま、アイリと秘密裏に会う路地裏へとやってきたリザ。
大した相談もなく、なぜアイリが待っている路地裏がわかったのかと言うと。
『ああ軍人さん丁度いいところに!あっちの路地裏のほうで“狗”が鳴いているんだが僕は怖くて見に行けないから見てきてくれないかい?』
先月の今日、帰宅途中にリザは男性にそう声をかけられた。
『?犬、ですか。わかりました。何とか保護出来るか試してみます』
『よろしくお願いします!もし襲って来たら持っている銃をぶっ放してくださいね!』
結構物騒なことを言う人だと怪しく思いながら、銃と懐中電灯を構えつつゆっくりと路地裏へと足を進めた時。
かなり奥、街灯も届かない真っ暗なところから。
『…ッ!!!』
突然手を掴まれ、引き込まれて。
銃と懐中電灯を向けた先に。
『しーっ』
懐中電灯で眩しそうなアイリの顔があって。
『びっくりした?』
『ッしますよ!もう!あなたは!』
ギューッとアイリに抱きついた。
この時に。
『来月の今日もこの時間にここで待ってるから』
ということで、この路地裏が逢瀬の場所となったのだ。
しかし今日、リザは早めに路地裏に着いてしまって。
アイリを待つために、暗い路地裏に入って行って。
狭い角を曲がろうとした時。
「…ッ!」
腕を掴まれ、また引き込まれた。
しかし今日はあの時みたいな驚きはなくて。
「…アイリさんも早かったんですね?」
引き寄せられるままに。
「…ぅん…」
アイリを抱き締めた。
先に到着していたアイリは、リザを強く抱き締めて。
「はぁ…会いたかった…」
リザを抱き締めたまま、ズルズルと座り込んだ。
「私も会いたかったです、アイリさん」
必然的にアイリを跨ぐ体勢になるリザ。
お互いが顔を近づけて。
「ん」
ちゅ、ちゅ、と。
啄むようなキスをする。
「ん、ん」
「…ん…っぅ…っ」
徐々に深くして。
「んぅっン…っ」
舌を絡め合わせ、溺れるようなキスを堪能した。
「…は…」
「はぁ…っ」
離れれば透明の糸が二人を繋ぎ、プツリと切れた。
「…今日のあの言葉、酷いですからね」
「リザだって酷かったじゃなーい」
「あれは誤魔化すためには仕方なかったんです」
「私だってそうよ?リザがあまりにも可愛く睨んで来るから悶えそうになるのを必死で耐えてたんだから」
ちゅ、ちゅ、と。
またキスをしながら。
「睨むことに可愛さなんてありません」
「あら、知らない?リザって睨んだ表情も可愛いのよ?」
触れられなかった時間を埋めるように。
何度も何度もキスをして。
「もう…あなたは…」
リザがアイリの顔を見上げた時に。
「……アイリさん?」
「んー?なぁに?」
リザはアイリの頬に手を添えて。
「…どうしたんですか?何かありました…?」
そう問いかけた。
「え?」
アイリはきょとん顔を浮かべる。
「…何もないならいいんですが…どこか…つらそうに見えたので…」
リザは心配そうにアイリの頬を撫で、キスをした。
アイリは頬にあるリザの手に、自分の手を重ねて。
「…ね、リザ」
「はい?」
「好きって言って」
リザの手で自分の両目を隠した。
リザはアイリの様子に。
「好きです」
そう言った。
「ん」
「好きです、アイリさん。」
「ん」
「好き、好き。あなたが好き」
「…ん」
何も聞かず、ただ好きだと伝える。
リザはもう片方の手でアイリの頬に触れ、アイリの目を隠す自分の手を動かしてアイリの頬にまた触れて。
「好き好き好き。どうしようもないくらい、あなたを愛してます」
あの時みたいに静かに涙を零すアイリに笑み、キスをした。
「ん…っ」
エンヴィーの、あの言葉。
『あなたなんか大嫌いよ、裏切り者』
あの言葉に大きく揺さぶられてしまった。
酷く動揺した。
リザの言葉じゃないことくらいわかっているのに。
「ありがと…っ」
「好き」
「ん、私も…っリザが好き…っ」
いつに無く弱っているアイリをリザは強く抱き締めて。
「何があったかはわかりませんが、私のことで揺さぶられるなんてまだまだですね」
なんて揶揄うと。
「…返す言葉もございません」
アイリは泣きながら笑って、リザの肩に顔を埋めた。
どんな状況でも余裕を崩さずにいられると思っていた。
リザさえ居てくれれば。
どんな状況でも耐えられると思っていたのに。
“リザの姿”で“リザの声”に『大嫌い、裏切り者』と言われて。
リザじゃないとわかっているのに動揺してしまった。
心を落ち着かせようとしても無理で。
どうしてもリザに会いたくて。
好きだと言って欲しくて。
早めに路地裏に来てしまった。
リザはまだ来ないというのに、もしかしたら早く来てくれるかもしれないという期待を抱いてしまって。
リザに会いたさでどうにかなりそうになっていた時にリザが来て。
どんどん落ち着いて行く自分が居た。
アイリにとってリザは必要な人間で。
精神安定剤だった。
リザが居るだけでこんなに落ち着ける。
「頑張れますか?」
「ん、頑張る…」
明日からまた頑張ろうという活力になる。
リザはハンカチを取り出し、アイリの涙を拭って。
「ん」
アイリの瞼にキスをした。
名残惜しいが、長居は出来ない。
「そろそろ行きましょうか」
「はい…」
二人は立ち上がったが。
「じゃあ、リザ。」
「…はい」
行かなければならないのに。
「………あーもー…離れたくない…」
「…もう少し…いいですよね…」
誰もいないこの路地裏で。
二人はギュウッと抱き締め合った。
明日からまた戦わねばならないから。
戦うための力を補給するために。
もう少しだけ。
もう少しだけ、と。
二人は強く抱きしめ合った。
この戦いが終われば、こんな場所じゃなくてもっと明るい場所で。
隠れずに、みんなが居る前で好きだと伝えたい。
「ね、リザ」
「はい?」
「もう一回、キスしてもいい?」
「…ダメって言うと思いますか…?」
「んーん、思わない」
なんて二人は、小さく笑い合って。
そして。
再び口付けを交わした。
END
「少し早かったわね」
20時頃。
軍服のまま、アイリと秘密裏に会う路地裏へとやってきたリザ。
大した相談もなく、なぜアイリが待っている路地裏がわかったのかと言うと。
『ああ軍人さん丁度いいところに!あっちの路地裏のほうで“狗”が鳴いているんだが僕は怖くて見に行けないから見てきてくれないかい?』
先月の今日、帰宅途中にリザは男性にそう声をかけられた。
『?犬、ですか。わかりました。何とか保護出来るか試してみます』
『よろしくお願いします!もし襲って来たら持っている銃をぶっ放してくださいね!』
結構物騒なことを言う人だと怪しく思いながら、銃と懐中電灯を構えつつゆっくりと路地裏へと足を進めた時。
かなり奥、街灯も届かない真っ暗なところから。
『…ッ!!!』
突然手を掴まれ、引き込まれて。
銃と懐中電灯を向けた先に。
『しーっ』
懐中電灯で眩しそうなアイリの顔があって。
『びっくりした?』
『ッしますよ!もう!あなたは!』
ギューッとアイリに抱きついた。
この時に。
『来月の今日もこの時間にここで待ってるから』
ということで、この路地裏が逢瀬の場所となったのだ。
しかし今日、リザは早めに路地裏に着いてしまって。
アイリを待つために、暗い路地裏に入って行って。
狭い角を曲がろうとした時。
「…ッ!」
腕を掴まれ、また引き込まれた。
しかし今日はあの時みたいな驚きはなくて。
「…アイリさんも早かったんですね?」
引き寄せられるままに。
「…ぅん…」
アイリを抱き締めた。
先に到着していたアイリは、リザを強く抱き締めて。
「はぁ…会いたかった…」
リザを抱き締めたまま、ズルズルと座り込んだ。
「私も会いたかったです、アイリさん」
必然的にアイリを跨ぐ体勢になるリザ。
お互いが顔を近づけて。
「ん」
ちゅ、ちゅ、と。
啄むようなキスをする。
「ん、ん」
「…ん…っぅ…っ」
徐々に深くして。
「んぅっン…っ」
舌を絡め合わせ、溺れるようなキスを堪能した。
「…は…」
「はぁ…っ」
離れれば透明の糸が二人を繋ぎ、プツリと切れた。
「…今日のあの言葉、酷いですからね」
「リザだって酷かったじゃなーい」
「あれは誤魔化すためには仕方なかったんです」
「私だってそうよ?リザがあまりにも可愛く睨んで来るから悶えそうになるのを必死で耐えてたんだから」
ちゅ、ちゅ、と。
またキスをしながら。
「睨むことに可愛さなんてありません」
「あら、知らない?リザって睨んだ表情も可愛いのよ?」
触れられなかった時間を埋めるように。
何度も何度もキスをして。
「もう…あなたは…」
リザがアイリの顔を見上げた時に。
「……アイリさん?」
「んー?なぁに?」
リザはアイリの頬に手を添えて。
「…どうしたんですか?何かありました…?」
そう問いかけた。
「え?」
アイリはきょとん顔を浮かべる。
「…何もないならいいんですが…どこか…つらそうに見えたので…」
リザは心配そうにアイリの頬を撫で、キスをした。
アイリは頬にあるリザの手に、自分の手を重ねて。
「…ね、リザ」
「はい?」
「好きって言って」
リザの手で自分の両目を隠した。
リザはアイリの様子に。
「好きです」
そう言った。
「ん」
「好きです、アイリさん。」
「ん」
「好き、好き。あなたが好き」
「…ん」
何も聞かず、ただ好きだと伝える。
リザはもう片方の手でアイリの頬に触れ、アイリの目を隠す自分の手を動かしてアイリの頬にまた触れて。
「好き好き好き。どうしようもないくらい、あなたを愛してます」
あの時みたいに静かに涙を零すアイリに笑み、キスをした。
「ん…っ」
エンヴィーの、あの言葉。
『あなたなんか大嫌いよ、裏切り者』
あの言葉に大きく揺さぶられてしまった。
酷く動揺した。
リザの言葉じゃないことくらいわかっているのに。
「ありがと…っ」
「好き」
「ん、私も…っリザが好き…っ」
いつに無く弱っているアイリをリザは強く抱き締めて。
「何があったかはわかりませんが、私のことで揺さぶられるなんてまだまだですね」
なんて揶揄うと。
「…返す言葉もございません」
アイリは泣きながら笑って、リザの肩に顔を埋めた。
どんな状況でも余裕を崩さずにいられると思っていた。
リザさえ居てくれれば。
どんな状況でも耐えられると思っていたのに。
“リザの姿”で“リザの声”に『大嫌い、裏切り者』と言われて。
リザじゃないとわかっているのに動揺してしまった。
心を落ち着かせようとしても無理で。
どうしてもリザに会いたくて。
好きだと言って欲しくて。
早めに路地裏に来てしまった。
リザはまだ来ないというのに、もしかしたら早く来てくれるかもしれないという期待を抱いてしまって。
リザに会いたさでどうにかなりそうになっていた時にリザが来て。
どんどん落ち着いて行く自分が居た。
アイリにとってリザは必要な人間で。
精神安定剤だった。
リザが居るだけでこんなに落ち着ける。
「頑張れますか?」
「ん、頑張る…」
明日からまた頑張ろうという活力になる。
リザはハンカチを取り出し、アイリの涙を拭って。
「ん」
アイリの瞼にキスをした。
名残惜しいが、長居は出来ない。
「そろそろ行きましょうか」
「はい…」
二人は立ち上がったが。
「じゃあ、リザ。」
「…はい」
行かなければならないのに。
「………あーもー…離れたくない…」
「…もう少し…いいですよね…」
誰もいないこの路地裏で。
二人はギュウッと抱き締め合った。
明日からまた戦わねばならないから。
戦うための力を補給するために。
もう少しだけ。
もう少しだけ、と。
二人は強く抱きしめ合った。
この戦いが終われば、こんな場所じゃなくてもっと明るい場所で。
隠れずに、みんなが居る前で好きだと伝えたい。
「ね、リザ」
「はい?」
「もう一回、キスしてもいい?」
「…ダメって言うと思いますか…?」
「んーん、思わない」
なんて二人は、小さく笑い合って。
そして。
再び口付けを交わした。
END
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