一番 リザさん百合夢
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数日後。
非番の日に中央司令部へとやって来た私。
受付で手続きを済ませ、中へ入る。
「…いらっしゃるかしら…」
まぁ、高確率で居るとは思うんだけれど。
大総統府や査察などで居ない場合もある。
セイフォード少将の執務室前。
深呼吸をして、ノックをしようとすれば。
『だから、私は受諾しないと言っているの。レイブン中将にでも頼んだらいいじゃない』
…何やら…セイフォード少将が怒っている声が聞こえてきた…。
『レイブン中将はあなたに言えと仰ってるんです!』
クレミン准将の声…。
『知らないわよそんなこと。私は受諾しない。何度言われようとこれは変わらないわ。仕事の邪魔よ、さっさと仕事に戻ってちょうだい』
『…ッですが…ッ!』
『戻れ、命令』
『…ッ』
セイフォード少将が命令をするなんて…余程のことよ…。
バンッ
「ッ失礼しました!!」
「!!」
扉が乱暴に開き、出て来たのはクレミン准将で。
「!………」
私を一睨みし、去って行った。
……どうしようかしら。
今伺ったらセイフォード少将も苛立っているわよね…。
「まったく…クレミン准将には参る……あら?」
開けっ放しの扉を閉めるために、セイフォード少将が近くに来て。
「リザじゃない。私服で中央司令部に来るなんてどうしたの?」
私に気付いてくれた。
クレミン准将には苛立っているけど、私には普通に笑みをくれた。
周りには決して苛立ちを見せないように振る舞えるの、流石だわ。
「あ、あの、お疲れ様です」
「えぇ、あなたも。入って」
要件を伝える前に、敬礼とご挨拶を。
中に促され、執務室内へ。
「それで、どうしたの?何か用事?」
セイフォード少将はデスクに付き、私はデスクの前に立って。
「え、と。あの…」
今、このタイミングで言うべき?
今の今までクレミン准将を叱っていたから、今言うべきタイミングじゃないわよね…。
「その、クレミン准将は…」
クレミン准将の話をしてみると。
「クレミン准将?ああ、あのポンコツね」
…ポンコツ…。
セイフォード少将は書類に視線を落として。
「本当に仕事をしてくれる部下で助かるわ…」
皮肉を言いながらため息を零した。
「心中お察しします…」
「ありがと…」
すぐに小さく笑み、頬杖を付いて。
「で?用があったんでしょ?」
ん?と首を傾げた。
「あ、あの…」
「うん?」
こうして聞いてくださっているし…勇気を出してみよう。
ほんの一握りの勇気。
「来月の花火大会なんですが…ご予定ありますか…?」
言った。
言えた。
後は、少将の返事次第。
「え?」
セイフォード少将はきょとんと不思議そうな表情を浮かべた。
「あの、時間があれば…で…いいんですが…」
他の方々の誘いを断っているんだもの。
私も無理なのはわかってる。
誘えたという事実が大切なのよ。
そうよ。
「リザが花火大会に行きたいなんて珍しいわね」
「…東洋の花火大会をモチーフにしてるようなので、見てみたいなと思って…」
…少将と過ごすための理由だけれど。
「レベッカとは行かないの?」
「レベッカはその日は勤務で…」
「あら、そうなの」
セイフォード少将は手帳を開いて。
「来月の花火大会、ね。いいわよ」
うそ。
「え?」
「え?」
え?嘘よね?
「その日は…勤務じゃ…」
「えぇ、そう。だから7時以降の待ち合わせになっちゃうけどいいかしら?」
「あ、はい。はい、もちろんです」
…受けてくれた…。
「なになに?なんでそんなに驚いてるのー」
セイフォード少将はクスクス笑いながらそう聞いてきた。
「あ…以前あの…勤務だからと断っているのをお見かけして…」
勤務だからと断っているのを見かけたのに、私もなぜ誘ったのよって話になるわよね…。
「ああ、いろんな子たちが誘ってくれたんだけどね」
私はあまり大人数での行動は好まない、と。
「あ、出動だったら大丈夫よ?指揮を取れるから。でもプライベートでの遊びはそうはいかないから、私が気疲れしちゃうかな」
とセイフォード少将は言った。
…私の誘いを受けてくださる理由はなんだろう。
私と居るのは、気疲れしないの?
気が休まるってこと?
……セイフォード少将、それは自惚れちゃいますよ…。
「で、では、来月の花火大会の日に…」
「えぇ、わかったわ。またね」
最後に敬礼をして、セイフォード少将の執務室を出た。
「……」
どうしよう。
「………っ」
どうしよう、嬉しい。
私は口を押さえながら、足早に司令部を出る。
いえ、まだ喜ぶのは早い。
もしかしたら予定が入ってしまうかもしれない。
もしかしたら仕事が長引いて、来れなくなるかもしれない。
まだ期待しちゃダメよ。
汽車に乗って、扉に背中を付けて俯く。
期待したままで居ると、セイフォード少将が来れなくなった時にすごく落ち込むから。
当日になるまで期待しちゃダメ。
自宅に戻り、家の中に入って。
「ワン!」
出迎えてくれたハヤテ号を抱き上げて。
ソファーに座って。
「………ハヤテ号…どうしましょう…」
ハヤテ号の体に顔を埋めた。
期待しちゃダメなのに。
嬉しくて期待せずにはいられない。
「ワンワン!」
ハヤテ号も尻尾を振ってどこか嬉しそう。
私はハヤテ号を抱きながらカレンダーの前に立って。
カレンダーを捲り、花火大会の日を丸で囲って。
「…セイフォード少将と…」
セイフォード少将と…花火大会…。
「…ハヤテ号、夢じゃないわよね…?」
「クン?」
カレンダーの、自分で書いたセイフォード少将の名前に触れて。
「…待ち遠しいわ…」
子供のように花火大会が待ち遠しくて。
「そうだ、浴衣の予約をしないと」
早く会いたくて。
私らしくないかもしれないけれど。
「セイフォード少将…」
でも。
私はセイフォード少将が好きだから。
そんな自分も悪くないわよね?
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数日後。
非番の日に中央司令部へとやって来た私。
受付で手続きを済ませ、中へ入る。
「…いらっしゃるかしら…」
まぁ、高確率で居るとは思うんだけれど。
大総統府や査察などで居ない場合もある。
セイフォード少将の執務室前。
深呼吸をして、ノックをしようとすれば。
『だから、私は受諾しないと言っているの。レイブン中将にでも頼んだらいいじゃない』
…何やら…セイフォード少将が怒っている声が聞こえてきた…。
『レイブン中将はあなたに言えと仰ってるんです!』
クレミン准将の声…。
『知らないわよそんなこと。私は受諾しない。何度言われようとこれは変わらないわ。仕事の邪魔よ、さっさと仕事に戻ってちょうだい』
『…ッですが…ッ!』
『戻れ、命令』
『…ッ』
セイフォード少将が命令をするなんて…余程のことよ…。
バンッ
「ッ失礼しました!!」
「!!」
扉が乱暴に開き、出て来たのはクレミン准将で。
「!………」
私を一睨みし、去って行った。
……どうしようかしら。
今伺ったらセイフォード少将も苛立っているわよね…。
「まったく…クレミン准将には参る……あら?」
開けっ放しの扉を閉めるために、セイフォード少将が近くに来て。
「リザじゃない。私服で中央司令部に来るなんてどうしたの?」
私に気付いてくれた。
クレミン准将には苛立っているけど、私には普通に笑みをくれた。
周りには決して苛立ちを見せないように振る舞えるの、流石だわ。
「あ、あの、お疲れ様です」
「えぇ、あなたも。入って」
要件を伝える前に、敬礼とご挨拶を。
中に促され、執務室内へ。
「それで、どうしたの?何か用事?」
セイフォード少将はデスクに付き、私はデスクの前に立って。
「え、と。あの…」
今、このタイミングで言うべき?
今の今までクレミン准将を叱っていたから、今言うべきタイミングじゃないわよね…。
「その、クレミン准将は…」
クレミン准将の話をしてみると。
「クレミン准将?ああ、あのポンコツね」
…ポンコツ…。
セイフォード少将は書類に視線を落として。
「本当に仕事をしてくれる部下で助かるわ…」
皮肉を言いながらため息を零した。
「心中お察しします…」
「ありがと…」
すぐに小さく笑み、頬杖を付いて。
「で?用があったんでしょ?」
ん?と首を傾げた。
「あ、あの…」
「うん?」
こうして聞いてくださっているし…勇気を出してみよう。
ほんの一握りの勇気。
「来月の花火大会なんですが…ご予定ありますか…?」
言った。
言えた。
後は、少将の返事次第。
「え?」
セイフォード少将はきょとんと不思議そうな表情を浮かべた。
「あの、時間があれば…で…いいんですが…」
他の方々の誘いを断っているんだもの。
私も無理なのはわかってる。
誘えたという事実が大切なのよ。
そうよ。
「リザが花火大会に行きたいなんて珍しいわね」
「…東洋の花火大会をモチーフにしてるようなので、見てみたいなと思って…」
…少将と過ごすための理由だけれど。
「レベッカとは行かないの?」
「レベッカはその日は勤務で…」
「あら、そうなの」
セイフォード少将は手帳を開いて。
「来月の花火大会、ね。いいわよ」
うそ。
「え?」
「え?」
え?嘘よね?
「その日は…勤務じゃ…」
「えぇ、そう。だから7時以降の待ち合わせになっちゃうけどいいかしら?」
「あ、はい。はい、もちろんです」
…受けてくれた…。
「なになに?なんでそんなに驚いてるのー」
セイフォード少将はクスクス笑いながらそう聞いてきた。
「あ…以前あの…勤務だからと断っているのをお見かけして…」
勤務だからと断っているのを見かけたのに、私もなぜ誘ったのよって話になるわよね…。
「ああ、いろんな子たちが誘ってくれたんだけどね」
私はあまり大人数での行動は好まない、と。
「あ、出動だったら大丈夫よ?指揮を取れるから。でもプライベートでの遊びはそうはいかないから、私が気疲れしちゃうかな」
とセイフォード少将は言った。
…私の誘いを受けてくださる理由はなんだろう。
私と居るのは、気疲れしないの?
気が休まるってこと?
……セイフォード少将、それは自惚れちゃいますよ…。
「で、では、来月の花火大会の日に…」
「えぇ、わかったわ。またね」
最後に敬礼をして、セイフォード少将の執務室を出た。
「……」
どうしよう。
「………っ」
どうしよう、嬉しい。
私は口を押さえながら、足早に司令部を出る。
いえ、まだ喜ぶのは早い。
もしかしたら予定が入ってしまうかもしれない。
もしかしたら仕事が長引いて、来れなくなるかもしれない。
まだ期待しちゃダメよ。
汽車に乗って、扉に背中を付けて俯く。
期待したままで居ると、セイフォード少将が来れなくなった時にすごく落ち込むから。
当日になるまで期待しちゃダメ。
自宅に戻り、家の中に入って。
「ワン!」
出迎えてくれたハヤテ号を抱き上げて。
ソファーに座って。
「………ハヤテ号…どうしましょう…」
ハヤテ号の体に顔を埋めた。
期待しちゃダメなのに。
嬉しくて期待せずにはいられない。
「ワンワン!」
ハヤテ号も尻尾を振ってどこか嬉しそう。
私はハヤテ号を抱きながらカレンダーの前に立って。
カレンダーを捲り、花火大会の日を丸で囲って。
「…セイフォード少将と…」
セイフォード少将と…花火大会…。
「…ハヤテ号、夢じゃないわよね…?」
「クン?」
カレンダーの、自分で書いたセイフォード少将の名前に触れて。
「…待ち遠しいわ…」
子供のように花火大会が待ち遠しくて。
「そうだ、浴衣の予約をしないと」
早く会いたくて。
私らしくないかもしれないけれど。
「セイフォード少将…」
でも。
私はセイフォード少将が好きだから。
そんな自分も悪くないわよね?
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