一人じゃない リザさん百合夢
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「…相席、いいですか?」
「!えぇ、どうぞ」
数日後、食堂で書類と睨めっこをしていたアイリの下にロイがやってきた。
ロイは眉間に皺を寄せたままアイリの向かい側に座ると、アイリは頬杖を付いて。
「そんな怖い表情、初めて見たんだけど」
クスクス笑った。
「で?何か用事?」
「………」
ロイはアイリを睨み続け、無言で昼食を食べる。
「特に用事もなく、様子を見ている。って感じみたいね」
アイリはまたクスクス笑って、水を飲んで。
「怪我はどう?良くなってる?」
問いかけた。
「…はい。良くはなってます」
「そう。それならよかった」
アイリは書類に視線を落として。
「“アレ”を倒すなんて、さすがは“焔の錬金術師”ってことね」
“アレ”とは。
ラストと呼ばれる人造人間(ホムンクルス)。
ロイは数日前に、ラストとの戦闘で重症を負った。
同行していたジャン・ハボックも重体となり、下半身がまったく動かなくなってしまった。
「………セイフォード少将」
「なぁに?」
ロイはフォークを置いて。
「本当に事実なんですか?」
そう問いかけた。
アイリは本当に敵なのか。
緊急招集の席に居たのは確かなのに。
まだどこかで“こちら側”だと思いたい。
敵であって欲しくない。
アイリが敵なら、勝ち目はない。
“雷鳴の錬金術師”の戦闘スキルと頭の良さは痛いほど理解している。
だがそれ以前に。
「あなたが見たものは、なんだったの?」
友だから。
終始余裕で笑みを浮かべるアイリ。
ロイはまた眉間に皺を寄せて。
「…ホークアイ中尉への愛も、偽りなんですか?」
再び問うと。
「……」
ピクリとアイリが反応を見せた。
「セイフォード少将」
「偽りだとして、あなたに何の関係があるの?」
アイリは書類を持って立ち上がって。
「他人のことを気にしている余裕があるなら、これからのことをもっと考えた方がいいわよ?」
ロイに笑み、歩き出した。
「セイフォード少将、待ってください」
ロイもアイリの背中を追う。
「セイフォード少将!!」
「なに?忙しいから歩きながらどうぞ」
前を向いたまま歩き、ロイへは振り返らず。
「ッセイフォード少将!!」
冷たい態度のアイリに、ロイは歯を噛み締めて腕を掴んで。
「……あなた、結構大胆なのね」
アイリを壁に押し付けた。
その際に書類が床に散らばった。
「セイフォード少将」
「なぁに?」
ロイはアイリを睨むように見つめて。
「ホークアイ中尉は、本気なんですよ」
部下を想った。
「………」
アイリはロイを見つめ、目を閉じて。
「部下の本気の相手にこんなことをするなんて」
クスリと笑み。
「本当はキスして欲しかったってこと?」
ロイへと顔を近づけた。
「ッ!!!」
バッと離れるロイの顔は、少しだけ赤らんでいて。
「あーあー、もう。書類拾うの手伝ってちょうだい」
アイリは屈み込み、散らばった書類を拾う。
「…すみません」
ロイも屈み、書類を拾って。
お互い立ち上がる瞬間だった。
「––––ありがとうロイ君––––」
アイリから小さな声で発せられた言葉に、ロイは目を見開いてアイリを見た。
アイリは一瞬だけ優しげな表情を浮かべたが。
「上官への暴力とも取れる今の行動。今回は目を瞑ってあげるけど、次はないわよ?」
すぐに背中を向けて目を細め、そう放った。
「……はい」
「ん、じゃあまたね」
アイリは片手を上げて、歩き出す。
「………」
チラリと後ろを見れば、ロイは顎に手を添えいて何かを考えている様子。
「……本当、私たちは愛されてるわね」
それを見て小さく笑み、そう呟いて。
「それはさておき、あんにゃろ。あんな根性あったとは」
壁に押し付けられた時、不覚にも驚いてしまって。
「今度リザにチクってやるんだから」
なんて、言っていたそうな。
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「…相席、いいですか?」
「!えぇ、どうぞ」
数日後、食堂で書類と睨めっこをしていたアイリの下にロイがやってきた。
ロイは眉間に皺を寄せたままアイリの向かい側に座ると、アイリは頬杖を付いて。
「そんな怖い表情、初めて見たんだけど」
クスクス笑った。
「で?何か用事?」
「………」
ロイはアイリを睨み続け、無言で昼食を食べる。
「特に用事もなく、様子を見ている。って感じみたいね」
アイリはまたクスクス笑って、水を飲んで。
「怪我はどう?良くなってる?」
問いかけた。
「…はい。良くはなってます」
「そう。それならよかった」
アイリは書類に視線を落として。
「“アレ”を倒すなんて、さすがは“焔の錬金術師”ってことね」
“アレ”とは。
ラストと呼ばれる人造人間(ホムンクルス)。
ロイは数日前に、ラストとの戦闘で重症を負った。
同行していたジャン・ハボックも重体となり、下半身がまったく動かなくなってしまった。
「………セイフォード少将」
「なぁに?」
ロイはフォークを置いて。
「本当に事実なんですか?」
そう問いかけた。
アイリは本当に敵なのか。
緊急招集の席に居たのは確かなのに。
まだどこかで“こちら側”だと思いたい。
敵であって欲しくない。
アイリが敵なら、勝ち目はない。
“雷鳴の錬金術師”の戦闘スキルと頭の良さは痛いほど理解している。
だがそれ以前に。
「あなたが見たものは、なんだったの?」
友だから。
終始余裕で笑みを浮かべるアイリ。
ロイはまた眉間に皺を寄せて。
「…ホークアイ中尉への愛も、偽りなんですか?」
再び問うと。
「……」
ピクリとアイリが反応を見せた。
「セイフォード少将」
「偽りだとして、あなたに何の関係があるの?」
アイリは書類を持って立ち上がって。
「他人のことを気にしている余裕があるなら、これからのことをもっと考えた方がいいわよ?」
ロイに笑み、歩き出した。
「セイフォード少将、待ってください」
ロイもアイリの背中を追う。
「セイフォード少将!!」
「なに?忙しいから歩きながらどうぞ」
前を向いたまま歩き、ロイへは振り返らず。
「ッセイフォード少将!!」
冷たい態度のアイリに、ロイは歯を噛み締めて腕を掴んで。
「……あなた、結構大胆なのね」
アイリを壁に押し付けた。
その際に書類が床に散らばった。
「セイフォード少将」
「なぁに?」
ロイはアイリを睨むように見つめて。
「ホークアイ中尉は、本気なんですよ」
部下を想った。
「………」
アイリはロイを見つめ、目を閉じて。
「部下の本気の相手にこんなことをするなんて」
クスリと笑み。
「本当はキスして欲しかったってこと?」
ロイへと顔を近づけた。
「ッ!!!」
バッと離れるロイの顔は、少しだけ赤らんでいて。
「あーあー、もう。書類拾うの手伝ってちょうだい」
アイリは屈み込み、散らばった書類を拾う。
「…すみません」
ロイも屈み、書類を拾って。
お互い立ち上がる瞬間だった。
「––––ありがとうロイ君––––」
アイリから小さな声で発せられた言葉に、ロイは目を見開いてアイリを見た。
アイリは一瞬だけ優しげな表情を浮かべたが。
「上官への暴力とも取れる今の行動。今回は目を瞑ってあげるけど、次はないわよ?」
すぐに背中を向けて目を細め、そう放った。
「……はい」
「ん、じゃあまたね」
アイリは片手を上げて、歩き出す。
「………」
チラリと後ろを見れば、ロイは顎に手を添えいて何かを考えている様子。
「……本当、私たちは愛されてるわね」
それを見て小さく笑み、そう呟いて。
「それはさておき、あんにゃろ。あんな根性あったとは」
壁に押し付けられた時、不覚にも驚いてしまって。
「今度リザにチクってやるんだから」
なんて、言っていたそうな。
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