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「……ここなの？」

「確かそうよ」

結局アイリの自宅までやってきたリザとレベッカ。

「鳴らしてみる？帰る？」

リザの心臓は究極に高鳴っており、襟元を握り締めて。

「か、帰りましょう」

ベルを鳴らす勇気が出ずに背中を向けた。

「いいの？居るかもしれないわよ？」

「いいの。お休みを邪魔したくないから」

リザはカツカツと来た道を歩き出したが。


ピーンポーン


「ッ！？」

レベッカがベルを鳴らした。

「レベッカ…ッ」

「だってせっかく来たんだし」

少し話が出来れば、くらいに思っていたんだが。

中からの応答はなく。

「やっぱり居ないみたいね」

「…忙しいのよ、あの方は」

ホッとしたような、残念なような。

微妙な感情がリザの中に渦巻いた。

と、その時。

ガチャ

「「…ッ！？」」

鍵が開いた音が聞こえた。

二人はバッと振り返ると。




「はーい。って…あら、どうし………たの？」




コートを片手にアイリが出て来て。

アイリはリザの姿が視界に入った瞬間、目を見開いたがすぐにニコリと笑った。

内心では。

『どゆこと？え？リザとレベッカがなぜうちに？というか、え？二人で何してるの？デート？嘘でしょ？付き合ってるの？違うわよね？』

と、かなり混乱していた。

「あ、いえ。確かセイフォード少将のご自宅がこの辺りだったはず、と思って探してたんです」

レベッカがアイリへと歩み寄り、リザへと手招きをする。

「何か用事だった？あ、コーヒーくらい出すけど」

アイリは歩み寄って来たリザをチラチラ見て、自宅を指す。

「いえ、これからまた中央司令部へ行かれるんですよね？」

「えぇ、少し前に着替えに戻っただけだからね」

「セイフォード少将のご自宅も特定出来ましたし、私たちはこれで失礼します」

ね、リザ。と。

レベッカがリザへと促すと。

「え？あ、えぇ、あの…はい。これで失礼します…」

リザも視線を彷徨わせて、頬をほんのりと赤らめた。

アイリはレベッカとリザを交互に見て。

「そう？というか、二人は何してたのー？デート？いいなぁ私そういう相手居ないから羨ましいわぁ」

と、カマかけてみると。

「…あ、いえ違います。セントラルシティへ買い物に来ただけです」

リザがそう答えたが、レベッカはきょとんとして。

ニヤリと笑い…。

「そうなんですよ！たまたま休みが重なって、思い切ってデートに誘ってみたんです！」

リザの腕に自分の腕を絡めた。

「ちょっとレベッカ…」

リザは眉間に皺を寄せてレベッカを睨むけれど。

「ッそ、そうなの。セントラルシティは良いお店多いからゆっくり見て行くといいわよ」

レベッカは気付いてしまった。

「(明らかな動揺…。もしかしてセイフォード少将、リザのことが好きなのかしら)」

と。

「ちが「はーい！ほらリザ、セイフォード少将のお邪魔になっちゃうから行きましょう」

レベッカはアイリへと笑顔で頭を下げて、リザの腕を引いて歩き出す。

「っ[#dn=3#]、セイフォード少将…！失礼しました…っ！」

「ん、またね」

アイリも笑顔で二人に手を振った。

チラッとアイリへ振り返ったレベッカが見たものは。

「……(落ち込んでる落ち込んでる…！間違い無いわ！)」

手すりに両手を置いて肩を落としているアイリの姿だった。




アイリのマンションから出た二人。

「レベッカ、どうしてあんな嘘を吐いたのよ」

「え？嘘でもないでしょ？」

「デートなわけないじゃない。」

「デートみたいなもんよ」

リザはレベッカの“デート”発言に怒っていて。

「誤解されたらどうするの」

「わかったわかった、ごめんね(すでに誤解されてるんだけどね)」

リザが怒っていても、レベッカはニマニマ笑うだけ。

面白くなりそう。

なんて、レベッカは今後のリザとアイリの展開が楽しみでならなかった…。


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