一人じゃない リザさん百合夢
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「んーッ!疲れたー」
夕方。
もう少しで執務を終える時間帯。
椅子を回転させて立ち上がり、窓際に立つアイリ。
綺麗な夕方を見つめ、小さく息を吐く。
いつまでこんなことを続けるのか。
早いうちに敵を潰した方がいいのか。
いや、人造人間たちの後ろには強大な敵がいるから、今はまだ動く時ではない。
動く機会を探り続けること数年。
心身共に疲れた時。
“アイリさん”
リザの存在には本当に救われた。
愛しい人を作るべきではなかったのかもしれないけど、愛しい人がいるから今頑張れている。
リザ以外の人間には裏切り者と思われているけれど。
“私だけはあなたの味方ですから”
リザさえ居てくれれば。
前を向いて戦える。
「…本当、リザに依存してるわよね…」
小さな笑みを浮かべた時。
コンコン
ノック音が聞こえた。
アイリは横目で扉を見つめて。
「誰?」
そう問えば。
『……私です…アイリさん…』
リザの声が聞こえて来た。
アイリは一瞬だけ目を見開いたが。
「いいわよ、入って」
すぐに眉間に皺を寄せ、デスクに戻った。
「失礼します…」
入って来たのはやはりリザで。
「何の用?忙しいから早く言って」
しかしアイリは書類に視線を落とし、冷たい言葉を放つ。
「…あの…アイリさん…」
「………なに?」
リザはアイリのデスクに歩み寄り、アイリの手に触れて。
「……どうしてそんなに冷たいんですか…?」
アイリの冷たさに悲しそうな表情を浮かべた。
「……」
アイリは自分の手に触れているリザの手に触れて。
「…次、その姿で来たら殺すわよ?エンヴィー」
パンッと払い除けた。
「…エンヴィーって…誰ですか…?」
「………」
「…アイリさん…?」
アイリはため息を零して。
「……ッッ」
「ッ!!」
瞬間で剣を錬成し、エンヴィーと呼んだリザの首に振り上げた。
リザは仰反るように躱して。
「…くっくっ…本当に面白いんだね」
数メートル手前に立ち、リザの姿から髪の長い青年へと姿を変えた。
否。
“姿を戻した”
この青年・エンヴィーとは、人造人間(ホムンクルス)の一人。
自分の姿を自在に変えられる能力を持っている。
「なんで俺だって気づいたの?」
もちろんリザの姿にも変えられるため、リザの姿でアイリを揶揄いに来たのだ。
「……」
エンヴィーの問いには答えず、書類へと視線を落とす。
「ねぇ、無視しないでよ」
エンヴィーはデスクに腰をかけ、ニヤニヤとアイリを見下ろす。
「仕事の邪魔よ。消えて」
アイリの苛立ちは相当なものだろう。
何せエンヴィーはよりにもよってリザの姿で現れたのだから。
「ラストがさ、あんたの話をよくしてたんだよ。面白くて揶揄い甲斐があるってさ」
エンヴィーはデスクから離れ、ソファーに座って。
「あの姿で“好き”とか言ってあげようか?」
テーブルに足を乗せて、ニヤニヤ笑いながらそう言うと。
「ラストはこうも言ってなかった?」
「ん?なに?」
アイリはデスクに両肘を付き、組んだ手に顎を乗せて。
「“雷鳴の逆鱗にはくれぐれも触れないように”」
目を細めた。
「………」
真っ直ぐ強く、エンヴィーを射抜くその鋭い眼差し。
「……ちっ」
エンヴィーは一筋の汗を零し、立ち上がって。
扉へと歩いて行って。
「じゃあまた。」
ニヤリと笑みを浮かべて。
「…ッ!」
リザの姿になって。
「あなたなんか大嫌いよ、裏切り者」
そう放ち、エンヴィーは去って行った。
「…ッ」
##NAME1##は額を押さえる。
大丈夫、大丈夫。
あれはリザじゃない。
リザの言葉じゃない。
自分に言い聞かせるように。
違う、違うんだ。
リザはあんなこと言わない。
震える手を握り締め、額に付けて。
「…ッはー…」
ゆっくりと深呼吸をする。
違う、あれはリザじゃない。
リザの姿をしていただけ。
リザの言葉じゃない。
同じ言葉を何度も何度も頭の中で復唱し、心を落ち着かせようとしたが。
“あなたなんか大嫌いよ、裏切り者”
「…ッああ…ッもう…ッ!」
リザの姿をしたエンヴィーの言葉に、容易く傷をつけられてしまった。
アイリの瞳に一筋の涙が伝う。
ああ、だめだ。
持って行かれちゃだめだ。
負けるな。
負ければ全て終わりだ。
「…リザ…っ」
会いたい。
今すぐ会いたい。
好きって言って欲しい。
大丈夫だよって抱き締めて欲しい。
「…はぁ…最悪…」
アイリは背もたれに背中を預け、天井を見つめて。
涙が零れないように、右腕で両目を隠した。
.
「んーッ!疲れたー」
夕方。
もう少しで執務を終える時間帯。
椅子を回転させて立ち上がり、窓際に立つアイリ。
綺麗な夕方を見つめ、小さく息を吐く。
いつまでこんなことを続けるのか。
早いうちに敵を潰した方がいいのか。
いや、人造人間たちの後ろには強大な敵がいるから、今はまだ動く時ではない。
動く機会を探り続けること数年。
心身共に疲れた時。
“アイリさん”
リザの存在には本当に救われた。
愛しい人を作るべきではなかったのかもしれないけど、愛しい人がいるから今頑張れている。
リザ以外の人間には裏切り者と思われているけれど。
“私だけはあなたの味方ですから”
リザさえ居てくれれば。
前を向いて戦える。
「…本当、リザに依存してるわよね…」
小さな笑みを浮かべた時。
コンコン
ノック音が聞こえた。
アイリは横目で扉を見つめて。
「誰?」
そう問えば。
『……私です…アイリさん…』
リザの声が聞こえて来た。
アイリは一瞬だけ目を見開いたが。
「いいわよ、入って」
すぐに眉間に皺を寄せ、デスクに戻った。
「失礼します…」
入って来たのはやはりリザで。
「何の用?忙しいから早く言って」
しかしアイリは書類に視線を落とし、冷たい言葉を放つ。
「…あの…アイリさん…」
「………なに?」
リザはアイリのデスクに歩み寄り、アイリの手に触れて。
「……どうしてそんなに冷たいんですか…?」
アイリの冷たさに悲しそうな表情を浮かべた。
「……」
アイリは自分の手に触れているリザの手に触れて。
「…次、その姿で来たら殺すわよ?エンヴィー」
パンッと払い除けた。
「…エンヴィーって…誰ですか…?」
「………」
「…アイリさん…?」
アイリはため息を零して。
「……ッッ」
「ッ!!」
瞬間で剣を錬成し、エンヴィーと呼んだリザの首に振り上げた。
リザは仰反るように躱して。
「…くっくっ…本当に面白いんだね」
数メートル手前に立ち、リザの姿から髪の長い青年へと姿を変えた。
否。
“姿を戻した”
この青年・エンヴィーとは、人造人間(ホムンクルス)の一人。
自分の姿を自在に変えられる能力を持っている。
「なんで俺だって気づいたの?」
もちろんリザの姿にも変えられるため、リザの姿でアイリを揶揄いに来たのだ。
「……」
エンヴィーの問いには答えず、書類へと視線を落とす。
「ねぇ、無視しないでよ」
エンヴィーはデスクに腰をかけ、ニヤニヤとアイリを見下ろす。
「仕事の邪魔よ。消えて」
アイリの苛立ちは相当なものだろう。
何せエンヴィーはよりにもよってリザの姿で現れたのだから。
「ラストがさ、あんたの話をよくしてたんだよ。面白くて揶揄い甲斐があるってさ」
エンヴィーはデスクから離れ、ソファーに座って。
「あの姿で“好き”とか言ってあげようか?」
テーブルに足を乗せて、ニヤニヤ笑いながらそう言うと。
「ラストはこうも言ってなかった?」
「ん?なに?」
アイリはデスクに両肘を付き、組んだ手に顎を乗せて。
「“雷鳴の逆鱗にはくれぐれも触れないように”」
目を細めた。
「………」
真っ直ぐ強く、エンヴィーを射抜くその鋭い眼差し。
「……ちっ」
エンヴィーは一筋の汗を零し、立ち上がって。
扉へと歩いて行って。
「じゃあまた。」
ニヤリと笑みを浮かべて。
「…ッ!」
リザの姿になって。
「あなたなんか大嫌いよ、裏切り者」
そう放ち、エンヴィーは去って行った。
「…ッ」
##NAME1##は額を押さえる。
大丈夫、大丈夫。
あれはリザじゃない。
リザの言葉じゃない。
自分に言い聞かせるように。
違う、違うんだ。
リザはあんなこと言わない。
震える手を握り締め、額に付けて。
「…ッはー…」
ゆっくりと深呼吸をする。
違う、あれはリザじゃない。
リザの姿をしていただけ。
リザの言葉じゃない。
同じ言葉を何度も何度も頭の中で復唱し、心を落ち着かせようとしたが。
“あなたなんか大嫌いよ、裏切り者”
「…ッああ…ッもう…ッ!」
リザの姿をしたエンヴィーの言葉に、容易く傷をつけられてしまった。
アイリの瞳に一筋の涙が伝う。
ああ、だめだ。
持って行かれちゃだめだ。
負けるな。
負ければ全て終わりだ。
「…リザ…っ」
会いたい。
今すぐ会いたい。
好きって言って欲しい。
大丈夫だよって抱き締めて欲しい。
「…はぁ…最悪…」
アイリは背もたれに背中を預け、天井を見つめて。
涙が零れないように、右腕で両目を隠した。
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